調査データ
2025年5月26日
現在、人手不足に対する問題を抱えている企業は増えていますが、厚生労働省の調査「令和6年版 労働経済の分析-人手不足への対応-」によれば、労働力需給ギャップは2017年以降マイナスが目立つようになり、2023年には幅広い産業・職業でマイナスとなっています。
しかし、こうした状況においても、従業員数の規模が1000人以上である大企業間における転職率は上昇傾向にある一方、中小企業への転職率は横ばい、もしくは低下しており、採用の難易度にも格差が生じていることがうかがえます。
多くの企業にとって即戦力人材の採用がますます難しくなっている今、いかに未経験者を採用し、定着させていくかが重要と言えるでしょう。
そこでマンパワーグループでは、未経験者採用に携わったことがある企業の人事担当者20代~50代の男女300名を対象に、未経験者採用の状況や成功要因・失敗要因などを調査しました。
参考: 令和6年版 労働経済の分析-人手不足への対応-(PDF)|厚生労働省
マンパワーグループでは、全国採用や広域採用などの大規模採用のサポート実績も豊富な採用代行・採用コンサルティングサービスを提供しています。
企業の人事担当者として未経験者採用に携わったことがある20代~50代の男女300名に、ここ数年間における未経験者採用はうまくいったと思うか聞いたところ、「おおむねうまくいったが、一部うまくいかなかった」(54.3%)と回答した人の割合が最も多い結果になりました。
「うまくいった」(34.7%)と回答した人と合計すると、全体の約9割は未経験者採用がうまくいっていると感じていることがわかりました。
未経験者の採用がうまくいった際の成功要因について聞いたところ、「風通しの良いコミュニケーションが取れた」(42.8%)と回答する人が最も多く、以降は「採用決定前に人物像を見極められた」(40.4%)、「教育体制をしっかり整えた」(37.3%)、「無理のない業務負担にした」(36.3%)、「現場の理解がしっかりあった」(33.2%)などが続きます。
入社前後に相互理解を深めるコミュニケーションを取ることや、入社後の教育体制を整えることに加え、業務の配分に考慮したり、現場の理解を深めたりするなど、受け入れ体制を整えるための準備も成功要因として挙げられていました。
人事と現場が連携して受け入れ体制を構築することが、未経験者採用を成功させる重要なポイントになるといえるでしょう。
一方、未経験者採用がうまくいかなかった際の失敗要因については、「期待した能力・スキルがなかった」(37.8%)、「コミュニケーションが不足していた」(37.2%)が4割弱で上位となりました。以降は、「教育・研修体制が不十分だった」(25.0%)、「業務が難しすぎた・難易度が高かった」(24.5%)、「負担が大きかった・オーバーワークだった」(21.4%)、「現場に受け入れる余裕がなかった・理解がなかった」(20.9%)が、いずれも2割超で続きます。
採用した未経験者が期待に応えられなかったことに加え、入社後のコミュニケーション不足や教育・研修体制が整備されていないこと、採用後の受け入れ体制やフォローが不足していたことなどが未経験者採用の失敗要因として挙げられていました。
企業の人事担当者に、選考時、面接時、入社後のそれぞれのタイミングで未経験者の採用をうまくいかせるために心がけていることや、注意していることを聞きました。
未経験者に対しては、選考の時点から「人柄」「能力」の見極めをしっかりと行い、個人の心がけにとどめず、採用の仕組みづくりから注力している声も多く見られました。また、面接時のコミュニケーションでは、入社後のギャップを防ぐための工夫や、面接後にギャップを埋める取り組みに注力しているようです。入社後の教育・受け入れ体制については、体調管理と労働時間の管理などの仕組みづくりや、現場に向けた教育を徹底している人もいます。
今回の調査では、企業人事の約9割が「ここ数年間の未経験者採用がうまくいっている」と回答しています。未経験者採用における成功要因は、「風通しの良いコミュニケーションが取れたこと」「採用決定前に人物像を見極められた」「教育体制をしっかり整えた」「無理のない業務負担にした」「現場の理解がしっかりあった」が上位となり、失敗要因については、「期待した能力・スキルがなかった」「コミュニケーションが不足していた」が上位となりました。
今回の調査の結果、未経験者の採用をうまくいかせるために、面接時のコミュニケーションを重視している人事担当者が多いことがわかりました。企業の人事担当者の声としては、入社後の受け入れ体制の整備に言及するより、「いかに本人の能力や適正、価値観などを見極められるか」「いかに業務や社風の説明をしっかり行い、双方の意識のすり合わせができるか」をポイントとしている声が多く見られました。
厚生労働省が発表した「新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)」によれば、現在、新卒採用した若者のうち、3人に1人が3年以内に離職している状況があり、早期離職や転職に対する意識はますます変化している様子がうかがえます。早期離職を防ぐためには面接時にコミュニケーションをしっかり取り、ミスマッチが発生しないように配慮することが大前提になるでしょう。