企業サービス
マンパワーグループがお届けする「人材」に関する専門メディア
マンパワーグループがお届けする「人材」に関する専門メディア

メールマガジンの登録

本メルマガでは、人事・人材にまつわる情報のご提供、イベント/セミナー等のご案内をお届けいたします。
個人情報の取扱いについてご一読のうえご登録ください。
※同業者、個人の方のお申込はお断りさせていただく場合があります。

成功する人材育成とは?戦略的に実施する上で大切なこと

掲載日2020年7月21日

最終更新日2024年4月15日

成功する人材育成とは?戦略的に実施する上で大切なこと

目次

CTA43

「人材力が企業の経営を左右する」といっても過言ではありません。なぜなら、企業が保有する経営資源(ヒト・モノ・カネなど)を活用するのは、ヒトだからです。

そのため企業は、経営に必要な人材を計画的に確保し、確保した人材を育成しなければなりません。

ここでは、人材育成の目的、重要である理由に触れた上で、戦略的な人材育成を行う際に心がけるべき大切なことをお伝えします。

人材育成の目的

企業が人材育成を行う主要な目的は、「生産性向上」「組織力の強化」「人材の定着」といえます。

生産性の向上

企業では生産性を向上し、利益を最大化させていく必要がありますが、その重要なカギを握るのが人材です。

10人の社員が配属された組織で、一人の社員が平均して100の利益を獲得できていたとします。この状況を、一人の社員が平均して120の利益を獲得できる状況に変化させることで、組織全体で獲得できる利益が20%増加します。このように変化を積み重ねていくことで、企業の利益は最大化します。

このときの一人の社員が獲得できる利益を向上させる源となるのが、一人ひとりの能力の向上です。企業が人材育成を強化し、一人ひとりの能力とパフォーマンスを向上させることで、組織の生産性や企業が獲得できる利益も向上していくのです。

組織力の強化

企業は環境の変化に応じて、事業の構造や組織の形を臨機応変に変えていく必要があります。そのためには、組織力の強化が不可欠です。

組織力を強化させるには、経営層だけでなく、事業やチームをマネジメントできる人材が必要です。マネジメント人材は年功序列ではなく、組織を管理するに必要なスキルや経験、人間性などを兼ね備えた人物でないと組織が適切に機能しません。

各企業にあったマネジメント人材を生むために人材育成を行うのです。

人材の定着

入れ替わりが激しく社員が定着しない状態だと、その企業は組織運営もままならず、経営がなかなか安定しません。人材育成は、社員のモチベーションを向上させ、定着していくためにも重要な役割をもちます。

人材育成が重要視されている背景と理由

近年の雇用環境は「脱定期採用」「脱終身雇用」へと変化しています。その環境のなかで、既存の経営資源によるパフォーマンスを最大化するために、人材育成が重要視されています。人材育成が重要視される詳しい背景と理由を見ていきましょう。

少子高齢化に伴う人口減少

日本における最大の環境変化は、総人口の減少です。

総務省によると、2020年の時点で12,410万人いた総人口が、10年後の2030年には11,662万人にまで減少するという予測されています。

加えて、出生率の低下に歯止めが掛からない一方で、高齢化は進んでいます。それにより、生産年齢人口(15歳~64歳までの人口)が徐々に減少。

2020年時点での生産年齢人口は7,341万人でしたが、総務省の予測では、2030年には6,773万人(-7.7%)にまで減少するということです。生産年齢人口の減少は、2030年以降も、さらに加速していくことが想定されています。

これに関して、65歳以上の人や女性の労働参加が進んでいることにより、短期的には労働力の減少幅は低く抑えられていますが、今後、総人口の減少が加速した場合、労働力の減少幅も加速することになります。

これにより、限られた労働力を企業同士で奪い合う現象が生じ、今後さらに人材確保は一筋縄ではいかなくなります。

つまり、企業に必要な人材を「新しく見つければいい」という考え方ではなく、「採用できた社員の中から育てていく」という考え方にシフトしていかなければならないのです。

優秀な人材の離職を防ぐ

「雇用の流動化」も企業に大きな影響を与えています。

戦後の日本企業は、人材の定期的な一括採用や終身雇用というモデルで成長を遂げてきました。しかし、終身雇用に関しては、バブル崩壊や経済のデジタル化の進展、働き方に対する価値観の多様化などにより形骸化しつつあります。

それにより、転職へのハードルは低下、優秀な人材が離職することで企業の成長に歯止めがかかることが、しばしば発生するようになりました。企業は、優秀な人材の離職を防止するために、個人が能力を高めながら、能力を発揮でき、キャリアアップを実現できる体制を構築していく必要があります。

労働意欲の低い中高年社員をどうするか

「どうせ注意しても変わらないだろう」とパフォーマンスが低いにも関わらず指導を諦めている社員を放置していないでしょうか。 このような人が組織内にいると同僚や部下が業務や責任を肩代わりすることになり、生産性・モチベーションの体かを招きます。 なぜこのような社員が生まれるのか、その原因と対処を下記の資料で解説しました。
ebookop02-01.png

戦略的な人材育成を考える上で大切なこと

人材育成は行き当たりばったりではなく、戦略的に考えて実施することが大切です。戦略的な人材育成を考える上で大切なことについて解説します。

人材育成の成功とは何か?

