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企業の永続・成長のためには、次世代の育成ひいては若手人材の採用が肝要です。しかし、若手人材の採用がうまくいかず、採用コストと工数だけがかかっている企業の姿が目につきます。
優秀な若手人材を採用するためには、いったいどのような戦略が必要なのでしょうか?
ここでは、若手人材の採用に苦労する背景と選ばれるための条件、採用のためのノウハウについて解説します。
最初に、若手人材の採用が容易ではない原因や背景を探っていきましょう。
2008年をピークに日本の人口が減少を続けていることはよく知られていますが、特に若年層はその傾向が顕著にあらわれています。
総務省統計局のデータによると、25~34歳の労働力人口は、2010年時点で1,329万人でしたが、2020年9月時点では1,146万人まで減少しています。
同年齢層の就業者数も、2009年から2019年まですべて前年より減少しており、2009年の1,277万人から2019年の1,110万人と約13%の減少が見られます。
労働市場において若年層の労働者自体の少なさ、採用の現場にも大きな影響を与えています。労働力の不足は今後も解消される可能性が低く、特に若年層については増加の期待はもてません。
日本の人口は2050年に約1億人まで減少する見込みです。さらに、5歳以上65歳未満の生産年齢人口比率は急激に低下しており、1995年には70%を占めていた生産年齢人口が、2050年には50%近くまで減少すると予測されています。
平成29(2017)年度に内閣府が行った、就労等に関する若者の意識を調査した「子供・若者の意識に関する調査」を分析した「平成30年版 子供・若者白書」では、若年層の就労意識に以下のような特徴があるとされています。
では、現在の若年層が「働くこと」について、かつての時代とはどういった点で異なる意識をもっているのか、詳しくみてみましょう。
同じ企業で一生働くことの価値が薄れている、という傾向が見られます。仕事に対する意識が多様化し、安定と収入を重視する一方で、「自分のやりたいことができる」、「自由な時間が多い」といった点についての希望が高いのが特徴です。
「採用してあげる」のような高い位置からの目線や、過去の慣例・就職に関する考え方に基づいた採用活動では、若年層のニーズをとらえきれず、採用が難航することが予想されます。
フリーランス、SNSを介した自由な横のつながり、海外で働くことや転職への抵抗の低さなど、多様な働き方がごく当たり前に捉えられています。副業やダブルワークも普通のことだと感じている人も多く、「発言や行動の自由度が低い」、「拘束時間が長い」といった様子が見られる企業は、避けられる傾向にあります。
高齢者人口の増加によって生じる社会構造の比重の偏りなど、将来への不安が増大しています。労働力不足による自身への荷重やプレッシャーだけでなく、昇給率は変わらないのに税金負担が増大する可能性にも懸念を抱いています。「年齢とともに税金負担などの社会的要求は増大していくが、昇給はあまり見込めないのでは」といった不安を感じている人も多いようです。
マンパワーグループの調査によると、日本のほとんどのミレニアル世代(1982~1996生まれ)が「前の世代より長い期間働くことになる」と考えており、世界のなかでも突出しています。
7割を超えるミレニアル世代が「65歳以降も働く」と想定しており、そのうち「死ぬまで働く」と回答している人は4割近く見られます。
自由や多様化への意識が高い反面、自分の将来像については「長く働かなければならない」という現実を冷静に考えている様子が伺われます。
続いては、若年層の意識変化を踏まえたうえで、若手人材が就職する際に「企業に求める条件」について考えていきます。
ミレニアル世代のキャリアに関するキーワードは「高い収入」と「個人」です。働きに見合った年収を得ることができ、着実な年収アップを果たしながら、プライベートも充実させるのが理想であると考えられています。
「働くこと」に関して重視しているのは、端的にいうと「お金・安定・休暇」の3つということです。具体的に見ると、企業に求める条件としては、以下のようなものが挙げられます。
