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スクラム採用とは|注目される理由とメリット・デメリットについて解説

掲載日2022年2月15日

最終更新日2023年3月29日

スクラム採用とは|注目される理由とメリット・デメリットについて解説

目次

これまで採用は人事の仕事だと思われてきました。しかし昨今では、経営陣が採用活動にコミットし、現場の社員を巻き込んで取り組む形に変わってきています。これを「スクラム採用」といい、今注目されている採用手法のひとつです。本記事では、スクラム採用とはどのような手法なのか、なぜ今スクラム採用が必要とされるのかなどを解説します。

スクラム採用とは

スクラム採用という言葉は、採用管理プラットフォームを運営する株式会社HERPが提唱した手法で、「採用担当だけではなく、現場の社員が積極的に採用に参画することで採用成果の創出を狙う採用手法」を指しています。

引用:【Scrum Recruiting Workshop レポート】明日からの採用活動に活かせるスクラム採用の実践方法とは|株式会社HERP

「スクラム」という言葉の意味は?

スクラム採用の「スクラム」とは、ソフトウェアの開発スタイルである「スクラム開発」に由来します。スクラム開発とは、少人数のチームで役割やタスクを分散し、コミュニケーションを重視しながら複雑な課題に取り組む手法です。

転じて「スクラム採用」は、採用目標の達成のために現場に裁量権を与え、課題に柔軟に対応していくことや、現場を含む社員が一丸となって採用活動に取り組むことを意味しています。

スクラム採用とリファラル採用の違い

「リファラル採用」も、昨今話題になる採用方法のひとつです。リファラル採用とは社員紹介採用を意味しており、自社の社員から友人・知人を紹介してもらい、採用につなげる手法です。かつては自社の特定のルートからの紹介で採用する「縁故採用」というものがありましたが、リファラル採用は在籍社員から広く紹介を募る手法という特徴があります。

採用活動に社員を巻き込んで行うスタイルになるため、リファラル採用はスクラム採用の手法のひとつと位置付けられるでしょう。

スクラム採用が必要とされる背景

スクラム採用が必要とされる背景としては、以下の3つがあげられます。

  1. 採用活動が困難化。採用手法も多様化の一途
  2. 専門的・人材が枯渇している職種の採用は、現場の力も必要
  3. 求職者が積極的に情報を収集するようになっている

    採用活動が困難化。採用手法も多様化の一途

    スクラム採用が注目されている背景には、採用活動が多様化・困難化していることがあります。

    以前であれば、求人広告に掲載すれば人材を採用できましたが、現在は求職者が求人情報を得る方法が多様化し、また個人の価値観が多様化したことで転職活動の方法(活用するツールや活用の仕方)も選択肢が増えました。それに伴い、企業側にも多様な採用手法が求められるようになっています。

    専門的・人材が枯渇している職種の採用は、現場の力も必要

    エンジニアなど採用難易度の高い職種は、人事だけで採用を成功させるのは難しくなりつつあります。採用担当者だけでは、チャネルの選択や訴求ポイントがずれてしまい母集団形成ができないといった問題や、人材要件の設定がよくない、スキルの見極めが困難といったことも起きてきます。

    ジョブ型雇用も注目が集まり、専門性の高い人材を採用する場面は増えていくでしょう。ミスマッチを起こさないためにも現場を巻き込みながら採用活動を行う必要が出てきたのです。

    求職者が積極的に情報を収集するようになっている

    転職に対する意識は変化していて、一社で勤め上げるといった価値観は薄れつつあります。転職へのハードルは下がり、自己実現やよりよい環境を得るために転職を考え情報収集をすることは珍しいことではありません。

    求職者は、仕事内容だけではなく社風や組織風土、働く社員はどんな人なのかなど、さまざま情報から総合的に判断します。見られているのは、企業や業務だけではなく、「現場」なども含まれるのです。

    スクラム採用を取り入れる5つのメリット

    実際にスクラム採用を取り入れる主なメリットを5つ紹介します。

    人事・採用担当者の負担を減らし、多様な視点で採用成功に導く

    エンジニアやPMなど高度なスキルが必要な人材を採用したい場合、希少性から獲得のための競争率が高い上、採用活動を行う人事担当者に十分な現場知識が求められ、担当者に大きな負荷がかかりやすい状況です。そこで、スクラム採用によって人事の業務負担が減ることは大きなメリットです。それに加えて、現場を巻き込むことにより、多様な視点・手法で採用活動を行えるようになります。

