目次
自社に合った施策・業務量をこなせる人員確保に【採用代行】を
企業は、限られた人員・工数で採用を成功させるために採用代行を導入します。その主なメリットは次の通り。
厳しい売り手市場が続く採用市場において、採用担当者は「日々の業務」と「採用活動の精度向上」の両立による業務負担の増加によって疲弊し、結果として採用活動の品質が低下するという課題が浮上しています。
そこで注目されているのが、採用業務の一部をアウトソーシングする採用代行(RPO)です。ここでは、採用代行(RPO)が果たす役割に焦点を当て、導入に際して押さえておきたい知識であるメリットや注意点などを詳しく解説していきます。
そこで注目されているのが、採用業務の一部をアウトソーシングする採用代行(RPO)です。ここでは、採用代行(RPO)が果たす役割に焦点を当て、導入に際して押さえておきたい知識であるメリットや注意点などを詳しく解説していきます。
RPOはRecruitment Process Outsourcingの略語で、日本語では「採用アウトソーシング」や「採用代行サービス」と呼ばれる、採用業務の一部(または多くの工程)を代行するサービスです。
業務を委託された事業者は、依頼側の企業と「どの部分をどこまで代行するか」を契約事項として協議決定し、合意を得て採用プロセスを実行します。また、採用の対象は正社員に限るものではなく、パート・アルバイトなどの採用においても採用代行(RPO)は普及しています。
採用代行(RPO)の種別は、大きく2種類に分けられます。
採用プロセス代行型 | 採用プロセスにおける事務代行を行う |
リクルーター派遣型 | リクルーターをクライアント先に配置し候補者を探し出す |
日本の採用代行(RPO)では、採用プロセス代行型が主流ではありますが、外資系企業を中心にリクルーター派遣型の利用も増えつつあります。
代行業務の実施体制については、採用プロセス代行は主に委託先(社外)での運用が多く、リクルーター配置型はクライアント社内での運用が中心です。どちらかのみの運用だけでなく、リクルーター派遣と採用プロセス代行の両方を導入するケースもあります。
本記事では、主に1.の採用業務で発生する事務を代行する採用プロセス代行型の採用代行(RPO)について詳しく解説します。
採用代行についてまとめた資料をご用意しています。ぜひダウンロードください。
日本では、少子高齢化による人材不足が続き、売り手市場の影響で人材獲得競争はここ数年、激化の一途をたどってきました。
企業が採用代行(RPO)を導入する主な理由は、採用担当者の業務負荷の軽減と機会損失を防ぎたいというニーズにあります。これは、主に以下の5つの要因に起因しています。
求人広告を出しても募集がなく、人材紹介会社からの紹介も少ないからと、媒体やエージェントを拡充すると、事務作業やコミュニケーションに費やす時間がどんどん増えていきます。
また、求職者の志向に合わせた採用手法も多様化しており、ダイレクトリクルーティングをはじめとしたプッシュ型採用の導入など、母集団形成に必要な施策にかかる時間が特に増える傾向にあります。
関連資料:中途採用 採用手法大全
現在の市場では、人材獲得が難しく、新卒採用においても採用辞退者が想定を上回り、採用活動を延長する、秋採用などシーズン外の採用を実施する企業もあります。
新卒採用・中途採用問わず採用活動が長期化する傾向にあり、担当者の業務負担が増大しています。
優秀な候補者が、複数の企業から内定を得るのは一般的です。そのため、面接辞退や内定辞退の回避策を講じるなど、質の高い採用活動が必要となります。
候補者やエージェント、募集部門などに対する丁寧かつ繊細な対応が採用担当者には求められており、これも採用担当者の負担が増える一因になっています。
関連記事:新卒内定辞退の理由から見る辞退率低下に向けた効果的な対策
今や、企業は求職者を選ぶ立場から、求職者に選ばれる立場にあります。自社をどう認識してもらうかを、採用ブランディングとして意識的に考える必要がある時代です。
求職者が企業を選ぶ基準は多様化しており、企業理念や社風などに加えて、どのような社会貢献をしているのか、自分と同じような属性の社員は活躍しているのかなど、積極的な情報発信が求められています。
採用担当者には、通常の採用業務に加え、SNSや自社サイトでの情報発信などの対応も必要とされています。
関連記事:【徹底解説】採用ブランディングとは?進め方と展開方法、導入事例
人材不足は採用担当者の採用にも影響しており、即戦力となる人材の確保が難しい状況です。採用に必要なスキル・ノウハウは、幅広い業界・業種で役立つため、人材獲得にあたってライバル企業が多く、競争が激しいことも特徴です。
【資料】採用代行・コンサルティングの理解を深める
