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管理職の産休・育休はどうする? 期間限定の休職であっても対策が必要な理由

掲載日2024年4月30日

最終更新日2024年5月 7日

管理職の産休・育休はどうする? 期間限定の休職であっても対策が必要な理由

目次

2022年に施行された「改正女性活躍推進法」により、女性の組織内での活躍が一層期待される時代となりました。しかし、女性管理職の比率が大幅に増加していない現状に、多くの組織が問題意識を抱いているのも事実です。

ここでは、女性管理職が増えない要因の1つとして挙げられる、産休・育休の取得の難しさと解決策に焦点を当てて解説します。

管理職の産休・育休の状況

まず、産休・育休とは何かを確認しておきましょう。

産休

女性労働者に対して、産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)産後8週間の休業が労働基準法で定められています。

育休
男女労働者に対して子が1歳に達するまで(保育所に入れない場合などは1歳6カ月まで延長可、再延長で最長2歳まで)の休業を取得できます。母親は産後休業が終わった翌日から、父親は出産予定日から取得できるもので、育児・休業法で定められているものです。

厚生労働省「雇用均等基本調査」 外部リンク(P.3)によると、2021年の育児休業取得率は女性が85.1%で横ばいが続いています。一方で男性は13.97%と低めではあるものの、取得率は上昇傾向です。

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女性管理職の割合は伸び悩み

2022年厚生労働省「雇用均等基本調査」 外部リンク によると、女性の課長相当職以上の比率は若干増えて12.7%です。

女性管理職が増えない理由はさまざまですが、マンパワーグループが2022年に実施した調査によると、女性活躍推進にあたり、次のような課題を人事担当者は感じているようです。

  • 周囲の理解と超過労働時間にならないための対策が必要
  • 育休から復帰してきた社員のキャリアアップが難しい
  • 緊急対応時などの突発的な要員が不足する
  • 仕事と家庭を両立するのは困難であり、対策が立てづらい
  • それぞれの社員の家庭事情が違うため、取り扱いが難しい

女性管理職が産休・育休を取るということは未だ少ないケースで、従業員も組織も手探りであることが伺えます。

関連記事: 女性管理職を増やすメリットとは?増えない原因と対策を解説

管理職が産休・育休を取りにくい理由

管理職が産休・育休を取りにくい理由

仕事と家庭生活との両立のため、産休・育休の取得は推進されるべきものですが、「産休・育休が取りにくい。男性管理職は休業などしていない」といった声も聞かれます。

管理職が産休・育休を取りにくい理由について考察します。

キャリアが途絶える不安

女性管理職が抱える不安の一つは、キャリアの中断です。管理職に就いている女性はキャリアアップや昇進意欲が高い層といえますが、産休・育休からの復帰後には、緊急の対応が必要な業務や交渉などの業務から外される傾向にあります。

その結果として、能力やスキルの向上から遠ざかり、キャリアアップの機会を失うという状況になりやすいのです。また、出産前に携わっていた業務ではない業務に配置転換などが行われることで、昇進スピードが遅くなる傾向もあります。


なお、妊娠や育児などを理由にした不当な配置転換や降格は、マタハラ(マタニティハラスメント)にあたります。復職後の就労条件の変更については、本人との対話を通じた意思確認が必要です。

周囲への負担を懸念

管理職という立場で長期的に休むということは、自分が担当している重要な業務をほかの人に引き継ぐことになります。多くの場合、引き継いだ人は通常業務と兼任となるため業務の負担が増えることになります。

また、休業中には部下への適切なサポートができなくなることから、自分が休みを取ることによって周囲に迷惑をかけてしまうという罪悪感や、不在時の業務に関する心配など、休むことに対してストレスが生じてしまいます。

関連記事: 時短勤務制度で生じる社員の不公平感│不満の原因と解消方法を解説

子を持っても続けられるかという不安

子どもが幼い時期は、急な病気など世話が必要になることが多く、育児に多くの時間を費やすことになります。予測不能な出来事も増え、時間も自分の思うように使えなくなります。

出産前ですら手一杯であった業務を、出産後も同じように続けていけるのかという不安が生じるのも無理はありません。

たとえ、本人がぎりぎり頑張って、なんとか折り合いをつけて業務をこなしていても、心身ともに疲労が重なるというケースも多く見受けられます。

結果、仕事と育児のバランスをとるのではなく、どちらかを二者択一で選ばなければならないと感じてしまいやすくなります

管理職も産休・育休を取りやすい環境を整備することが急務

産休・育休取得に対する不安が漫然と蔓延る状況は、「管理職になりたいけど、この環境では無理」あるいは「そもそも管理職になろうと思わない」と管理職を目指す女性が増えない元凶になります。

また、管理職のコースで頑張っていたとしても、復帰後に昇進から遠ざかるコースになってしまう、いわゆる「マミートラック」も懸念事項のひとつです。組織として育児の大変さに配慮したつもりが、当事者にショックを与えることもあります。

採用難が続くなか、従業員から選び続けてもらう、優秀な人材から入社に関心を持ってもらうには、ライフイベントに変動があっても働き続けられる会社であることがキーポイントになってきます。

管理職の働き方を見直す

マンパワーグループが2022年に実施した「女性活躍推進や男女の雇用均等化における実態」では、一般社員で管理職になりたくないと答えた人は男性が56.4%、女性が66.0%でした。

あなたは管理職になりたいと思いますか?

