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通年採用のメリットとは?概要や企業の目的、新卒一括採用との違い

掲載日2021年12月14日

最終更新日2022年5月 9日

目次

    昨今の採用環境の変化に伴い、時期の制限を設けずに採用活動を実施する「通年採用」が、一般的におこなわれるようになりました。しかし、今までの採用活動との違いや、何に気をつけたらよいのかがわからない という声も耳にします。

    この記事では、従来の一括採用と通年採用との違い、それぞれのメリットとデメリット、実施するにあたってのポイントなどを解説します。

    通年採用とは

    通年採用とは、 新卒・中途を問わず、期間を設けずに年間 を通して実施する採用活動を指します。対義語として、主に 新卒者を春にまとめて採用する「 一括採用」があります。中途採用の多くは、採用が必要なポジションに対して期間の定めを設けずに実施される通年採用で実施されていましたが、新卒採用でも通年採用を導入する企業が増えてきました。

    これまで、多くの日本企業では 三月に卒業する新卒者の一括採用が採用活動の中心を占めてきました。 しかし、 少子化による採用市場での獲得競争が激化する中、一括での採用活動を行っても、応募者不足や内定辞退などにより 、採用予定人数をなかなか充足できないケースも増えています。
    そのため、これまでの一括採用では対象外とされがちであった、秋が卒業時期となる留学生の採用や、第二新卒と言われる若手の採用にも企業の目が向き始めたためです。

    政府の新卒採用 方針と通年採用の関係

    また、新卒採用に関しては、就職活動の期間を定めた経団連による「採用選考に関する指針」の廃止が発表されたことも通年採用が注目されるきっかけのひとつです 。

    2020年卒までの経団連による指針から、 2021年卒 以降はルールの主導を政府が行うこととなっています。政府は2022年卒の学生には現行ルールを適用することを決定しており、それ以降も当面は現行ルールに沿ったスケジュールになる可能性が高いとみられています。 このルールはあくまで企業への要請という位置づけであるため、拘束力はありませんが、この状況からみると新卒一括採用が見直されていくにはまだ時間がかかると見られ、 新卒の通年採用に関する取り組み は、当面は各企業で 判断していく ことになるでしょう。

    通年採用と一括採用との違い

    「通年採用」と「一括採用」にはどのような違いがあるのか、それぞれの特徴を解説します。

    新卒一括採用の特徴

    主に新卒が対象となる一括採用では、ほぼすべての企業が同じ時期に活動を行います。一度に多くの応募者を集めて、選考から入社までを一連の流れで対応できるため、効率的な採用活動が行えます。採用した社員に入社前後に行う研修なども集団で行えるので、バラバラに実施するより手間が省け、費用も抑えることができます。

    一緒に入社する「同期社員」がいることによって仲間意識が生まれることによる離職率の低下、互いに意識しあって切磋琢磨するなどの プラス効果が期待できます。

    通年採用の特徴

    通年採用では、活動期間を区切らずに年間を通して採用を行うため、従来の一括採用では募集期間がかみ合わなかった留学経験者や帰国子女、既卒者なども対象にできることが最も大きな特徴です。
    活動期間の制約がないことから選考に時間をかける余裕ができるため、応募者の見極めを十分に行えるほか、ミスマッチの防止もしやすくなります。

    また、昨今は人材獲得の難しさも増しており、 求める人材の採用が難しい状況です。一括採用では応募者が一定期間内で限定されてしまうのに対し、通年採用では期間に制約がなく応募者の幅を広げることができるため、採用につながる確率を高めることができます。

    通年採用を実施する企業の目的は

    ここ最近で「通年採用」を実施、あるいは実施を検討する企業が増えている大きな理由は採用環境の厳しさです。

    従来の採用活動の方法では、思ったように人材を採用できない企業が非常に多くなっていま す。景気動向などによる多少の変化はあるものの売り手市場の環境は基本的に変わっておらず、採用予定人数を確保できない企業、採用基準を維持できない企業は少なくありません。とくに中小企業は、ほとんどの企業がその状況だと言っても過言ではないでしょう。

    この環境下で、従来の一括採用のような期間を区切った活動では応募者が有名企業や大手企業に集まってしまいやすい傾向にあります。

    もう一つの要因は、採用対象となる人材の多様化です。
    企業として 求めるスキルを持った人材や即戦力人材、そのほか優秀な人材を、期間を区切った活動の中で採用に結びつけることは難しい状況です。また、転職が一般的になった昨今では、数に多少の増減はあるものの、転職活動自体は年間通じて行われています。

    また、グローバルな事業展開が増えている企業では、外国籍の人材や、海外で活動してきた人材の採用も増えています。このような人材を従来の一括採用のスケジュールの中で採用するのは困難であることも、通年採用がおこなわれる大きな目的のひとつと言えるでしょう。

    通年採用のメリット・デメリットは?

