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調査データ

6割以上の企業が「時短勤務」を導入。多様化する勤務形態に、企業が求められていることとは?

2019年6月20日

2017年、政府が取りまとめた「働き方改革実行計画」には、「柔軟な働き方がしやすい環境整備」の項目があります。具体的には、ICTを活用し時間や空間に制約されない働き方の「テレワーク」や、「副業・兼業」の普及などを目指す項目が盛り込まれ、勤務形態の多様化を促しています。
そこでマンパワーグループでは、実態を探るため、企業の採用や雇用契約に関わっている人事担当者400名に向けて、現時点でどのような勤務形態や制度が導入されているのかを調査しました。

調査時期
2019年1月
有効回答
400人

目次

6割を超える企業が「時短勤務制度」を導入

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人事担当者400名に向けて、「勤務先で取り入れている雇用形態」について質問したところ、「フルタイム勤務制度」(87.0%)が約9割を占め、日本における働き方のスタンダードはフルタイムと言えそうです。また、産育休などからの復帰を支援する「時短勤務制度」(60.0%)を取り入れている企業も過半数を占めています。

その他、「必ずしもフルタイム勤務である必要ではない」という考え方から生まれた「短時間正社員制度」(25.0%)、「在宅勤務制度」(14.3%)、「副業」(7.3%)といった、多様な働き方を推奨する制度を導入している企業はまだ少ないようです。


多様な働き方を実現できる制度で、人材流出を防ぎ、採用活動に役立てる

多様な働き方制度を導入している企業の人事担当者に「制度を取り入れた理由」を聞いたところ、「ライフステージの変化や個々の環境に合わせた働き方を実現することで、人材流出を防ぎ、採用にも役立てる」という理由から各種制度を導入しているケースが多いようです。

また、「会社に申請する場合の条件」については、「個々の状況や、職種・業務内容などが適応要件に当てはまること」「勤務条件や給与体系の見直しへの了承」などを前提条件としている企業がほとんどです。

そこで、勤務形態別に聞いた「制度を取り入れた理由」と「会社に申請する場合の条件」についての回答をいくつかご紹介します。

■時短勤務制度
[取り入れた理由]
・育児や介護など、フルタイムで働くことが難しい社員が増えたため(女性/20代)
・弾力的な勤務時間制の導入により、社員のワーク・ライフ・バランス環境を整えるため(男性/50代)
・退職者を出さずに、長く働いてもらうため(男性/30代)

[申請条件]
・1週間前までに上司に申請することが条件(男性/40代)
・業務優先で、定時勤務もありうることを了承することが条件(男性/50代)
・育児や介護など、時短勤務制度を取得する必要性があるかを考慮する(女性/20代)

■在宅勤務制度
[取り入れた理由]
・人材の流出を抑えるため(20代/男性)
・働き方改革の一環として(50代/男性)
・育児、介護、病気などのさまざまな事情で「勤務地まで来るのが困難な場合』にも、デスクワークなどで働くことを可能とするため(30代/女性)

[申請条件]
・介護や育児など、在宅勤務せざるを得ない理由があることが前提で、週3回出社が条件(男性/40代)
・毎日作業前後に電話連絡を入れ、1カ月に1回は出社し、経費精算、業務報告をすることが条件(女性/40代)
・オンライン上での勤務管理をすることが条件(女性/30代)

■フレックス制度
[取り入れた理由]
・家庭の状況が変わっても働き続けてもらうため(男性/30代)
・働き方改革と業務効率向上のため(男性/50代)
・国の施策にともない、『優良企業』をアピールするため(女性/40代)

[申請条件]
・12:00~16:00のコアタイムがある(女性/20代)
・専門性の高い仕事のみに適用(女性/30代)
・フレックス勤務は週3回まで(女性/30代)

■シフト制度
[取り入れた理由]
・勤務形態の自由化と時間外削減するため(男性/50代)
・2交代制で夜間も機械を遊ばせずに使い続けるため(男性/40代)
・個人に業務が集中しないよう分散するため(男性/30代)

[申請条件]
・週40時間以上勤務が条件(男性/30代)
・店舗スタッフのみに適用(男性/40代)
・原則として、採用条件時のシフトで就業すること(女性/30代)

■短時間正社員制度
[取り入れた理由]
・高齢者雇用対策の一環として、仕事のシェアリングのため(男性/50代)
・個人のライフスタイルに対応するため(男性/40代)
・家庭の事情、本人の精神状態を考慮(男性/40代)

[申請条件]
・シングルマザーなど、個別事由を勘案(男性40代)
・総労働時間が少ないため、基本給を見直しする(男性/50代)
・フルタイム勤務と比較して、総就業時間が3/4であることが条件(女性/50代)

■副業
[取り入れた理由]
・社員の収入アップのため(男性/30代)
・社員に仕事以外の活躍の場を与え、より幅広い視野をもってもらうため(男性/40代)・国の施策に応じて(女性/40代)

[申請条件]
・副業する業務内容に審査がある(競業禁止など)(50代/男性)
・業務に支障がない程度なら許可(30代/男性)
・必ず繁忙期は会社に出勤すること(30代/女性)


8割以上の人事担当者が、「勤務形態の制度を社員が理解している」と回答

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勤務形態の制度について、社員が理解していると思うかを聞いたところ、「理解していると思う」(40.8%)、「どちらかといえば理解していると思う」(44.3%)を合わせると、8割以上の社員が理解していることがわかりました。
企業側による周知活動の効果だけでなく、社員としても「状況が変化しても働き続けられる制度を活用したい」という意識があるのかもしれません。

多様な立場の人が働き続けられる制度を用意して、運用していくことが大事

今回の調査では、柔軟な働き方を実現するさまざまな制度の中でも「時短勤務制度」を導入している企業が最も多く、6割以上を占めました。一方、国が推奨する「在宅勤務制度(テレワーク)」、「副業」は1~2割程度にとどまっています。

今後、少子高齢化が進み、人材確保がより困難になることを見据えると、「多様な働き方を実現する制度の整備」は、企業において必須といえるでしょう。育児と仕事の両立はもちろん、介護離職の防止や高齢者雇用なども課題となってくるはずです。

制度を整備し、それを明文化して周知した上で適用すること、そして運用していくことは、離職防止はもちろん、採用活動そのものにも大きな影響を与えることも予想されます。「働き方改革」を実現するこれらの制度の整備は、法改正への対応だけでなく、人材確保の施策として検討する必要がありそうです。

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