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優秀な人材ほどあっさり辞める!その前兆と退職防止6つの打ち手

掲載日2024年5月28日

最終更新日2024年7月 9日

優秀な人材ほどあっさり辞める!その前兆と退職防止6つの打ち手

目次

退職の本当の理由には課題が多く潜んでいる

優秀な人材の退職理由には、解決すべき理由が多く潜んでいます。マンパワーグループが支援している退職者インタビューの事例とホンネの聞き出し方をまとめた資料をご用意しています。

退職者提言に役立つ退職者のホンネの聞き出し方

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不思議なもので、普段から「辞める、辞める」と言っている人はなかなか退職せず、優秀な人材ほど、あっさり辞めていくものです。優秀な人材の退職は、周りが大混乱に陥ります。職場全体の生産性が下がるうえ、「あの人が見切りをつけたので、この会社はヤバイのではないか」と社内や職場が浮足立ち、結果として退職ドミノに繋がりかねないからです。

優秀な人材が辞める前には共通した前兆があります。それを知り、対処方法を知ることで退職を防ぐコツを解説します。

優秀な人が辞める理由とは

優秀な人が辞める理由とは

優秀な人は、本人だけでなく周りもそれを認めています。周りも「あの人のようになりたい」と憧れの存在であるため、優秀な人材が「辞める」理由が周りの人にはわからないと感じるものですが、そこには共通した理由があります。

正当に評価されていると思えない

人は、自己評価と同じかそれ以上に高い評価だと納得し、逆に自己評価以下であれば不満を持つものです。しかし、優秀な人材は、普段はあまり年次の評価に興味がありません。優秀ゆえに、評価が基本高いからです。

しかし、正当に評価されていないと感じる出来事があると、会社や上司との強い絆や信頼関係が一気に崩れ始め、「覆水盆に返らず」。もう元に戻ることはありません。

評価が正当でないと感じるのは上司や部下間の評価結果よりも、誰かとの「相対評価」の結果が浮き彫りになった時です。

「なぜ、同期のアイツが私より成果が低いのに、ボーナスが高いのか」

「なぜ、自分より優秀でないアイツが先に昇格するんだ」、

「なぜ、私のほうが適任なのに、アイツがアサインされるのだ」

不信の正体は、自分と同じか下だと思っていた人材が、自分よりいい処遇を受けたことに対する「嫉妬」です。嫉妬は理屈で解決することは難しく、我慢の臨界点を迎えるタイミングで会社を去っていきます。

周りからは「嫉妬」は見えにくいので、「なぜ、優秀で認められているあの人が退職するのか!?」と右往左往しますが、本人には納得できない「何か」があるのです。

成長できるチャンスがない

優秀な人材は、「現状維持」でラクに成果を出そうと発想する人はほぼいません。どんどん仕事を覚え、より高みにチャレンジし、成長感や達成感を得ることが一番の喜びです。見方を変えると、優秀な人材はチャレンジしていないと仕事や今の会社・職場に「退屈」し、社外により成長の場を求めるようになります。

周りからみて「もっと工夫や成長の余地はあるだろう」と思えても、優秀な人材からすると、既に見切ったレベルであり、欲求を満たすレベルの刺激を感じなくなります。

優秀ゆえに、「この組織であとどれだけ成長できるか」が丸見え状態なため、「もうこの会社で学ぶことはなくなった」と思うようになり、社外に成長の機会や場を求め、去っていくのです。

他社の方がより高い評価・待遇を示してくれる

優秀な人材は、その評判が社内だけでなく社外にも広まります。転職エージェントやヘッドハンターから声がかかり、今より役職、仕事内容、報酬全て好待遇の条件のオファーが届くことが普通におきます。好待遇=高い評価で認められていることの証でもあり、社外でも認められていることはとても嬉しいことです。

また、同じ働くなら、より達成感やチャレンジ・やりがいを覚える仕事のほうが魅力を感じるのは普通ですし、報酬や職位も高いオファーに心を奪われることは致し方ない事です。

