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産休代替とは?通常派遣との違いや利用する際の注意点を解説

掲載日2024年11月22日

最終更新日2025年4月22日

産休代替とは?通常派遣との違いや利用する際の注意点を解説

目次

産休や育休の取得に際し、重要な課題は「休業に入る従業員の業務への対応をどのようにするか」です。同じ職場の従業員に業務を割り振る、新規雇用を行うなど、いくつかの選択肢がありますが、そのひとつに人材派遣を利用する「産休代替派遣制度」があります。

本記事では、「産休代替派遣制度」の基本に加え、通常の人材派遣との違いや導入時の注意点などについて詳しく解説します。

産休代替とは?

産休代替とは?

産休代替派遣制度とは、産休・育休を取得する従業員の代替要員として、派遣社員に働いてもらう制度です。「産休代替」という名称ですが、産休だけでなく育児休業も対象です。

産休代替派遣における期間と勤務形態

産休代替派遣制度では、産休や育休を取得する従業員の代替要員として派遣社員が働くことになり、その派遣期間は基本的に産休・育休の取得期間にあわせて設定されます。

「産休(産前産後休)」とは、産前は出産予定日前の6週間前、産後は出産日から8週間まで認められている休業です。産前の6週間については、本人からの申出がなくても就業が禁止されています。

「育休(育児休業」」は、子どもが1歳になるまで認められている休業です。保育所に入れないなど、やむを得ない理由がある場合は1歳6か月まで、それでも復職できない場合は最長2歳になるまで延長可能です。ただし、育休期間を最初から「子どもが2歳になるまで」とすることはできず、都度申請が必要です。育休は、期間が延長する可能性があることには注意が必要です。

そのため、産休代替の派遣期間も、まずは子どもが1歳になるまでで設定されますが、必要に応じて、復帰まで延長の打診は可能です。

また、勤務形態についても柔軟に対応可能で、フルタイムでなくとも構いません。例えば、週3日勤務の従業員の産休代替には、週3日勤務の派遣社員を希望することも可能です。

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一般的な派遣と産休代替の違い

産休代替派遣と一般的な人材派遣の大きな違いは、いわゆる「3年ルール」の対象外である点です。労働者派遣法では、派遣社員が同じ職場で働ける上限が原則3年と定められており、これを「3年ルール」と呼びます。

しかし、産休代替派遣には、産休・育休を取得する従業員の代替という明確な目的があるので、この3年ルールの適用対象外となります。

そのため、育休の延長や連続で産休に入る場合など、3年を超える期間であっても、同じ職場で派遣社員に働いてもらうことが可能です。

産休代替派遣制度を活用するメリット

産休代替派遣制度を活用するメリット

企業が産休代替で人材派遣を活用するメリットは次のとおりです。

周囲への業務負荷が軽減できる

産休・育休を取得した場合、休業に入る従業員の業務がなくなるわけではありません。その分の業務は、他の従業員へ割り振られることが多く、業務負荷による不満、残業増加や業務品質への影響などを引き起こすリスクがあります。

産休代替派遣の利用で、休業に入る従業員の担当業務遂行に必要な労働力が確保されるため、周囲の業務負荷を軽減できます。

採用の手間が省ける

従業員を自社で採用には、募集や面接、応募者への連絡などの手間がかかりますが、派遣会社を利用すれば、派遣社員の選定は派遣会社が行ってくれます。また、要件や派遣会社にもよりますが、依頼から数日で派遣開始が可能な場合もあります。

産休・育休は事前に休業開始日がわかるため、要員確保を緊急で実施することは考えにくいですが、自社採用の場合は入社まで数か月かかることも多く、代替要員アサインまでの期間が短縮できるのは大きなメリットといえます。

助成金の対象となる

2024年1月より、育児休業等を取得しやすくなるよう、業務の代替体制を整備した企業に対する助成金制度(両立支援等助成金「育休中等業務代替支援コース」)が拡充されました。拡充されたコースの中に、「育休取得者の代替要員を新規雇用(派遣受入含む)で確保した場合」に申請できるものがあり、代替期間に応じた金額が支給されます。

