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企業における管理職の男女比率「男性8割以上」が半数以上。女性活躍推進の課題と、社員の不満とは?

2022年11月28日

2022年7月、女性活躍推進法の改正により、大規模企業には「男女の賃金の差異」の情報公表が義務付けられました。 男女の雇用における均等化がますます推進されていく流れとなっています。 そこでマンパワーグループでは、企業の人事担当者と一般社員、それぞれ男女400名を対象に、「女性活躍推進や男女の雇用均等化における実態」を調査しました。女性管理職数の現状や企業の取り組み、人事担当者が実感する課題、現場社員が感じている男女の不公平感など、リアルな声も紹介します。
調査時期
2022年8月
有効回答
20~59歳の現在、採用に関わっている人事担当者 400人/20~59歳の正社員(一般職) 400人

目次

企業における管理職の男女比率、「男性9:女性1」が4分の1を占める

人事担当者に聞きました。あなたの会社では、管理職の男女比率はどれくらいですか。

企業の人事担当者を務める20代~50代の男女400名に、「勤務先の企業における管理職の男女比率」を聞いたところ、「男性9:女性1」(25.0%)との回答が最も多く、全体の4分の1を占めました。以降、「男性8:女性2」(20.3%)、「男性7:女性3」(18.8%)が続き、「男性10:女性0」(9.3%)も1割程度の回答となっています。
女性活躍が推進される現在も、依然として男性の管理職者が多い現状がうかがえます。

過半数の人事担当者が、ここ数年で女性管理職が「増えた」と回答

人事担当者に聞きました。ここ2~3年で、あなたの会社の女性管理職は増えましたか

勤務先に女性管理職がいる人事担当者に、ここ2〜3年で、勤務先の女性管理職は増えたか聞いたところ、「変わらない」(44.4%)の回答率が最も高い結果になりましたが、「増えた」(15.2%)、「少し増えた」(37.2%)を合わせると過半数となり、企業において女性の管理職者が増えている実態が浮かび上がりました。

企業の取り組み、「育児・介護休業法の周知」「男女均等な待遇」「公正な人事評価の徹底」が4割超

人事担当者に聞きました。あなたの会社で行っている、男女の雇用における均等化の推進や仕事と家庭の両立支援に関する取り組みを教えてください。

人事担当者400名に勤務先で行っている「男女の雇用における均等化の推進」「仕事と家庭の両立支援」に関する取り組みについて聞いたところ、「育児・介護休業法の周知」(46.3%)、「男女均等な待遇」(44.5%)、「公正な人事評価の徹底」(42.5%)がトップ3となりました。いずれも4割超という高い割合を示しています。

また、「性別に関わらず能力を発揮できる機会の確保」(39.3%)、「勤務時間を柔軟にできる」(34.5%)、「男女雇用機会均等法の周知」(31.0%)もそれぞれ3割台と、女性活躍推進に積極的に取り組んでいる様子がうかがえます。

人事担当者が実感する課題は?

半数近くの企業が女性活躍推進に関わる取り組みを進めている状況がある中、人事担当者が実感している課題とは何なのでしょうか。

実際の声としては、周囲や企業全体における理解を深めることについての課題が少なくありませんでした。その背景には、産育休の取得などで欠員が出た際に周囲の社員にしわ寄せがいくため、不平不満が出ないよう、女性だけではなく、男性にも育休など公平に制度を活用してもらうなどの企業の対応が求められています。

人事担当者が女性活躍推進に関わる取り組みで実感している課題

・そもそも女性自体に出世意識が少ない人が多い(女性・46歳/東京都)

・周囲の理解と超過労働時間にならないための対策が必要(男性・52歳/神奈川県)

・育休から復帰してきた社員のキャリアアップが難しい(女性・32歳/東京都)

・緊急対応時などの突発的な要員が不足する(男性・39歳/兵庫県)

・仕事と家庭を両立するのは困難であり、対策が立てづらい(女性・43歳/大阪府)

・それぞれの社員の家庭事情が違うため、取り扱いが難しい(男性・51歳/兵庫県)