会社の風土や、経営方針に将来性を感じられない

優秀な人材は、同期や先輩と視点の高さ・広さ・時間軸が異なります。チャレンジし続け、成長を感じる仕事を通して、知らず知らずのうちに経営視点の「先見性」を自然に身に着けます。その結果、会社の経営方針や風土に対して「愚痴」をいうのではなく、「将来性があるか、どうか」でサクッと見切をつけてしまうのです。

周りからみると、特に愚痴や不満を言っていたわけでなく、前向きに仕事に取り組んでいたので、なぜ退職するのか理由がわからず、まさに「青天の霹靂」です。

優秀ゆえに退職する時は「飛ぶ鳥あとを濁さず」で無難な理由しかいわないので、「将来性がないと見切られた」と気づかず、退職のドミノ倒しが止まらなくなります。

働き方や業務の進め方の考えが古く、仕事の自由度が低い

優秀な人材は仕事の基本を素直に教わり、すぐできるようになりますが、決して鵜呑みにはしません。自分なりに本質を捉え、創意工夫を重ね、PDCAを効果的に回し、効率と成果の両方をあげ続けていきます。自由度を奪われ、昔からのやり方やルール通りに行うことを強いられることを嫌います。

それは決して過去を否定しているわけではなく、一旦受け入れた上で、より効果が高いやり方が優秀な人材には見えているので、もどかしさを感じてしまうのです。

そもそも、仕事の自由度が低い会社は優秀な人材と相性はよくありません。人材活用や育成の根本的なポリシーが合わないからです。仕事の自由度が低い会社は社員のスキルアップは足並みを揃え、着実に全体の平均点を上げていく思想です。決まったルールを疑うことなく、言われた通りに真面目にこなすタイプの人材がフィットする場は、創意工夫やチャレンジをしたい優秀な人材は資質が合わないので、辞めていくのです。

評価してくれた上司が外れてしまう

優秀な人材はスキルが高いだけは成立しません。上司が評価し、活躍しやすい環境を整えてもらって初めてパフォーマンスをあげることができるのです。組織は周りの協力があってこそ、大きな仕事や成果を生み出すことができます。足を引っ張られ、昇進などへのはしごを外されてしまえば、どんなに優秀な人材でも「仕事ができない評価が低い人」になってしまうことを優秀な人材は気づいています。

どんなに優秀な人でも上司が認め、推してくれなければ、思うような協力を得られない、やりたい仕事から外されるなどして今まで通りの活躍が難しくなり、仕事と人間関係がやりにくくなります。

優秀な人材は上司にもきちんと対応しますが、相性含め、合わない・スポンサードしてくれないことがわかると早々に見切りをつけます。はしごを外された後では転職する時の条件にも悪影響がでるリスクがあるからです。

優秀な上司が転職したら、部下もその上司の下で働くために転職することもよくあるくらい、優秀な人材は引き上げてくれる、やりやすい上司の大事さをわかっています。

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優秀な人があっさり辞める会社の特徴

優秀な人があっさり辞める会社の特徴

優秀な人材があっさり辞める会社にはいくつかの共通した特徴があります。ここではその特徴を解説します。

労働条件や職場環境に問題がある

最低条件として、労働条件や職場環境が整っていなければ、社員をきちんと大事に扱うことができない会社であると判断され、仕事を頑張る気になれないものです。

労働条件

労働条件とは、労働を提供する社員と雇う企業側の間で結ばれる雇用に関する取り決め事になり、賃金・労働時間・休憩時間・休日・年次有給休暇などが該当します。

就業規則や関連諸規程にルールとして記載しあったとしても、実際の現場がルールに則していない、長時間残業や休日出勤が断れない、サービス残業が当たり前、有給申請しても却下される、人員不足が慢性的で補充がないなどの実態であれば、優秀な人材はムダに争うことなく会社を去ります。

職場環境

職場環境とは、職場の内装や机やその配置、照明の明るさ、PC周りといった物理的な環境に加え、職場の上司やメンバー、関係先などの働く上での人間関係も大きな課題になります。

