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優秀な人材の獲得は、企業の将来に関わる最重要課題です。面接官の役割は重要です。自社にとって必要な人材を獲得するために、候補者の真意や能力を見極める精度を求められることはもちろんのこと、候補者側からも会社の顔としても見られ、ジャッジされる側にもなっているからです。ここでは面接官の役割を確認しながら、採用の成功に向けて押さえておくべきポイントについて解説します。
適切な面接を実施するには、「面接官の役割」をしっかりと把握しておく必要があります。
はじめに、面接官の役割について確認しておきましょう。
応募者にとって面接は、その企業と向き合う初めての場所です。企業にとっても、自社に興味をもってくれた応募者に対して、企業の印象を決定づける極めて重要な場面です。面接の印象をもとに「入社の可否」を考える応募者は決して少なくありません。面接官はそのことを十分に踏まえたうえで、「企業のフロント」としての役割を果たさなければなりません。
自社について誤解や不信感を与えないよう、企業の代表として真摯な姿勢で誠実な対応に務めます。面接官の言動ひとつで、好ましい人材を逃す結果にもなりかねません。さらに、ポジションの条件を満たす人材に、「入社したい」という意欲を与えるのも面接官の役割です。そのためには、いかに自社の魅力を伝え、入社を促すかをしっかりと考える必要があります。
短時間のうちに人間の本質を見極めるのは簡単ではありません。しかし、面接官である以上、面接を通じて応募者のスキル・経験・志向・適性などの本質を見抜き、「自社のニーズに合った人材であるか」を判断することが求められます。相手の緊張を解きほぐす話術と鋭い観察眼をもって、的確な質問を投げかけながら、可能な限り真意を探っていきます。
企業と人材のマッチングは、経営の根幹にかかわる問題です。人材リソースが豊富な企業であれば、将来においても他社との競争を有利に展開できる可能性が広がります。企業の資産は「人、モノ、カネ、情報、時間、知的財産」です。そのため、「人」を選ぶことは自社の経営戦略において重要な位置を占めるといえるでしょう。
面接の流れは、応募者の本音を引き出すうえでとても重要です。円滑に進めることはもちろんですが、表面的な面接にならないように注意して進めなければなりません。続いては、一般的な面接における「基本的な流れ」を見ていきましょう。
多くの候補者は緊張しています。緊張により、候補者が本来の力を出せず、話を聞き出すことができないのは、双方にとってメリットがありません。いきなり本題から入るのではなく、最初に、面接とはあまり関連のない、日常的な話題でその場の空気を和らげます。天気や交通など、相手自身に関わらない内容であることに留意します。
相手のことを詳しく聞く前に、まずは自ら名乗ることで安心感を与えましょう。氏名、役職、担当の業務などについて、簡単に自己紹介します。続いて、企業概要を説明します。自社の沿革、主な事業内容、運営方針などを簡潔に伝えることで、応募者の企業に対するイメージが膨らみ、実りのある質疑応答に役立ちます。
ここから本題へと移っていきます。履歴書、経歴書にもとづいたキャリアに関する質問を行い、仕事の能力や経験値を確認します。記載内容に誇張や虚偽がないか、具体的・客観的に自らの口で語ることができるか、などを判断していきます。経歴のなかで特に気になる点をピックアップしておくと、自社ニーズに沿った的を外さない質問ができます。
応募者によっては、入社することだけに集中してしまい、「実際にどのように働きたいのか?」が定まっていないケースもあります。入社後のビジョンや仕事への要望などを、できるだけ自分の言葉で話せるように促します。「自身の将来像を明確にしている人物であるか?」がわかると同時に、自社に対しての理解度を測ることができます。
不安要素を残さないように、「疑問点がないか?」を確認します。これにより、「面接内容や企業の情報をよく理解しているか?」を質問から推測できます。
最後に、事務的な要件を確認し、双方の理解を一致させておきます。具体的には、勤務体制やシフト、入社日、事務手続きに関する要件です。また、辞退するかどうかの予測として、他社への応募状況の確認もここで行います。
これらの流れをスムーズに進めていくには、あらかじめ応募者の資料を確認しておき、「どの部分にスポットを当てるか?」を検討しておく必要があります。そのうえで時間配分を調整しておくと、中身の濃い面接を行うことができます。
続いては、面接官として留意すべきポイントについて紹介します。
