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調査データ

雇用予測調査 グローバル版(2020年第1四半期)

2020年2月25日

マンパワーグループが世界43の国と地域、58,000人以上の雇用主に対して実施している雇用情勢に関する調査結果のグローバル版サマリーをお届けします。

マンパワーグループ雇用予測調査とは

質問内容
貴社または貴機関の総雇用が、現在の四半期と比較して今後3か月でどのように変化すると予想しますか?

目次

注目すべき世界の傾向

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2020年第1四半期の調査では、前四半期と比較して雇用の増加を予測したのは、43カ国中15カ国。雇用の減少を予測したのは43カ国中23カ国と、雇用の増加を予測した国数を上回りました。

また、特に雇用意欲が強いと予想した国は、ギリシャ、日本、台湾、北米、ルーマニア。特に雇用意欲が弱いと予想した国は、パナマ、アルゼンチン、コスタリカ、イタリア、スペインでした。

前年同時期での対比でいうと、トルコ、ギリシャ、ノルウェーに強い雇用意欲が見られます。半面、雇用意欲が減少している主な国はスロベニア、スロバキア、香港です。

欧州では、フランスが唯一、過去12年の中で最も雇用意欲が強く、他国は ブレグジット(Brexit:イギリスのEU離脱)の影響を反映し、弱い傾向を示しています。
ドイツは2016年第3四半期以来、最も低く、当のイギリスも2012年第3四半期以来の低い数字となっています。

アジア全体では全体的に雇用情勢は強気で、中でも台湾と日本が雇用増加を予測しています。
その一方で、中国は調査実施時期がコロナウイルスの影響前であったにも関わらず3%減と慎重な予測をしています。
消費税増税による影響懸念もあった日本ですが、雇用に関しては売り手市場が継続している状況です。

北中南米諸国では、パナマを除く各国の雇用主が雇用増加傾向であると予測しており、特に北米とコロンビアでは旺盛な採用意欲が伺える結果が出ています。

地域ごとの特徴

アジア太平洋(ASIA PACIFIC)

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日本は、7四半期連続、アジアで最も採用意欲が強いという結果が出ています。特に建設業、サービス業を中心にその傾向が顕著であり、金融・保険・不動産セクターでは12年以上連続して雇用に対する意欲が強いです。

インドでは、14年前の調査開始以来、初めての減少傾向を示しています。インドでは全体の雇用が弱含みですが、一方で、個々の給与額では上昇傾向がみられます。

香港では、過去6年来の低水準を示しています。6つの産業セクターのうち4つが前四半期より減少予測ですが、鉱業と建設業では上昇傾向を示しています。

シンガポールでは、2019年第4四半期に記録された過去2年間の低調からの回復基調であることから、本四半期の採用について、慎重ななかでも楽観的な予測をたてています。
公共サービス、教育産業に強い雇用意欲があり、一方で、金融、保険・不動産では慎重な予測です。

台湾ではサービス業、鉱業、建設業で強い雇用傾向がみられます。

オーストラリアでは、昨年同期から比較すると若干、減少傾向ではありますが、全体には依然として前期同様良好な雇用環境が続いています。
ただし、金融、保険、不動産セクターでは2003年以来の低調な予測となっています。

北中南アメリカ(AMERICAS)

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北中南米10カ国すべての雇用主は、採用のレベルが増加する見込みをたてています。
第3四半期と比較して、予測では2カ国で改善し、7カ国で弱まり、1カ国は現状維持と予想しています。前年比では、5カ国で雇用の意向が強まり、5カ国で弱体化しています。

北米では、アメリカが8四半期連続でこの地域で最も強力な雇用計画見込みをたてています。
すべての13の産業セクターで堅調な雇用傾向を示し、なかでもレジャー産業が雇用に積極的です。

カナダでは、前年同時期、前四半期比較ともに雇用見込みは低下するものの、10ある産業セクターのうち9つで給与の増加が見込まれています。
なかでも非耐久製品の製造業では過去14年来の、教育産業では過去5年来の好調な数字を示しています。

メキシコは、前四半期の落ち込みからの回復傾向にあるものの、前年同四半期を下回っています。
その中でも最も堅調なのが農業・漁業とサービス業です。一方で運輸業は過去10年で最も弱気の予測を示しています。

グアテマラでは6つの産業セクターのうち5つで適度な雇用ペースが続くことが期待されていていますが、全体としては、2006年の調査開始以来、最も弱い見通しです。
2020年第1四半期では、大半のセクターで給与増が予測される中、建設業・輸送および通信の各セクターで給与減が予想されています。

