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ダイバーシティ採用を導入している企業は4割超。実施の上で実感した成果・課題とは?

2022年5月30日

近年、国籍・性別・年齢などの区別なく多様な人材を積極的に登用する戦略として、「ダイバーシティ採用・推進」を掲げる企業が増えています。少子高齢化が進む中、2019年4月1日より施行された「働き方改革法案」では、「限られた労働力による生産性の向上」と「個々のニーズに合わせた多様な働き方を選択できる社会の実現」を掲げており、企業にも多様な人材が活躍できる環境づくりが求められるようになりました。そこでマンパワーグループでは、企業の人事担当者を務める20代~50代の男女400名を対象に、「ダイバーシティ採用」の実態について調査しました。

調査時期
2022年1月
有効回答
企業で人事担当者を務める20代~50代会社員または団体職員 400人

目次

ダイバーシティ採用で最も積極採用している人材は「女性または男性※」

ダイバーシティ採用として積極的に採用している人材はいますか?

企業で人事担当者を務める20代~50代の男女400名に、ダイバーシティ採用の導入状況を聞いたところ、導入している企業は全体の4割超(42.5%)ということがわかりました。また、ダイバーシティ採用を導入している企業が積極的に採用している人材については、「女性または男性※」(62.4%)が全体の6割超で最も高い結果となりました。
※ 調査では男性の多い職場に対しては「女性」、女性の多い職場に対しては「男性」を意識して回答いただいています。

2位は「障がい者」(49.4%)が約半数の高い割合で続き、3位以降は「高度外国人材」(30.0%)、「シニア」(27.1%)で3割程度となりました。また、「積極的に採用していない」(11.2%)という回答も全体の1割程度を占めました。

採用推進の目的トップ2は「優秀な人材の雇用」「働きやすい職場環境づくり」

ダイバーシティ採用を推進している目的は何ですか?

ダイバーシティ採用を推進する目的については、「優秀な人材を雇用するため」(64.1%)がトップで全体の6割超を占めていました。さらに、「働きやすい職場づくりのため」(52.9%)、「多様化する市場に対応するため」(50.6%)が、いずれも5割超で続きます。また、「労働力を確保するため」(45.9%)、「社会的責任を果たすため」(41.8%)との回答も4割超の高い割合となりました。

ダイバーシティ採用では、優秀な人材の雇用に役立てると同時に、社内においては働きやすい職場づくり、ビジネスにおいては市場の多様化に対応するために推進されている傾向があるようです。人材採用におけるバリアフリー化の側面が見られる結果となりました。

ダイバーシティ採用を実施する上で「うまくいったこと」「苦労したこと」とは?

ダイバーシティ採用を導入している企業の人事担当者を対象に、うまくいったことを聞いたところ、多様な人材を採用することによる社内活性化や、さまざまな角度から物事を見られるようになったことで社会に対する視野が広がるといった声に加え、意外なところからの優秀な人材が見つかるなど、プラスの影響を実感する声が多く見られました。

うまくいったこと

・ダイバーシティ採用枠に対し、多くの入社志願者がいた(男性・40歳/福岡県)

・社内の活性化が図れてとてもいい状況になってきている(男性・57歳/埼玉県)

・多様性に対する理解が進むようになった(女性・55歳/埼玉県)

・さまざまな能力の人材を確保することができている(男性・37歳/広島県)

・障がい者の雇用率が安定した(女性・28歳/愛知県)

・社内で活躍する女性が増えた(男性・53歳/長野県)

一方、苦労したことについては、採用条件や採用判断、受け入れ体制づくりの段階から難しさを感じているケースや、社内の理解を深めることに苦労している声が多数ありました。また、採用後にどう定着させるのかという点で苦労しているケースも多いようです。

苦労したこと

・ダイバーシティ採用をしようとしても、適切に採用を判断できる人事担当者がいない(女性・22歳/千葉県)

・障がい者採用において、障がいの程度・等級などが把握しにくく判断が難しい(男性・50歳/埼玉県)

・外国人採用において言葉の問題、文化の違いに苦労した(男性・44歳/佐賀県)

・トイレ、更衣室などを整備しなくてはならない問題があった(男性・49歳/神奈川県)

・世代間、ジェンダー感覚の差異を撤廃するための制度設計の難しさを感じる(男性・57歳/福岡県)

・採用した人材が多様過ぎて社風に合わなかったり、仕事に適さなかったりすることがある(女性・43歳/大阪府)

・採用者の定着率にやや苦戦している(男性・55歳/東京都)

・組織が大きいので理解を得られるまでの過程が長期化している(男性・42歳/富山県)

人材確保に欠かせない、ダイバーシティ採用と受け入れ体制づくり

今回の調査では、ダイバーシティ採用の導入をしている企業は全体の4割超(42.5%)ということがわかりました。また、積極採用している人材については、「女性(男性)」(62.4%)、「障がい者」(49.4%)、「高度外国人材」(30.0%)という結果となりました。

さらに、ダイバーシティ採用を推進する目的の上位は、「優秀な人材を雇用するため」(64.1%)、「働きやすい職場づくりのため」(52.9%)、「多様化する市場に対応するため」(50.6%)となっています。

ダイバーシティ採用をすでに実施した人事担当者からは、専門人材の確保や社内の活性化などに貢献できているという声がある一方、採用判断や職場の受け入れ体制づくり、適正配属などにおいて難しさを実感している声も多くありました。その結果、採用しても定着しないケースは少なくないようです。

日本においては、急速な少子高齢化による生産年齢人口の減少が問題視されています。総務省が2022年4月15日に公表した「人口推計(2021年10月1日現在)」では、日本の総人口は、前年比64万4,000人減の1億2,550万2,000人で、11年連続の減少となり、その減少幅は過去最大となっています。 この先、2060年には総人口が9000万人を 割り込み、高齢化率は40%近い水準になると推計されており、国を挙げて働き手不足の解消に取り組むことが課題となっています。

企業にとっても、今後、ますます人材の採用が難しくなっていく状況があるため、職場の受け入れ体制の整備や理解促進のための取り組みなど、ダイバーシティ採用における体制づくりに早期に取り組むことが重要といえるでしょう。

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