    通年採用に関するメリットとデメリットを以下で解説します。

    通年採用の3つのメリット

    通年採用におけるメリットとしては、以下のような項目が挙げられます。

    期間の制約がないことで応募者との接点が増やせる

    活動時期が限られる一括採用では、応募者と企業の双方とも、接する相手に優先順位をつけて集中的に活動を行います。その結果、企業としては出会える人材のタイプや人数には制約が生まれてしまいます。

    一方、通年採用は期間にこだわらない継続的な採用活動であるため、従来の一括採用ではあまり接点をもつことができなかった人材と出会うチャンスが増やせます。
    また、一年を通して活動を行うことから、必然的にトータルでの応募人数も増え、選考フェーズにつなげられる人数も増えるでしょう。

    時間にゆとりができ、じっくり選考することができる

    一括採用では、限られた期間でできるだけ多くの応募者を集め、一気に選考を進める必要があります。同じ時期に活動する他社との競争もあり、文字どおり短期集中の活動となります。そうなると、説明会実施や面接スケジュールの調整などが煩雑になりがちで、時間的、心理的な余裕が失われます。

    通年採用では活動期間を限定していないので、スケジュールを優先する必要がなく、余裕をもった採用選考が可能になります。応募者一人ひとりに集中して選考できることは大きなメリットといえるでしょう。

    辞退者の補完や欠員補充がしやすくなる

    通年採用では、年間を通じて採用を行うため、内定辞退や急な欠員が発生した場合でも、すぐに補完する活動を始めることができます。急な人材要望に応えられることはメリットの一つに挙げられるでしょう。

    通年採用の4つのデメリット

    一方、通年採用を行う上でのデメリット は、以下のような項目が挙げられます。

    体制構築や広報などにコストがかかる

    通年採用では、年間通して常に採用活動を行うため、採用メディアなどへの掲載をはじめとした採用広報や、採用イベント実施の回数が増え、全体的な採用コストは高くなる傾向があります。費用対効果をよく考えながら進める必要があるでしょう。

    採用活動の長期化、恒常化によって、採用担当者の負担が増す

    期間の定めのない通年採用は、 応募者が分散し、それぞれの応募者に個別で対応しなければなりません。例えば企業説明なども応募者それぞれに実施が必要となる上、募集と選考が常時行われることで、採用活動に要する時間は増え、担当者にかかる負担は大きくなります。担当者の作業負荷には十分な配慮が必要です。

    志望度の低い応募がされてしまう懸念がある

    通年採用では、企業は常に募集の窓口を開いていますが、 そのことで 、いつでも応募できるからと後回しにされた上での志望度が低い応募であったり、新卒では一括採用の期間で内定が得られなかった学生が、求人が少ない中での消去法の応募だったりするなど、 自社への志望度や意欲の低い応募がなされてしまう懸念があります。応募の段階や選考の早い段階で、応募理由や志望動機を十分に確認しておくことが必要でしょう。

    教育や研修が効率的に行えない

    通年採用では、人材の入社時期が分散するため、入社時研修などの教育をその都度行う必要があります。同じ内容の研修を複数回行わなければならないので、効率的ではありません。都度対応することで、教育や研修にかかるコストも増加すると懸念されます。入社時期の調整やカリキュラムの工夫など、研修の効率的な実施方法は検討しておく必要があります。

    通年採用を成功させる4つのポイント

    通年採用を成功させるためのポイントとして考えられる項目には、以下のようなものがあります。

    活動を評価する指標を適切に設定する

    一括採用と同様に、通年採用においても、目的達成の評価指標(KPI)を適切に設定することが必要です。期間あたりの人数のような指標より、選考辞退率や内定承諾率など、応募者を実際に採用できたかどうかに注目し、状況によって広報や採用プロセスなどの施策を随時見直していきましょう。