調査データ:企業における管理職の男女比率「男性8割以上」が半数以上。女性活躍推進の課題と、社員の不満とは?


その理由には「管理職業務に魅力を感じない」「労働時間・労働環境がよくない」といったものが挙げられています。管理職に対して良い印象がない上に、産休・育休が取得しにくいとなった場合、若年層の管理職離れや意欲のある人材の離職に繋がりかねません

改正女性活躍推進法では、労働者301人以上の事業主に対して、下記の2つの区分に設定された項目を選択し、数値目標を定めた行動計画の策定や情報公表を義務付けています。


①女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供
②職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備

産休・育休の取得が困難であるために、女性管理職が増えないという状況が起きた場合、企業に対する社会の評価にマイナスの影響を与える可能性があります。

また、現代の社会環境において、産休・育休だけではなく、介護など様々な理由で休業が必要となる人は増えていくでしょう。管理職であるがゆえに、休業制度が利用しにくいという組織の状態では、管理職の離職にも繋がります

管理職が休業している間、計画的かつ適切に代替できる人材の確保や、周囲のメンバーのサポートが行えるノウハウや施策があれば、管理職を含む社員のライフイベントと組織運営のバランスを柔軟にとっていく持続可能な組織運営となるでしょう。

プロフェッショナル派遣を管理職代替に活用する

人材派遣サービスは、オペレーション的な業務だけでなく、管理職経験者や専門家の派遣も可能です。

マンパワーグループでは、経験豊富なミドルシニア層に限定したプロフェッショナル派遣サービスを提供しています。ご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。

プロフェッショナル派遣について詳しく見る >>

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社員の定着率にも影響

職位に限らず、産休・育休を取得しやすい環境をつくることで、社員の定着率が高くなります。2021年国立社会保障・人口問題研究所「第16回出生動向基本調査(夫婦調査)」によれば、約7割の女性が第1子出産後も就業継続していることが示されています。

特に正社員は、育児休業による継続就業が増えています。また、次世代を担う大学生の意識調査では、育児休業を取得して共働きをしたいと考える人が多いことも、いくつかの調査で明らかにされています。両立支援制度や施策の充実は、社員の満足度につながり、エンゲージメントが高まりやすくなります。

共働きが当たり前になってきた今、産休・育休の取りやすさは優秀な人材の確保や社員の定着率に影響します。また、「産休・育休の取りやすさ」は企業の強みとなりましたが、これからはそれが当たり前となり、「産休・育休が取れない」が大きな弱点になる可能性もあります。

優秀な人材が集まらない、管理職になる人がいない、優秀な管理職を育てたくても育てる人材がいないといった問題を生じさせないためにも、産休・育休が取りやすい職場環境にしていくことが肝心です。

チーム・組織のパフォーマンスが落ちる

管理職が産休・有給を取得する際、企業側で特に対策を取らなかった場合、その影響で業務が滞り、チーム全体の統率にも問題が生じることもあり得ます。

また、管理職に限らず、誰かが休業することで、休業していない人にしわ寄せが行き、生じた負荷を被ることになってしまうと、チームの調和やパフォーマンスに負の影響を与えます。

産休・育休の取得率上昇に向けた取り組みを通して、休業を上手にカバーする仕組みを構築することができれば、介護休暇や病休など、さまざまな場面で応用が可能です。

管理職が産休・育休を取得しやすくするための対策

管理職が産休・育休を取得しやすくするための対策

ここまで述べたように、管理職が産休・育休を取りやすい環境を整えなければ、女性管理職の増加や優秀な管理職の育成は実現しません。

なお、経営者と一体的な立場にある「労働基準法上の管理監督者」は、法定労働時間の制限を受けませんが、産前産後休業の規定はこの制限に含まれないため、管理監督者にも産休・育休の取得権利があります

一方で、「労働基準法上の管理監督者」は、労働時間の自由裁量が認められているため、時短勤務については適用外となります。ただし、厚生労働省は管理監督者に対しても時短勤務に準ずる制度を導入することは可能で、むしろ望ましいとしています。「講じなくて構わないなら講じない」とするのではなく、本人の意向も確認し、業務や時間の配分など何らかのサポートの有無を考慮するのがよいでしょう。