職場の生産性は「人」と「環境」の関数できまると心理学者クルト・レヴィンが述べたことは有名です。物理的な職場環境面が悪いと生産性に直結しますが、実は生産性に一番影響を与えるのはBigE(Big Environment)であり、それは「上司」にあたります。職場のメンバーの言動や行動も上司の影響を強く受けるからです。

差別やハラスメントやその他の言動や行動面でメンタル面に悪影響を与える職場環境は、優秀な人材はとっと見切をつけてしまいます。優秀社員だけでなく社員がベストを尽くせる視点から職場環境を整えることは必須といえます。

人事評価制度が機能していない

会社と社員の関係は「お願いした仕事がこれだけできたら、こう報いるよ」という「お願いと約束」で成り立っています。このお願いと約束の間を取り持つのが「評価」になります。

そのため評価に「納得感」があり、評価ルール通りにきちんと報いられなければ社員は会社に対する関係性が壊れ、不信感しかなくなります。人事評価制度が機能していないと、後出しジャンケンで会社や上司の主観や都合でいかようにも処遇が変わるものです。

評価基準がない、あっても曖昧、評価制度の中身が見える化されていない、経営や役員・上司の主観や気分で評価があからさまに決まる人事評価制度や運用であれば優秀な人材は早々に見切りをつけます。理由は2つです。

人事評価の「中身」は注視している

優秀な人材は、最終的に優秀と判断されることを知っているので評価結果に一喜一憂はしませんが、自分をより高みにあげるため、出来ていることでもどう伸び代があるか、出来ていないことはどのように改善すればいいかを客観的に気づいているため、人事評価の中身を気にします。

「ご機嫌伺いで評価が決まる」評価には相容れない

人事制度が機能しないと、仕事や実力をあげるより、上の顔色や機嫌を伺うなど「気に入ってもらう」ことで処遇をあげようとする人が続出します。優秀な人材はその会社でしか通用しない、上に気に入ってもらうことしかできない人材になる気はないので見切をつけるのです。

管理職の能力が不足している

経営と現場の結節点となる、組織の要が管理職ですが、管理職のマネジメント能力が不足していると優秀な人材は離れていきます。理由は3つあります。

管理職から自分の未来を想像する

管理職は部下からみると近い将来の自分の姿に映ります。その近い将来の姿が能力不足の管理者では、この組織にいてもスキルアップは難しい、この管理職から学ぶことをないと優秀な人材ほど早々に見切りをつけてしまいます。

会社の将来に不安を持つ

能力が不足している管理職は、目の前の現場仕事を回すことに追われ、それだけで手一杯になるため、会社のミッション・ビジョン・バリューや戦略、事業計画を経営目線で捉えた上で、現場に翻訳して伝えることができません

優秀な人材は、この会社が何を大事にし、どこに向かうかがわからないため、先行不安になり会社を見切ってしまうようになります。

管理職が原因で成長できないと感じる

3つ目は、管理職は部下の資質を把握し、適切な指導を行い、成長させることが重要な役割ですが、能力不足であれば部下は適切や指導や動機付けをしてもらえません。

優秀な人材は、チャレンジしたりやりがいのある仕事を通ししてレベルアップを求めているので、適切なマネジメントができない管理職の下からは離れていきます

全員がきちんと自分の役割を果たしていない

働かない人がいる、誰かに仕事を丸投げや押し付けをしている人がいる、トラブルの責任を取らずに逃げるのに手柄は取り上げる人がいるなど、組織運営が機能していない職場では、優秀な人材は去っていきます。

なぜなら優秀な人材は、仮に自分が管理職になったとしたら、それらの問題を全て片付ける羽目になることが目に見えるためです。

退職の本当の理由はでてこない

優秀な人材から退職の本当の理由を聞きだすのは困難です。「飛ぶ鳥跡を濁さず」と余計なもめ事を避けます。しかし、優秀な人材を立て続けに失わないためには、本当の理由を知る必要があります。

関連資料をご用意していますので、ぜひご覧ください

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優秀な人材が辞める兆候とは?

優秀な人材が辞める兆候とは?