    対象とする人材要件、募集条件を見直す

    通年採用に 応募する される人材の属性は、一括採用の場合よりも多様になることが多いですが、 それに 合わせて人材要件や採用基準、募集条件など の見直しを行わなければ、せっかくの通年採用の効果は半減してしまいます。自社の状況に合わせて、対象となる人材要件を広げたり採用対象の地域を拡大したりするなどの見直しをおこないましょう。

    応募者の状況を理解してタイミングよく活動を進める

    新卒を主な対象とした従来の一括採用では、応募者は同じ時期に同じような行動をとるため、企業は過去実績との比較や当初からの計画に基づいた活動を行うことによって、一定の成果を得ることができました。

    通年採用の場合、応募者はそれぞれの事情で活動するため、時期はバラバラになります。すぐ転職先を決めたい人からじっくり選びたい人まで、転職での時間的なイメージの違い、就職活動に使える時間の有無やスケジュール上の制約、活動地域の制約、転職意思の強さの違い、何らかの家庭の事情の有無など、応募者の状況は様々です。ここで、応募者とよくコミュニケーションを取って、個別事情に配慮しながら活動が進めることができれば、採用に結びつく可能性を高めることができます。

    通年採用が主流となった際には、応募の初期段階で応募者の志向や事情を知った上で、余裕のある面接のスケジュール設定を組んだり、オンライン選考を行ったりして、競合他社の動きも含めた採用市場全体の状況を確認しつつ柔軟に対応することが、これまで以上に重要です。

    活動効率を高めるための管理ツールやWebサービスを活用する

    通年採用では、採用活動が恒常化して担当者の負担が増すことから、活動の効率化が重要になりますが、昨今では、採用活動の効率性を高めるために、ITを活用した管理ツールや安価で利用できるWebサービスが増えており、これらの活用で採用活動の効率を高めることができます 。

    従来から行われてきた応募者管理だけでなく、AIによる判定結果を選考判断の材料とするなど、これらのツール類を活用する企業は増えてきています。
    新たなサービスも次々提供が進んでおり、利用にあたっては自社の環境やニーズに合ったものを調査し、検討するとよいでしょう。

    外部サービスを利用して業務工数のコントロールを

    通年採用を導入するメリットは大きいですが、一方で採用活動期間が長くなり、事務工数が増えてしまうことがネックです。そんな場合は、一部の業務を外部に委託することも検討してみてください。
    初期段階の応募者対応から面接代行や説明会代行など、自社の状況に合わせて依頼することが可能です。

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    通年採用の導入事例

    通年採用は、昨今では多くの企業で導入されており、各企業でさまざまな工夫がされています。その中で特徴的な事例をいくつか挙げてみます。

    まず大手Webサービス企業では、エンジニアを対象としたポジション別採用を通年で行っており、毎月入社可能という柔軟性のある採用活動を行っています。

    大手アパレル製造・小売企業では、新卒者の通年採用を行っており、不合格者が再チャレンジできる制度を設けて、学生が応募できる間口を広くとっている点が特徴的です。

    さらに大手ITサービス企業では、「ポテンシャル採用」として、30歳以下であれば新卒・既卒などの経歴を問わずに応募できる制度を導入しています。従来では就職活動がしにくかった留学経験者や大学院の博士課程修了者など、多様な人材の受け入れが可能な取り組みです。

    まとめ


    通年採用は、今後さらに進むと予想される少子高齢化による採用難や、価値観の多様化などに対応するため、採用活動の進め方として一般的な方法になっていくことは間違いありません。企業と応募者の双方にそれぞれメリットや注意点がありますが、特徴を理解すれば、より効果的な採用活動につなげていけるでしょう。

    採用活動期間の制約がなくなることは応募者層の拡大につながり、より多様な人材からの応募が期待できます。自社に合った採用方法を検討し、工夫しながら、具体的な取り組みを進めていくようにしましょう。

     

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    著者プロフィール

    小笠原 隆夫(人事コンサルタント)

    IT企業でエンジニア職、人事部門長として関連業務に携わる。2007年より「ユニティ・サポート」代表として人事・組織コンサルティングに従事。著書に『リーダーは空気を作れ!』(アルファポリス)。ほかウェブのコラム執筆多数。

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