また、産休・育休を取得する管理職向けの制度だけでは不十分であり、チームメンバーへの配慮も欠かせません。この2つの課題は同時に考えるべきことです。

ここでは3つの対策をご紹介します。

時短勤務や在宅勤務を会社が積極的に推進する

育児や介護などのライフイベントに対応した働き方を推進するには、トップリーダーシップが極めて重要です。トップが積極的に産休・育休取得や時短勤務などの制度の利用を推奨し発信することで、会社に「休暇や時短が取りやすい文化」が浸透していきます。

ライフイベントは、その種類やタイミングなど人によってさまざまであり、育児や介護を含む多様なニーズに対応する「お互い様」の文化の醸成が必要不可欠だといえるでしょう。

時短勤務

時短勤務については、誰もが利用しやすいように、条件の整備や明示が求められます。時短勤務を行う管理職をロールモデルとして前面に出し、その成功事例を組織内外に発信することも効果的です。

在宅勤務

在宅勤務制度の導入は、通勤時間の削減や家庭の状況に合わせた働き方が実現できます。コロナ禍を経て、場所や利用できる日数に上限を設けない柔軟な制度を提供する企業が増えています。「管理職は出勤するもの」という概念を変えていくことも重要です。

たとえば社員全員が在宅勤務を経験する機会を設けている企業もあり、役職や職種に関わらず、全従業員に在宅勤務が実現可能であることやメリットを実感してもらい、制度の浸透を図っています。

トップが旗振り役を担う理由は、制度だけあって形骸化してしまうのを防ぐためです。制度だけあっても利用できないのであれば、従業員は「会社は本当に女性管理職を増やしたいとは思っていない」「会社が望むような働き方ができなければ、あっさり戦力外とされる」と受け取ります。

企業は従業員にエンゲージメントを求めますが、エンゲージメントが高まるような施策を従業員に対して実施しているでしょうか?「制度がある」だけでは、従業員には伝わりません。

関連記事:時短勤務とは?人材流出防止と人材確保につながる制度

管理職本人の本音を汲み取る面談を

女性管理職は、様々な悩みを抱えています。女性管理職がマイノリティであるため、相談する相手やロールモデルも少ないのです。出産を機に優秀な人材が離職するということは避けるためにも、上司や先輩の女性管理職と対話する時間をつくることも重要です。

例えば、産休・育休を取得する際の不安や悩みを聞いて解決に向けて組織として取り組む、また、復帰後にどのように働きたいのかを擦り合わせるなどです。

出産後に出世コースから縁遠いコースになるなど、本人が望んでいないのであれば、思い込みで配置転換しないようにするほか、出産を機に、降格などマタニティハラスメントが起きないように組織全体が理解しておく必要があります。

関連記事:1on1ミーティングとは│注意点と効果を高める3つのポイント

管理職が休暇中のカバー施策をしっかりたてる

休みが取れる組織風土をしっかり根付かせるためには、管理職の休業している間、業務が滞ったり、兼務する人やチームメンバーの負担が増えたりしてしまわないような配慮が必要です。

現場に任せてしまうのではなく、組織としてストレスの要因を取り除いていく必要があります。

例えば、不在の人の業務を誰かが兼任するのではなく、カバーする人のサポートとして人材派遣を利用する、またはパート社員を雇うなど不在期間中の人員補充をしましょう。

カバー施策は、不在を任されたメンバーのためだけではありません。ちゃんとカバーが入ることで、休職する管理職本人も安心することができます。また、人員不足による業績への影響やチームの雰囲気が悪くなることを防ぐため、産休・育休から安心して戻ってこられます。

アシスタントからプロフェッショナル人材の派遣まで

マンパワーグループでは、アシスタント業務などをおこなう人材の派遣だけではなく、管理職の代行業務も対応可能なプロフェッショナル人材を派遣するサービスを提供しています。産休・育休のカバーだけではなく、介護休暇や急な退職の臨時的なカバー策としても活用いただいています。ご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。

プロフェッショナル派遣について問い合わせる >>

プロフェッショナル人材派遣のパンフレットもご用意しています。

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まとめ

女性管理職の比率増への対応は経済成長の面でも必然です。
そのためには、阻害要因である産休・育休の取りにくさを解消し、働きやすい環境を整えることが大切です。

ダイバーシティの重要性が高まる現代、労働環境の見直しと改善は、管理職候補となる人材の確保・定着だけでなく、組織全体の活性化にもつながります。これを機に、社員が産休・育休を取得しやすい環境を整えましょう。

著者プロフィール

マンパワーグループ株式会社

マンパワーグループ株式会社

世界70カ国・地域にオフィスを持ち、ワールドワイドに展開している人材サービスのグローバルカンパニー、ManpowerGroupの100%出資の日本法人。

リクルーティング、評価、研修、人材育成、キャリアマネジメント、アウトソーシング、人材コンサルティングなど、人材に関するあらゆるソリューションを世界的なネットワークで展開する総合人材サービス会社。

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