優秀な人材が辞める前には共通した兆候には段階があります。その兆候や段階を知ることで優秀な人材が辞める前に手を打つことも可能でしょう。

仕事に対する前向きな姿勢がなくなる

優秀な人材は、仕事に対して常に前向きな姿勢を示していますが、それがなくなってきた時は要注意です。今の会社にいることやキャリアで深く悩み、大好きだった仕事さえ集中できなくなってしまっている状態だからです。

具体例

  • 明らかに成績や業績が落ちている
  • 会議や面談での発言が減り、意欲の低下を感じる
  • 仕事への積極性がなくなっている、など

普段と様子が違うので、「たまたま運が悪かったのかな?」「スランプなのかな?」、「ずっと忙しかったから休んでリフレッシュしたらいいのでは?」と復活を信じて温かく見守ったり、「あなたらしくない!」と上司や同僚から発破をかけてやる気を引き出そうとしたとします。この場合は、どんな周りからの動機づけも逆効果になります。

今の会社を見切るか、それともどこまで頑張るか、転職するにしてもどんなキャリアを考えていけばいいか、意識や思考のベクトルが内側に向いているので、無理やり外側に向けようとすればするほど自分の殻にとじこもるようになります。

この段階であれば、優秀な人材の不満を解消し、期待を満たす施策や対応ができれば、引き留めることが可能です。

会社の人との接触を極力減らす

次に会社の人と距離を取るようになります。優秀な人材本人にとって、響かない励ましやアドバイスを聞く時間さえもったいないですし、次のキャリアステップを考えていることを悟られないようにするためです。

次のキャリアが決まったら、転職活動をする時間も必要になるので、会社の人と関わる時間を最小化し、今の会社にバレる前に転職先を決めるよう水面下で動き出します。

具体例

  • 有給や早退などが増えた
  • ランチや飲み会を断るなど、コミュニケーションを取りたがらない、など

  

優秀な人材は退職してから転職先を探すよりも、在籍時に転職先を決めてから会社に退職を伝えることがほとんどです。

しかも、優秀な人材に限らず、人はキャリアの悩みを持っていることや転職活動していることを知られたくないものです。周りに悟られた瞬間に、100%退職の意志を決めてしまいます。説得すればしようとするほど退職の意志が固くなるため、急に寄り添ってコミュニケーションを取ろうとしたり、鎌をかけたけたりして本音を聞き出そうとすると、「転職活動がバレたのでは」と悟られてしまい、逆効果です。

本人がコミュニケーションを避けているとしても、心を許していそうな同僚がいれば、様子を確認してみるのもよいでしょう。

言われたことをただ素直に受け流す

転職の意志を100%固め、次のキャリアのステップが決まった瞬間、急に今までのわだかまりがなくなり、言われたことを素直に聞き、人間関係も円滑になります。周りからみると、「素直になった、意見しなくなった」と変化を受け入れますが、当の本人は「飛ぶ鳥後を濁さず」状態で、転職時にムダに揉めることは避けたいのです。

