広がる外国人介護人材の受け入れ 4つのルートを解説

2020年1月29日

少子高齢化が急速に進む今、2025年には約38万人もの人材不足 が生じるとされる介護業界で、外国人スタッフの雇用に大きな注目が集まっています。

厚生労働省によると、日本の国家資格を取得するための経済連携協定(EPA)を活用し、「EPAに基づく介護福祉士候補者」として日本の介護施設での技能研修を行うために来日した外国人人材の人数は増加の一途を辿っており、2018年 までに808施設で約4,300人もの雇用実績があります。
受け入れた外国人スタッフに対する評価は高く、厚生労働省のアンケート調査に対して、受け入れ施設の78.9%は「今後も受け入れる予定」と回答しています。

さらに施設の利用者や家族は、外国人スタッフの介護サービスに対して約90%が「満足」もしくは「普通」と回答しており、日本人スタッフに匹敵する働きぶりを見せていることがわかります。

今後ますます身近になっていくことが予想される外国人介護人材。今回は実際の受け入れに向けて、国が設定している4つのルート(EPA、在留資格「介護」、外国人技能実習制度、在留資格「特定技能1号介護」)について解説します。

出典:「介護分野における新たな外国人材の受入れ(在留資格「特定技能」)について」厚生労働省ホームページ

EPAに基づく外国人介護福祉士候補者

EPA(Economic Partnership Agreement)とは特定の国同士での貿易や投資を促進するため、規制や関税の緩和・撤廃、環境整備などを実施する条約をさし、日本語では経済連携協定とも呼ばれています。

介護領域においては、インドネシア・フィリピン・ベトナムの3か国と、相手国の人材が日本の国家資格である「介護福祉士」の取得を目指すことを目的とした制度の導入でEPAを締結しています。

介護や看護について一定の知識を持った人材が、日本語教育を受けたのちに技能研修として日本国内で就労するため、高い介護技能やコミュニケーション能力を期待できます。

入国後4年目に介護福祉士の国家試験を受験し、合格すれば在留期間を更新しながら永続的に働くことも可能です。

公益社団法人国際厚生事業団(JICWELS)が、唯一の受け入れ調整機関として日本国内の医療法人や社会福祉法人を対象に候補者のあっせん業務を担っており、双方の意思を尊重したマッチングが行われています。JICWELSは年に1度受け入れ施設の募集を実施しており、一定の要件を満たした施設が応募できます。

在留資格「介護」

日本の介護福祉士養成学校に留学し、介護福祉士の資格を取得した外国人は、在留資格「介護」を取得できます。

介護福祉士として就業することを想定して2016年の入管法改正で創設された在留資格です。

日本語の習得が留学の要件になっているためコミュニケーション能力が高いほか、日本の国家資格にも合格しているため「即戦力」の専門人材として活躍できるのが特長です。

ただ、この制度は雇用のマッチングを行う専門機関がないため、事業者が自ら介護福祉士養成学校に働きかけを行うなど、自主的な採用活動が必要です。

外国人技能実習制度

外国人技能実習制度は、日本から諸外国への技能移転を目的に、外国人を日本の産業現場に受け入れてOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)を通じて技能や技術を学んでもらい、母国の経済発展に役立ててもらうための制度です。

実習生は入国後、日本語と介護の基礎についての講習を受けてから雇用され、働きながらスキルの向上を目指します。

1年目は技能実習第1号として入国した後、1年目に試験を受け、技能実習2号として2年目、3年目の実習を行います。

さらに、実習先・監理団体がともに「優良」の認定を受けている場合、3年目終了時の試験に合格すると、技能実習3号の資格を得られ、4年目、5年目の実習が可能です。

また、介護福祉士の国家資格を取得すると、在留資格「介護」に変更して永続的に働くこともできます。

外国人技能実習制度を巡っては、実習生を安価な労働力として酷使したり、賃金不払いやサービス残業を常態化させたりする企業や事業所が一部であり、社会問題にもなっています。

このため、制度本来の趣旨をよく理解した上で、労働関係法令を遵守した雇用が求められます。

事業協同組合や商工会の団体が監理団体として講習を行い、実習先となる施設との調整を担いますので、受け入れに向けては地域の監理団体を探してみましょう。

在留資格「特定技能1号介護」

特定技能「介護」は国内の深刻な人材不足対策として、2019年4月に施行されたばかりの新たな在留資格です。
対象となる外国人は、介護技能や日本語能力水準を試験で確認された上で入国し、介護事業所で最大5年間就労することができます。
就労期間に定めがあるため、5年後には帰国となりますが、介護福祉士の国家資格を取得すると、在留資格「介護」に変更して永続的に働くことができます。
3年目までに修了した技能実習生については、「特定技能1号」に必要な試験が免除されます。

またEPAに基づいて来日した外国人についても、一定要件を満たせば無試験で「特定技能」に移行できるようになりました。
ただ、「特定技能」の対象14業種全体で5年間に35万人を受け入れるとの政府試算に対し、2019年9月時点での認定数は400人弱にとどまっています。
マッチングの態勢が十分に整っていないほか、新たな制度が事業者などに浸透していないとみられ、今後は官民のさらなる態勢の整備が必要と言えそうです。

以上が外国人介護人材を受け入れる4つのルートです。

また、このほかにも5つ目のルートとして、「地位または身分にもとづく在留資格」もあります。

「永住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」、「定住者」の4種類の在留者を対象としており、就労の活動内容や範囲に制限が設けられていないというのが特徴です。
永住者や定住者であれば相応の日本語力を保有していることが期待できますので、介護技術を習得してもらえれば、期間の制限なく活躍することができます。

最後に

このように、各ルートともに在留期間や人材の技能・語学水準に違いはありますが、いずれのルートも最終的に高度な日本語を習得し、国家資格「介護福祉士」に合格することを想定していることは、他の在留資格にはみられない特徴です。

国内の介護人材確保だけでなく、諸外国の経済発展支援にもつながる外国人雇用。今後ますます盛んになり、制度や受け入れ態勢がさらに整っていくことは間違いないでしょう。

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