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調査データ

企業の7割以上が労働契約の法改正「2018年問題」に対応。今後も変化する「働き方」への対応方法とは?

2019年5月17日

2018年の労働契約法や労働者派遣法の改正に伴い、多くの企業が有期労働契約や派遣契約を結んだ雇用者に対し、雇用契約を見直すことを迫られました。さらに、働き方における法改正が進む中、企業は早期に対策を打つことが求められています。
そこでマンパワーグループでは、企業の採用や雇用契約に関わっている人事担当者400名に向けて、現時点でどのような対応をしているのかを調査しました。

調査時期
2019年1月
有効回答
400人

目次

「無期期雇用化」に対応する企業が全体の約7割を占める

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人事担当者400名に向けて有期雇用労働者に対して、『派遣法改正』『労働契約法』で対応したことについて質問したところ、全体の76.5%が何らかの対応を行っていることがわかりました。

その内訳(複数回答)は、無期雇用化を「行った」「対応中」「検討中」が全体の69.1%を占める一方、無期雇用化とは別の方法で「対応を行った」「対応中」は9.8%にとどまり、多くの企業で無期雇用化に取り組んでいることがわかります。

このような結果が得られた背景には次のような法改正があります。

■2013年4月施行の改正労働契約法により
通算5年を超える有期労働契約を結んだ労働者が申し込みを行えば、「無期労働契約に転換が可能」となり、2018年に多くの無期転換申込権が発生することが予想されていました。

■2015年に改正された労働者派遣法により
特定の専門職種においても「3年に一回の契約見直し」が義務付けられました。

■2015年9月30日以降の労働者派遣契約締結により
3年後に改正法が適用されるため、こちらも2018年より対応が必要に。3年雇用した派遣労働者とは、それまでと同じ契約を結ぶことができないため、雇用者は、「無期契約」「自社採用」「部署異動」などの選択を迫られることとなりました。


無期雇用化の切り替え以外の検討・対応を行っている企業は約6割

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無期雇用化への切り替え以外に検討・対応していることについて質問したところ、全体の58.7%が何らかの対応を行っていることがわかりました。準社員・無期契約社員などの「新たな雇用形態をつくった」との回答が31.8%に。また、今後は有期雇用での採用は行わず、「無期雇用、正社員のみとする」との回答も23.8%を占めました。


一方で、「検討内容までは決まっていない」という回答も41.3%を占め、無期雇用化への切り替え以外において、対応が進んでいない企業がまだ多いようです。


有期労働者の無期雇用化を「続けると思う」と回答した人事担当者は83.6%を占める

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今後も、有期労働者の無期雇用化を続けると思うかという質問に対しては、83.6%が「続けると思う」と回答しています。

「続けると思う」理由としては、「人材が逼迫傾向にある状況は継続するため、雇用の安定化で対抗する必要がある」(男性・50代)というように、少子高齢化に伴う人材不足に備え、採用における自社アピールの一環としてとらえる傾向もあるようです。実際に、「基本的に、自己申告があった場合に適用される形で進めている」(男性・50代)など、本人の意思を尊重した対応を行っている企業もありました。

〇 続けると思う理由
・人材不足で社員が集まらないから(女性・40代)
・繁閑など、業務負荷の変動に対応するため(男性・50代)
・優秀な派遣社員の確保につながるから(女性・50代)
・法令遵守への対応、ダイバーシティへの対応、働き方改革への対応のため(女性・40代)
・働き方のニーズに応えるため(男性・40代)

一方、「続けないと思う」理由としては、「そもそも派遣での雇用を考えていない」(女性・40代)というケースや、「経費が安く上がるから」(男性・40代)、「管理が大変なので、若い派遣社員の方がいい」(男性・50代)など、コストやマネジメントの観点から、無期雇用化を続けないと考えているケースがありました。

× 続けないと思う理由
・長期雇用が労使双方のメリットとなるため(男性・40代)
・現状、派遣社員も契約社員も雇う予定はないため(女性・30代)
・事業の動向が不明確なので(男性・30代)
・すでに無期雇用化を済ませたので(女性・40代)
・会社の人員計画によるものだから(男性・50代)


時代に合わせた働き方を実現することが求められている

今回の調査では、有期雇用労働者に対して、全体の約7割の企業が「無期雇用化への対応」を行っていることがわかりました。2018年は、労働契約法や労働者派遣法の改正による変化が一挙に訪れ、「2018年問題」として大きな注目を集めましたが、迅速に対応している企業が多くを占めているようです。

今後、2020年4月には、働き方改革の一環として改正労働者派遣法をはじめ、短時間・有期雇用労働法も施行され、非正規労働者の待遇差改善と、賃金および待遇差を改善するための情報開示義務が大きな焦点となっています。早期に対応策を検討し、法改正に備えることが必要といえるでしょう。また、法令を遵守することや、時代に合わせた働き方を実現することには、「優良企業であること」のアピールにもつながります。人材確保の難しいこれからの時代、法改正への対応も、より良い採用活動に役立てるひとつの機会としてとらえて、企業として取り組みを進めてみてはいかがでしょうか。

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