「65歳以上のシニア就業確保」は約4割がすでに対応済み。一般社員の希望と人事担当者の課題とは?

2022年10月 5日

少子高齢化が進む日本においては、高年齢者雇用対策も推進されています。2020年3月には高年齢者雇用安定法が改正され、これまでの「65歳までの雇用確保」の義務に加え、「70歳までの就業機会確保」における努力義務が新設されました。70歳までの定年引き上げや継続雇用制度の導入、定年制の廃止などの措置を講ずることを企業の努力義務としたこの改正法は、2021年4月から施行されています。そこでマンパワーグループでは、企業の人事担当者を務める20代~50代の男女400名を対象に、「65歳以上のシニア就業」における実態を調査しました。

「働きたい年齢」「働かなければならない年齢」は「65歳くらい」が最も多い

何歳まで働きたいと思っていますか?

企業の一般社員として働く20代~50代の男女400名に「何歳まで働きたいか」を調査したところ、「65歳くらい」との回答が全体の約3割を占めました。

「自主的に働きたい年齢」の上位は、「65歳くらい」(28.5%)、「60歳くらい」(22.3%)、「生涯現役」(18.5.%)、定年を設けずに一生働き続けたいと考えている人が全体の約2割を占めています。一方、「働かなければならない年齢」の上位は、「65歳くらい」(31.3%)、「70歳くらい」(19.0%)、「60歳くらい」(19.0%)となっています。

双方を比較すると、自分の希望より長く働かなければならないと思っている人が多い様子がうかがえます。また、「生涯現役」については「働かなければならない年齢」(14.3%)よりも、「自主的に働きたい年齢」(18.5.%)の割合が高くなっています。自主的に働きたい意欲がある人にとっては、定年を引き上げるより、生涯現役で働ける環境を意欲的に求めている人が多いようです。

65歳以上の働き方は、「今の会社で働きたい」「正社員として働きたい」がそれぞれ7割近く

65歳以上も働けるとしたらどんな働き方をしたいと思っていますか

同じく一般社員の男女400名を対象とした調査で「65歳以上も働けるとしたら、どんな働き方をしたいと思うか」を聞いた結果、「今の会社で働きたい」(65.5%)が7割近くを占めました。

雇用形態別に見ると、同じ会社・別の会社を問わず「正社員として働きたい」(68.8%)という回答が約7割、「正社員以外の直接雇用で働きたい」(20.8%)は2割超という結果となっています。また、「派遣社員として働きたい」(5.3%)、「個人事業主として働きたい」(5.3%)は、それぞれ5%程度の回答にとどまっています。

「生涯現役で働きたい」と思っている人や、「65歳以上になっても今の会社で働きたい、正社員として働きたい」という人たちの環境を整えるために、企業はどのような対応を進めているのでしょうか?

次に、人事担当者に聞いた調査結果をご紹介します。

約4割が「65歳以上のシニア就業確保」に対応済み。「予定・検討」も含めると8割弱に

「65歳以上のシニア就業確保」の対応はあなたの会社でどのくらい進んでいますか?

人事担当者400名を対象に、「65歳以上のシニア就業確保の対応状況」について調査したところ、4割超が「すでに対応している」(42.8%)と回答しています。また、「対応予定・検討中」(33.8%)は3割超となっており、全体の8割弱(76.6%)が「65歳以上のシニア就業確保」を推進していることがわかりました。一方、シニア就業の環境整備に未着手の企業も2割程度ある状況も見えてきました。

「70歳までの継続雇用制度の導入」対応済みの割合は6割弱

「65歳以上のシニア就業確保」を進めるためにあなたの会社では、どのような対応をしていますか?

