無期雇用派遣とは?メリットとデメリットを解説

無期雇用派遣とは?メリットとデメリットを解説

目次

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派遣社員とは、一般的に企業で雇用される社員とは異なる独特の雇用形態をもち、最近では法改正により待遇の改善施策が繰り返されている注目の働き方です。

今回は、派遣社員の雇用形態のうち「無期雇用派遣」に焦点を当て、概要や一般的な派遣(登録型派遣)との違い、無期雇用派遣で働く場合のメリットやデメリットを紹介します。また、無期転換ルールや無期雇用で働くまでの流れなど、派遣社員が気になる制度の内容についても分かりやすく解説します。

【人材派遣】無期雇用派遣とは

派遣社員には、次の3種類の形態があります。

  • ・無期雇用派遣
  • ・登録型派遣
  • ・紹介予定派遣

「無期雇用派遣」とは、派遣元である人材派遣会社と期間を設けずに雇用契約を交わすことで、「常用型派遣」とも呼ばれています。雇用期間の更新をする必要がないため、派遣社員でありながらも一般企業で働く正社員と同様の待遇を受けられ、比較的安定した働き方であるといえるでしょう。

「登録型派遣」とは、派遣元である人材派遣会社と有期(期間の定めあり)で雇用契約を交わす働き方です。働き続ける場合は期間ごとに契約更新が必要となり、派遣先で働いている期間のみ給与の支払いが発生する形態です。

「紹介予定派遣」は、直接雇用を前提として一定の期間、派遣社員として働く契約形態です。契約終了時に派遣先企業と派遣社員、双方の合意が得られた際に雇用形態が間接雇用(人材派遣会社)から直接雇用(派遣先)へ変わります。

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無期雇用派遣と登録型派遣の違いを比較

ここでは、「無期雇用派遣」と「登録型派遣」の雇用の内容がどのように異なるのかを、順に解説します。

給与

無期雇用派遣の給与は、多くの場合、正社員と同様に月額制で安定した収入を得ることができます。一方、登録型派遣の場合は派遣期間中のみ給与が発生する仕組みで、支給形態は時給制がほとんどです。

なお、厚生労働省の派遣労働者実態調査によると、人材派遣の種類別の平均賃金は、登録型派遣が1,296円、無期雇用派遣(常用雇用型派遣)が1,442円(+144円)となります。
それぞれの平均賃金を比較すると、時間給換算した際の給与は無期雇用派遣のほうが高い傾向であることがうかがえます。

出典:平成29年派遣労働者実態調査の概況|厚生労働省(PDF)

契約期間

契約期間については、前述のとおり無期雇用派遣の場合は「期間の定めなし」、登録型派遣の場合は「期間の定めあり」となります。
なお、登録型派遣で働く場合、同一の派遣先企業で派遣社員として就労できる期間は例外を除いて「3年」という期間制限ルールが設けられています。

賞与・昇給

2020年4月の「同一労働同一賃金」に関する法改正により、無期雇用派遣も、賞与の支給が行われることになりました。
一方、有期雇用で就労する登録型派遣の場合は、賞与分が時給に上乗せされていることが多いため、賞与としてまとめて支給されることはほとんどありません。

昇給は、無期雇用派遣・登録型派遣のいずれも実施される可能性があります。人材派遣会社の状況によりますが、無期雇用派遣の場合は定期的な期間に、登録型派遣の場合は契約更新のタイミングごとに実施されるケースが多くみられます。

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無期雇用派遣のメリット

ここからは、無期雇用派遣として働く場合のメリットについて挙げていきます。

同じ派遣先で長く働ける

無期雇用派遣は、登録型派遣に適用されている「期間制限ルール」の対象外となるため、同一の職場で長い期間派遣社員として働き続けることができます。

期間制限「3年ルール」とは

期間制限ルールとは、派遣社員の待遇を改善するために設けられたルールで、通称「3年ルール」といいます。

3年ルールは、「事業所単位」と「個人単位」の2種類あります。
企業が派遣社員を受け入れることができる期間が最長3年という「事業所単位(企業側)」の期間制限と、部や課などの異動がないまま同じ派遣社員が同じ部署で働ける期間が最長3年という「個人単位」の期間制限があります。

ただし、以下の場合は期間制限の対象外となります。

  • ● 60歳以上の場合
  • ● 人材派遣会社に無期雇用されている場合
  • ● 期間限定のプロジェクトで終期が決まっている場合
  • ● 1か月の勤務日数が、派遣先従業員の半分以下かつ10日以下である場合
  • ● 産休、育休などの代替要員の場合

