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若手が早期退職してしまう理由とは?退職防止で心がけることを解説

掲載日2023年5月23日

最終更新日2024年4月16日

若手が早期退職してしまう理由とは?退職防止で心がけることを解説

目次

若手への指導に悩む管理職

若手の離職や、指導がハラスメントと誤解されることを危惧するあまり、改善を促す指導についてどのように実施すべきか悩んでいる管理職も少なくありません。

伝え方によってはモチベーションが下がるなど逆効果になってしまうこともあるため、フィードバック実施のために「正しく伝える"技術"」を身に付けることが重要です。

下記の資料では「正しく伝える"技術"」を身に付けるためにはどのようにすればよいのかを解説しています。

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入社3年以内の若手社員の離職率は約3割といわれています。とはいえ、少子高齢化が進むなかせっかく採用した若手人材の早期離職は起こらないことに越したことはありません。

本記事では、若手社員が早期に離職する理由、離職を検討している社員が取りうる前兆行動のほか、離職防止につながる対策について解説します。

若手の退職状況

2022年10月に厚生労働省が発表したデータによると、2019年3月に卒業した新規大学卒就職者の3年以内の離職状況は31.5%に上ります。

この数値が冒頭の「入社3年以内の若手社員の離職率は約3割」の根拠とされており、1987年以降25%を下回ったことは1992年と1993年しかありません。長きにわたり若手社員は高い割合で早期離職しており、多くの企業で課題となっています。

2019年3月の詳細な離職率を見てみると、事業所規模が小さいほど離職率は高い傾向にあり、従業員数が30~99人の事業所では39.4%が、5~29人の事業所では48.8%が離職しています。

産業別で最も離職率が高いのは宿泊業・飲食サービス業の49.7%で、次いで生活関連サービス業・娯楽業(47.4%)、教育・学習支援業(45.5%)と続きます。

▽事業規模別の新卒社員の3年以内の離職率

事業所規模 高校 大学
5人未満 60.5% 55.9%
5~29人 51.7% 48.8%
30~99人 43.4% 39.4%
100~499人 35.1% 31.8%
500~999人 30.1% 29.6%
1,000人以上 24.9% 25.3%

▽新卒社員(大卒)の3年以内離職率が高い職種上位

業界 離職率
宿泊業・飲食サービス業 49.7%
生活関連サービス業・娯楽業 47.4%
教育・学習支援業 45.5%
医療、福祉 38.6%
不動産、物品賃貸 36.1%

出典|厚生労働省 新規学卒就職者の離職状況(平成31年3月卒業者)外部リンク

 

若手社員の早期退職にともなう損失

採用/育成コストの損失

大卒の新入社員を1人採用するために必要なコストは、大体百万円前後といわれています。

この金額には、「就活サイトやスカウトサービスの使用料」「イベントの出展料」「人材紹介会社の成果報酬」などの採用サービスにかかる費用や、「自社採用ホームページの制作費」「会社紹介動画の制作費」などの採用広報にかかる費用、採用担当者や面接官の人件費などが含まれています。

さらに、新入社員の給与や賞与、教育研修費用やPCなどの設備投資、法定外福利費(社会保険料等)なども考慮すると、2年目、3年目までには数百万円~千数百万円のコストがかかっていると想定されます。

せっかく採用し育てた若手社員の早期離職は、企業にとって甚大なコスト損失につながることがわかります。

企業のイメージ損失

若者雇用促進法に基づき、企業は採用広報時に職場情報を開示する義務があります。そのひとつに「過去3年間の新卒採用者数・離職者数」があります。

学生は企業の離職率を把握できるため、離職率の高い企業は学生から「人が早期に辞めていくだけの理由がある会社」と捉えられ、マイナスイメージの流布につながり、将来的な組織力を低下させる恐れさえあります。

特に1995年頃~2010年頃に生まれた今の若手社員の世代は「Z世代」とも呼ばれ、物心ついた頃から携帯やインターネットに触れて育ってきた「ソーシャルネイティブ」です。

彼らは、口コミサイトやSNSを通じて企業の情報収集をすることも多いため、たとえハラスメントの実態がなくとも「離職率が高い=ハラスメントの多い会社」という情報が拡散されるリスクがあり、求職者に回避されてしまう可能性があります。