採用代行の理解を深める、社内の人にも知ってほしい方向けに、採用代行に関するお役立ち資料をご用意しています。
「採用代行とは?「業務の分担」と「自社にフィットした戦略」が採用成功のカギ」をダウンロードする >>
採用代行は「業務委託(アウトソーシング)」のひとつです。そのため、採用代行と他の人材サービスには違いがあります。
人材派遣は派遣会社から派遣された人材が業務に従事しますが、派遣された人材に対して契約内容に即した業務指示を直接行うことができます。
採用代行と人材派遣の大きな違いは、「業務指示を行えるかどうか」です。
採用代行の場合、作業場所の設置や人材の管理、具体的な業務指示は、すべて委託先企業が行います。もちろん、プロジェクトマネージャーなどと委託の運用について話し合い、フローの見直しなどは可能ですが、メンバーへ業務を指示することはできません。
採用代行 | 人材派遣 | |
メンバーへの指示 | できない | できる |
料金 | 委託料を契約で決定 | 働いた分だけの時間単価 |
就業場所 | ベンダーのオフィスまたは、自社内 | 原則、自社内 |
契約期間 | 相談で決定 | 原則3年 |
教育 | 不要 | 実写で実施 |
アウトソーシングと人材派遣の違いは、「アウトソーシングと人材派遣の違い│それぞれに適した活用シーンを知る」で詳しく解説しています。
人材紹介は、候補者となる人材の紹介を受けるサービスです。
人材紹介会社は、自社が紹介した人材に関する面接調整や入社条件の交渉などは対応しますが、それ以外の候補者(直接応募者や他社から紹介された候補者)の対応および、ナビ対応や求人媒体対応などの業務代行は行いません。
採用代行 | 人材紹介 | |
雇用主 | ベンダー | 自社 |
業務指示 | 不要 | 自社で指示する |
契約期間 | 相談で決定 | 雇用契約による |
採用代行(RPO)での委託が可能な業務は、採用フローにおけるほとんどの業務が該当します。また、工程の一部のみを切り出して委託することもできます。
以下の一般的な採用フローに沿ってどのような依頼が可能か、具体的な業務の一例とともに紹介します。
採用プロセス代行以外にも採用計画の立案や、すでにある採用計画へのアドバイスなども依頼できます。
採用目標や予算、採用フローなどについてヒアリングを行い、採用計画を策定します。採用計画がすでにある場合、問題はないか追加施策が必要かなど専門的な知見から意見をもらうこともできます。
母集団形成は、多くの事務的工数が発生するため、採用代行(RPO)サービスの活用シーンが多いフェーズです。
採用代行(RPO)は、応募者の管理だけではなく、選考に関する業務を依頼することもできます。
最終的な合否を請け負うことはできませんが、内定者のフォローアップに関する業務も委託可能です。
採用は内定を出して終了ではありません。入社した人材が期待したパフォーマンスを発揮し、会社になじむことをサポートすることも重要です。
「採用しても数年で離職してしまう」「将来を期待していた人材が転職してしまった」など、早期離職に関する課題への対策を開設する動画セミナーを公開しています。
採用代行(RPO)導入には、以下のメリットがあります。順に詳しく説明します。
採用業務はナビ対応や合否連絡、応募書類の管理など細かい業務が多く発生します。個人情報の取り扱いも含まれ、慎重な対応が求められるなかで限られた期限内でのスピーディな対応が必要とされます。
採用担当者の業務が過多になると、採用戦略の策定や面接、内定者フォロー、現状分析などの採用の成功に大きく関係する業務(コア業務)に時間を割くことができません。
周辺業務(ノンコア業務)をアウトソースすることで社内担当者がコア業務に専念できるようになり、結果として採用活動のパフォーマンス向上および採用担当者の残業抑制が期待できます。
採用代行(RPO)では、採用チャネルごとに応募数や内定率などを分析するため、各チャネルの費用対効果の把握が可能です。
効果的な採用チャネルの取捨選択や、人材紹介会社へ支払う手数料の見直しなど、採用コストの適正化が期待できます。各ベンダーとの調整も依頼でき、作業工数もかかりません。
採用代行(RPO)は、スピーディーかつ細やかな対応、正確なデータ管理、採用活動の可視化など、採用業務に特化した専門事業者ならでのサービスを活用できます。
採用代行(RPO)の品質の高さに着目し、採用フローの見直しや属人的業務からの脱却を目指す企業も増加しています。
全国に拠点があり、拠点ごとに採用を実施している場合、採用フローや活動方法のばらつきや独自ルールが存在し、採用活動の全体の把握が難しくなりがちです。また、各拠点の人員が通常業務と兼任で採用活動を行うと、現場の負担増にも繋がります。
