
目次
多くの採用担当者が、新卒採用トレンドの急激な変化に対応できず応募者が集まらない、採用業務を担当する人材が不足している、毎年内定辞退が多く採用予定人数に満たないなど、採用に関する悩みを抱えています。
課題を打開するために、新卒採用コンサルティングの利用を検討する企業が増えています。本記事では新卒採用コンサルティングとは何か、そしてそのサービスを効果的に活用するための重要なポイントについて詳しく解説します。
「採用コンサルティング」と「採用代行」の違いについて、分かりにくいという方も多いのではないでしょうか。
まず、採用コンサルティングと採用代行は業務範囲が異なります。採用コンサルティングは採用に関わる課題解決のための提案や実行支援を行い、採用代行は実務の遂行を行うものです。
新卒採用コンサルティングは、新卒人材を確保するための、採用に関する課題の解決策を提供するサービスです。
具体的には、採用ブランディングの構築、採用戦略の策定、母集団形成、選考プロセスの設計や面接官トレーニング、内定者フォローや新入社員のトレーニング、採用データの分析など、企業側と連携しながら進めていきます。
採用代行は、採用プロセスの一部を企業の代わりに実施するサービスです。
具体的には、企業が求める条件や人材像を基に、採用計画の立案、母集団形成、選考に関しての業務、内定者のフォローアップや定着支援などの業務を代行します。
採用代行は、採用に自社のリソースを割けないといった課題に対して役立ちます。一方、採用活動の方法を根本的に見直したいという企業であれば、採用コンサルティングを選択した方が良いでしょう。
コンサルティング会社によっては、採用代行・採用コンサルティング両方のサービスを提供している事業者もありますので、両方を組み合わせて活用することも可能です。
関連記事: 採用代行の種類と具体的なサービス内容とは?課題別の活用法を解説
関連資料: 「採用代行とは?」をダウンロードする
新卒採用コンサルティングは、新卒採用市場の知見を持つ専門家から、採用に関する課題の分析と解決策のサポートを受けることができます。ここでは、採用コンサルティングサービスの具体的なメリットについて解説します。
新卒採用は経験者採用と違うノウハウが必要です。多くの企業が同時期に採用活動を行い、ポテンシャルでの採用、若年層の動向を注視した採用手法のトレンドなど、専門的な知識が不足していると採用活動がうまくいきません。
また政府主導のルールも把握し、その変更にも対応しなければなりません。たとえば、インターンシップと呼ばれる職業体験の機会を設ける企業も増えていますが、25卒からインターンシップの新ルールも策定され、就業体験が必須となりました。
就業体験を伴わない企業や業界の情報提供などを行うイベントについては、「オープンカンパニー」や「キャリア教育」と呼ばれ、インターンシップという名称が使えなくなっています。
このように、変化していく新卒採用市場においてノウハウがゼロの状態から採用活動を検討し、実施することは時間も手間もかかります。加えて、これまでの蓄積されたデータがない中で、自社にとって最適な方法を選択することはかなり困難です。
この場合、採用コンサルティングを活用することで、最新の新卒採用市場の情報や自社にとっての効果的な採用戦略について専門家のサポートを受けることができます。コンサルティング会社は様々な事例の蓄積があるため、初めてであっても、採用活動の進行について予測を立てて実施することができます。
加えて、面接官の経験やノウハウが少ない場合でも、質問の仕方や評価の仕方など、自社の求める人材に合わせた効果的な方法を専門家がサポートするため、マッチングの精度が高まります。
採用活動を第三者視点で把握、分析ができるのも新卒採用コンサルティングを利用するメリットです。
新卒採用は学生の就活スケジュールと合わせて実施する必要があり、採用活動を行いながら即座に課題を解決していかなければなりません。昨今の若年層の採用難はどの企業も頭を抱える問題であり、対策を練ってきます。後手に回らないよう、適切な改善行動が必要です。
加えて、ターゲットに刺さる自社の強みを第三者視点で発見できることも大きなメリット。自社の強みや魅力を明確にし、学生の目を引くような募集要項を作成できない企業は意外と多いものです。
採用コンサルティングのサービスを提供している会社は、常に採用市場に携わっているため、リアルタイムでどのようなアプローチの仕方が市場において効果があるのかを理解しています。
また、学生がどのようなコミュニケーションの方法に共感や関心を持つのかも理解しているので、企業の求める人材に対して、効果的な採用チャネルの選択や、訴求できる魅力・強みなどを分析することができ、採用の施策立案に繋げることができます。