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派遣会社に産休代替を依頼する際の具体的な流れ

派遣会社に産休代替を依頼する際の具体的な流れ

派遣会社に産休代替派遣を依頼する流れは、通常の人材派遣を依頼する場合と大きく変更はありません。

派遣会社ごとに若干異なる場合もありますが、一般的な流れは以下のとおりです。

1.問い合わせ・依頼

派遣会社へ連絡し、派遣の依頼や見積もりを取得します。求める条件や勤務エリアによって派遣料金の相場が変わるため、複数の派遣会社に問い合わせてもよいでしょう。また、産休代替であることを先に伝えておくとスムーズです。

2.派遣会社によるヒアリング

派遣会社からは、主に以下の点についてヒアリングが行われます。

  • 業務内容
  • 派遣社員が必要な背景
  • 必要なスキルや経験
  • 派遣期間
    など

産休代替派遣では、休業に入る従業員の担当業務をそのまま引き継ぐため、業務内容やスキル要件を正確に伝えておくことが大切です。これをおろそかにしてしまうと、ミスマッチが生じるため、産休・育休に入る従業員の業務内容や業務に必要なスキルをあらかじめ棚卸ししておきましょう。

また、業務の内容が高度あるいは複雑な場合、対応可能なスキルや経験を持つ派遣社員の登録があるかどうかを派遣会社に確認し、そのままの条件では選出が難しいという回答があった場合には、業務内容の調整の検討をお勧めします。

3.マッチング

ヒアリングの内容をもとに、派遣会社が派遣社員を選出します。

4.顔合わせ・職場見学

選出された派遣社員が希望した場合には、派遣開始前に顔合わせや職場見学を実施します。職場見学は、あくまでも派遣社員の希望があった場合のみ実施され、派遣先企業が実施を求めることはできない点は注意しましょう。

また、顔合わせや職場見学は面接の場ではありません。後述しますが、派遣先企業は、派遣社員の面接などの選考を行うことが禁じられています。あくまで、ミスマッチを防ぐための説明・見学の場、と捉えておくと良いでしょう。

5.契約締結

派遣社員、派遣先企業の双方が合意したら、労働者派遣契約を締結します。

労働者派遣契約とは、派遣会社と派遣先企業の間で締結される、派遣社員ごとの個別の条件について明示する契約です。

産休代替派遣の場合、以下の内容を契約書に記載する必要があります。

  • 派遣先企業で産休、育休に入る従業員の氏名
  • 派遣先企業で産休、育休に入る従業員の業務
  • 産休、育休の開始及び終了予定日

また、その派遣会社と初めて人材派遣の取引を行う場合には、派遣会社と派遣先企業で「労働者派遣基本契約」を締結します。

さらに、派遣先企業には「派遣先管理台帳」の作成が義務づけられています。この台帳は、各派遣社員の業務の実態を記載するものです。記載必須項目は決められており、労働者派遣契約に準じた内容と、就業の実績を記録します。産休代替の場合には、派遣先管理台帳にも以下の記載が必要です。

  • 派遣先企業で産休、育休に入る従業員の氏名
  • 派遣先企業で産休、育休に入る従業員の業務
  • 産休、育休の開始及び終了予定日

6.派遣開始

締結した契約に基づき、人材の派遣が開始されます。

人材派遣を初めて利用する方向けに、派遣の仕組みや料金などをわかりやすく説明した資料をご用意しています。

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派遣会社に産休代替を依頼する際の注意点

派遣会社に産休代替を依頼する際の注意点

産休代替で人材派遣を依頼する際の注意点は以下のとおりです。

産休代替であることを伝える

必ず産休代替であることを伝えましょう。産休代替の場合、上限期間の適用の除外や、契約書等への必須記載事項の追加など、特別な対応が必要になることがあります。

業務内容は細かく伝える

産休代替に限らず、契約で定められていない業務を派遣社員に行わせることはできません。産休・育休に入る従業員が幅広い業務を担っているケースも多々あるため、引き継ぐ可能性のある業務は細かく伝え、契約書にも記載します。

なお、産休・育休に入る従業員の業務内容をそのまま行わせるのが産休代替です。担当業務を減らしたり別の業務を行わせると、正式な産休代替と認められず、通常の人材派遣と扱われることがあるため注意が必要です。