一般社員の約6割が「管理職になりたくない」と回答

一般社員に聞きました。あなたは管理職になりたいと思いますか

それでは、一般社員は実際に管理職になりたいと思っているのでしょうか。

20〜59歳の一般社員の男女400人に実施した調査では、約6割が「なりたくない」(59.8%)と回答しています。「どちらかといえばなりたくない」(26.5%)を合わせると8割超となりました。男女別に見ると、女性のほうが「なりたくない」(66.0%)と回答した人の割合が高いものの、「どちらかといえばなりたくない」を含めた管理職への昇格に消極的な人の割合には大きな差はありませんでした。

一般社員が管理職になりたくない理由のトップは「管理職業務に魅力を感じない」

一般社員に聞きました。管理職になりたくないと思う理由を教えてください。

「管理職になりたくない」と回答した一般社員にその理由を調査したところ、「管理職業務に魅力を感じない」(47.8%)との回答が最も多く、全体の約5割を占めていました。以降は、「管理職の待遇に魅力がない」(37.1%)、「人間関係が面倒くさそう」(35.1%)が続き、いずれも3割超の回答率となっています。

また、「労働時間・労働環境がよくない」(24.1%)、「管理職になってもその先の目標が見えない」(21.7%)といった理由も2割超となっていることから、働きやすさや今後のキャリアなどの面に疑問を感じている様子もうかがえました。

一般社員が実感する男女の不公平は「給料」「待遇」「業務内容」「キャリア」

一般社員が勤務先における男女の不平等について実感していることとしては、男女間の賃金差、手当の違いなど、給料・待遇について言及する声が多くありました。

また、女性側に多かった声としては、業務内容やキャリアにおける不公平さを感じていることがうかがえます。その一方では、女性を優先、優遇しているという声もあり、企業によっても対応の差が出ているようです。

男女の不平等を感じるエピソード

・女性は賃金が安い(男性・51歳/兵庫県)

・女性は出世しづらい(女性・59歳/埼玉県)

・人事評定が不明確(女性・59歳/静岡県)

・書類整理やお茶出しなど女性にやらせる習慣がまだある(女性・33歳/岐阜県)

・平等をうたいたいために、女性に甘くなる傾向に思える。対等の制度なら問題ない(男性・48歳/東京都)

・男性の育休が取りづらい(女性・30歳/埼玉県)

女性にも男性にも公平に、現場に即した制度・環境を整備することが課題

今回の調査では、企業における管理職の男女比率は「男性9:女性1」が全体の4分の1を占めていることがわかりました。しかし、過半数の人事担当者がここ数年で女性管理職が「増えた」と回答しており、「男女の雇用における均等化の推進」「仕事と家庭の両立支援」に関する取り組みについても、半数近い企業が「育児・介護休業法の周知」「男女均等な待遇」「公正な人事評価の徹底」などに取り組んでいることがわかりました。

女性活躍推進がなかなか進まない背景としては、「女性が役職に就きたがらない」「周囲の理解不足」「男性側にも公平な仕組みづくりをすることが必要」などのさまざまな課題があることが見えてきました。実際、一般社員に実施した調査では、約6割が「管理職になりたくない」と回答しています。理由としては、「管理職業務に魅力を感じない」が最も多く、全体の約5割を占めています。

一般社員の声では、男女の雇用における平等について「給料」「待遇」「業務内容」「キャリア」の面で不公平を感じているケースが多く見られました。しかし、女性側が不公平感を味わっているだけでなく、男性側においても「女性活躍推進の流れによって不公平な人事が行われている」「育休取得が難しい」など不公平な面があるとする声が挙がっていました。企業によって、多様な状況があるといえそうです。

今後、国はさらに女性活躍を推進し、男女の雇用における均等化を目指す方針を掲げています。しかし、それに従い、女性管理職をただ増やしたり、現場に即さない制度・環境づくりを進めたりするのみでは、男女どちらにも不公平な制度・環境となってしまう可能性もあります。企業が制度・環境を整備する際には、社員の声を聞き、現場の状況を理解した上で、どのようにしていくのかをしっかりと検討することが必要となるでしょう。

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