withコロナ・VUCAの時代に生き残るための5つの力

2020年9月14日

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予測困難なVUCA時代に強い人材とは 

新型コロナウイルスの出現により、社会は急激かつ大きく変化しています。
予想はされていましたが、経済への影響が数字となって現れてきました。

✔ 8月17日に内閣府が発表した実質GDPは前期比▲7.8%(年率換算27.8%)。
  1980年以降で最大のマイナス幅

✔ 8月14日に東京商工リサーチが発表した上場企業の「早期・希望退職実施状況」は52社。
  2019年の35社を既に上回る(2018年12社の4倍)。

経済への影響範囲は日本だけでなく全世界に及んでいます。世界経済は持ち直しの兆しを見せつつありましたが、感染の再拡大などにより未だ予断を許さない状況であり、世界各国での影響がまた日本経済にも波及することが想像できます。

また、コロナ渦だけでなく、大規模な自然災害の発生や世界各国の政情不安、IT技術の急速な進化など、この予測不可能な状況は「VUCA(ブーカ)時代」とも呼ばれています。
「VUCA」とは、Volatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity
(曖昧性)といった時代を象徴する単語の4つの頭文字をとって作られました。

本記事では、不透明で不確実な時代に生き残り、成長できる組織集団に必要な5つの力について、人材ビジネスの最前線で、数多くのキャリア開発・人材の再活性化に携わってきたシニアコンサルタントが紹介します。

生き残る(サバイブ)ための5つの力

急激な変化の時代に、組織と個人双方には【成長戦略】だけでなく、変化に対応して生き抜く【生存戦略】が求められます。

組織が個人の変容を促し、個人の変容が組織を強くするという考え方から、ここで紹介する5つの力は、組織と個人の双方に求められるものです。

1.変身資産(変わり続ける力)
2.Learnability(学び続ける力)
3.Social Capital(社会関係資本)
4.Social Influence(社会的影響力)
5.心理的安全性(自由にチャレンジや発信できる風土)

1.変身資産(変わり続ける力)
メディアのインタビュー等で「早くコロナ前の状態に戻って欲しい」というコメントを見ることがあります。シビアですが、「世界や環境は変化し続け、元には戻らない」という前提で組織も個人も戦略を立てる必要があります。

人間は変化を嫌う性質(コストやエネルギーがかかる、失敗した場合に生存リスクがある等)があり、その傾向は「成功体験や同じ業務を積み重ねてきた」部門やベテラン社員ほど顕著になりがちです。

その一方で、社会も人も変化を徐々に受け入れます。コロナ渦のように半強制的に日常が変わり、
行動の変更を余儀なくされたとしても、長く続けば習慣となり、その習慣から新たなニーズが生まれます。従来どおりのサービスを継続するかどうか、敏感な判断が求められる状況です。

【素早く変化できること】【変化を楽しめること】は、今後大きな強みとなります。
その為には、「社員に新しいチャレンジや職務に触れる機会を与える」、「定期的に揺らぎを起こす」、「社外との接点を増やす」等、日頃から変化に慣れさせることが重要です。

2.Learnability(学び続ける力)
VUCA時代において、「正解待ち」をしていると何も行動がとれなくなってしまいます。
正解も前例も無い中で成果や価値を提供するには、「自分の頭で未来を想像し、価値を創造する」ことがポイントとなります。

未来をより具体的に想像、予測するには、「情報・知識」を常にアップデートしておく必要があります。
社会の変化のスピードも、IT技術の進化によりさらに激しくなってくるでしょう。
今までの経験・知識がすぐに陳腐化し、通用しなくなることも十分あり得ます。
しかも、会社から与えられた学習だけをしている姿勢では、アップデートが追いつかない可能性もあります。個人が【自発的に学び続ける】意欲と戦略性が重要になります。

組織としては、「各自が自発的に学ぶことを奨励する仕組み」、「学びをアウトプットする場を作る」、「興味がある仕事にチャレンジさせる」「時代に即さない経験や知識を敢えて捨てる(アンラーニング)」など、学習意欲を醸成するような支援と危機感の醸成が有効です。

3.Social Capital(社会関係資本)
リモートワークやオンライン商談・会議が増えると、名刺や肩書の意味が相対的に低くなります。
オンライン会議で発言しない(出来ない)人は、どんなに肩書があったとしても存在感を示せません。

膝詰めや会食を通じた関係構築も難しいなか、「オンラインやSNSを活用した人間関係構築」「肩書ではなく一人の人間としての価値提供と信頼感」が重要になります。

ITリテラシーを高め様々なツールを使いながら交流を広げ、「直接会ったことはないが、何かあれば相談できる」「お互いの人柄や保有価値を知っている」関係性を社員各自が持っていると、組織の変化対応力やビジネスチャンスは格段に高まります。
経営陣や管理職が率先して、新しいコミュニケーションスタイルで【肩書ではない人間関係】を広げていくチャレンジをしてみてください。

4.Social Influence(社会的影響力)
オンラインやSNS等を通じたコミュニケーションや経済活動が一般化すると、場所も時間も選ばずアクセス出来るため、今まで以上に「魅力がある人・サービス」に一極集中し易くなります。

人が集まる魅力を高めるには、商品・サービスの機能性や金額という「調べれば分かる」情報より、その人が信じる意味・価値・物語・思想・世界観等「その人でないと語れない」言葉が重要です。