残る従業員のモチベーション低下

社員の早期離職は、会社に残っている従業員のモチベーション低下にも影響をおよぼします。

社員が離職し、後任がいないままの状態を放置すると、残された社員に離職者分の業務量が割り振られるため疲労やストレスがかかります。疲労や過度なストレスがかかっている状態では、100%のパフォーマンスを発揮することは難しいでしょう。

離職者分の業務量を軽減しようと新たに人材を投入しても、入社後は教育に時間をとられる上に、新しい人間関係の構築が必要となり、しばらくの間は残った社員は高いストレス下にあります。

最悪の場合、残った社員も離職する「連鎖退職」が起きてしまう可能性もあります。このように離職率が高いと、生産性の低下を招き円滑な事業運営の支障になる可能性があるのです。

このように、早期離職は、直接的な金銭的コストだけでなく生産性の低下や将来的な企業力を損なう可能性があるため、対策を講じる必要があります。

若手が退職してしまう7つの理由

新入社員が早期に離職してしまう理由を7つ紹介します。以下の要因にあてはまる離職は、退職リスクの高い職場ともいえるため、早急な対策が必要でしょう。

7つの理由

  1. 入社前に持っていた期待とギャップを感じた
  2. 仕事内容に納得がいかない
  3. 職場の人間関係が上手くいっていない
  4. 尊敬できる人がいない
  5. 会社に貢献できている実感が薄い
  6. 自身の成長が感じられない
  7. 会社に将来性が感じられない

1. 入社前に持っていた期待とギャップを感じた

入社前に抱いていた期待とは異なる現実にショックを受けることを「リアリティショック」といい、早期離職の大きな原因の一つとされています。

リアリティショックが起きる背景には、人材不足があります。

コロナ禍で、「買い手市場」に傾いた年もありましたが、現在採用市場は「売り手市場」といわれて久しく、人材不足は多くの企業の課題です。目標の採用数を確保するために、採用担当者は自社の魅力的な情報のみを学生に伝えることに終始してしまう傾向にあります。

その結果、残業の多さなどを目の当たりにした新入社員は、「こんなはずではなかった」と入社前の期待と入社後の現実に大きなギャップを感じてしまうのです。

マンパワーグループが2023年1月に人事担当者に対して実施した調査では、若手からリアリティショックについて相談されたリアリティショックの要因トップは「過労とストレスを感じる」でした。

本調査データでは、相談を受けた際の対処法についても掲載していますので、ぜひこちらもご覧ください。

新入社員や若手社員はどんなことにリアリティショックを感じていましたか

2. 仕事内容に納得がいかない

仕事内容に対する不満の例としては、「地味な仕事ばかりで面白くない」「ノルマが厳しすぎる」などが挙げられます。これは先ほど説明した入社前後のギャップに加え、「挑戦水準」と「能力水準」が上手く釣り合っていないことも原因といえます。

自身の能力に対して挑戦のレベルが高すぎると不安が強くなり、挑戦を楽しむことができなくなります。反対に、自身の能力に対して挑戦のレベルが低すぎても退屈を感じてしまい、楽しむことができません。

上記は、心理学者チクセントミハイ博士の「フロー理論」で語られているメンタルステート(精神状態)の解説に基づいた考え方です。

一番やりがいを感じられる「適度にストレッチ(背伸び)している状態」をキープするためには、それぞれのスキルに応じた明確な目標設定や、目標を達成するための環境整備などが重要となるでしょう。

3. 職場の人間関係が上手くいっていない

人が組織に馴染んでいく過程を調べた研究「社会的同化における始動活動の役割」(Daniel Charles Feldman)によれば、「職場の仲間に受け入れられた感覚(受容感)」を先に認知した後に、「仕事ができるようになった感覚(有能感)」を得られるとされています。

つまり、仕事の結果を出す前に、まずは職場の仲間に受け入れられた感覚がなければ、仕事ができるようになったと感じにくいのです。

職場の人間関係が築けておらず孤独感を持っている場合、「仕事が上手くいっていない」「この仕事は自分に合わないのでは」と感じやすくなり、離職リスクが高まります。

4. 尊敬できる人がいない

Z世代の就活生は、リーマンショックやコロナ禍という社会不安の中で育ってきたため、「どこでも通用するように自身のスキルを高めること」を重要視しています。

特に上司や先輩は、若手社員にとって一番身近なロールモデルです。身近に魅力的で尊敬できる上司や先輩がいない場合、「この会社にいても自身の描く将来像にはなれない」と思われ、離職につながりやすくなるでしょう。

