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時短勤務とは?人材流出防止と人材確保につながる制度

掲載日2021年3月11日

最終更新日2021年9月22日

目次

    優秀な人材が子育てや介護などによりフルタイムで働き続けることが出来ず、離職してしまうといった人材流出は企業にとって大きな問題です。また、ワーク・ライフ・バランスを重視して転職先や就職先の会社を選ぶ人が増えていることから、人材の流出防止と人材の確保の両方に役立つ制度として時短勤務への注目が集まっています。

    今回は時短勤務について、法律ではどのように定められているのか、どのように導入すればいいのか、導入の際に何に注意をすればいいのかなどを解説します。

    時短勤務を法律で義務付ける「短時間勤務制度」とは?

    時短勤務とは、その名のとおり1日の勤務時間を通常より短縮した働き方のことを指し、育児・介護休業法では「短時間勤務制度」として、企業に導入を義務付けています。

    育児・介護休業法で規定する短時間勤務制度では、以下の対象となる労働者に対して、1日の労働時間を原則6時間の時短勤務にすることを定めています。

    <短時間勤務制度対象者>

    • 3歳未満の子どもを育てている
    • 育児休業中ではない
    • 1日の所定労働時間が6時間超である
    • 日雇いではない
    • 労使協定により適用除外(雇用期間が1年未満、週の労働日数が2日以下など)とされていない

    労使協定により適用除外となる人には、フレックスタイム制度や時差通勤制度など別の制度を利用し就業時間を調整できるようにしなければならないことも、法により義務付けられています。

    なお、要介護状態の対象家族がいる労働者に対する短時間勤務制度もあります。そちらについては、日雇いではなく、労使協定により適用除外となる人以外は全員対象となります。

    対象家族とは、配偶者、父母、子、配偶者の父母、同居し、かつ扶養している祖父母、兄弟姉妹、孫です。要介護状態については下記をご参照ください。

    よくあるお問い合わせ(事業主の方へ) |厚生労働省

    時短勤務が誕生した背景

    時短勤務が生まれた背景の一つに、少子高齢化により生じている慢性的な労働力不足があります。また、恒常的な残業など労働環境が整備されておらず、特に女性は仕事と出産・育児、あるいは介護との両立が極めて難しいといった状況もありました。

    時短勤務が認められることにより、育児や介護などの理由でフルタイム勤務が困難になり、退職を余儀なくされてきた優秀な人材が働き続けられる可能性が高まります。業務経験やスキルを身に付けた人材に引き続き自社で活躍してもらえることには、企業にとっても大きな意義があるはずです。

    時短勤務の導入の流れと注意点

    実際に時短勤務を導入するには、次のような順序を踏んでいきます。

    時短勤務の導入の流れ

    1. 時短勤務の導入目的を明確にする

    短時間勤務制度は優秀な人材の流出防止や人材確保につながる、企業にとっても有益な制度です。制度を形骸化させずに社員が上手に活用するためにも、導入の目的を明確化しておくことが大切です。「育児や介護を行う社員の離職防止のため」「ワーク・ライフ・バランスを重視する優秀な人材を採用するため」「育児休業明け社員の無理のない職場復帰への足がかりにするため」など、制度導入の目的を明確にしておきましょう。

    2. 対象、適用期間や労働時間、業務内容を決める

    法で定められた短時間勤務制度のみならず、導入目的に応じて制度を適用する対象、適用期間を定めていきます。労働時間は制度の対象となる社員の希望と、現場の状況を正確に把握し、相談の上で、柔軟に設定するとよいでしょう。新規採用者に短時間勤務を適用する場合、労働時間を考慮しながら業務内容とその業務に対する責任の程度や雇用管理区分(「総合職」や「一般職」など)を設定しましょう。またフルタイムから時短勤務に変更になるときの業務内容は、フルタイム時に担当していた業務と基本的には同一となりますが、時短勤務社員本人の希望やキャリア形成、労働時間などを考慮して業務内容は見直しましょう。

    3. 報酬や評価方法を決める

    報酬については、基本給や各種手当、賞与に関する取扱いの検討が必要です。基本給については所定労働時間から短縮した時間に応じて減額するのが一般的です。各種手当についても、手当の趣旨や支給基準を踏まえて支給額をどうするのかなどを検討します。

