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人材不足は中途採用にも大きな影響がでています。採用コストや労力をかけ、長い選考を終えて内定までたどり着いたとしても、内定者が辞退するとすべてが徒労に終わります。
採用したいと思える優秀な人材は、他社からも評価・注目されている可能性も高く、内定者を最後まで逃さないためには、内定者フォローが重要です。
ここでは中途採用における内定辞退が起こる理由やその防止策など、中途採用にフォーカスした内定者フォローに役立つ情報をお伝えします。
内定者フォローには2つの目的があります。
内定が決定したとはいえ、候補者には他社からのオファーが来ることもあります。また、心境の変化が起き、入社を躊躇い始めるケースも少なくありません。
内定後も適切なコミュニケーションを取り、近況確認をしつつ、入社に関する不安や疑問を取り除き、自社への興味を失わないようサポートします。
また、仮に内定辞退の方向へ動いたとしても、採用活動の再開検討や、配属予定部門へ配属延期を視野に入れた体制を考えてもらうなどの対策を速やかに打つことができます。
入社前の情報提供で内定者がスムーズに入社できるようにサポートします。
面接で既に伝えたことかもしれませんが、改めて配属後の役割や配属部署の状況や取り組みなどを共有することで、内定者は改めて自分が入社後にどのような活動をするのかをイメージしやすくなります。
十分な情報提供によって入社後のギャップをなくすことで、職場への順応、配属後の即戦力化や早期離職を防ぐ効果も期待できます。
ここ数年、少子高齢化といった社会の人口構造の変化により、慢性的な労働力不足が問題視されてきました。コロナ禍によって採用現場における売り手市場の傾向が薄れたともいわれていますが、企業運営の原動力となる能力の高い人材が求められることに変わりありません。
特に即戦力となる中途採用では、現代の企業戦略にマッチした一定のスキルを持つ人材に、企業からのオファーが集中します。転職活動を行う求職者が、複数社からの内定通知を受けることは珍しくはありません。内定者とリレーションを取らずに状況の確認を怠っていると、予期せぬ内定辞退が起こることがあります。
また、仕事に対する考え方の社会的な変化から企業への期待感が希薄になっている傾向も、内定辞退へつながる不安要素のひとつです。別の企業に移っても状況があまり変わらないのではないかという気持ちになると、転職する意欲が急速に失われ内定辞退につながる可能性があります。
内定者は転職に対して少なからず不安を抱いています。内定者にとって、転職することで必ずしも現職場で働く以上に活躍できるという保証はありません。自社が求めていること、活躍が期待できる理由などを伝えながら、内定者の不安を取り除く必要があります。
現代は情報化の時代です。インターネット上には悪意を含む情報も多数存在しています。誤情報によって自社に対する否定的イメージが膨らむことを回避するためにも、内定者フォローによって相手の気持ちに寄り添っていくことが求められます。
内定者フォローを効果的に進めていくためには、内定者への理解が大切です。内定者が辞退してしまう主な原因について解説します。
大きな原因としては、内定者と企業側のコミュニケーション不足が挙げられますが、内定者の個人的な理由の場合もあります。
転職に対する不安は、主に3つあります。
内定者が転職によって業種や業務が変わる場合、任されるタスクや未知の業界に対し不安が生じるのはあり得ることです。期待されているパフォーマンスを本当に発揮できるのか、担う予定の責任が務まるのか、など入社後の活躍について考えすぎて、次第に自信を失ってしまう人もいます。
企業内の様子がよくわからないでいると、転職への不安が拡大していきます。人間関係を一から作るということへの不安とストレス、現職場とは違う社風になじめるのか、自分とは合わないのではないかという懸念を持つこともあるでしょう。
いろいろ考えた末の転職・内定承諾であっても、この決断は正しかったのかと漠然とした不安を抱える人もいます。
内定辞退へとつながる前に、これから環境が変わることに対する内定者の感情の揺れを読み取り、フォローしていく必要があります。
優秀な人材であれば、絶えず他社からのオファーがあります。その中で、自社よりも好待遇である、あるいは業務内容が興味深いものがあれば、内定を出した後だとしても並行して他社の選考に応募する可能性はゼロではありません。
なかには、転職活動をしていることを聞いた知人からの誘いを受け、内定を辞退するといったケースもあります。
内定者が転職について不安な気持ちを抱いているときに、現職場からの引き止めがあり、転職を思いとどまるケースがあります。
優秀な人材を手放したくないと、昇給や昇格などの好待遇を提示したり、人間関係の改善に介入するなど、離職の原因を取り払おうとするアクションがあると、内定者が転職の意思を失うこともあり得ます。
企業イメージの低下は、不祥事や事件などによるものだけではありません。