具体例

  • 身辺整理を始めている様子がうかがえる
  • 争いや葛藤がなく、悟ったようにみえる、など

この段階に進むと、引き留めることは非常に困難です。本人の中に答えが出ており、そのレールに乗って動き出しているため、もう止められません。

次の退職者がでないようにするなど、職場の生産性や他に人材流出を喰いとめる手を打つなど、被害を最小限にとどめ、予防施策を展開するしかないといえるでしょう。

優秀な人を辞めさせないためにすべき6つの打ち手

優秀な人を辞めさせないためにすべき6つの打ち手

優秀な人材が突然辞めるのは、退職する側ではなく、会社側に問題があるからであると捉えることで、退職防止に繋がる効果的な打ち手を行うことが可能です。

人事制度を見直し、透明化する

優秀な人材を引き留めるためにも、人事制度を見直し、3つの透明化を図りましょう。

1つめは、きちんと成果や行動の基準を示し、何をやったらどう報いるか、「お願いと約束」をハッキリさせることで評価や処遇に対するモヤモヤを払拭することです。

2つめは報酬水準を会社の支払い能力だけでなく市場水準を加味し、適正な報酬水準を担保してあげることです。

3つめは、人事制度の運用も透明化することです。どんなに人事制度を明確にしても、実際の運用がブラックボックスではかえって不信感が募ります。

評価運用もきちんとモニタリングを行い、その実態を可視化することが重要です。

従業員の意向を知ることを仕組み化する

世代により働く価値観やモチベーションの源泉は異なりますし、個人によるその違いも尊重される多様性が今の職場に求められます。

上世代のやり方を下世代に徹底してもうまくいかないはことが当たり前の現代は、みんなでうまくいく方法を模索しながらチーム運営していくことが重要です。

それには、従業員の意向を正しくちゃんと知ることが肝心です。これは逆さまのピラミッドで考えると上手くいきます。

1on1など、直属の上司と部下の関係性を強化させる仕組みも、部下の意向を上司の世代が学ぶ場・意向を吸い上げる場と位置付けることで、会社や上司が部下とどう接したらいいのかわかるようになります。

直属上司のみならず、経営者や他の管理職とざっくばらんに話せる場を設けることも、部下の本音を引き出し、学ぶ場になります。経営者や他の管理職世代とのコミュニケーションは直接の利害関係が薄いため、客観的に経営者や上の世代のものの見方や考え方を部下が素直に学びやすくなるメリットもあります。

その上でアンケートを導入して社員の意見を可視化し、傾向を分析することで、組織運営の課題の早期発見にも繋がり、素早い解決を行いやすくなります。

関連記事:1on1ミーティングとは│注意点と効果を高める3つのポイント

部下との関係構築についての管理職研修を行う

日本企業の大半は、担当者として一人前以上になったら、あとは自己啓発で頑張れといった傾向が強いため、マネジメントや部下との関係構築のコツについてきちんと学ぶが少ないものです。

また、基本的な理論や管理職から部下に「伝える」面に特化している場合が多いですが、部下との関係構築は、上司が絶対だった時代のやり方は逆効果になりかねません。部下との関係構築について学ぶ管理職研修もアップデートが必要です。

具体的には「伝え方」から「傾聴やカウンセリング」といった聞き出すことで信頼感を高める技法を学ぶことをお勧めします。「辞めたい」は部下からいいにくいし、表に出にくいものなので、それらを察することができるようになります。

また、昭和世代の伝え方は今の若い世代には刺さりません。同じ意図を伝えるのでも、若い世代は「どういったら響くのか」を若手から聞き出して、「旧世代:俺が責任を取るから任せる→Z世代:任せるよ、ただ困ったら一緒にやるので安心してね」という新旧と対応させた研修を行うことで、上の世代も具体的になんといえばいいか正解がわかるので関係改善にダイレクトに繋がります。

「辞める」を決意する前に気づけるかは管理職との関係性が重要

管理職や直属の上司との関係がよくないと、辞める兆候を発見することは難しく、気づいた時はすでに遅しという状態になります。

「事前になんで相談してくれなかったのか」「退職を急ぎ過ぎる。もっと長い目線でキャリアを考えてあげていたのに」と感じるのは管理職や直属上司の主観です。

コミュニケーションはきちんと適切に取っていたし、大事に想い気をかけていたと管理職や直属上司が感じていたとしても、部下の立場に立てなければ、ただの「独り言」か「おしゃべり」にしかすぎません。部下が上司にNoを突きつける離婚届は「退職届」です。

きちんとコミュニケーションが取れていて信頼関係が築けていれば、退職届が出る前に、その兆候を必ず上司は感じとれますし、事前に退職について優秀な人材から相談してくるものです。

コミュニケーションは頻度や長さでも、自分が言いたい事をしゃべることでも、説得するものでもありません。その第一歩は、職位や年次・年齢に関係なく「信頼でき、安心して相談したい」と思われる人になることをスタンスから学び直すようにすることで、上司の部下への信頼や想いが届かなくなることはなくなります。

キャリアパスをしっかり示す

部下のキャリアパスを上司が勝手に決めるのは言語道断ですが、部下にキャリアを選ばせるにしても、「管理職コース」「専門職コース」と大きな職群レベルの括りでは、部下は具体的にどんなキャリアを描けばいいかハッキリしません。

