
目次
若手の採用や育成がうまくいかない――その背景には、価値観のギャップがあると考えられます。
本記事では、Z世代を中心とした若手が「避けたい」と感じる業務や仕事の進め方、その理由、さらに今日からできる改善策を具体的に紹介します。
まず、「Z世代」とは概ね1990年代半ばから2010年代前半に生まれた世代のことを指します。Z世代は、中高生の頃からスマートフォンやSNSに親しみ、日常的にインターネットを活用してきたため、「ソーシャルネイティブ世代」とも言われています。
「モノ(所有)」よりも「コト(経験)」を重視する価値観にあり、社会課題や多様性への関心が高いことが特徴です。
こうした特徴はなぜ生まれたのでしょうか。実は、Z世代の価値観には、彼らが生きてきた時代背景が大きく影響しています。
彼らの育ってきた時代は、大きな自然災害やテロリズム、コロナ禍のような社会不安が度重なり、かつ「失われた30年」と呼ばれる経済停滞期の中でした。
そうした時代背景の中で、「将来が見通しづらい社会では、従来のようにどこかに安定的な環境があって、そこに所属することで人生の安定を得られる、というわけではない。むしろ“自らの成長”こそが真の安定につながる」と考え、成長への焦りや高いキャリア形成意識につながっているのです。
ここからはもう少し詳細に、Z世代の特徴を解説します。
Z世代は、「大企業に入る」「マイホームを持つ」といった従来の成功モデルに必ずしも価値を見出していません。
これは、Z世代がいわゆる「価値相対主義」的な社会の中で育った世代であるためです。これは「これが絶対に正しい」「皆こうあるべきだ」という「価値絶対主義」とは異なり、「こういう考え方もある」「人それぞれでいい」という多様性を前提にした価値観です。
つまり、正解がひとつではない世界で育った世代ともいえます。
インターネットやSNSの普及により、多様な価値観や情報に日常的に触れているため、画一的な「正解」よりも、自分にとっての「納得感」や「選択肢の多様性」を重視する傾向があります。
そのため、キャリア観や仕事観、ものの選び方も多様で、「他人と同じでなくてもいい」「自分に合うかどうか」が判断基準のベースとなります。
また、自分自身の価値観に沿って判断する一方で、その判断が他者にどう受け止められるかにも敏感です。共感や受容を通じて自己肯定感を得る傾向があり、「自分らしさ」と「それが社会の中でも意味や意義を持つこと」の両立を重視する姿勢が見られます。
社会の不安定さを経験してきたZ世代は、夢や理想よりも現実を重んじる傾向があります。「結婚や出産はお金が貯まってから」「20代での結婚は早い」といった堅実な考え方を持つ人も少なくありません。
そうした中で、就職における“安定”の意味も、従来とは変わりつつあります。
面接の場では「安定している会社で働きたい」と語る学生が多いものの、彼らの言う“安定”は必ずしも「大企業に入ること」や「出世すること」ではありません。
むしろ、「どんな環境でも通用するスキルや専門性を磨き、自分の力で生きていける状態」を指している場合がほとんどです。
こうした考え方は、組織に依存するのではなく、自らの能力を土台にキャリアを築いていく、いわば「新しい安定志向」といえるでしょう。
Z世代は、思春期の頃から常にネットを通じて世界とつながってきた“ソーシャルネイティブ”です。情報収集は「人から聞く」より「ネットで調べる」が主流で、ビジネスの場でも上司の言葉をネットの情報も併せて判断します。
知識を得るスピードが速く、未経験の分野でも一定の知識を身につけやすいという強みを持っています。
SNSで評価が可視化される環境に慣れているため”炎上”や失敗を恐れる心理が強い傾向があります。
また、オンラインでのコミュニケーションに慣れている分、対面では不安や慎重さが出やすいことも特徴です。
このように、Z世代は、「多様性」「自己成長による安定」「つながり」をキーワードに、これまでの世代とは異なる価値観で働き方を捉えています。彼らの考え方や背景を理解することは、採用や育成、マネジメントの現場で欠かせない視点です。
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Z世代を中心とした若手社員がモチベーションを感じにくい業務と、その背景について解説します。
Z世代が特に苦手意識を持ちやすい業務の一つが「電話対応」です。
以前の世代にとっては社会人の基本ともいえるスキルでしたが、Z世代にとって電話は「親しい人と話す」「緊急時に使う」ための手段という認識が強く、日常的なコミュニケーション手段とは考えていません。
チャットやSNSでのやり取りが主流のZ世代にとって、電話は“推敲できないリアルタイムのやり取り”であり、アドリブ力が求められる分、心理的な負担が大きいと感じる人が多いのです。
また、「相手の時間を奪う」「出るかわからない」など一方的なコミュニケーションになりがちな点や不確実性から、非効率で古い手段と捉える傾向もあります。
このように、電話対応はZ世代にとって“緊張を伴うコミュニケーション手段”であり、避けたい業務の一つになっています。