面接官に関わらず、社会人として最も大切なのは清潔感です。「企業の顔」としての意識をもち、面接に臨む前に身だしなみを確認するようにします。見える部分だけでなく、タバコのニオイなどにも注意しましょう。
説明するときは誇張表現を避け、誠実な企業であることを印象づけるように心がけます。面接する側だからといって、説教口調や上から目線は厳禁です。一貫性のある態度で、ブレのない発言をするように意識しなければなりません。応募者と対等の立場であることをわきまえ、「社会人としてこうありたい」と感じさせる言動となるよう努めます。
応募者からの質問には、できるだけその場で回答するようにします。ただし、即答が難しい場合は無理をせずに、後日、必ず伝えるようにします。あたりさわりのない適当な回答ではなく、確実な情報を与える姿勢が重要です。
個人的な思想や主観に関わる話題は避けなければなりません。一般的に、3S(政治・宗教・スポーツ)と呼ばれる話題は個人感情を刺激しやすく、対立が生じたり、相手に悪い印象を与えたりする可能性があります。また、書類に記載がない家族構成やパートナーの有無、結婚の予定など、仕事には直接関係しないプライバシーに関わる質問はハラスメントと受け取られる場合があります。同様に、趣味や趣向を興味本位で聞き出すことがないように気をつけてください。
相手にとって「圧力」「圧迫」と感じられる言動にも十分に注意しなければなりません。常に丁寧な口調を意識し、決めつけや否定の言葉を発しないようにします。
現代は情報化社会です。企業に対する印象をSNSで拡散されてしまうケースもあります。いちど悪評が広まってしまうと、今後の採用活動にも影響が及びます。節度を保ち、企業イメージに配慮した対応を心がけましょう。
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限られた時間内に応募者の本質を見るには、どのような質問が有効なのでしょうか。最後に、参考にできる質問をいくつか紹介しておきます。
「あなたの強み(最大の強み)は何ですか? また、最大の弱点やマイナス面とはどのような点ですか?」
「それらはこれまでの人生において、どのような影響があったと考えますか?」
「人間関係で悩んだことはありますか? 苦手なタイプは? 仕事上ではどのように対処してきましたか?」
「自分にとってベストパフォーマンスを引き出すマネジメントとは?」
「チームでの役割は? チームプレーと個人プレーのどちらが得意ですか?」
「なぜ、この時期に転職を決めましたか? なぜ1年後ではなかったのでしょうか?」
「ストレスには強い方ですか? その根拠は?」
「ストレス解消法を教えてください」
「この業界で働くことについてのイメージはありますか?」
「弊社を含めた業界について何か新しいニュースを知っていますか?」
「入社したらどのように働き、何がしたいですか?」
「この会社でどのような自分になるのが理想ですか?」
「弊社に対して現時点で予測できる貢献はありますか? それは過去のキャリアで培われたものですか?」
「他社へも併願していますか? 弊社への志望度は何番目ですか? 理由についても教えてください」
「あなたが考える過去の最大の実績と失敗とは何ですか?」
「これまでの業務で、工夫や努力によって課題をクリアした経験はありますか?」
「入社1年後、3年後、10年後のビジョンは?」
「弊社において、将来どのような役割を担いたいと考えていますか?」
キャリアに関する質問は、「今後、社内で活躍できるか?」に大きく関係します。職歴や実績に疑念がある場合は、固有名詞や数値などの具体的なディティールを確認し、確信を得られるようにしておきましょう。
採用面接だけで「ポジションにマッチした人材かどうか」を完全に判断できるわけではありません。しかし、ミスマッチをできる限り回避するには、面接官のスキルが重要な役割を担います。
現在では、Candidate Experience(キャンディデイト エクスペリエンス=応募者体験)が重視されるようになってきました。Candidate Experienceとは、採用候補者側から見た企業への認識、すなわち「応募、選考、入社といった一連の流れのなかでの体験」を指し、それが企業の評価へと繋がってきます。
面接官は、ポジションが求める要件を的確に把握し、面接で得たいことを明確にしておくことが大切です。また、自社も候補者からみれば選考対象であることを忘れないようにしましょう。
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