転職するなら知っておきたい退職金の相場や仕組みについて

転職するなら知っておきたい退職金の相場や仕組みについて

目次

転職による中途退職の場合にも勤続年数など条件を満たしていれば、退職金(退職給付)がもらえます。しかし、企業の規定や転職するタイミングによっては、退職金がもらえない場合もあります。今回は退職金の相場や仕組みを知り、転職する際の参考にしてください。

退職金の仕組み

退職金の仕組み

退職金制度の形態
退職金制度には、一時金制度と年金制度があり、両方を併用するケースもあります。日本経済団体連合会(経団連)が2015年4月に発表した「2014年9月度 退職金・年金に関する実態調査結果」によると、退職金制度の形態を 「退職一時金制度と退職年金制度の併用」とする企業の割合は66.3%、「退職一時金制度のみ」は12.9%、「退職年金制度のみ」は15.7%との結果が出ています。
自分の会社の退職金制度については、しっかりと確認しておきましょう。

◇退職一時金制度 : 内部積立のみをもって一時金を支払う制度で、退職時に一括で受領
◇退職年金制度 : 厚生年金基金、確定給付企業年金、確定拠出年金、中小企業退職金共済などがあり、退職金を会社の外部に積み立てて管理・運用し、年金で受領

一時金の計算式
退職金の支給は義務ではないため、退職金制度がない企業もありますが、退職金制度がある企業では勤務年数などの規定に沿って退職金が支給されます。 退職金の一時金の計算式は、企業ごとに就業規則などで基本的な計算式を定めており、多くの企業が「退職時の基本給 × 勤続年数 × 給付率」の計算式で退職金を決定しています。
給付率は60~67%前後の企業が多く、月給25万円の人が10年間勤務して退職する場合の一時金の計算式は以下の通りです。

月給25万円×10年×給付率(60~67%) = 150~167.5万円

給付率は企業ごとに定めているため、退職する際は自分の会社の経理担当者に、自分が受け取れる一時金の額を確認した方が良いでしょう。

退職金の相場

退職金の相場

東京都産業労働局が発表した「中小企業の賃金・退職金事情(平成26年度版)」によると、モデル退職金(調査産業計)は、以下のようになっています。

【大学卒・中小企業でのモデル退職金統計】

勤続年数年齢自己都合退職会社都合退職
5年 27 451,000円 668,000円
10年 32 1,242,000円 1,681,000円
15年 37 2,425,000円 3,125,000円
20年 42 4,154,000円 5,089,000円
25年 47 6,382,000円 7,424,000円
30年 52 8,999,000円 10,201,000円
定年 13,839,000円

また、経団連「2014 年9月度 退職金・年金に関する実態調査結果」によると、標準退職金(学校卒業後直ちに入社し、その後標準的に昇進・昇格した者を対象に算出した退職金)は、「管理・事務・技術労働者」の60 歳・総合職で大学卒が2,357.7万円、高校卒が2,154.9万円でした。
これは退職一時金と退職金年金の併用、退職一時金のみ、退職年金のみの場合の額を合算して単純平均した結果ですから、一時金のみよりも高くなっています。
大学卒の管理・事務・技術労働者(総合職)が、会社都合で退職した場合の勤続年数ごとの支給額(支給月数)の調査結果は以下の通りです。

【大学卒の総合職が会社都合で退職したケース】
・勤続年数が1年の場合は、23.9万円(1.1カ月分)
・勤続年数が3年の場合は、68.3万円(2.8カ月分)
・勤続年数が5年の場合は、122.3万円(4.4カ月分)
・勤続年数が10年の場合は、297.5万円(8.8カ月分)
・勤続年数が15年の場合は、547.0万円(13.2カ月分)
・勤続年数が20年の場合は、877.6万円(17.6カ月分)
・勤続年数が25年の場合は、1,316.4万円(23.7カ月分)
・勤続年数が30年の場合は、1,804.2万円(29.9カ月分)
・勤続年数が35年の場合は、2,170.8万円(35.6カ月分)

【高校卒の総合職が会社都合で退職したケース】
・勤続年数が1年の場合は、19.5万円(1.1カ月分)
・勤続年数が3年の場合は、49.1万円(2.7カ月分)
・勤続年数が5年の場合は、81.7万円(4.1カ月分)
・勤続年数が10年の場合は、204.1万円(8.1カ月分)
・勤続年数が15年の場合は、374.7万円(12.2カ月分)
・勤続年数が20年の場合は、594.5万円(16.9カ月分)
・勤続年数が25年の場合は、921.5万円(22.8カ月分)
・勤続年数が30年の場合は、1,348.8万円(30.7カ月分)
・勤続年数が35年の場合は、1,851.8万円(38.7カ月分)

おわりに

退職金制度は企業にとって義務ではありませんが、入社する際には制度がある企業を選びたいものです。
会社都合退職の方が自己都合退職よりも退職金の金額が高いように、退社する際には退職理由や勤続年数、企業の規模によって支給額が異なりますので、一概にこの金額が支給されるとは限りませんが、各調査結果を参考にしてください。
1カ月長く在籍しただけでも、勤続年数が変わって金額が増えるかもしれません。しっかりと自分の会社の制度や規定を確認しましょう。

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