調査データ
2025年3月17日
少子高齢化が進み、人手不足がますます深刻化している今、中途採用の現場では未経験者採用の導入が広がりをみせています。
そこでマンパワーグループでは、企業の人事担当者として中途採用に携わる20代~50代の男女333名を対象に、未経験者採用の状況について調査しました。今回は、未経験者採用をしていない理由や、未経験採用実施にあたっての改善すべき課題などについて紹介します。
マンパワーグループでは、全国採用や広域採用などの大規模採用のサポート実績も豊富な採用代行・採用コンサルティングサービスを提供しています。
企業の中途採用を担当する人事担当者20代~50代の男女333名に、「経験者」「未経験者」の採用状況について聞いたところ、「経験者と未経験者の両方を採用した」(82.0%)の割合が最も高く、8割を超えていました。また、「経験者と未経験者の両方を採用した」と「未経験者のみ採用した」を合わせた“未経験者”を採用した割合は約9割(90.1%)という結果になり、多くの企業が未経験者採用を実施している様子がうかがえます。
「現在は未経験者採用をしていないが、今後、未経験者の採用意向がある」と回答した人事担当者に、「未経験者を採用しなかった理由」を聞いたところ、「定着に不安があった」(24.2%)、「未経験者ができる業務がなかった」(24.2%)が同率でトップとなり、「未経験者の応募がなかった / 合格者がいなかった / 辞退された」(21.2%)が続く結果となりました。
同じく、「現在は未経験者採用をしていないが、今後、未経験者の採用意向がある」と回答した人事担当者に、今後は未経験者を採用したいと思うのはなぜか聞いたところ、「人手不足で経験者の採用が難しいから」(51.5%)という回答が過半数を占めました。「業務分担を見直し、未経験者を配置できるようになった」(24.2%)も2割超の高めの割合で続き、企業側も未経験者の受け入れ体制の構築に積極的に取り組んでいるようです。
今後、未経験者採用を実施するにあたり、取り組みたいことや改善すべき課題について聞いたところ、教育体制の構築が必要とする声が多く見られました。未経験者採用を踏まえた教育システムや育成プログラムが必要だと考えている人もいれば、現場における教育・サポート体制を挙げる人もいました。さらに、未経験者をターゲットとする発信や案内に注力したいと考えている人もいるようです。
一方、課題については、大前提として、未経験者の採用に対する経営層の理解が必要だということのほか、応募者と現場双方の理解が必要だと考えている人もいました。
今回の調査では、中途採用を行う企業の人事担当者のうち、約9割が未経験者採用を実施している一方、未経験者採用の意向はあるものの、実際には採用しなかった企業においては、「定着に不安があった」「未経験者ができる業務がなかった」という2点が大きな要因となっていました。
また、こうした企業が、「今後、未経験者採用を行いたい」と考える大きな要因は、人手不足で、経験者を採用できない状況にあるものの、未経験者の受け入れ体制の構築・整備ができたことで、採用に向かう傾向も見られました。
少子高齢化社会がますます進んでいく中で、今後はさらに人手不足の状況が加速していくでしょう。厚生労働省が発表した「令和6年版 労働経済の分析 -人手不足への対応-」には、「わが国における総人口は、2050年代に1億人を割り込む」「これから30年間の間に人口の約5分の1が失われることを意味している」とされており、近い将来に、これまでにないほどの人手不足の時代に突入することが想定できます。
企業においては、早急に未経験者の採用・育成に取り組むことが必須となることはもちろん、企業の将来を担う次世代の人材として、いかに定着させていくかも大きな課題となるでしょう。