    賞与の査定に使用する評価基準については、目標管理制度の場合は目標の「量」は労働時間に合わせて減らし「質」は変えないこと、等級制度の場合はフルタイム社員と同じ基準を用いて評価し賞与を支払うことがポイントになります。

    いずれにせよ時短勤務であることで不利益にならないよう、公正な人事評価を行う必要があります。

    短時間正社員の労働条件(人事評価、賃金、教育訓練)について、検討する | 短時間正社員制度の導入手順 | 短時間正社員制度 導入支援ナビ

    4. 手続きの方法を決める

    社員が短時間勤務制度を利用する際の手続き方法については、企業が独自で決めることになります。特に決まりはないため自由に設定することが可能ですが、厚生労働省では「育児・介護休業法に定める他の制度に関する手続も参考にしながら適切に定めること」を求めています。また、手続きが煩雑だからと社員が制度の利用を躊躇するようなことは避けなければいけません。例えば「残業の免除」や「時間外労働の制限」といった制度の手続きを参考に、「開始日の1カ月前までに短時間勤務申出書を提出する」のように、シンプルで分かりやすい手続きにすることが大切です。

    5. 就業規則に記載する

    短時間勤務制度が整ったら、就業規則に記載して社員に周知する必要があります。しかし、記載されていても社員が目を通さなければ、制度の存在を知ることができません。そのため就業規則に記載するだけでなく、社内報やミーティングなどを利用して、積極的に周知することが大切です。

    6. 適宜改善していく

    短時間勤務制度を運用するなかで問題点がないか、定期的に確認しましょう。勤務時間が短縮しているのに仕事量はそのままで社員の負担になっていないか、勤務時間が短いからと仕事内容の質を著しく落としていないか、評価が不当に低くなっていないかなど、気になることを洗い出し、改善策を検討していきます。

    時短や週数日勤務の派遣スタッフを受け入れることができます

    業務量が1人分に満たない時には、人材派遣の利用も可能です。人材派遣であれば、必要な時間・出勤日・期間で契約を締結できます。下記資料では派遣の依頼の仕方や知っておきたいポイント、よくある質問などもご紹介しています。

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    時短勤務を導入する際の注意点

    導入の流れですでに触れた部分もありますが、短時間勤務制度を導入するに当たって、守らなければいけないルールがあります。ルール違反にならないよう、あらためて理解しておきましょう。

    • 社員への周知と労働基準監督署長への届け出

    短時間勤務制度は導入するだけでなく、就業規則に記載して社員に周知しなければいけません。また、労働基準法により、常時10人以上の従業員がいる企業において就業規則を作成したり変更したりした場合には、所轄の労働基準監督署長への届け出が義務付けられています。短時間勤務制度の導入に伴い就業規則を作成または変更をしたら、忘れず届け出ましょう。

    • 制度利用者や申し出をした社員に対して不当な扱いをしない

    育児・介護休業法では、短時間勤務制度を申請したり利用したりした社員に対して、企業が不利益な取り扱いをすることを禁止しています。不利益な取り扱いとは、例えば解雇すること、正社員にパート社員への変更を強要すること、有期雇用社員の契約更新をしないこと、昇進・昇格において不利益な評価を行うこと、短縮された労働時間を超えて給与を減額するなどです。

    時短勤務の積極活用で人材流出を防ぎ人材確保を目指す

    時短勤務は、フルタイム勤務が困難になった社員が継続して働けるようになるだけではなく、有給休暇を取得せずに通院したり、ワーク・ライフ・バランスの充実につなげたりといった多様なニーズにも対応することが可能です。時短勤務における賞与や昇給などの運用の整備は、既存社員に対しても求職者に対してもアピールポイントとなり、人材流出を防ぐとともに人材確保にもつながることが期待できます。法律で義務付けられているからという視点ではなく、ぜひ前向きに取り入れていってはいかがでしょうか?

    参考:

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    マンパワーグループ株式会社

    世界75カ国・地域に2,200のオフィスを持ち、ワールドワイドに展開している人材サービスのグローバルカンパニー、ManpowerGroupの100%出資の日本法人。 リクルーティング、評価、研修、人材育成、キャリアマネジメント、アウトソーシング、人材コンサルティングなど、人材に関するあらゆるソリューションを世界的なネットワークで展開する総合人材サービス会社。

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