Z世代は「役に立ちたい」「意味のあることをしたい」と考える傾向が強く、仕事においても「なぜこの作業をするのか」「どんな価値があるのか」といった“目的”や“意義”を重視します。そのため、単純作業やルーティン業務は「自分がやる意味を感じにくい」「成長につながらない」と捉え、モチベーションを保ちづらい業務といえます。
また、テクノロジー活用への意識が高いことから、「この作業は自動化できるのでは」「機械でもできる仕事ではないか」と感じやすく、改善意欲を持つ一方で、意義を見いだせないと意欲を失う傾向もあります。
どの世代にとっても負担の大きい業務ではありますが、Z世代は特にクレーム対応やトラブル処理に強い抵抗感を示します。
従来の世代が「仕事だから仕方ない」と受け止めていたのに対し、Z世代は「我慢して当然」という価値観を持ちません。
「嫌なことは嫌」「無理なことは無理」と言葉にすることに抵抗がない傾向があります。
また、過労やハラスメントに関する報道などを通じてメンタルヘルスへの意識が高く、「ストレスを抱えるより、自分の心を守る」ことを優先する価値観が定着しています。
理不尽な対応や感情労働は避け、「自分らしく働きたい」「価値観に合った仕事を選びたい」という意識が強いのも特徴です。
Z世代は、仕事と私生活を明確に切り分けるワークライフバランスを重視します。
「働くこと」と友人や家族との時間、趣味、自己学習、ボランティアなどの「自分の時間」はどちらも大切なものとして共存させたいという考えです。
心身の健康や生活の質を損なう働き方は望みません。
そのため、夜勤や不規則な勤務形態には抵抗を感じやすく、私生活とのバランスを崩す働き方は敬遠されがちです。

近年の若手社員、特にZ世代は、業務の内容だけでなく仕事の進め方そのものにも違和感を抱く傾向があります。以下では、彼らが抵抗を感じやすい進め方とその背景を解説します。
従来は、関係者全員が参加し、資料を手元で確認しながら順番に発言していく形式的な会議も多くありました。
しかし、効率や自分の意見の反映度を重視するZ世代にとっては、目的が曖昧なまま続く長時間会議は「意味のない時間」と捉えがちです。
彼らは、就職活動の際にも「若手の意見が通りやすいか」を重視するなど、自由に意見を交わし、異なる価値観をすり合わせる場にこそ意義を見いだします。
一方で、形式的な承認を得るためだけの会議には価値を感じにくく、議論が目的でなく“報告の場”になっている会議ほど不満を覚えやすい傾向があります。
情報が可視化されている社会で育ったZ世代にとって、「なぜそうするのか」「何をもって良しとするのか」が曖昧な状態は大きな不安要素です。
口頭だけの指示や、個人の勘や経験に頼った属人的な進め方は、納得感を得にくく、再現性のない仕事として抵抗を感じやすくなります。
また、属人的な仕事は評価の根拠が不明瞭になりやすく、「努力しても正当に評価されないのでは」という不信感につながりやすい側面もあります。
Z世代は、目に見えない頑張りよりも、合理的なプロセスと成果の透明性を重視します。そのため、「誰がやっても同じようにできる」「説明責任を果たせる」仕組みの中で働くことを好む傾向があります。
Z世代は、わからないことがあればすぐに検索して正解を得られる環境で育ってきました。そのため、曖昧さへの耐性が低く、「どこまで任されているのか」「自分の判断で進めてよいのか」が不明確だと、失敗を恐れて動けなくなるケースが見られます。
良かれと思って「自由にやっていいよ」と伝えても、それがかえってプレッシャーになることもあります。
裁量を与える際には、判断の基準やサポートの範囲を具体的に示すことが重要です。
業務時間外でも上司がすぐ対応してくれることを「安心」と感じる上の世代とは異なり、Z世代はワークとライフを明確に切り分けたいと考えます。
上司が常にオンラインで対応していると、「自分も応えなければならないのか?」と疑念が湧き、職場への嫌悪感やモチベーション低下につながります。さらに、同調圧力で自分も対応を強いられる状況になれば、退職を検討する可能性もあります。
繰り返しになりますが、Z世代は、意味や目的がわからないまま動くことを苦手とします。議事録作成やレポート作成といった業務を「勉強になるから」とだけ伝えて任せると、むしろモチベーションを下げてしまうことがあります。
こうした作業を依頼する際には、その仕事がどんな目的を持ち、どんな成長につながり、完了後の「どの部分が良かったか」「どう改善できるか」といったフィードバックにより“学び”としての経験に変えることが重要です。
紙資料の配布や押印などが慣習的となっている業務は、Z世代にとって非合理的な手間と映ります。オンラインで済ませられるようなことをわざわざ紙ベースで行っていることが非合理的で生産性が低いと感じてしまうのです。
オンラインが標準の世代からすると、紙や対面が“例外”であり、そこに納得できる理由がないと動きにくいのです。
形式を重んじるよりも「なぜそれを行うのか」という目的を共有することが大切です。
Z世代の視点をきっかけに、既存のプロセスを見直す良いタイミングと捉えてもよいでしょう。
事務職の経験はないものの、ポテンシャルが高く、業務習得のキャッチアップが早い若手人材をコンサルタントが適性を見極めて派遣します。
