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調査データ

「管理職」に対する課題を抱えている企業は全体の5割超。人事担当者が実感している課題や具体的な対処策とは

2023年3月 6日

少子高齢化がますます進む中、人材不足を課題とする企業は増加の一途をたどっています。その中でも、管理職人材の不足は企業経営に重大な影響を及ぼすため、5年後、10年後を見据え、今から迅速に取り組むべき課題と言えるでしょう。

そこでマンパワーグループでは、企業の人事担当者を務める20代~50代の男女400名を対象に、管理職について抱えている課題と対処策について調査しました。

調査時期
2023年1月
有効回答
20~59歳の人事担当者 400人

目次

管理職について課題を抱える企業が過半数
 課題トップは「将来的な管理職候補が育っていない」

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企業で人事担当者を務める20代~50代の男女400名に、自社の「管理職」に対して、感じている課題を聞いたところ、半数以上が何らかの課題を挙げており、多くの人事担当者が管理職に関する課題を感じていることがわかりました。

具体的な課題としては、「将来的な管理職候補が育っていない」(23.0%)がトップで、2割超となっています。また、「社内にふさわしい人材が少ない / いない」(18.8%)という回答も2割弱で続きます。

3位以降については、「管理職への研修・教育が十分でないと感じる」(15.5%)、「中間管理職の負担が大きすぎる」(15.0%)、「管理職のパフォーマンス評価が難しい」(12.3%)、「管理職を希望する社員が少ない」(12.0%)が続きます。

管理職の人材育成や人材不足、研修・教育環境・評価基準など、さまざまな課題があることが浮き彫りになりました。

人事担当者が実感している「管理職における具体的な課題」を紹介

人事担当者が「管理職に対して感じている課題」では、管理職人材の不足や採用の難しさを挙げる声が多く見られました。

また、優秀な管理職が突然やめてしまうという声も多く、その背景としては、中間管理職の業務領域の広さ、業務負担の重さ、部下に指導するための時間と給料が釣り合わない、などの課題があることが見えてきました。

管理職人材の採用や配置については、人件費の高さ、管理職のポストにつける人物の能力など人物の見極めの難しさ、若手が伸びず責任のおける仕事をまかせることができない、などの声が多くありました。

さらに、教育体制や評価基準に課題を感じている声も少なくありませんでした。

人事担当者の声

・管理職の業務量・負担が多すぎる(男性・49歳/千葉県)

・顧客のニーズの多様化で、管理職に対する評価基準が定めにくい(女性・50歳/東京都)

・中堅の中から幹部候補がなかなか育たない(男性・57歳/愛知県)

・若い人材で管理職を志す者は皆無。30代の人員の配分が少ないため、なり手がいない(男性・45歳/東京都)

・管理職の研修などにお金をかけることができない(男性・26歳/東京都)

「課題に対処している」企業が全体の6割超
 教育・人材育成や、待遇・給与の見直しに取り組む

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管理職全般について、課題を感じている人事担当者に、どのように課題を対処しているか聞いたところ、「特に対処していない」(36.6%)」は3割強にとどまり、6割超の企業では、課題に対して何らかの対処をしていることがうかがえます。

具体的な対処としては、「現管理職向けの教育を行っている」(22.4%)が最も高く2割強となっています。以降は「管理職候補の育成を実施している」(21.6%)、「社内的な待遇や給与を見直している」(20.7%)、「人事評価制度を見直している」(19.4%)が僅差の約2割で続いています。

現在の管理職に向けた教育や管理職候補の育成、管理職の待遇や評価の見直しなどで課題に対処している企業が多いことがわかりました。

管理職全般の課題に対する対処策

管理職全般について、課題を感じている人事担当者に、自社で行っている対処策を聞いたところ、現在の管理職人材に対する給与・待遇の改善、評価体系の見直しに注力しているケースが多いようです。教育研修については、若手人材の育成に注力する声が多くありました。

また、採用については、管理職の採用基準の引き下げ、引き抜きも含めた中間管理職の才能探し、リーダークラスの正社員採用など、さまざまな角度から取り組む声がありました。

さらに外部の専門家の活用やDX化などで課題解決を図っているケースもあるようです。

人事担当者の声

・給与や福利厚生の改善(男性・56歳/東京都)

・eラーニングや階層別研修を実施(男性・58歳/埼玉県)

・現管理職の昇進教育に注力し、管理職の採用も高額待遇で強化(男性・43歳/神奈川県)

・評価体系の見直し(男性・53歳/栃木県)

・現役マネージャーと候補者の定期的な面談と動機付けを実施(男性・52歳/東京都)

・外部のコンサルタントを入れて相談している(男性・37歳/京都府)

・RPA(Robotic Process Automationの略。業務の自動化)の導入で業務負担を軽減(男性・42歳/茨城県)

今後ますます深刻になる管理職人材の不足
 管理職のなり手を増やすことが急務

今回の調査では、自社の「管理職」に対して課題を感じている企業が全体の5割以上を占めていることがわかりました。管理職人材の不足をはじめ、管理職候補の人材育成、管理職の業務負担、研修、教育環境、評価基準、など、さまざまな面で課題があることが浮き彫りになりました。

また、現在の管理職に向けた教育や管理職候補の育成、管理職の待遇や評価の見直しなどで課題に対処している企業が多数を占め、外部人材の採用要件などを見直している企業や、外部の専門家に力を借りるケースなども見られました。

日本においては、多くの企業がいわゆる「氷河期世代」の新卒採用を控えた過去があり、その影響で40代の正社員人材が不足している現状があります。また、管理職人材の高齢化が進み、定年退職後に「代わりの人材がいない」「若手人材が管理職になりたがらない」という状況に陥っている企業も少なくはないでしょう。

しかし、目の前の課題だけでなく、今後はさらなる少子高齢化で人材不足はますます深刻化していきます。将来を見据え、若手人材の管理職候補の育成や、給与・待遇・評価制度の向上によって、管理職のなり手を増やすことが急務と言えそうです。

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