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調査データ

約4割の人事担当者が「リスク管理」「管理職人材の育成」など実務習得以外の研修を実施と回答

2023年7月10日

社員の教育研修については、実務習得のための研修だけでなく、多様な研修を行なうことが求められる時代となっています。AIの発達やDX化の推進によって産業構造が変化しつつある一方、少子高齢化によって生産年齢人口の減少も見込まれています。今後、いかに人材を育成するか、また、いかに教育における制度・環境を構築するかが、企業の存続を左右してしまう可能性があるでしょう。

 そこでマンパワーグループでは、企業の人事担当者を務める20代~50代の男女400名を対象に、自社で行なっている社員向けの研修について調査しました。受けてほしい研修やその背景にある理由など、人事担当者のリアルな声も合わせてご紹介します。

調査時期
2023年1月
有効回答
20~59歳の人事担当者 400人

目次

約4割の人事担当者が実務習得以外の社員研修を実施と回答

あなたの会社で実務習得以外に行っている社員向けの研修はありますか

人事担当者を務める20代~50代の男女400名に、勤務先の会社で、実務習得以外に行っている社員向けの研修はあるか聞いたところ、「特に行っていない」(61.5%)との回答が全体の約6割を占めました。約4割の企業では、実務の習得以外を目的とする社員向け研修を実施しているようです。

実施している研修内容としては、ハラスメント、情報セキュリティなどの「リスク管理」(20.5%)、「管理職研修/部下育成」(20.0%)が約2割となっています。以降は、メンタルヘルス、ストレスマネジメントなどの「ヘルスケア関連」(16.3%)、提案資料作成、コミュニケーション、プレゼン、ロジカルシンキング、ブランディングなどの「業務スキルUPに寄与する能力開発」(16.0%)、「ビジネスマインド研修」(11.3%)が続きました。

特に偏った傾向は見られず、企業によって目的や課題に合わせた研修を実施しているようです。

人事担当者が受けてほしいと考えている実務習得以外の研修トップは「管理職研修/部下育成」

実務習得以外に行っている社員向けの研修の中で受けてもらいたいと思うものははありますか

社員向けの研修の中で受けてもらいたいと思うものについて聞いたところ、「特にない」(53.8%)が全体の5割超という結果になりました。実務習得以外の社員向け研修について「受けてもらいたいものがある」と考えている人事担当者は、5割弱ほどいるようです。

受けてもらいたい研修については、「管理職研修/部下育成」(23.5%)、「リスク管理」(22.0%)が上位を占めていました。また、「業務スキルUPに寄与する能力開発」(18.3%)、「ビジネスマインド研修」(17.3%)、「ヘルスケア関連」(17.0%)も2割弱でした。

先に質問した「実施している研修」と比べると、「ビジネスマインド研修」の割合がやや高めになっていますが、全体的には大きく変わりなく、人事担当者が受けてほしいと考えている研修も分散傾向にあります。企業ごとに解決したい課題が異なり、それに合わせた研修を挙げていると言えるでしょう。

人事担当者がその研修を受けてほしいと思う理由とは?

人事担当者が「実務習得以外の社員向け研修を受けてほしいと思う理由」については、多様な角度からの声が挙がっています。

個々のスキルアップ・キャリアアップの観点

  • ビジネスパーソンとして、そもそもの意識付けが必要(男性・59歳/福岡県)
  • 各種スキルを向上してもらいたい(男性・50歳/神奈川県)
  • 自分の苦手とする業務の研修を受けることで苦手分野の克服とスキルアップを図れる(女性・50歳/東京都)
  • 日常の業務に追われるのみではなかなか考える習慣が身に付かないので、何かのきっかけを与えることで少しでも考える習慣づけになればと思っている(男性・58歳/福岡県)

組織全体を考えた管理職人材育成の観点

  • 会社としての能力アップを期待するとともに、将来的な管理職、経営者となる後継者人材の育成につながると思うから(男性・51歳/鹿児島県)
  • これからの時代は、リスク管理や情報セキュリティが大切な部分だと思うから(男性・58歳/秋田県)
  • コンプライアンスを強化する意味で実施したい(男性・58歳/埼玉県)
  • 若手、ベテランに関係なく、職歴が長い職員はハラスメントしがちなため(女性/41歳/神奈川県)
  • 今後の業務拡大に必要(男性・58歳/大阪府)

具体的に受けてほしいと考えている研修内容については、「新任管理職向けの研修」(男性・46歳/静岡県)、「人材育成力のアップ」(男性・53歳/兵庫県)など、管理職向けの研修を挙げる声が多い一方、「会社収益に対する考え方」(男性・57歳/神奈川県)、「生産性向上研修」(男性・32歳/大阪府)、「マインドセットの研修」(男性・51歳/埼玉県)、「キャリアアップ研修」(男性・53歳/広島県)など、個々がビジネスパーソンとしての能力を高めていくための研修を挙げる声も少なくありませんでした。

また、「セキュリティ対策」(男性・59歳/東京都)、「ITリテラシー」(男性・56歳/北海道)、「メンタルヘルス」(女性・55歳/兵庫県)、「ストレスマネジメント」(女性・39歳/福岡県)、「ハラスメント」(男性・59歳/青森県)、「労基法関連」(男性・52歳/東京都)など、時代の変化や法令の改定などに対応していくための研修を挙げる声も多く見られました。

変化する時代の中で、リスク管理や法令改定への対応などが求められる時代に

今回の調査では、実務習得以外の社員向けの研修として、「リスク管理」「管理職研修/部下育成」を実施していると回答した人事担当者が2割超と上位を占めました。また、人事担当者が受けてほしいと考えている社員向けの研修についても、「リスク管理」「管理職研修/部下育成」が同様にトップ2を占めています。

また、「実施している研修」と「受けてほしい研修」、それぞれの内容については、どちらも偏った傾向はなく、それぞれの項目に分散していました。企業それぞれの目的や課題に合わせ、研修を実施している様子がうかがえます。

人事担当者が実務習得以外の研修を受けてほしいと思う理由については、個々のスキルアップ・キャリアアップ、管理職人材の育成などを挙げる声が多くありました。その一方、「法令の改定やリスク管理など、変化する時代に対応していくために必要な知識を学んでほしい」と考えている声も少なくはありませんでした。

昨今はDX化が進んでおり、セキュリティやITリテラシーなどの面でリスク管理をすることが重要となっています。また、時間外労働の上限規制やパワハラ防止法、メンタルヘルス対策の義務化など、法改定などに対応していくための管理職教育なども必要となっています。また、働き方の変化や雇用年齢の引き上げなどに伴い、個々の社員にはリスキリングなどの学び直しも求められる時代となっています。

今後は、管理職として活躍を始める30代から定年前の世代まで、様々なライフステージにある社員が、外部環境を捉えたうえで自己理解を深め、組織に貢献できる役割を自ら見出す必要があると言えるでしょう。

しかし、こうした研修を実施したくても、「社内では解決しきれない問題がある」(男性・58歳/北海道)、「社内(社員)講師でカバーするのが難しい」(男性・52歳/大阪府)、「スキルアップに役に立つ専門家による講義が必要」(男性・45歳/福岡県)などの声もあり、社内で対応することに限界を感じている企業も少なくはないようです。

企業が抱える現状の課題や今後の人材育成における問題を解決するためにも、社員それぞれに年代別に求められる期待・役割に応じたキャリアデザイン研修を実施することが重要です。

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