全国一括型の採用代行(RPO)を導入することで、全社・グループ内で同質の採用活動を行うことができ、現場の負担軽減と効率化が期待されます。
採用代行(RPO)事業者は、採用に関する豊富な経験を持っており、蓄積されたスキルやノウハウを活かし、自社の状況にあわせた効果的で効率的な採用フローを提案します。
採用フローの提案以外にも、トラブル防止策の策定や母集団形成のための媒体選定、人材エージェントの開拓なども依頼可能です。
立ち上げ当初で、まだ採用担当者がいない企業などでも、採用代行(RPO)を利用すれば一連の採用業務を依頼でき、早期に採用活動をスタートさせることができます。
採用代行(RPO)事業者との連携によって回避できるものではありますが、採用代行(RPO)の利用時には以下のデメリットが生じる可能性があります。
業務委託の場合、採用活動に関連するノウハウが蓄積されにくくなります。採用担当者のスキルアップ機会が減るとも考えられ、育成が進まない可能性があります。
また、採用代行(RPO)への委託から自社対応に切り替える場合は、品質維持のため計画性を持った引き継ぎが必要になります。任せきりにするのではなく、業務がブラックボックス化しないよう、日頃からの定期的な情報連携が不可欠です。
求める人物像やスキル・要件などの共有が不十分だと、人材のミスマッチが発生する可能性があります。
また、社風や理念、考え方、価値観など企業カルチャーがうまく伝わらず、入社後のギャップが生じる可能性もあります。
関係者間で人材要件の認識が異なると、ミスマッチが発生します。ミスマッチ防止に活用できる、Excelのチェックシートをご用意しました。
外部の人材が対応するため、情報連携のタイムラグや、情報共有の漏れなどを原因とした認識のズレが起きることもあります。
情報連携のフロー確立と、業務範囲やスクリーニングの基準など採用活動のポイントに関する認識合わせは関係者内で十分に行っておく必要があります。
業務範囲によっては、応募者や内定者とのやり取りを採用代行(RPO)事業者が行うことになります。関係性の構築だけではなく、応募者の生の声を聞く機会が減るため、求職市況の状況に気づきにくくなる可能性もでてきます。
業務範囲の選定を吟味すること、採用代行(RPO)事業者との定期的な連携において応募者の動向を確認しておくことなどの対策が求められます。
関連記事:採用CX(キャンディデイトエクスペリエンス)とは?候補者体験をデザインする
採用代行(RPO)を導入する際には、以下の点に注意しておく必要があります。
採用代行(RPO)は、一連の採用活動の代行を依頼することもできれば、プロセスの一部だけを依頼するなど、個社の状況に応じたカスタマイズが可能です。
そのため、費用は業務内容によって変動します。業務範囲以外にも採用ボリュームや期間などによっても変わるため、「どの程度の費用が必要となるか」は一概にはいえません。同じ業界であっても、他社の事例は参考程度にとどめておくのが無難です。
重要なポイントは以下の3つです。
業務範囲をカスタマイズできることは、アウトソーシングのメリットではありますが、依頼する範囲と責任は明確にしておく必要があります。あいまいな部分を残してしまうと、思わぬトラブルが起きてしまうこともあります。
採用業務は個人情報を取り扱う場面が多くあります。情報や書類の取り扱いや情報連携などについてもフローをきっちりと決めておきましょう。
また、書類のスクリーニングや面接代行など選考を行う場合、選考基準や募集要項の認識が合っていることが重要です。スクリーニングの精度が低いと感じたら、適宜話し合いすり合わせを行います。任せきりにしたせいで期待した成果がでない、といった事態が起きないように注意しましょう。
企業には社内ルールが存在します。企業文化的なルールもあれば、セキュリティポリシーなどの規則もあるため、それに従ってもらえるかは大切なポイントです。
また社内の体制や各種書類の管理方法、業務のフローがうまくマッチするかを採用代行(RPO)事業者と確認します。業務開始後にトラブルとならないよう契約前に認識を合わせておきましょう。
アウトソーシングを機に採用フローを見直すケースもあるので、自社にあった採用フローを事業者と共に作ることも検討してみてもよいでしょう。
委託といえども、採用状況の進捗は関係者が知っておくべき情報です。定期レポートのチェックやミーティングなどにより、活動内容を確認していくことが望ましいです。
また、アプトプットが期待したものかどうかも特に初期段階ではチェックが必要です。業務を手放し、工数削減などを実現しつつも、要所を抑えて、状況によっては軌道修正をかけることで、理想的な採用活動体系を築くことができます。