5. 会社に貢献できている実感が薄い

社員が「会社に貢献できている」と実感するには、本人の行動に対して周囲から評価・承認・フィードバックを得られているかが重要です。定期的な業績評価だけでなく、日常的な感謝の一言が貢献実感につながります。

しかし、若手社員の直属の上司に多い課長職クラスは、売り上げを上げるプレーヤーであり部下を管理するマネージャーでもある「プレイングマネージャー」であるケースも多く、マネジメント工数不足で部下の細かな行動を把握できていない状況に陥りやすくなっています。

さらに、テレワークの普及によって旧来のマネジメントスキルのみをもってしては、部下の行動把握と評価がしづらい環境になっています。

このように、周囲から適切に評価されない環境では、「自分はなんのためにこの仕事をしているのだろう」と貢献を実感しづらく、離職の可能性が高まります。

6. 自身の成長が感じられない

近年は、将来予測が難しい「VUCA時代」といわれ、商品ライフサイクルや1つ1つの仕事のスパンが高速化しています。半期前に身につけたスキルが次の半期で生かせるとは言い難い場面も多く、若手社員の多くは成長実感を得にくい環境にあるのです。

前述のように、現代の若手社員は「成長」を会社選びの軸としている以上、3年以内に成長を感じられないのであれば、離職リスクは高まるでしょう。

7. 会社に将来性が感じられない

現代の若手社員世代であるZ世代は、不透明で曖昧なVUCA時代を生きるために「ダイバーシティ」や「リベラル」など多様な価値観や社会的公正を目指す教育を受けてきました。そのため、若手社員は「多様な価値観を受け入れられる環境が安定的な企業成長につながる」と考えているのです。

言い換えると、現代にそぐわない企業風土や、IT化に遅れている企業、働き方改革が進んでいない企業など、時代の変化を受け入れきれていない企業は「会社の将来性がない」と捉えられやすく、Z世代にとっては居心地の良くない環境だといえます。

このように、離職に至る理由は多岐にわたります。何か一つ決定的な理由があって離職に至るというよりも、上記のような理由を主とした日常のさまざまな不満やストレスの蓄積が徐々に離職を意識させるのです。

「伝え方」を鍛える

若手はひとりで悩みやすく、表に不安や不満が出てきたときには、すでに退職意思が固まっていることもあります。

管理職やOJT担当者は、普段からのコミュニケーションを意識しなければなりません。一方で、教育という側面から指導する必要もあります。

ネガティブなことを伝えるにはスキルが必要です。伝え方は見つけることができるスキルです。資料をご用意していますのでぜひご覧ください。

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若手の退職意思を感じ取る予兆とは?

離職を意識すると、自然と日常の行動にその意識が現れてきます。以下に離職を意識している社員が取りやすい行動を紹介します。

ただし、どの予兆も元から本人に見られる行動傾向の場合もあります。あくまでも日々の行動と比較して、違和感があれば予兆と捉えましょう。

退職の予兆

  1. 仕事に取り組む姿勢に積極性がなくなっている
  2. 愚痴や不満が増えている
  3. 就業時間外のコミュニケーションが減っている
  4. 異分野の勉強を始めている

仕事に取り組む姿勢に積極性がなくなっている

これまで積極的に会議で発言していた社員があまり発言をしなくなった場合や、指示された業務のスピードやクオリティに低下がみられた場合など、仕事に対する積極性が失われている様子は、退職を考えているサインの一つです。

単純にほかの業務がひっ迫している可能性などもありますが、「自分が頑張っても何も変わらないだろう」「この仕事を頑張ったところで何に生きるのだろう」と成長や貢献を感じられない状態になっている可能性が高いでしょう。

愚痴や不満が増えている

愚痴や不満が増えたと感じる場合も離職の予兆です。

仕事や職場に慣れると、誰でも愚痴をこぼしてしまうものです。しかし、口を開く度に愚痴ばかりこぼすようになった場合は、既に「もう会社を辞めようと思っているため、何を言っても自分には関係ない」と思っている可能性が高いといえます。

就業時間外のコミュニケーションが減っている

ランチや飲み会に来なくなった、など就業時間外におけるコミュニケーション量の減少も離職サインの可能性があります。就業時間以外のこうしたイベントへの参加は自由であり、家庭の都合などさまざまな事情で参加できないケースも大いにありますが、「離職時の申し訳なさを極力減らすために早めに在籍社員と距離を空けておこう」などと考える社員もいます。