内定を受けた企業から自分の質問に明らかな回答が得られず疑問が解決されないなど、企業への信頼が低下するような出来事があると、わずかなことからでもネガティブなイメージが増幅し、入社する意欲が失われることがあります。
採用関係者の間で、内定者が親や配偶者に就職・転職を反対されることを指す、「親ブロック」「配偶者ブロック」という言葉が使われることがあります。不確実性が高まり、将来への不安や心配を強く感じやすい今、内定辞退の理由として特に増えている要素です。
業界イメージや業務内容に対する世代間での考え方の違いや、収入やワークライフバランスなど家庭で重視している価値観とのギャップが原因となりやすいため、対策としては自社のビジョンや事業内容、働きやすさなどを対外的にわかりやすく発信する工夫などが有効です。
中途採用では内定から入社までの期間が長くとも2~3か月程度と、新卒採用と比べて短いのが特徴です。その間も適切なコンタクトをとることで、内定辞退の防止に努めます。
内定後もメールや電話、WEB面談などでコミュニケーションを継続します。
どのような点に不安があるのかを聞き取りする場を設け、気軽に相談できる姿勢を示し、親身かつ誠実に対応する企業であることを印象付けていきましょう。
入社までの状況確認として確認しておきたい項目の主だった項目は、以下の3点です。
他にも、スキルアップについて、企業風土へなじめるかどうかなど、転職に向けた不安がないかを尋ね、自社がサポートできることがないかもあわせて確認するようにします。
また、家族が転職についてどう考えているのか、内定が出たことへの反応をそれとなく探ってみましょう。反対の声があるようであれば、何が問題なのかを確認しなければなりません。
漠然とした不安から、入社の事務手続きや仕事初日の流れなど、内定者が確認したいことは、さまざまです。こちらから積極的に声をかけ、信頼関係の構築に努めましょう。
面接は緊張しやすく、業務内容や役割の説明があっても十分に確認できていないこともあるでしょう。
入社後のスムーズな仕事開始のためにも、業務内容と役割、部門のミッション、体制なども説明できるとよいです。
家庭のある内定者の場合には、家族の理解を深めるために、会社案内のパンフレットや事業内容に関する資料、共有しても差し支えのない社内報などを送付するのが効果的です。家族の理解を得ておけば、家族からの転職への後押しにも期待ができます。
実際に一緒に働く人たちと事前に話すことで、チームが取り組んでいることなど業務や会社の方向性、職場の雰囲気についてより具体的な情報を得ることができ、入社意思がより前向きになることが期待できます。
また、チームとしても新しいメンバーの人となりや対応可能な業務領域などをあらかじめ知ることができ、安心感が生まれます。電話やWEB面談、来社しての職場案内などを企画してみましょう。
スキルや業務内容に不安を持っている内定者に対しては、講習会や勉強会、セミナー、eラーニングなどの手段で実務の知識を養う機会を提供すれば、入社後の能力向上にも寄与します。
ただし、強制することのないよう注意しましょう。
間接的ではありますが、SNSでの情報発信は会社のブランドや方針などを理解しやすく、一般社員が働く様子なども見ることができれば、就業に対するイメージも付きやすくなります。
内定者フォローでは、内定者を企業の一員として是非とも迎えたいという、自社の誠意や熱意を伝えることが大切です。担当者が内定辞退を防止するために留意すべき点について解説します。
内定者フォローではただ単に内定辞退を阻止するというだけではなく、これから社員として長く働いてもらうために、自社との距離を近づけるという意識を持たなければなりません。
相手を放置していては、親近感を持てるはずもありません。内定したからこそ自社への理解を深めてもらい、一緒に働く仲間となってもらうのだという気持ちで接します。
いくら内定者フォローが重要といっても、内定者が現職に就いている間は、その業務の妨げとならないように配慮しなければなりません。フォローの手段や時間、頻度を考え、相手の事情に合わせて接触を図ります。
昔とは違い、企業側が採用を決めたからそれですべてOKというわけではありません。内定者がこの就職について、十分な納得感を得られているのかという点が重要です。
自社について内定者が抱く疑問や違和感を早期解決すること、転職への気持ちの揺れをいち早く察知して対処することが、内定辞退の可能性を打ち消します。企業本位の視点ではなく、内定者から見たときにぜひ入社したいと思える企業の魅力とは何かを考え、内定者フォローに臨みましょう。
中途採用の場合、新卒の学生と同じようなフォローをするのではなく、内定者の様子を見ながら適度にコンタクトしていくことが求められます。内定者フォローにより、転職についての不安要素や疑念を早い段階で解消し、入社に対して前向きな気持ちを維持してもらうことができれば、辞退の有効な防止策となります。
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