調査データ
2019年11月27日
離職の主な要因として、ワークライフバランスなどの環境面や、職場の人間関係などが考えられますが、人材の教育・育成という面から見ると、上司との関係性も重要といえるでしょう。
そこでマンパワーグループでは、入社2年目までの22~27歳の正社員男女400名に向けて、「上司との信頼関係」について調査を実施しました。
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関連調査データ
若手社員に向けて、上司を信頼しているか聞いたところ、「信頼している」(36.0%)、「どちらかといえば、信頼している」(47.3%)との回答が8割を超えました。
一方、「上司を全く信頼できない」(6.8%)と考えている若手社員は、1割にも満たず少数派であることがわかりました。
上司を信頼している理由は、「部下の話を真剣に聞く」(29.4%)が最も多い結果となりました。
具体的には、「困っていると知ると、まずは何も言わずすべての話を聞いてくれる」(女性/25歳)、「予期せぬ出来事に対しても、すぐに適切な指示をくれる」(男性/23歳)などのコメントが多く、部下の話をしっかり受け止め、的確な状況判断やアドバイスをしてくれる姿が信頼につながっているようです。
2位以降は、「頭の回転が速い」(21.6%)、「良いところをほめてくれる」(21.3%)、「悪いところはきちんと指摘してくれる」(19.8%)という回答が2割前後を占めて続きます。ほめるだけでなく、問題点も指摘する上司を信頼する傾向にあるようです。
ほめられることで若手社員のやる気がアップするケースは多く、「些細なことでもほめてもらえる。モチベーションが上がる」(女性/23歳)、「できるようになったことを見つけたらほめてくれるので、モチベーションを保てる」(女性/22歳)、などの声が多くありました。
一方、悪い点を指摘する際にも、「問題点はすぐに指摘して、どういう結果が起こるか考える機会を与えてくれる」(男性/25歳)、「正したほうが良いところを、頭ごなしに否定せずに考え方を教えてくれる」(女性/23歳)など、本人の成長につながる指導をしているようです。
信頼できない上司については、「高圧的な言動」(38.8%)、「人によって対応が変わる」(35.8%)といった"人間性"に関わる理由がトップ2となりました。
「指示の出し方など、高圧的な感じがすることが多い」(女性/25歳)、「役職が上の人にはヘコヘコして、明らかに態度が異なる」(男性/23歳)、「仕事ができる人だけをかわいがる」(女性/23歳)など、日頃の接し方に不信感を抱いているケースが多くありました。
「仕事の指示がわかりにくい」(28.4%)、「相談しても助言をくれない」(28.4%)といった"仕事"に関する理由は、3位以降に続きます。
「こちらの話を最後まで聞いてから話をしてほしい」(男性/23歳)など、一方的に指示を与えているケースもあれば、「わからないことを聞くと、それくらい自分で考えろと怒る。自分で考えてやると、わからないことは聞けと言われる」(女性/25歳)というケースも。
また、「アイデアを思いついて発言しても、『そんなことは不可能だ』と言われ、意見を取り入れてもらえない」(女性/24歳)など、仕事のモチベーションを下げる上司もいるようです。
内閣府が発表した「2018年版 子供・若者白書」によれば、初職の離職理由のトップは「仕事が自分に合わなかった」で、全体の半数近くを占めており、さらに第2位は「人間関係が良くなかった」で、全体の4分の1近くの回答となっていました。
この調査によれば、若者世代にとっては、「労働時間、休日、休暇の条件」「賃金」「ノルマや責任の重さ」などの項目より、実は仕事内容や職場の人間関係のほうが離職における要因となっていることがわかっています。
働き方改革による法改正も相まって、人事担当者はワークライフバランス環境の整備に目が行きがちですが、仕事内容の指示を与えるのは上司であり、職場の雰囲気や人間関係においても、上司の存在は大きく影響するものです。
今後、若者世代の採用率や定着率をアップさせていくためには、上司世代のマネジメント教育を見つめ直し、上司・部下がより良い関係を築ける職場をつくっていくことも大事といえるでしょう。
参考:内閣府|2018年版 子供・若者白書 特集 就労等に関する若者の意識 「初職の転職理由」