今まで積極的に参加していた社員の参加率が下がってきたと感じたら、注意が必要かもしれません。

異分野の勉強を始めている

自社業務に関係の薄い資格の勉強を始めた際なども離職の予兆といえます。

そこには、「目の前の業務より、少しでも次の仕事に役立つことに時間を使いたい」という心理があります。趣味で始めた可能性もありますが、特に複数の資格取得を目指している場合などは特に注意を払う方がよいでしょう。

このように、離職を考えている社員は少なからず行動に現れてきます。予兆を感じ取った際は、早急にコミュニケーションをとることを心がけましょう。

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若手の早期退職を防ぐ5つの対策

最後に、若手の早期離職を防ぐ対策を紹介します。一朝一夕でできるものではないため、若手社員の早期離職に課題を感じている人事の方はできるだけ早く取り組みましょう。

早期退職の対策

  1. 入社後にギャップを感じさせない採用活動を心がける
  2. 労働時間などの労働環境を整備する
  3. 企業理念や事業目的を改めて伝える
  4. 人的な環境を整える
  5. 社内のキャリアプランを示し、若者のキャリアプランを支援する

入社後にギャップを感じさせない採用活動を心がける

まずは、早期離職につながる大きな原因の一つ「入社前後のギャップ」の解消です。

入社前後のギャップを感じさせないためには、選考の時点で自社の魅力的ではない情報も隠さずに伝えることが重要です。

実際に、「現実的な仕事情報の事前開示(Realistic Job Preview:RJP)」が新人の定着を促す効果があるといわれています。

例えば、「入社1年目はテレアポが中心」といった具体的な職務内容や、給与体系や「年間の平均残業時間は20時間だが繁忙期は30時間を超えてしまうこともある」といった勤務時間などに関する待遇面、「速度より手順を踏むことを重視する」などの組織風土などを明確に伝えることが重要です。

ただし、タイミングや伝え方を間違えてしまうと、本来採用できる人材を取り逃がす可能性があります。本来採用できる人材を取り逃がすことなく「RJP」を行う適切なタイミングと伝え方は、「候補者がある程度自社に魅力を感じているタイミング」で「丁寧に伝える」ことがポイントです。

候補者がある程度魅力を感じているタイミングであれば、RJPを行っても「100%完璧な会社なんてない、そのぐらいは受け入れよう」という心理になりやすいです。

丁寧な伝え方で意識するべきポイントは、魅力的ではない箇所について社内で対策をとり始めている話や、その箇所があるからこそ手に入るものもあるという「トレード・オフ」を用いて伝えることです。

例えば、「入社1年目はテレアポが中心だが、顧客に老舗企業が多く言葉遣いやマナー、段取りなど信頼度の高い振る舞いを身につけられる機会が多い」、「確かに繁忙期には残業時間が30時間を超えることもあるが、閑散期には定時を15時に短縮する制度がある」のような伝え方です。

「トレード・オフ」を用いると魅力的ではない情報を魅力的な情報で上書きでき、採用においてプラスに働くことさえあります。

このように、「RJP」を適切に行えば、入社の意思決定をしてもらいつつ、自社に対する過剰な期待を減らす効果が期待できます。

また、採用活動において人材エージェントを活用することも効果的です。人事担当者は、選考の後半や内定後にこそ、丁寧に候補者をフォローしマッチングの精度を高める時間を割くべきです。多くの企業では採用難を背景に母集団形成に時間をかけすぎてしまい、本来時間を割くべきマッチングに注力できていません。採用活動は人材エージェントに依頼することで、母集団形成の時間を大幅に短縮できます。

また、採用代行(RPO)や採用コンサルティングを依頼するのも効果的です。採用事務などのノンコア業務を外注化し、マッチングなどのコア業務に注力する、専門家の第三者視点を取り入れ客観的に問題を明確にし、戦略を立てることができます。

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労働時間などの労働環境を整備する

労働環境の整備も離職防止に欠かせない重要なポイントです。

残業時間の多さが問題となっている場合、まずは労働時間の是正を図りましょう。ITによる業務の自動化、週に1回のノー残業デーの創設、新人に任せている雑務を部門全体で割り振るなど、若手社員の長時間労働が常態化しない環境をつくることが大切です。「自分が若いころは・・」という考えは、一旦捨ててください。