現代の若者世代は、「楽をして生きたい」と考えている訳ではありません。着実な収入アップを目指すには、それなりのスキルが必要なこともよく理解しています。
生涯にわたって、ただ1つの企業に勤めることに固執はしていませんが、その一方で「転職によるキャリアアップの厳しさ」についても考慮しています。
マンパワーグループの調査でも、93%が生涯にわたる学習を望んでおり、スキルアップしていくためには時間や費用をかける意思をもっています。5人中4人は転職にあたって「新たなスキルをもつことが重要な要因である」と考え、仕事については自分を高めるための足場ととらえています。
若年世代にとって雇用の安定はキャリアの安定であり、そのなかにあっても学び続けられることを期待しています。このことから就職する企業に対しては、「雇用の安定」と同時に「スキルアップの機会提供」を常に求めていると考えられます。
次は、若手人材採用で失敗する原因を探りながら、成功へのノウハウについて見ていきましょう。
採用したい人材のターゲット像が曖昧なまま母集団を増やすことに重きを置いて不特定多数を集めている。コストや労力がかかるわりに採用できない、採用しても早期退職してしまう。
採用したい若手人材が企業や仕事に求めていることへの理解が不足しているため、若手人材が「この会社に入社したい」と思える自社の魅力を発見できていない。
また若手人材が「この会社に入社したい」と思える情報を適切なメディアを活用して発信ができていない。
採用する側の都合を優先している。求職者のニーズをとらえられていない。
また、買い手市場だった過去の採用活動のスタイルから抜け切れておらず、「採用してやる」という選ぶ目線になってしまっている。
仕事内容、雇用形態、試用期間、給与などが具体的でない。社員の待遇がわからない。
その企業に入社したらどのようなキャリアが期待されるのかがわからない。
若手人材に選ばれる企業になるためにできることを解説します。
若手人材を採用できない原因を見ながら、自社の状況と照らし合わせていきます。
大切なのはターゲットとする求職者を可能な限り具体化し、その人材が求めるものを研究することです。そこから得られた情報を、自社のアピールポイントに取り入れていきます。
求職者は、その企業に自分が入社した後の「将来の姿」に興味をもっています。イメージモデルを構築し、求職者に向けて提案するつもりで採用活動に臨みます。
快適な職場環境であるか否かは、既存社員の姿に明確に反映されます。
現時点における社内環境を見直し、優秀な人材やターゲットとしている人材層から見て敬遠されるような環境になっていないかなどチェックしましょう。働いている若手社員に率直な意見を聞いてみるのも有効です。
採用担当者が自社の魅力に対して自信をもっていなければ、相手に伝わる魅力も小さくなってしまいます。見逃しがちな細部にこそ、他社をしのぐポテンシャルが隠れている可能性があります。
自社の良い点を丁寧に掘り起こし、魅力として積極的に発信していきましょう。現在の若者の志向と自社の魅力をすり合わせ、他社との差別化のポイントにしていきます。SNSなど、若い世代に繋がりやすい形で発信することも重要です。
ただ「若手人材が欲しい」というだけで採用活動を推し進めても、好ましい結果にはつながりません。若手人材にかける「自社の期待がどのようなものであるか」を相手に確実に伝えられるように準備をしていきます。
自社ニーズを正しく伝えることによって、双方の理解のすれ違いをなくし、ミスマッチを未然に防ぎます。
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若年層の働き手が減少傾向にあることは、人口構成から見ても紛れのない事実です。「以前のように若手人材を採用できなくなってきている」と感じている企業もあるでしょう。
この場合、従来の採用手法を見直す必要があります。若手にとって魅力のある企業に応募が集中し、そうではない企業は苦戦する、という状況はすでに起きています。しっかりと現状を把握し、対策を立てていきましょう。
参考:
労働力調査(基本集計) 2020年(令和2年)9月分結果|総務省統計局
ミレニアル世代のキャリア 2020年に向けたビジョン|マンパワーグループ(PDF)
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