調査データ
2025年4月14日
少子高齢化が進み、人材不足の問題を抱える企業が増えている中、即戦力人材を採用できず、未経験者の採用に乗り出す企業も増えています。
前回調査では、約9割の中途採用担当者が未経験者採用を実施していると回答しており、若年層の転職に対する抵抗感も薄れつつある今、未経験者採用をどのように軌道にのせるかというテーマに多くの企業が向き合っています。
そこでマンパワーグループでは、企業の人事担当者として中途採用に携わる20代~50代の男女300名を対象に、未経験者採用を実施する理由や、採用にあたって重視することについて調査しました。
マンパワーグループでは、全国採用や広域採用などの大規模採用のサポート実績も豊富な採用代行・採用コンサルティングサービスを提供しています。
企業の中途採用を担当する人事担当者に、未経験者の採用を取り入れた理由を聞いたところ、「人員の数の確保を優先した」(43.7%)、「人柄を優先した」(39.3%)が4割前後で上位となりました。3位には「持っているスキルを優先した」(29.7%)が約3割で続き、人手が足りない状況の中、即戦力を求めるよりもまずは人員確保を優先しようと考える企業は多く、未経験者であっても人柄やスキルの面で魅力を感じる人材であれば採用に結びつく様子がうかがえます。
また、「異なる業界・業種の考え方や企業文化に期待した」(24.3%)や「新卒を最初から育てるよりも効率が良かった」(23.0%)も2割を超え、異業界・異業種を経験した視点に新しい可能性を感じたり、未経験者であっても「一定の社会人経験を積んでいるために、ビジネス・マナーなどの教育が不要である」という点にメリットを感じていることもわかりました。
未経験者を採用するにあたり、「未経験であってもよい」と考えた部分については、「職種(営業・販売・経理など)」(53.3%)が最も高く、半数超となりました。
以降、「業界」(46.3%)、「役割(リーダー・管理職など)」(41.0%)、「社会人経験(アルバイト経験のみなど)」(41.0%)がいずれも4割超となり、企業の採用状況や、募集するポジションによって、未経験者の採用基準を変化させているといえそうです。
未経験者採用で重視したことについては、「仕事への意欲」(47.7%)、「人柄」(46.0%)、「コミュニケーション力」(39.0%)が上位を占めました。また、未経験者採用で最も重視したことについては、順位は入れ替わったものの、「人柄」(21.0%)、「仕事への意欲」(18.3%)、「コミュニケーション力」(17.0%)が上位を占めています。「これまでにどのような経験を積んできたのか」よりも、「どのような人物なのか」を重視する傾向があるといえるでしょう。
未経験者の場合は、現場で戦力として活躍・貢献できるようになるまで一定の育成期間がかかることが想定されます。また、中途採用の場合は、前職の企業文化や仕事の進め方などに慣れていることから、定着性に期待できることも重要となります。
こうした背景から「仲間や上司とのコミュニケーションがうまく取れているか」「組織になじむ人柄か」「業務へのやる気があるか」という3点を重視し、入社後の定着性や活躍貢献性に期待できるかどうかを判断しているといえるでしょう。
未経験者採用を実施するにあたり、重視する傾向の高かった「仕事への意欲」「人柄」「コミュニケーション力」について、人事担当者のリアルな声としてそれぞれ重視した理由を紹介します。
未経験採用で重視することのトップとなった「仕事への意欲」については、仕事の習得スピードの速さや入社後の成長への期待、入社後の定着率に言及する声が多く見られました。
「人柄」については、人間関係やチームワークのために必須であると考えている声や、業務や職種の特性上、人柄の良さを求める声が挙がっていました。また、定着率や仕事の習得スピードへの影響や、人柄さえ良ければほかのことは何とかなると考えている人もいました。
「コミュニケーション力」については、仕事の習得や人間関係の構築、チームワークの維持に必要だからという声や、職場の生産性向上にも寄与するため、コミュニケーション能力が重要視されているようです。
今回の調査によると、多くの企業は人手不足の中、まずは人員確保を優先し、未経験者でも人柄やスキルが魅力的であれば採用する傾向があります。未経験者を採用するにあたり、未経験であってもよいと考えた部分については、企業の抱える事情や求めるポジションなどによって変化するようです。また、未経験者採用で重視したことについては、「仕事への意欲」「人柄」「コミュニケーション力」が上位となり、これら3点が仕事の習得スピードや成長性、定着率、活躍貢献性などに影響すると考えている様子もうかがえました。
人手不足の状況があり、即戦力の採用が難しくなっている上、若年層の短期間での離職率はさらに高まっています。厚生労働省が2024年に発表した「新規学卒就職者の離職状況」によれば、就職後3年以内の離職率は、新規高卒就職者が38.4%(前年度と比較して1.4ポイント上昇)、新規大学卒就職者が34.9%(同2.6ポイント上昇)といずれも上昇しています。
今回の調査結果を見ても、いかに成長性を期待できる未経験者を採用できるかに加え、入社後の定着率をいかに高めていけるかが重要になっていることがわかります。そして、未経験者採用において重視すべきことは、先に挙げた「仕事への意欲」「人柄」「コミュニケーション力」であり、面接選考を通じていかにこの3点を見極めるかがポイントになるでしょう。