採用活動の効率化・品質向上に有効な採用代行(RPO)ですが、導入により効果が一層期待できる企業の特徴があります。
多くの人材紹介会社に依頼をかける場合、人材要件や面接の設定など細かな連携を各ベンダーと行う必要があり、その分コミュニケーション工数が増大します。
採用担当者が忙しかったり、人員が十分でないなどの理由で、人材紹介会社とのコミュニケーションが乏しくなると、次のような問題がおきます。
人材紹介会社との窓口を採用代行(RPO)事業者に担ってもらうことで、人材紹介サービスを最大限活用することが可能です。また、事業者によっては、人材紹介会社のパフォーマンス評価や人材紹介会社の新規開拓などのサービスも提供しています。
マンパワーグループのエージェントコントロールサービス資料はこちらから >>
募集ポジションの幅が広い場合は、母集団形成や選考方法もポジションごとに効果的な方法を選ぶ必要があります。採用プロセスが多様化すると業務が増え、管理方法も煩雑になりやすい傾向があります。
採用における事務業務などは委託し、職種毎の媒体選定や求人要件の分析などコア業務へ集中することで採用が成功に近づきます。
また、採用人数が多い場合も採用代行(RPO)の活用が効果的です。採用人数が多いほど応募者も比例して増加するため、事務工数は膨大になります。
特に一時的に大人数を採用する場合、採用担当者を急に増やせないこともあるでしょう。外部のサービスを利用し、自社対応する業務を絞ることで期日内での採用を目指すこともできます。
「採用枠を拡大したいが人事が人手不足」、または「採用ノウハウがあまりないため、どのような採用手法が適切かわからない」など、採用担当者の不足やノウハウがないといった課題には、採用代行(RPO)は最適なソリューションのひとつです。
専門家であるからこそ早期に採用活動を実施し、機会損失を防ぐことができます。
立ち上げたばかりの企業で採用業務の経験者がいない、という理由で採用代行サービスを利用する企業も多くあります。将来的に自社対応を検討している場合も、採用代行(RPO)事業者に相談し、ゴールまでのフローを最初に描いておくと認識を合わせることができ、良い形でのアウトソースができます。
社内的な理由で採用を急ぐ場合にも採用代行(RPO)は利用されています。よく利用されるのは、採用担当者として外部のリクルーターを社内に配置するタイプのアウトソーシングです。
主にダイレクトリクルーティングなどを活用して母集団形成を対応してもらいます。それ以外にも人材紹介会社の窓口や候補者との面接調整なども依頼可能であるため、即戦力としてすぐに業務に取り掛かることができます。
自社内に席を置いて対応するため、コミュニケーションも取りやすく、情報共有も容易であることも特徴のひとつです。
採用代行(RPO)企業の実績を確認します。どのような規模感、ボリューム、顧客にどのようなベネフィットを与えることができたか、など実績を確認しましょう。
新卒採用のように一般的な採用とはフローが若干異なり、特定の期間に業務工数が増大するような採用の対応経験があるかも重要です。ベンダーによっては、新卒採用を対応していない場合もあります。
採用プロセス型の採用代行(RPO)は、社外、つまりベンダーの管理する施設で遂行されるケースがほとんどです。また、業務委託であるため、運用に携わる人員の確保やメンバーの採用に対するスキル・経験、研修なども採用代行(RPO)事業者が行います。
また、リクルーター配置型の採用代行(RPO)の場合、リクルーターの経験やスキルがダイレクトに結果に繋がります。どのようなリクルーターが在籍しているのか、またどのようにリクルーターを採用しているのかを知っておくとよいでしょう。
採用は多くの個人情報を取り扱う業務です。社外に個人情報を託すわけですから、情報セキュリティの管理体制や方針等はチェックします。併せて、業務を遂行するオフィスのセキュリティ対策も大切です。プライバシーマークを取得しているか、情報保護に関するメンバー研修などを実施しているかなどを確認するとよいでしょう。
採用代行(RPO)は、時間の足りない採用担当者をサポートしながら、自社のニーズに即した人材の獲得に向けた、細部にわたる活動が可能になり、採用現場の負担軽減、採用活動の精度向上に役立ちます。一方で、活用の方向性を誤ると、自社のみで行う採用活動に比べて大きなコスト負担が発生します。確実な成果を得るためには、自社に適した採用代行(RPO)事業者の選定と、依頼内容の十分な検討が重要です。
採用活動がうまくいっていない、担当者の業務が増えすぎて残業が増えているなどの課題がある場合、まずは自社の状況にマッチするかどうか採用代行(RPO)事業者と情報交換をしてみてはいかがでしょうか。
こちらの資料もおすすめです