採用活動における時間や業務負荷は多くの企業にとって悩ましい問題です。分析や市場の調査、情報収集、採用戦略の検討など、専門知識が必要な業務も、採用コンサルティングによるアドバイスをもとに時短で進めることができます。
また、評価基準や面接評価シートの作成、面接官へのレクチャーも自社で行う際は、かなりの業務負荷がかかりますが、専門家が状況に合わせたアドバイスを行うため、採用担当者が独学で実施するよりも負担を大幅に軽減することが可能です。
専門家の知見が得られることが新卒採用コンサルティングのメリットですが、ここではふたつのデメリットと注意点を提示します。
新卒採用コンサルティングを利用するには費用がかかります。様々なサポートを受けるほどに、伴うコストも増えていきます。
採用計画の立案から入社後のサポートまで、全てを依頼する場合は費用もかなり高額になるため、どの範囲までサポートを依頼するか、また、その費用対効果について検討する必要があります。
新卒採用コンサルティングの導入が見合うかは、以下のような点から検討してみてください。
新卒採用コンサルティングは継続的に利用する必要はなく、採用活動やプロセスを立案してもらい、将来的に内製化する方針で利用する企業も少なくありません。
採用コンサルティング会社のアドバイスに則った採用活動を実施していれば、スムーズに事は進みやすくなりますが、過度の依存は禁物です。ただ漠然とその提案に即した活動を実施するだけでは、自社内にノウハウが蓄積されにくいというデメリットも生じます。
いつまでたっても採用コンサルティングなしでは安定した採用活動が行えないというリスクを回避するのであれば、採用担当者は受け身にならず、採用コンサルティング会社と積極的に連携し、情報共有を通じてノウハウの吸収・習得を行うことが重要です。
それでは、新卒採用コンサルティングが提供するサービスの内容について、紹介します。
採用コンサルティングを取り入れることにより、これまで自社の視点だけで捉えていた課題を客観的に見直すことが可能になります。
例えば、ある企業は、新卒採用において、毎年内定辞退があり、採用予定人数を満たせないという問題を抱えていたとします。
当初、その原因は面接官のスキルにあると捉え、面接トレーニングを実施していましたが、採用コンサルティングを導入した結果、実際の問題は面接官のスキルではなく、ターゲットに刺さる内容の募集要項や企業もの魅力付けができていないと判明。
面接ではなく母集団形成に問題があるため、施策も面接官ではなく母集団形成の見直しとなります。
このように、自社では気づかない視点での課題分析や、その課題に対する解決策の立案も可能となります。
初めての新卒採用や久しぶりの採用の場合、新卒採用コンサルティングを導入することで、適切な計画がスムーズ且つ短期間で立案できます。
以下に採用コンサルティングサービスで得られるノウハウを例示します。
採用計画では、辞退を想定して実際の採用予定人数より多めに内定を出す必要があります。採用目標の達成には辞退率を想定する必要があるため、専門家の知見がここで活きてきます。
早期採用を行っている企業も多くありますが、どの会社も早期採用すればうまくいくとは限りません。早期採用のリスクは辞退者です。ターゲットとする学生の特徴や企業の知名度、採用予定人数などを鑑みた採用スケジュールを打ち立てることが大切です。
企業紹介動画や応募者との連絡などに利用できるオンラインコミュニケーションツールや、適性検査ツールなど、採用に活用できる様々なツールが存在します。どのツールが求める人材の獲得に効果的か、成功例をもとにしたアドバイスが受けられます。
選考プロセスにも様々な方法があります。採用人数が多い場合は、グループ面接やディスカッションなどを取り入れるなど、自社に合わせた選考プロセスの設計が必要です。
採用コンサルティングを活用することで、自社に最適なプロセスとスケジュール管理についてもサポートを受けることができます。
自己PRや志望動機、過去の経験や所有スキルなどを記入するエントリーシートは、企業が学生のことをよく知るための最初の機会となることも多く、選考を進めていく上で重要性の高いものです。応募者のどのような面を重視するかでエントリーシートの設計も変わってきます。
採用コンサルティングを提供する会社は、様々なエントリーシートのパターンを蓄積しているため、選考フローでどのように使用するのかを鑑みたうえで、自社にとって適切なフォーマットや内容はどんなものか提案を受けることができます。
面接官の経験が少ない、あるいは未経験者であっても、効果的な質問やスクリーニングのアドバイスを受けることで、求める人材の見極めがしやすくなります。
面接官の対応は、応募者が抱く企業の印象に大きな影響を与えます。事前のアドバイスを受けることで、面接の質や精度が向上し、内定辞退率の減少にもつながるでしょう。
評価基準は、採用人数や選考過程によって設定する必要があります。面接官の個々の判断に委ねると、人材の偏りや、求める人材像との不一致が生じやすくなります。