同じく人事担当者への調査で、65歳以上のシニア就業確保を進めるために、どのような対応をしているかを聞いた結果、「70歳までの継続雇用制度の導入」(58.2%)と回答した企業が最も多く、全体の6割弱にのぼることがわかりました。

以降、「70歳までに継続的に業務委託契約を締結する制度の導入」(25.5%)、「70歳までの定年年齢の引き上げ」(24.5%)が続き、どちらも全体の4分の1程度が対応済みであることがわかりました。また、「70歳まで継続して社会貢献事業などに従事できる制度の導入」(19.3%)も約2割の企業が対応済みとなっています。

しかし、生涯現役で働きたい人の希望に応える「定年制の廃止」(13.7%)については、1割超にとどまる結果に。シニア就業には人件費の増加や組織全体の若返りなどの面に懸念が残るため、年齢に制限を設けない制度の導入は難しい傾向があるといえそうです。

「65歳以上のシニア就業確保」に対し、人事担当者が実感している課題

人事担当者が感じている65歳以上のシニア就業確保における課題については、体力、能力、モチベーション、健康管理、業務内容、若手人材とのバランスなどを懸念する声があがっています。

■体力面の課題

・若年層と比べると、認識と体力が著しく異なる(女性・35歳/福岡県)

・健康状態の個人差が大きく、雇用に際して健康状態の把握が大変(男性・48歳/埼玉県)

・病気などの健康状態により働けなくなること(女性・31歳/愛知県)

■能力面の課題

・業務内容とシニア層に求める能力が一致しない(男性・51歳/京都府)

・能力の高いシニア人材を確保するのが難しい(男性・46歳/東京都)

・担当する業務、本人のモチベーションのバランスが難しい(男性・59歳/東京都)

・業界において、シニアの経験を活かすような職種があまり想像できない(男性・53歳/千葉県)

■給与・待遇の課題

・高齢になると能力は下がるが、給料は下げにくい(男性・36歳/広島県)

・給与面を交渉の上で勤務時間の短縮の相談受けることが多いが、時間短縮だと勤務態度の評価が難しい(男性・43歳/鹿児島県)

・本人の希望する職種に応えられない(男性・47歳/兵庫県)

■若手人材とのバランスの課題

・再雇用で70歳にしたため、若者を採用できず、社内全体の平均年齢が非常に高くなっている(女性・50歳/東京都)

・従業員の平均年齢が低いため、世代間ギャップが生まれないか不安(男性・39歳/兵庫県)

・人事が停滞することや、今まで上司であった者が部下となるなどの面で心理的負担を担保する制度の面で課題が多い(男性・50歳/大阪府)」

■国の体制や家族の考え方の課題

・政府はシニア世代の雇用継続を民間に要求してはいるが、制度設計や日本全体でのヴィジョンを描き出すイニシアチブをとっておらず、その姿勢の改善も必要(男性・48歳/茨城県)

・本人は就業を希望も、家族が反対し、説得してほしいなどというケースが起こる(男性・54歳/東京都)

シニア就業確保のポイントは、受け入れ態勢や環境の整備、若手層との雇用バランス

今回は、シニア就業確保の受け手となる一般社員と、制度環境の整備を担う人事担当者の双方に調査を行いました。一般社員が考える「働きたい年齢」「働かなければならない年齢」については、どちらも「65歳くらい」が全体の約3割を占めている一方、自主的に働きたいと考える層は「生涯現役」を望む傾向が強いことがうかがえました。

また、65歳以上の働き方に対する考えは、「今の会社で働きたい」「正社員として働きたい」がそれぞれ全体の7割近くを占めるという結果になりました。

さらに、人事担当者を対象とする調査では、現時点で約4割が「65歳以上のシニア就業確保」に対応済みであり、「予定・検討」も含めると8割弱にのぼることもわかりました。しかし、
体力・能力・モチベーション・健康面などについて、加齢による変化に配慮した上で配属や業務配分を考えることが必要となる一方、同一労働賃金制における既存社員との待遇格差の解消や評価基準の難しさ、若年層雇用との兼ね合いなども課題になっています。受け入れ態勢や制度環境の整備はもちろんのこと、将来的な組織づくりの面でもまだまだ課題は多いといえそうです。

とはいえ、国の政策としても「65歳超のシニア雇用推進」は掲げられており、今後は努力義務ではなく、義務化されていくことも想定されます。また、少子高齢化が進む社会環境の中では、人材確保の手法の一つにもなるでしょう。企業にとっては、今後どのような業務でシニア層を活用し、どのような受け入れ体制をつくるかが大きなテーマとなりそうです。

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