収入が途切れない

無期雇用派遣は、派遣社員として就労していない期間も給与を受け取ることができるため、派遣期間中のみ給与が発生する登録型派遣とは異なり、途切れることなく収入を得ることが可能です。

キャリア支援が受けられる

人材派遣会社には、派遣社員に対して派遣先で困ることのないように教育訓練を実施することや、希望者を募ったキャリアコンサルティングを行うことが義務づけられています。
そのため派遣社員は無期雇用や有期雇用にかかわらず、今後のキャリア形成に関する相談や、スキルアップ研修の受講が可能です。

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無期雇用派遣のデメリット

同時に把握しておきたいデメリットについても解説します。

採用選考がある

登録型派遣の場合、人材派遣会社へ登録する際にヒアリングなどの手続きを済ませれば派遣社員として働くことが可能ですが、無期雇用派遣の場合は、通常の正社員採用の流れと同様に、採用選考があります。
一般的な就職活動でクリアしなければならない書類選考や採用試験、面接などを経て派遣社員になります。

派遣先が希望どおりとは限らない

無期雇用の場合、待機期間も収入が発生することから、人材派遣会社はできるだけ登録者の待機期間を短くし、継続して新たな派遣先企業の紹介を行う場合もあります。
その結果、中には自分の意思や希望とは別の企業へ派遣される可能性もあるため、希望どおりとは限らないことも念頭に置いておきましょう。

無期転換ルールとは?

無期転換ルールは、企業と「有期契約」を締結している従業員との契約期間が通算で5年を超えた場合に、その従業員が申し込みをすると「無期契約」へと転換することができる制度です。

これは、有期契約の派遣社員(登録型派遣)にも適用されるルールとなり、部署内での異動や派遣先の転換を経て、行うお仕事の種類が変わったとしても、通算期間としてカウントされます。

無期雇用派遣で働く方法

ここからは、登録型派遣から無期雇用派遣に転換するための方法について解説します。

5年の契約期間終了後に申し込む

無期雇用派遣で働くためには、登録型派遣として次の要件を満たした上で、「5年」の契約期間の終了後に申し込みを行う方法があります。なお、申し込みの権利はあくまでも権利であるため、権利が発生したからといって申し込みが義務づけられているわけではありません。

無期雇用派遣で働くための要件は次のとおりです。

  • (1)同じ人材派遣会社で有期雇用契約を締結した期間が通算して5年超であること
  • (2)複数にわたり(1回以上)有期雇用契約の更新があること
  • (3)申し込み権利が発生する時点に有期雇用契約期間中であること

無期雇用派遣を募集している人材派遣会社に申し込む

先ほどのように、登録型派遣としてある程度働いた上で無期雇用派遣になる方法とは別に、当初より無期雇用派遣の募集をしている人材派遣会社を探して、申し込みを行うことも一つの方法です。
前述のとおり採用選考を経て登録を目指す必要がありますが、選考に通った後は安定した待遇を得られるでしょう。

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無期雇用派遣の働き方に関するQ&A

ここからは、無期雇用派遣に関してよくある質問についてお答えします。

無期雇用派遣から直接雇用へなれるのか?

無期雇用派遣から派遣先の直接雇用に転換することは可能です。ただし、派遣先の同意があっての話であるため、直接雇用を希望する場合には、人材派遣会社の担当者に相談してみましょう。

また、無期雇用派遣から直接雇用を希望する場合は、直接雇用のメリットやデメリットも考えた上で検討するとよいでしょう。

無期雇用派遣は途中で辞められるのか?

無期雇用派遣は、形式としては一般企業の正社員などと同様の待遇となるので、辞める場合も一般社員と同様に退職する旨を伝え、届出書類の提出などが必要です。

なお、法律上では辞める日の2週間前までに届出書を提出する旨が定められていますが、人材派遣会社と派遣契約を交わす際に、契約書内に退職の流れが記載されている場合もあるので、人材派遣会社のルールを事前に確認しておきましょう。

同じ派遣先で部署移動を行った場合、無期転換ルールは適用される?

無期転換の申し込み権利は、人材派遣会社との間で交わした契約が通算で5年を超える場合に発生します。
したがって、同じ派遣先企業内で部署異動をした場合や、事務員から営業職などのように職種や業種を変えて働き続ける場合でも通算期間としてカウントするので、無期転換ルールが適用されます。

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まとめ

無期雇用派遣と登録型派遣を比較すると、無期雇用派遣は安定して働くことができます。キャリア支援を受けつつ、収入の面でも安定した働き方を希望する方にはおすすめの働き方といえるでしょう。無期雇用派遣のメリットや特色を理解した上で、自分らしい働き方を選択してみてはいかがでしょうか。

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