また、厳しすぎると歩留まりが悪化し結果的に採用目標に届かない、評価基準を緩和しすぎて最終面接の合格率が異常に低いなど、評価基準は採用活動に影響してきます。
評価基準と指標にアドバイスをもらいつつ、選考工程の歩留まりが悪い場合は、適宜分析をしてもらうことで、採用目標達成に近づくことができます。
はじめて新卒採用を実施する場合、自社に最適な母集団形成方法を選択するのは、大変困難です。採用コンサルティングを活用することで予算や採用予定人数、また、求める人材との親和性が高い採用チャネル・募集方法を効率的に選択することができます。
すでに新卒採用を実施しているものの応募が少ないなどの問題を抱えている企業も、採用コンサルティングによる現状分析により、採用チャネルや募集方法の見直しを実施することで、採用活動の改善が可能です。
応募者に自社を知ってもらう方法として、会社説明会や学校訪問が一般的です。さらに、近年ではウェブサイトやブログ、SNSを通じたオウンドメディアリクルーティングによる周知活動が活発に行われています。
しかし無計画に行うと自社の魅力が伝わらず、業務負荷が増えるだけといった事態にもなりかねません。また、内容によってはイメージの作り方が逆効果になるというリスクも生じます。効果的な訴求方法を企画するためにも、専門家のアドバイスを受けると良いでしょう。
採用ブランディングとは、自社のビジョンや魅力、価値について、一貫性のある発信を行い、ブランド化していく活動です。採用ブラディングにより、認知度を高め、求める人材の関心や共感を引き出すことができます。また、内定者のエンゲージメントも高まり、志望意欲の持続にも繋がります。
新卒採用の大きな課題は内定辞退です。学生が数社の内定をもらっていることは、一般的であり、内定後も自社を選んでもらうよう施策が必要です。(入社までが採用活動)
自社の魅力を伝え、そこで働くイメージを持てるような機会を定期的持つこと、また同期がいる場合は同期同士の交流の機会を設け、ともに働く意識を醸成していくことも考える必要があります。
どのような期間や方法が最適かについては、専門家のアドバイスを受けながら計画を立てると良いでしょう。
多くの場合、面接官を担当する社員は日常業務を行いつつ採用時期のみに面接を担当するため、人の見極めや魅力付けのスキルが十分とは言えません。
採用目標の達成には、適切な評価や内定承諾率の向上に寄与するスキルが必要です。また、不適切な行動防止のためにも、専門家に面接マニュアルの作成やトレーニングを依頼してみるのもよいでしょう。
関連記事:【3つのスキル】面接官トレーニングで「採用できる面接官」を育成する
採用コンサルティングのメニューによっては、入社後の新入社員トレーニングにおいてもサポートを受けることも可能です。採用して終わりではなく、配属までの一貫したフォローが、エンゲージメントを高め、定着率にも繋がります。
これまで紹介したように新卒採用コンサルティングで受けられるサポートは幅広く、多岐にわたり、採用活動に役立ちます。ただし、サポート内容を増やし、充実させるほど費用も嵩みます。採用コンサルティングの活用を検討する際には、まず自社の現状を把握し、どのサポートが必要かを考慮することが重要です。
採用コンサルティングを検討する際には、まず自社が抱えている課題を明確にすることが重要です。課題がはっきりしていれば、どのようなサービスを利用するか判断することができます。
さらに、採用コンサルティングを利用する際の担当窓口、これまでの自社の採用活動の状況や課題、そして就活生に伝えたい自社の強みや魅力なども洗い出しておくことで、進行がスムーズになるでしょう。
新卒採用コンサルティングにかかる費用は様々です。コストを考慮することは重要ですが、単に安く抑えることだけが最良とは限りません。また、サービスによっては成果報酬や月額制など、料金体系も異なります。
効果的に利用するためには、どのような課題を解決したいのか、また、サポートを必要とする期間や採用人数、求める人材像など明確に設定した上で、適切なサービスを選択するようにしましょう。
人材採用は、企業の成長と持続性にとって重要な取り組みです。だからこそ、採用コンサルティングにおいては、なにより信頼性の高いサービスを選ぶことが肝要です。
その会社が持つ他社の成功事例、顧客満足度などから、信頼に値する実績を持っているかどうかを確認しましょう。また、各企業のニーズにあわせカスタマイズされたサービスを提供しているか、コミュニケーションやサポート体制は十分かどうかも、選ぶ際のポイントです。
採用コンサルティングサービスの活用で、新卒採用活動を効果的かつ効率的に進めることができるようになります。一方で、各企業の課題は様々です。まずは、自社にとって何が必要かを把握するためにも自社の課題の洗い出しをしっかりと行いましょう。
こちらの資料もおすすめです