SDGsコラム

教えて!「SDGs」【後編:みんなに身近なSDGs】

教えて!「SDGs」【後編:みんなに身近なSDGs】

私たちの生活に身近な企業の「SDGs」の取り組み

(前半より続く)

- 学生が就職活動でSDGsを活用していることが分かりましたが、企業のSDGsの取り組みを身近に感じる視点は他にどのようなものがあるのでしょうか。青山学院ハイコンで玉木教授と一緒にSDGsの研究に取り組んでいる接点合同会社の石丸さんにもお話しを聞いてみましょう。

石丸 玉木教授がお話しくださったSDGsの成り立ちやESG投資の背景としては、地球環境問題の深刻化を挙げることができます。2009年に学術雑誌ネイチャーに「プラネタリー・バウンダリー」という考え方が提示されました。人類の活動による気候変動や生物多様性の欠損などは、もはや引き返せないまでの限界値に達していると報告するものです。

- 企業活動にはどのような影響があるのでしょうか?

石丸 地球環境に配慮した開発や経済活動に転換していくことが必要です。これまでのような経済原理優先のビジネスのあり方は、投資家だけでなく消費者にも歓迎されないことから、企業の存続のためにも、ビジネスのあり方の転換が求められているのです。

- 再生可能エネルギーの活用などですね。消費者に身近なところでは、何か変化は見られますか?

石丸 例えば、レジ袋や食品容器・包装、ペットボトル、ストローといった使い捨てプラスチック製品の使用に関する動向が挙げられます。SDGsの目標12「持続可能な消費と生産パターンの確保」や目標14「海洋・海洋資源の保全」の達成に向け、昨年頃から俄かに海洋プラスチック問題に注目が集まっています。

- 海洋プラスチック問題とはどのような問題でしょうか?

石丸 経済成長や手軽で便利なライフスタイルへの移行に伴い、世界中でプラスチック製品が大量に使用されています。捨てられて漂流や漂着した大量のビニール袋やストローをウミガメやクジラが飲み込んで窒息死したり、そうした海洋ゴミのプラスチック製品が細かく砕かれてマイクロプラスチックと呼ばれる微細な粒子となって生態系に取り込まれたりすることで、生物や人体に悪影響を及ぼす可能性があるとされる問題です。

- そういえば、海外企業のプラスチックストロー廃止はSNSでも話題になっていましたし、学生たちの関心も高いように感じます。日本ではどのような動きがあるのでしょうか?

石丸 この問題に対する消費者の関心が高まり、マイバッグやマイボトルを率先して使用する消費者も現れ始めたことで、日本でも外食産業から続々とプラスチックストローの使用廃止が宣言されました。飲料メーカーはペットボトルリサイクルや植物由来原料の使用により、化石原料のペットボトルを廃止する方針を相次いで発表しています。政府もレジ袋の有料化を含む使い捨てプラスチック削減法令を来年夏頃までには施行したいと表明しています。

企業のイニシアチブが求められている「SDGs」の取り組み

- 学生だけでなく、幅広い世代に身近な取り組みと言えますね。他にも何か同様の動きはありますか?

石丸 はい、食品ロス問題があります。日本では年間600万トンを超える食品ロスが発生しています。接点合同会社では3年前から食品ロス問題の研究やコンサルティングに取り組んできました。

- 食品ロス、まだ食べることができるのに捨てられてしまう食品の問題ですね。

石丸 当初は企業に働きかけても危機感が薄く、喫緊の課題として対策が取られてきませんでした。しかし、消費者の認知度が徐々に上がってきたことで、今では企業も積極的に対策を取り始めています。なお、食品ロス問題に関しては、SDGsの目標12のターゲット12.3で、「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食品廃棄物を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品の損失を減少させる。」という目標が設定されており、今後も国内外で食品ロス対策は加速していくと考えています。

- 消費者の声に応えて事後的に取り組むのではなく、むしろ企業側がイニシアチブをとって持続可能な経済活動へと転換し、消費者に対してSDGs目標達成への道筋を示していくことが望ましいですね。

石丸 まさにその通りです。そのためにも、企業の経営層や関連事業部門のみならず、人事部門や総務部門、広報部門など、企業活動の中枢を担う皆さまにはSDGsを深く理解していただき、自社のSDGsへの取り組み方を確立していただきたいと考えています。

- 自社のSDGsへの関わり方を明確化し、取り組み姿勢を投資家や消費者に対して示すことが求められているのですね。

石丸 はい、その通りです。

- 今回はSDGsについて、玉木教授、石丸さんにお話しをお伺いしました。お二人には、今後マンパワーグループで開催を予定している、SDGsと採用についてより深く知っていただく機会となるセミナーにもご協力いただく予定です。ご興味ある方は、セミナー開催のお知らせを楽しみにお待ちください。ありがとうございました。

石丸 亜矢子 Ayako ISHIMARU
接点合同会社 代表 / 新潟薬科大学 応用生命科学部 特任講師
石丸 亜矢子

産業技術大学院大学修了。地域活性学会、情報システム学会に所属。専門分野は、情報システム、組織改革・人材育成、地域活性化。国家資格キャリアコンサルタント、高度情報処理技術者(システムアナリスト、システム監査、アプリケーションエンジニア)。

株式会社野村総合研究所にて約15年間、システムエンジニアおよびシステムコンサルタントとして勤務し、企業のシステム化構想や業務企画、組織改革、内部統制などの支援に従事。世の中の不足と余剰をマッチングさせることにより様々な社会課題を解決したいと考え、2016年に接点合同会社を設立。食品ロス対策に関する企業のコンサルティングや研究活動に取り組んでいる。

■マンパワーグループの学生向けSDGsサービスはこちらから
https://www.manpowergroup.jp/client/serve/sdgs/jobmaps/

■青山学院ヒューマン・イノベーション・コンサルティング株式会社へのお問い合わせはこちらから
https://www.aogaku-hicon.jp/contactform/

■接点合同会社へのお問い合わせはこちらから
https://setten.net/

※記事中の所属、役職名などは掲載日(2019年9月)当時のものです

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