人材育成の成功は、一律の定義があるわけではありません。それぞれの企業のニーズに合った結果を得られているのであれば、人材育成は成功しているといえるでしょう。

人材育成における目的は、社員が各々の能力を向上させることで企業の業績が向上することです。そして、すべての社員を経営に貢献できる人材に育てることができれば、最大の成功だといえるでしょう。現実的には、業務を遂行する上で、「状況に合わせた適切な判断を行い、行動に移すことができるようになった」などの行動変容も成果といえます。

人材育成に成功した企業は、将来に向かって人材が成長していくことのできる仕組みが構築されています。現在と将来、両面の課題を解決できる能力を有した社員を多く擁した企業であれば、経営環境の変化に対応することができるため、市場競争においても優位性が保ちやすくなります。

成功する人材育成はカスタムメイド

人材育成に成功した事例を見ると、企業によって採用している施策も手法も異なることがわかります。共通していることは、社員の育成を通じて経営の課題を洗い出し、それに対応することで企業全体の成長を実現させるという視点 をもっていることです。

例えば、経営課題に生産性が低いことが挙げられるとします。そこで、生産性向上の仕組みづくりができる人材を必要としますが、育成するにはその生産性が低い原因を明らかにしなければなりません。明らかになった原因をもとに理想と現実の差分を埋めるために獲得すべきスキルや経験など育成方針を決め実行していくことで、社員の育成と経営課題の解決がリンクし、企業全体の成長につながります。

人材育成が自社にとって必要不可欠であるという認識に基づいて、経営の課題や社員のレベルに合わせた方策を実施することで、成果が確実なものとなります。そのため、他社で上手くいった方法が自社にも当てはまるとは限りません。

他社の施策や一般化された手法を参考にしながら、自社に合う方法を探り、人材育成を実施していくことで、社員の定着率が向上し、やる気に満ちた活力のある企業風土が醸成されていくでしょう。

CTA43

人材育成を成功させるための5つのポイント

人材育成を実施していくにあたり、おさえておくべき5つのポイントを解説します。

組織全体で長期的な目線で取り組む

人材育成は、長期的な目線で行うことが重要です。長期的な目線は、下記のような流れで考えます。

① 自社が将来に向かってどのような方向性での成長を目指しているのか。

② ①のために社内の組織や組織によるパフォーマンスをどのように変化させていくのか。

③ ②を実現させるために、どのような能力を有した人材が、どのような組織で、どのような形で能力を発揮することを望んでいるか。

④ ②・③によりどのような組織のパフォーマンスが実現されていくか。

このように、経営の成長を描いた上で、それに当てはまる人材を計画的に育成していくことが、「戦略的な人材育成」といえます。その実現には、経営陣と人事が一体となって取り組む姿勢が必要です。

自社が成長していく姿を、「ビジョン」という形で経営陣が明らかにした上で、それに沿った人材の成長と配置、活用のあり方を人事が設計・戦略化していくことで、長期的な目線での人材育成を行うことができるようになります。

育てる社員・育つ社員双方に「自律性」を促す

社員が所属する現場はもちろんのこと、トップやマネジメント層も、自社が人材育成に対してどのような取り組みを行っているのかを理解していることが、企業と社員双方の成長へと導きます。

育てる社員(教える側)が義務として指導を行えば、育つ社員(教えられる側)も義務として受け取ります。教わったことを覚えたとしても、それ以上の発展を望むことは難しくなります。

育てる社員が自発的に、良い指導を行うことを意識するようになれば、指導スキルが向上するとともに、育てる社員自身の能力も強化されます。人材育成で自律性が求められるのは、育つ社員だけではないということです。

一方で、育つ社員も、企業が期待する人材のイメージとキャリアビジョンを踏まえて、自分がどのように成長していきたいのか、そのために必要な能力とは何かなのかを主体的に考える必要があります。

その上で、企業が社員の希望や認識を把握して業務の割振りや配置を行うことで、自律性を促し、社員のモチベーションアップや生産性向上、エンゲージメント向上などが期待できるようになるでしょう。

企業と社員の双方が良好なバランスを保ちながら、それぞれの成長を実現していくことが理想的な人材育成といえます。

関連記事
社員ひとりひとりの目標設定については、こちらのコラムで詳しく説明しています。

人材育成における適切な目標設定とは?