北中南米10カ国のうち、最も低水準なのは中米のパナマです。
10年前の調査開始以来、最も低い雇用意欲を示しています。特に製造業および商業部門向けでその傾向が顕著です。

ブラジルは2015年/2016年の景気後退の混迷からすっかり回復した様相です。特に農業、漁業、鉱業およびサービス業において過去5年で最高値を示しています。

一方、アルゼンチンは、昨年の経済不安を引きずるかたちで全体に慎重です。唯一、建設業が昨年に引き続き、強気の雇用を見込んでいます。

コロンビアでは2020年第一四半期は、前四半期および前年同時期対比ともに、若干、雇用見込みが上向いています。特に金融、保険・不動産が過去5年と同様に堅調です。

ペルーでは、9つの産業セクターのうち7つで給与改善傾向がみられるものの、前四半期および前年同時期対比ともに減少傾向が見受けられます。
運輸および電気ガス水道業で本四半期での雇用成長が見込まれていますが、農業・漁業では2006年の調査開始以来の減少傾向を示しています。

ヨーロッパ・中東およびアフリカ(EMEA:Europe, the Middle East and Africa)

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人材採用は26カ国中25カ国で増加すると予測されています。
雇用計画は、前四半期との比較では、10カ国で改善し、12カ国で弱まり、前年比では、8カ国で見通しが増加、14カ国で低下との予測です。
ギリシャとスロベニアで最も強い雇用見込みが報告されている一方で、スペイン、チェコ共和国、スイスで最も弱い雇用が予想されています。

フランスでは過去12年間で最も雇用意欲が強まっています。
給与も10のセクターで改善傾向にあり、特に飲食・ホテルでは調査を開始した16年で最も強い水準にあります。

対照的にドイツでは、本四半期は過去3年、最低水準にとどまっています。
製造業では過去3年以上、最低レベルです。金融、保険・不動産、サービス業、運輸旅行業、倉庫業、通信では16年間、低調が続いています。

イギリスは、ブレクジットの影響もあり、雇用見通しは過去7年で最低水準です。
9つある産業セクターのうち、鉱業と製造合を除く7つのセクターで、対前四半期、対前年ともに縮小傾向です。

イタリアは、対前四半期、対前年ともに縮小傾向ですが、地域によって差が見受けられます。
南部の島々では過去5年以上、雇用は不調傾向ですが、北部イタリアは、他の西ヨーロッパ各国・地域と比較しても雇用が堅調で、過去9年にわたり強い雇用を生み出しています。

オランダやベルギーではあまり変化はなく、微増傾向を示しながらイーブンペースで進んでいます。

ベルギーでは建設業での雇用が増加傾向です。

北欧は、ノルウェーでは大きな成長は無いものの、鉱業・採掘業を中心に堅調です。
スウェーデンは対前四半期・対前年ともに若干減少傾向ですが、金融、保険・不動産、サービス業では強い雇用が見込まれます。

東ヨーロッパは、まずポーランドでは過去2年来より低調で、対前四半期・対前年同期とも、10ある産業セクターのうち7つで低い水準ですが、建設業では増加が見込まれます。
2019年第4四半期の不調から復調傾向にあるルーマニアでは金融、保険・不動産、サービス業、建設業で今四半期は若干の雇用増が見込まれています。

新型コロナウイルス感染症が雇用に及ぼす影響について

本調査実施時点は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が問題化する前の段階であったため、新型感染症が与える影響は全く考慮されていません。

今後、日本国内では来日外国人の減少による消費財やサービスセクターの事業縮小が予測され、全世界的にも中国経済の停滞によるグローバルサプライチェーンのダメージなどで、大幅な景気後退の予測もされています。
一刻も早い事態の収拾が期待される中、グローバルサプライチェーンの一局化によるリスク要因の顕在化など、企業はBCPの観点によるリスク管理・経営課題に直面しています。
産業、物流、人材育成など、雇用を取り巻く環境の全てのグローバル化が進行している現在、今後はますます大局的な視野に立ち、先を見通す必要が出てくるでしょう。

マンパワーグループでは、今後もグローバル視座での雇用に関する情報を提供してまいります。

より詳細なレポート(英語版)

マンパワーグループの雇用予測調査のより詳細なレポート(43の国と地域の完全な調査結果、地域およびグローバルでの比較)の
ダウンロードはこちらから(PDF) 外部リンク(英語版のみのご提供です)

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