「出世したいです」と管理職を目指すか、「管理職は大変そうなので、専門性を活かして自分らしく活躍できればいいです」と専門職を目指すという曖昧なレベルでは具体的に何をいつまでに、どう学び、できるようになればいいか部下はわかりません。

また、変にキャリア計画を立てても、その通りにならなければ「配置ガチャで外れた」「希望が叶わなかったのでもうダメだ」とキャリアを明確にしたからゆえに、絶望を与えることになりかねません。

会社や組織/職種に応じてどんなキャリアパスがあるかを示すには、ステップを示すだけでは、どうレベルアップすればいいかが見えてきません。

社内で活躍している人に、「どのステップの時に、どんな経験をしたか」について成功・失敗体験を語ってもらい可視化することで、はじめてキャリアパスの実像がみえてきます。

そのためには、社内で活躍している人のパネルディスカッションやインタビューを行うのもひとつの方法です。公開開催でみんなに聞いてもらう、撮影した動画をいつでも見られるようにするのもいいですし、最終的には動画の内容を積み上げ分析したうえで共通パターンを可視化し、キャリアパスの中身として落とし込むといいでしょう。

そうすることで、どんな道(パス)を通ればいいかだけでなく、ゲームでレベルアップしてクリアしていくように具体的にインプットされるようになるため、希望通りの異動配置でなくても、その場所でどうレベルアップすればいいかがわかるので、キャリアを諦めることなく、モチベーションを高め続けることができ、優秀な人材の離職を防ぐことが可能です。

業務量の適正化や裁量権を与える

「忙しい人にこそ仕事を頼むと速くできあがる」という真理があるため、優秀な人に仕事が集中しがちです。「仕事の報酬は仕事」とは言うものの、他人のノルマまで押し付けられ過ぎると優秀な人材であっても、燃え尽きてしまいます。また、優秀な人材は責任感が強いので、余計、抱え込んでしまう傾向があります。

優秀な人材に必要以上に他人のノルマが押し付けられないよう、業務量の適正化を図るとともに、やりたい仕事へのアサインや、裁量権を与えることで、優秀な人材がさらに成長できるよう環境整備をしてあげることも効果的な施策になります。まさに正しく「仕事の報酬は仕事」を実現できるように、守ってあげることが重要です。

退職者インタビュー・アンケートを実施

人は退職を決め、退職した後でないと本音はなかなか言えないものです。社内だけではみえてこない退職者の本音には、組織運営に関する様々なヒントがあります。それを活かし、自社の課題を浮き彫りにすることで、本質的な課題の根本がみえてきますし、それに対し、適切な施策を講じることでダイレクトに解決に繋げることができます。

退職者インタビュー・アンケートによる退職者の本音という置き土産を忘れずに受け取るようにすることで、退職ドミノ倒しを食い止めましょう。

関連資料:退職者インタビュー実施事例 離職率の低減に役立つ"退職者のホンネ"の聞き出し方

まとめ

優秀な人材の流出を「管理職」の責任だけにするのは特定の人を悪者に仕立てあげて攻撃するスケープゴートです。

ただでさえ今の管理職をとりまく環境は以前にもまして変化が激しく、管理職に対する業務負荷は業務量と難易度のどちらの面でも高くなっており、ある意味管理職も被害者と言えます。

会社を共同体と捉え、みんなできちんと機能させていくよう、全社・人事・現場が一体となって会社をよくしていくことが、最終的には優秀な人材を惹きつけ、引き留めていくことに繋がります。

著者プロフィール

松本利明(人事・戦略コンサルタント HR総研客員研究員)

松本利明(人事・戦略コンサルタント HR総研客員研究員)

PwC、マーサー、アクセンチュア等外資系大手のコンサルティング会社で300社以上の人事コンサルティングに従事後、現職。5万人リストラ、7000名以上のリーダー選抜と育成に従事した人の「目利き」。『できる30代は「これ」しかやらない』(PHP研究所)が近著。著作累計18万部。英国BBC、日本テレビ、TBS、日経新聞、週刊東洋経済、新R25等、メディア実績多数、講演多数。

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