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これまで見てきたように、Z世代は従来の世代と、仕事の捉え方が根本から異なっていると言っても過言ではありません。彼らの特徴を押さえ、彼らに合わせた対応をとることが、採用でも育成でも効果的です。
Z世代は“あいまいさ”を嫌い、情報がオープンであることに安心します。
Z世代は、給与や待遇よりも「自分らしく働けるか」を重視する傾向があります。
そのため、抽象的な文化を表現する際は、可能な限り具体的な事例を用いて表現できると良いです。Webツールなども使用するツールの具体名を記載することも効果的です。
例えば、下記のような改善が考えられます。
Z世代は、業務そのものよりも「何のためにやるのか」を重視します。
求人票の中で、仕事の目的や社会的な意義を具体的に言語化することが大切です。
研修時に行う基礎的な業務でも、どのようなスキルや考え方を身につけて欲しいのか、が明確に示されているとZ世代に敬遠されにくいです。
例えば、下記のような改善が考えられます。
Z世代は、“成長したい”という意欲を持ちながらも、「どう成長できるのか」が見えないと動きません。単に「育成体制が整っています」ではなく、成長ステップを具体的に示すことが効果的です。
たとえば、下記のような改善が考えられます。
Z世代は「早く成長したい」という前向きな意欲を持ちながらも、努力の方向性が見えないまま動くことに不安を感じやすい傾向があります。
そのため、「とにかくやってみよう」ではなく、成長の道筋を明確に描いた育成設計が求められます。
たとえば、「入社後3か月は先輩社員がペアでサポートし、週1回の振り返り面談を実施」「半年後には小規模案件を一人で担当」など、成長のステップを“見える化”しておくことが重要です。
あらかじめ見通しが立つことで、若手は安心して挑戦しやすくなり、定着率の向上にもつながります。
また、Z世代は上下関係よりも「寄り添い伴走してもらえるフラットな関係」を好みます。
そのため、「教える」「指導する」ではなく、「一緒に考え、成長を支援する」という姿勢を示すことで、信頼関係が築かれやすくなります。
求人情報だけでなく、社内でも「先輩社員が支援する文化」を可視化し、ロールモデルを紹介するなどの工夫も効果的です。
さらに、彼らは自分の努力がきちんと認められるかどうかにも敏感です。
「結果だけでなくプロセスも評価する」「月1回の1on1で上司と目標をすり合わせる」といったフィードバックの仕組みを整えることで、モチベーションの維持に大きく貢献します。
本記事で紹介したような、若手が抵抗を感じやすい業務を乗り越えたときには、
その経験が次の成長やキャリアにつながることを伝えたうえで、努力や成果をしっかりと認めてあげることが大切です。
育成制度や成長において、Z世代が求めているのは、スピードではなく「着実さ」です。「早く一人前になる」よりも、「安心して一歩ずつ成長できる」環境を整えることが、これからの人材育成には欠かせません。育成制度の整備は、単なる教育施策ではなく、採用ブランドを強化する次の一手になります。
Z世代が働きやすい環境をつくるためには、彼らの価値観や働き方の感覚に合わせて、組織側の仕組みやマネジメントの在り方をアップデートすることが求められます。
まず着手すべきは、日々の業務プロセスの見直しです。
Z世代は「なぜこの手順で行うのか」「その目的は何か」といった理由の説明を求める傾向が強く、形式的な手順や慣習的な運用に対しては納得感を持ちにくい世代です。
たとえば、紙の資料配布や押印、定例化された報告会議など、目的が不明確な業務が放置されていると、それ自体がモチベーションを損なう要因になりかねません。
業務の目的・成果・担当範囲を明確にし、デジタルツールを活用して効率的かつ透明性の高いプロセスに改善していくことが重要です。
同時に、管理職の意識改革も欠かせません。
Z世代は「上司の言うことに従う」のではなく、「納得して動く」ことを重視します。
そのため、従来型のトップダウン型マネジメントではなく、「対話」を通じて方向性を共有する「伴走型マネジメント」への転換が必要です。
指示を出す際には「背景と目的を説明する」「判断基準を共有する」「相談しやすい雰囲気をつくる」など、”伝える”から”理解を促す”コミュニケーションへの変化が求められます。また、部下の意見を引き出す1on1や、チームで振り返るレビュー会議を習慣化することで、上下の壁を越えた学びの循環が生まれます。
業務の見直しとマネジメント改革は、単なる効率化ではなく、若手が安心して意見を出せる風土づくりにもつながります。「なぜこの仕事をするのか」「どうすればもっと良くなるか」を日常的に話し合える職場こそ、Z世代が主体的に動き、組織全体の生産性を底上げする基盤となるでしょう。
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Z世代は、これまでの世代とは異なる価値観や仕事の向き合い方を持っています。
他者からの承認に敏感な彼らには、その考え方を否定するのではなく、一人ひとりの感じ方を受け止めたうえで、丁寧にサポートする姿勢が大切です。
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