産休・育休に入る従業員の業務内容の棚卸は丁寧に行った上で、依頼業務を派遣会社に伝えましょう。

マンパワーグループでは、プロフェッショナル派遣サービスを提供しています。専門性と専門性の高い社員の一時的な離脱についてもご相談ください。

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引継ぎ期間を準備する

産休代替の派遣社員には、該当業務に対応できるスキルや経験が求められますが、実務にあたっては、休業に入る従業員からの引継ぎ期間を設けておくと即戦力としてのスムーズな立ち上がりが期待できます。引継ぎの方法や期間についても、あらかじめ派遣会社に伝えておくと良いでしょう。

契約期間の延長・短縮可能性を伝える

育休終了日は事前に確定していないため、期間が変更になるケースも多いです。派遣会社が派遣社員を選出する際、契約期間によって派遣できる社員が変わることも想定されますので、契約期間の延長や短縮の可能性があること、期間変更の場合の対応をあらかじめ伝えておきましょう

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産休代替に関するよくある質問

産休代替に関するよくある質問

以降では、産休代替に関するよくある質問を解説します。

育休の延長・短縮があった場合に派遣期間の変更が可能か

産休代替派遣の開始時の契約でどう定められているかによります。

育休期間は派遣契約当初には確定していないことがほとんどです。育休が延長になった場合、派遣期間の延長の打診をすることは問題ありません。その際は、延長後の育休終了日までの派遣契約を再締結します。

一方、産休代替かどうかにかかわらず、当初定められていた派遣期間の短縮は「中途解約」の扱いになります。中途解約の場合、期間短縮になった分の就業機会の確保や休業手当相当分の派遣料金を支払う可能性があります。

派遣社員側も、急に派遣期間の延長や短縮を伝えられても応じられない可能性があります。契約の段階で、期間延長や短縮の可能性の有無と、短縮の場合の対応について派遣会社と認識を合わせておくと安心です。

TIPS

そもそも育児休業は短縮する場合のルールが法令で定められていないため、育休の短縮については企業が応じる義務はありません。代替要員が確保済みであることを理由に、当初の育休終了期間まで育休を取得してもらうことも可能です。

産休代替の契約終了後も派遣社員として働いてもらうことは可能か

育休を取得した従業員の復職により産休代替派遣が終了した後、通常の人材派遣として産休代替で派遣されていた派遣社員を同一派遣先企業の別の業務へ派遣することは可能です。

この場合は、産休代替ではなく通常の人材派遣となりますので、「3年ルール」は適用されます。また、「特定目的行為」にならないよう注意が必要です。

TIPS

「特定目的行為」とは労働者派遣法で禁止されている行為のひとつで、「派遣先企業が派遣社員を選んで派遣してもらうこと」を指します。

派遣先企業が「この人を引き続き別業務で派遣してほしい」と指名することも禁止行為に挙げられていますので、通常の人材派遣の依頼と同様、必要なスキルや期間など、個人を特定しない要件を派遣会社へ伝え、選定を任せましょう。結果として、派遣会社が産休代替で派遣されていた派遣社員を再度選定するのは、問題ありません。

関連記事: 派遣社員の特定行為は禁止!指導例や例外をわかりやすく解説

派遣社員が途中で辞めてしまう可能性はあるか

派遣社員が個人の都合により途中退職する可能性や、契約延長に応じられないケースも考えられます。その場合は、速やかに派遣会社と連携を取り、後任者の紹介などの対応を検討しましょう。

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まとめ

産休代替派遣制度の流れや考え方、契約手続きなどは、通常の人材派遣と原則変わりません。しかし、産休代替に特化したルールや特徴があるため、これらを理解した上で派遣会社へ依頼することが大切です。

少子化が進んでいることも背景に、2025年4月には改正育児介護休業法が施行されます。産休・育休の取得促進や代替要員確保のための支援制度は、今後もさらに広がっていくと予想されます。

従業員の仕事と育児の両立は、休業を取得する従業員だけでなく、周囲の従業員に対しても働きやすさを向上させる重要な要素です。代替要員確保のひとつの方法として、産休代替派遣の検討をお勧めします。

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世界70カ国・地域にオフィスを持ち、ワールドワイドに展開している人材サービスのグローバルカンパニー、ManpowerGroupの100%出資の日本法人。

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