    「業務内容を伝える」ということだけでも、人事が現場からヒアリングした情報を間接的に伝えるより、現場の社員が生の情報を伝えること でより仕事の魅力が伝わり、候補者の関心を高めやすくなります。欲しい人材を採用するには苦労をいとわない企業が増えてきたからこそ、全社を巻き込み知恵を結集させて採用活動にのぞむことが、採用成功への重要な 要素と言えます。

    優秀な人材に出会う可能性を高める

    採用チャネルが多様化する中では、 複数のルートから応募者を獲得できるよう対応する必要があります。求人広告や人材紹介の活用以外にも、社員のネットワークや口コミ・SNSなどを活用 し、転職市場に出てこない層へのアプローチも積極的に検討しましょう。 幅広い採用ルートを 持つことで、優秀な人材に出会える可能性が高まります。

    現場社員の視点によってミスマッチを防ぐ

    現場の社員が採用に関わることにより、現場が必要としている人材のニーズをすばやく汲み上げ、採用活動に反映させることができます。また、選考フェーズで現場の生の声を応募者に伝えることは、入社後のミスマッチを減らすことにもなります。

    育成力の強化につながる

    現場が採用に関する責任をもつことで、採用後の人材育成に対する 意識向上にもつながります。それまでは「人事が採用したのだから......」と他人事 だった現場でも、「採用に関わった以上、活躍できる人材に育成しなければ」という意識につながるでしょう。

    従業員エンゲージメントが向上できる

    採用にかかわるには、社員自身が自社の理念やビジョンを理解して魅力を見出し、応募者を口説かなければいけません。これは自社の良い部分も悪い部分も客観的に考える機会になります。そして、これから会社をともに作っていくメンバーの採用にかかわることで、「一緒に会社を作り上げる」意識が芽生え、組織へのエンゲージメントが高まります。

    スクラム採用を取り入れる4つのデメリット

    一方で、スクラム採用を取り入れることで次のようなデメリットが発生する恐れもあります。

    現場の社員の負担が増える

    現場の社員は、通常の業務に加えて採用の業務が加わるため、業務負担が増えることは一番わかりやすいデメリットです。現場から不満の声が上がる恐れもありますし、場合によっては本来の業務がおろそかになったり、遅れたりするリスクもあります。スクラム採用の導入と同時に、現場の工数管理やマネジメントが必要です。

    情報管理コストが上がる

    人事以外の複数の部門・複数の社員が採用に関する情報を扱うことで、情報が分散しやすくなるため、情報を一元化して管理する必要があります。また、個人情報を扱うため取り扱いルールやセキュリティ強化なども求められます。そのため管理ツールの導入、情報管理の仕組みの整備、採用に関わるコンプライアンス研修の実施などが必要になるため、 一定の管理コストの発生が想定されます。

    役割分担が難しく、マネジメントが必要

    スクラム採用で重要なのは、採用の役割やタスクを複数人で分担することです。どこまで現場に役割を担ってもらうかを明確にし、どれぐらいの負担になるかを算出して、さらに、ゴールをどこに設定するのか、採用ミッションを評価に組み込むのか、など多くのことを事前に計画しておかなければなりません。実際に採用活動がスタートしても現場任せにせず、人事がプロジェクトマネージャーとして採用プロジェクトを管理する必要があります。

    目的・目標の共有と、意思統一、スキル指導が必要

    全社員を巻き込むといっても、実際に採用活動などまったくしたこともない社員もいれば、会社へのエンゲージメントがそれほど高くない社員もいるでしょう。スクラム採用の成功に向けて、採用活動に 全社員で取り組む意義や、目的、採用目標の共有が重要です。社員の意思統一に加え、採用のスキルやノウハウの浸透が必要になるので、全員がしっかり採用にかかわれるようになるまでには時間がかかります。

    スクラム採用を成功させる5つのポイント

    スクラム採用を成功させるためには、主に5つのポイントがあります。

    経営陣へ協力を仰ぎ、コミットしてもらう

    「採用=人事の仕事」と考えている社員に対しては、価値観の転換と 理解を得ることが必要です。メリットもデメリットもある中で全社員の理解に働きかけるには、経営陣から「会社の方針として採用が重要である、そのため全社をあげて取り組むのだ」という強い意志を表明することが効果的でしょう。

    現場社員に採用への裁量を与える

    採用にかかわる一連の業務を 小人数のチームで回すことができるよう、タスクの割り振りや役割分担を行い、素早くPDCAを回すことで プロジェクトの改善がスムーズになります。

