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中間管理職の約8割が「部下を信頼している」。信頼できる部下と、できない部下の違いとは?

2020年1月28日

2019年5月、パワハラ防止策を義務づける改正法案が成立しました。義務化の時期はまだ決定していませんが、企業も上司世代も、パワハラ防止の意識を持つことが重要となってきています。また、若手世代の早期離職を防ぐためにも、上司が部下と良好な関係性を築くことも非常に大事なことです。

そこでマンパワーグループでは、入社2年目の社員が部下にいる30歳~59歳の中間管理職400名に向けて、「部下との信頼関係」についての調査を実施しました。前回の若者世代への調査結果とあわせ、職場の人間関係づくりや教育指導の参考にしてみませんか?

調査時期
2019年6月
有効回答
400人

目次

管理職の8割超は「部下を信頼している」と回答

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中間管理職400名に向けて、部下を信頼しているか質問したところ、「信頼している」(21.8%)、「どちらかといえば信頼している」(62.8%)を合わせると、中間管理職の84.6%が部下を「信頼している」ことがわかりました。

信頼できる部下は「仕事の目的を理解している」

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信頼できる部下については、半数近くが「仕事の目的を理解している」(42.6%)と回答しています。そのほか上位には、「コミュニケーションを取って仕事を進められる」(32.5%)、「素直で謙虚な態度で仕事をしている」(32.0%)、「自分の意見をしっかり言える」(30.5%)、「頼んだ仕事をきっちりこなす」(30.2%)が続きました。

信頼する部下についてのエピソード

■仕事の目的を理解している

「上司が具体的に言わなくても、仕事の目的を記載した資料が作成されていた」(女性/48歳)など、本人の行動と結果によって、信頼感を抱くケースが多いようです。
一方、仕事の目的を理解させるために、「毎週連絡会を行い、プロジェクトの進捗状況や新たな課題を確認している」(男性/59歳)など、教育・指導体制をつくっていることをうかがわせる回答もありました。

■コミュニケーションを取って仕事を進められる

「チームワークで仕事を進めるため、職員同士のコミュニケーションは必須」(男性/45歳)という考えが前提となっているケースが多いようです。
また、「話しやすい関係を築くことで、お互いに都合が悪い情報も共有、意見が言えるようになった」(男性/45歳)など、コミュニケーションにおける工夫や体制づくりを行っているケースも多いようです。

■仕事の目的を理解している

・依頼した業務のゴールや目的が何かをきちんと確認してくる(男性/44歳)
・会社のどの部分を担っているかを理解した上で仕事をしている(女性/49歳)

■コミュニケーションを取って仕事を進められる

・わからないことを質問し、解決することで知識を深めている(女性/35歳)
・他部署も巻き込みながら仕事することができている(男性/47歳)

■素直で謙虚な態度で仕事している

・人の意見やアドバイスを素直に聞いている(女性/34歳)
・わからないことなどは質問し、勝手な解釈で仕事を進めない(男性/44歳)

■自分の意見をしっかり言える

・上司の意見に流されず、自分の意見を理路整然と話せる(女性/48歳)
・初めての内容に関してもしっかり考えて、自分なりの意見を言う(男性/39歳)

■頼んだ仕事をきっちりこなす

・言われたことは、責任を持って期限までに終わらせる(男性/34歳)
・経験していない仕事を頼んだとき、自ら解決してやり遂げてくれた(男性/51歳)

信頼できない部下は「指示がないと動けない」、「責任感がない」

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一方、「信頼できない部下」については、「指示がないと動けない」(41.9%)、「責任感がない」(40.3%)が上位に入りました。
以降、「報連相ができない」(29.0%)、「成長意欲を感じない」(29.0%)、「ストレスに弱い」(25.8%)、「マイペースすぎる」(25.8%)といった、本人の性格・性質に関係する理由が続きます。

信頼できない部下についてのエピソード>

■指示がないと動けない

「時代の教育環境のせいか、発展的に考え、能動的に動けない。言われたことは言われたこと以上にやらないし」(男性/37歳)というコメントに尽きると言えそうです。思考だけでなく、行動面でも、「過去の経験を応用できず、最大限の結果を出そうとしない」(男性/38歳)「自分で調べようとしない」(男性/54歳)、などのコメントが多く、苛立ちを感じている上司も少なくはなさそうです。

■責任感がない

「フォーマットにそった仕事しかやろうとしない。難しそうな仕事になると逃げる」(男性/46歳)、「すべて上司任せ」(男性/37歳)というコメントが多くありました。「自己都合の欠席が多い」(男性/32歳)、「勝手に帰ってしまう」(男性/47歳)など、勤怠を指摘するコメントや、「やり切る努力が足りない」(女性/37歳)、「自らコミットしていく姿勢がまったくない」(男性/38歳)などのコメントもありました。

■ストレスに弱い/マイペースすぎる

「少し注意をしたら、帰ってしまった」(男性/32歳)、といった声が......。「優しく伝えても悩んでしまう。あまり強く言うとハラスメントになるのでこちらも言いにくい」(男性/37歳)と、対応に悩むケースも少なくはないようです。

■報連相ができない

・こちらから聞かないと、何も報告しない(男性/51歳)
・納期に間に合わなくなったことを、納期当日に言う(女性/47歳)

■成長意欲を感じない

・仕事に対する意欲が低い(男性/32歳)
・悪い意味で、入社当時とまったく変わっていない(女性/47歳)

■ストレスに弱い、マイペースすぎる

・今日やるべきことを終わらせずに帰る(男性/39歳)
・叱られたときや指摘を受けたとき、すぐシュンとしてしまう(男性/55歳)<

■その他

「すぐに、明日やります、来週やりますと言って、先延ばしにする」(男性/39歳)、「教えてもメモを取らないので何も覚えない」(男性/32歳)など、指導しても報われないケースも多いようです。
また、「進捗報告内容は素晴らしいが、実績が伴っていない。口より手を動かして信頼を勝ち取るべき」(男性/45歳)など、仕事に臨む姿勢そのものを疑問視するコメントもありました。

「共通認識」が仕事に対する価値観や常識のズレをなくすポイントに

今回の調査では、中間管理職の84.6%が、部下を「信頼している」ことがわかりました。一方、「部下を信頼できない理由」については、「指示がないと動けない」「責任感がない」を筆頭に、「報連相ができない」「ストレスに弱い」「マイペースすぎる」などが上位を占めていました。

仕事に対する価値観のズレや、基本的なコミュニケーション、さらにはストレス耐性や勤怠なども含む「社会人として当たり前」と思っていた常識そのものにズレがあるためなのか、一体どう指導すればいいのかと悩むケースも少なくはなさそうです。

人事担当者は、上司世代の教育研修のみではなく、若手世代の仕事に対する前提意識をしっかりと形成するような教育研修も並行していかなくては、双方の溝を埋めることは難しいかもしれません。

上司世代と若手世代が、仕事やコミュニケーション、勤怠などにおいて、大事にすべきことの共通認識を持てるよう取り組むことが大事といえるでしょう。

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また、アンケートの結果は調査時点に基づいたものであることにご留意ください。

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