ほかにも、休暇制度の整備も効果的です。有給が取りづらい雰囲気などがある場合は有休消化推奨日の設置や、リフレッシュ休暇やバースデー休暇など特別休暇の導入も効果的です。

このような制度は上司が積極的に活用することで、職場全体が制度を使いやすい雰囲気に変わるため、すでに制度がある企業は、現場の管理職層に制度を活用してもらうことも対策の一つといえるでしょう。

企業理念や事業目的を改めて伝える

意外に思われるかもしれませんが、企業理念などを社員にあらためて伝えることも離職防止に効果があります。

若手のうちは、やりたい仕事や挑戦的な仕事を任せてもらえるケースは少ないでしょう。また、目の前の業務に追われてしまいやすく、「自分はなぜこの仕事をしているのか」と目的や目標を見失ってしまうことがあります。

そのため、朝礼や半期に一度の人事面談などの場で「自社がなぜこの事業をしているのか」「担当している仕事が、どのように企業理念の実現に結びついているのか」を明確に伝えることで、目の前の仕事に意味を見出すことができ離職防止につながります。

また、Z世代は気候変動への対策や、貧困・ジェンダー差別をなくすための取り組みなど持続可能な開発目標(SDGs)に関する教育を受けてきたため、社会貢献を仕事や人生の軸にしている人も少なくありません。そのため、自身の仕事がどのように社会に貢献しているかを若手社員にあらためて伝えることには、大きな意義があるといえるでしょう。

人的な環境を整える

もし若手社員が成長や会社への貢献を実感できていないようなら、人的な環境を整備しましょう。例えば、優秀なマネージャーのもとにアサインする、エース社員をメンターにするなどの施策が考えられます。または、思い切った部署異動も実は効果的です。

一般的な配置の考え方は、「その仕事で最も成果を残せる人を配置する」ことです。しかし、優秀な人材だけでポストを埋めてしまうと、まだ芽が出ていないもののポテンシャルが高い人材にその仕事を経験させることができなくなってしまいます。

そこで「配置によって人材を育成する」という考え方で、「その仕事で最も伸びる人を配置する」ことをおすすめします。当然のことながら、「飛ばされた」という誤解を生まないために配属意図などを明確に伝えることが大切です。

会社から期待された配置転換であることが伝わり、配属先で新たな知識を獲得していくことに意義を見出すことができれば、成長や貢献を感じやすくなるでしょう。

社内のキャリアパスを示し、若者のキャリアプランを支援する

Z世代のキャリア観に、「どこに行っても通用するような自身のスキルを高めること」という新しい安定志向があることは先に述べたとおりです。

つまり、現代の若手社員に「とりあえず目の前の仕事を頑張れ、結果は後でついてくる」というマネジメントは、キャリアを描きづらくさせてしまい離職防止に逆効果につながります。現在取り組んでいる業務を通じてどのようなスキル獲得を期待し、将来どのような役割を担ってほしいと考えているのかという、社内のキャリアパスを具体的に伝えることが、離職防止に効果的です。

しかし一方的に、企業の育成方針を伝えるだけでは企業の価値観を押し付けられているように感じてしまうため、効果は薄いでしょう。そのため、「どうなりたいか」という若手社員自身のキャリアプランをしっかり聞き、能力開発や配置転換など企業側が支援する姿勢を見せることも離職防止に効果的です。

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まとめ

「入社後3年 離職3割」の状況が現在も継続している背景には、若手社員世代であるZ世代の価値観やコロナ禍なども関連しています。

しかし、入社前後のギャップの解消やキャリアプランに連動したキャリアパスの提示などは、時代を問わず効果的な対策です。

これらに共通していることは、会社の情報をきちんと伝え、若手社員の思いも聞くという双方向のコミュニケーションではないでしょうか。まずは自社の若手社員が何を思って働いているのかを、しっかり知ることから始めてみましょう。

著者プロフィール

マンパワーグループ株式会社

マンパワーグループ株式会社

世界70カ国・地域にオフィスを持ち、ワールドワイドに展開している人材サービスのグローバルカンパニー、ManpowerGroupの100%出資の日本法人。

リクルーティング、評価、研修、人材育成、キャリアマネジメント、アウトソーシング、人材コンサルティングなど、人材に関するあらゆるソリューションを世界的なネットワークで展開する総合人材サービス会社。

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