「自社の商品・サービスに込められた意味や物語を、自分の言葉で本気で発信できる人材」が影響力を増していきます。

その為には、「自分の仕事・会社・商品への内発的動機づけ(エンゲージメント)」と、「今後の社会や顧客が必要とするニーズ(アダプタビリティ)」を考察する【思考の深さ】が重要になります。

この社会的影響力は、前述の1~3で紹介した力を発揮した結果とも言えるかもしれません。
【自ら学び、変化を選択したことで様々なことを経験し、その過程で新たなコミュニティと出会い、知識が増え思考が深化し、結果として影響力が現れる】といったようにそれぞれに深い関連があります。

5.心理的安全性
これまでご紹介してきた「変わり続ける力」「学び続ける力」「肩書ではない人間関係」「自分の言葉で発信」を社員各自が発揮するには、「トライ&エラーが推奨される」「自由な発言が許容される」といった心理的安全性が前提となります。

失敗や自由な発言が許されない風土(公式の制度だけでなく、暗黙の雰囲気も含め)の場合、変化への対応や自発的な学習・発信が極めて難しくなります。

心理的安全性が高い組織を作るには、経営者や人事の【覚悟と寛容さ】が重要です。
一朝一夕で組織風土は変わらないので、会議や面談など、あらゆる場面で「心理的に安全な場である」旨を繰り返し伝えていくことが有効です。

ただし、心理的安全性は「なんでも好き勝手できる」ということではありません。
「顧客価値や成果創出にフォーカスしたうえで、自由な発言や失敗が許される」という前提を持たないと、組織は方向性を見失います。

小さなスタートをすぐにでも

これら5つの力について「言うは易し、行うは難し」と感じたかたもいらっしゃったのではないでしょうか。

難しく考えてしまうと、動けなくなってしまうかもしれませんが、この5つの力は小さなスタートが切れる力でもあります。以下に、手始めに取り掛かりやすい事柄をいくつか列挙します。


1.変身資産(変わり続ける力)
コロナ渦により従来どおり進まない物事を俯瞰し、新たな道がないか模索してみる
在宅で働いてみることやオンラインツールを導入することも変化です。
新しい営業スタイルや従来の社内フローの刷新などもアイディアベースで考えて実行してみる。

2.Learnability(学び続ける力)
現在は、オンラインセミナーなどが充実してきました。自身の業務に関わる領域だけでなく、少し業務とは離れているが知ってみたいと思う領域のセミナーに参加してみる、本を読んでみるのも学びです。
脳科学の観点でも「好きなこと」「自分で選んだこと」の方が学習効果が高まり、長期記憶しやすくなります。

3.Social Capital(社会関係資本)
IT機器が苦手だと感じている方は、苦手意識を一旦横に置き、SNSの利用などから開始してみてはいかがでしょうか。
オンラインでの人間関係の広がりは、これまで以上にビジネスとの関連が強くなっています。業務に関することをSNSで発言している人を見つけてみるのもひとつですし、取引先や協力会社のSNSをチェックしてコミュニケーションを取るなども第一歩として実施しやすいと思います。

4.Social Influence(社会的影響力)
社会的影響力という言葉を聞くと、大きなことに思えるかもしれませんが、ここで重要なのは、自身の考えを持っているということです。そして、その考えがどのくらい研ぎ澄まされたものなのか、というのが鮮明になりやすい時代です。「自分の言葉で話す」というのは、深く考えたからこそできるものです。スタートとして、自社製品・サービスを会社パンフレットに書いてあるような、耳障りいいけど記憶に残らない説明をするのではなく、自身の考えや経験と交えて話せるようにしてみてはいかがでしょうか。

5.心理的安全性(自由にチャレンジや発信できる風土)
最初にできることは、「傾聴」です。まずは、部下や後輩の意見を最後まで聞いてみることから始めてみましょう。心理的安全性は、社風にも近いところがあり、一朝一夕でできるものではありません。積み重ねではありますが、上記の1~4の土台となる部分です。ぜひ取り組んでいってほしいと思います。

個人を活かせる柔軟で強い組織を

以前にも、日本経済は高度成長期~バブル経済~平成不況~リーマンショック(世界的金融危機)など、大きな状況の変化が訪れてきました。

その中でも成長しつづけた企業は、時代に合った戦略を選択し、戦略に合った必要な人材を獲得、教育してきています。

社会の目まぐるしい変化には、組織や上司だけが指揮命令で対応しようとしても生き残れません。社員個人の才能や情熱を解き放つ土壌をつくり、柔軟で強い組織を作っていく姿勢が企業には求められています。

執筆者プロフィール

nanba

 難波 猛

 マンパワーグループ株式会社ライトマネジメント事業本部
 シニアコンサルタント


株式会社PHP研究所、株式会社太陽企画を経て、2007年に株式会社ライトマネジメントジャパン(現マンパワーグループ株式会社)入社。提案営業、研修講師、人事コンサルタント、タレントマネジメント事業部部長として、日系、外資系企業を問わず2000名以上のキャリア開発施策、人員施策プロフェクトにおけるコンサルティング、管理者トレーニング・キャリア研修等を100社以上担当。セミナー講師、官公庁事業におけるプロジェクト責任者も歴任。


<著書>
『「働かないおじさん」は、なぜ「働けない」のか?』(2019.8)
『「リストラされにくい人」になる5つのポイント』(2020.6)
Amazon著書リスト: https://www.amazon.co.jp/~/e/B087D5PFQY

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