新人から管理職まですべての層を対象にする

企業が目指すビジョンの実現に対し、すべての年代、ポジションにおいてレベルアップすべき点があるはずです。つまり、新入社員、中堅社員、管理職では、それぞれ人材育成の目標が異なります。

それぞれの層に対して、企業の経営目標を達成するために必要な要素を明らかにし、成長させていくための戦略的な人材育成の計画を構築していくことが求められます。

全ての層に向けた戦略は、OJTを実施する社員のレベルを高めることです。上に立つ層のレベルを向上させることにもつながり、社員全体のレベルアップを実現させるでしょう。

継続的な学び・チャレンジができる環境整備を行う

人材育成に取り組むにあたって、社員が学び続けることのできる環境の整備を行いましょう。

不要なルールを撤廃するなどの必要な見直しを行いながら、働きやすい職場環境へと変えていきます。公正な評価制度を導入することやチャレンジの奨励、失敗時のフォローも必要です。

また、人材育成の過程で、学んだことが実際の業務に活かされなければ意味がありません。社員が自ら実践していけるように、学んだことに関連のある業務への配属やプロジェクトへの参加など、機会を与えていきましょう。

学びやチャレンジができる人材育成の具体例として、

  • 後輩の指導を経験させる
  • 複数職種の業務を経験させる
  • 難易度の高い仕事を体験させる

などがあります。

モチベーションを維持する取り組みを行う

職場における人材育成に関しては、さまざまな育成手法が存在します。

上司が仕事の内容ややり方、応用方法など一から十までのことを指導するケースもあれば、完成形だけを教えてあとは自力に任せる場合もあります。

どのような育成手法であっても、教育・指導を受ける社員の受け取り方に注意しなければなりません。なぜなら、人材育成では、社員のモチベーションが重要だからです。

OJTを担当する社員、教育を受ける社員の双方に対する評価制度を確立し、次の段階へと目を向けられるように促していきましょう。

人材育成では、企業と社員が、目的を共有しているかどうかで成果が変わってきます。企業が求めている人材像と、それに対して期待されている貢献内容について、社員が正確に認識することができれば、モチベーションが向上するはずです。

そのために、企業が目指している事業の方向性や、それに関して必要となる人材像、リーダーに望む資質などを社員に対して分かりやすく伝えて、自主的に成長していくことを啓発し続けることが重要です。

ただし、そのような啓発活動を行ったからといって、すべての社員のモチベーションが上がるというわけではありません。その際には、エンゲージメント指標を活用しましょう。

エンゲージメント指標とは、企業と社員の結びつきの強さを測定するものです。社員が所属する企業に対して、自己の成長の可能性をどれだけ感じているのか、企業のビジョンと自分の将来性をどのように重ねているのかを知ることで、離職リスクを回避する施策を検討することができます。

エンゲージメント指標をもとに企業のニーズと社員のニーズのすり合わせを行い、両者が納得できる人材育成プランを構築しましょう。

人材育成を熟知したプロの研修やアドバイスも活用

職務遂行能力の向上を目的とした人材育成は、直属の上司が、日常の業務遂行を通じて、職場内の業務内容や環境に適した指導を繰り返して行うことが最も効果的な対応です。

しかし冒頭でお伝えしたように、人材育成の目的は職務遂行能力の向上だけではありません。長期的な目線で、キャリアの幅を広げながら能力を向上させ、会社の将来のあるべき姿の実現に貢献できる人材を育てていくことが重要です。

向上させるべき能力には、マネジメントに関することや最新の技法など、専門性の高いものも多くあります。専門性の高いスキルを習得するためには、社内で指導するよりも、人材育成のプロが主催する社外研修や教育サービスを活用することが効果的です。

業界のトレンドや他社事例など、外部講師による専門的かつ多角的な視点からの情報を顧慮することで、職場内で活用していくための新しい考え方やノウハウなどの習得も見込めるからです。ただし、外部研修などを活用する場合も、自社が策定した人材育成の戦略に基づいて業者選定などを行う必要があります。教育の難易度やコスト、教育を担当する社内人材の状況などを勘案し、社内教育と外部講師の利用を使い分けていくとよいでしょう。

CTA43

人材育成を制する企業が未来を担う

労働力不足や人材の流動化による雇用環境の変化は、今後も続いていくでしょう。

そのような中で人材育成をないがしろにすると、人材が定着せず、事業の競争力も低下し、会社存続の危機に陥る恐れもあります。そうならないためにも、経営陣が人材育成の重要性を理解し、企業と社員が共通の認識をもって取り組むことが必要です。

人材育成は、一朝一夕で成果が出るものではなく、必ず成功する手法もありません。だからこそ、できることからひとつひとつ着実に実施していきましょう。

関連記事
人材育成における課題とその対策については、こちらのコラムでより詳しく解説しています。

効果的な人材育成を阻む4つの課題と解決までの5ステップを解説

著者プロフィール

マンパワーグループ株式会社

マンパワーグループ株式会社

世界70カ国・地域にオフィスを持ち、ワールドワイドに展開している人材サービスのグローバルカンパニー、ManpowerGroupの100%出資の日本法人。

リクルーティング、評価、研修、人材育成、キャリアマネジメント、アウトソーシング、人材コンサルティングなど、人材に関するあらゆるソリューションを世界的なネットワークで展開する総合人材サービス会社。

SNSでシェアする

  • ツイートする
  • facebookでシェアする
  • LINEで送る
  • LinkedInでシェア
  • はてなブックマーク

SNSでシェアする

  • ツイートする
  • facebookでシェアする
  • LINEで送る
  • LinkedInでシェア
  • はてなブックマーク