    そのためには、現場に裁量を与え現場主導で業務を動かしていくことがポイントです。「やらされ感」で業務を担うのではなく、現場が主体的に取り組むことで、現場にとってもメリットがあると実感してもらいましょう。

    人事(採用担当)をプロジェクトマネージャーとする

    現場に裁量は与えつつ、全体を見てマネジメントする役割として人事がプロジェクト管理を行いましょう。人事は各部門・チームの進捗状況を把握し、課題の吸い上げと対応の検討、進捗管理、採用ノウハウの提供など、現場の状況にあわせた対応が求められます。

    目標と成果を可視化させる

    現場の主体性を引き出すためにも、あらかじめ採用の全体像を示し、目標とゴール、成果の内容まで明らかにしておきましょう。それに沿って、進捗状況の確認や定期的な振り返りを行い、フィードバックをしていくことが重要です。場合によっては、採用プロジェクトでの取り組みを評価項目に組み込むのもよいでしょう。

    採用情報を一元管理する

    現場に裁量を与える場合、進捗状況などの情報が人事の手を離れてしまい、 現場の限られたメンバーだけが情報を知っている状態 でブラックボックス化、あるいはコントロールのきかない状態になってしまう恐れがあります。それを防ぐには、採用プロジェクトの進捗状況や、選考基準・選考結果情報などを可視化し、人事が情報を一元管理する必要があります。

    採用活動においては、情報共有のタイムロスによって採用の機会を逃してしまう可能性がありえます。採用プロジェクトにかかわる全員が、リアルタイムに情報を得られる仕組みづくりがポイントです。

    例えば、面接前に得た情報、面接時のジャッジポイント・懸念点、面接後に得た情報などを都度メールや紙ベースで共有・保管している企業もありますが、探すにも時間がかかり、共有者の抜け漏れが生じたりします。そのため採用システムなどを導入し、選考者の氏名を入力するだけで応募から内定受諾までのすべての状況と情報を取得できる体制が理想的です。

    煩雑な採用事務はアウトソーシングの検討を

    採用難に伴い、採用手法は多様化の一途です。手法の多様化は、さまざまな事務業務を生じさせます。マンパワーグループでは、採用プロセスの業務代行サービス、採用戦略立案や採用プロセス設計などのコンサルティングサービスを提供しています。本資料では、採用活動から採用後の定着に至るまでの各種課題に応じたソリューションを紹介しています。

    RPO

    スクラム採用の成功事例

    実際にスクラム採用を導入している企業の事例を紹介します。

    フリマサービス企業

    リファラルからの採用が採用比率の5割以上を占めるという同社は、会社のバリューを採用活動に落とし込み、経営陣から定期的に採用に関するメッセージを発信しており、スクラム採用の意識が高いことがうかがえます。社内外交流ができるMeetupを定期的に開催したり、採用につながるような会食には簡単な報告で全額会社負担をしたりと全社で採用に取り組む意識が根付いているといえるでしょう。

    広報・PR支援企業

    同社は、採用活動に全社で取り組むという方針を打ち出しています。システムを導入し、採用活動の情報をすべて全社員に公開しています。その結果、採用の成果だけにとどまらず、応募者と接することにより、既存社員のエンゲージメントスコアが20%アップしました。また、現場での面接見極め力の向上により、採用のミスマッチが起きにくくなったといいます。

    まとめ

    スクラム採用は、多様化・困難化した採用市場に対応するための採用手法のひとつです 。尚且つ、組織全体の採用力の向上に繋がるほか、既存社員のエンゲージメント向上や入社後のミスマッチの軽減・育成力の向上など、組織にも良い効果をもたらします。

    採用を人事だけの仕事にしているのは少しもったいなく感じた方もいるのではないでしょうか。より強固な組織作りを目指し、全社で採用活動に取り組むスクラム採用の導入をぜひ検討してみてください。

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    著者プロフィール

    壷井央子(採用コンサルタント・キャリアコンサルタント)

    壷井央子(採用コンサルタント・キャリアコンサルタント)

    大学卒業後、人材会社3社で採用コンサル、人材紹介事業、サーベイ事業、新規事業の立上げ経験を積む。独立後は個人の方向けのキャリアカウンセリング、私立大学でのキャリアデザイン講師や女性向けキャリアスクールの立ち上げを手掛ける一方で、企業向けには採用〜育成支援、組織開発・D&I推進なども手掛けてきた。

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