調査データ
2026年8月18日
“派遣社員”は働き方における選択肢の一つであり、派遣就業を継続している人もいれば、派遣社員を辞めて直接雇用や正社員に転向した人、そこからまた派遣社員に戻ってくる人もいます。派遣社員という働き方について、選ぶとき・辞めるときにはどのような理由があるのでしょうか。
そこで今回は、全国の20~59歳の派遣社員経験者800名を対象に、派遣社員を選んだ理由、契約終了の経験とその要因、今後の就業意向などを調査しました。

まずは、派遣社員経験者800名に、ここ3年間の中で経験した派遣社員としての契約形態について聞きました。
最も高い割合だったのは「有期契約のみ」(58.0%)で6割弱を占めています。一方、「無期契約のみ」(26.0%)は2割台半ば、「有期・無期の両方」(16.0%)は1割台半ばという結果となりました。
「有期契約のみ」「有期・無期の両方」を合わせた『有期契約経験者』は7割強、「無期契約のみ」「有期・無期の両方」を合わせた『無期契約経験者』は4割強となり、有期契約を経験している人のほうが多いことがわかりました。
職種経験別では、「事務系」と「接客系」は有期契約経験者の割合が高い傾向がありました。特に、「営業事務・一般事務・OA事務」「コール・センター、インサイドセールス」「販売、接客スタッフ、ホテルフロント業務」といった職種カテゴリーでは、いずれも6割強となっています。

派遣就業について、どのような意思で選んだか聞いたところ、全体では「自分で希望した」(52.0%)が最も高く、5割強を占めました。「特にこだわりがなかった」(37.9%)が4割弱、「不本意だった」(10.1%)は約1割にとどまっています。
年代別で見ると、「不本意だった」と回答した人の割合は、20~30代に比べ、40~50代のほうがやや高めの傾向がありました。その一方で、40代は「自分で希望した」と回答した人の割合が全年代の中でも最も高い結果となっています。40代は自ら派遣就業を選んだ人と、不本意ながら選択することになった人のギャップが大きい年代と言えるかもしれません。
また、直近職種別では、「事務系」と「接客系」は、「自身で希望していた」が5割強〜6割強を占めており、高めの傾向となっています。特に、「販売・接客スタッフ・ホテルフロント業務」の職種カテゴリーは7割強の回答率で、自ら選択した人が多いことがわかりました。
一方、「IT系」は、他の職種と比較して「自身で希望していた」が最も低く、5割に満たない結果となり、「不本意だった」と回答する人の割合も最も高くなっていました。

派遣就業を選んだ理由を聞いてみたところ、「早く就業が決まる」(35.4%)が3割台半ばという高い割合で1位となりました。自ら行う転職活動と比べてスピーディーに次の仕事が見つかることに、大きなメリットを感じているようです。
2位以降も、「勤務時間の柔軟性」(32.3%)、「勤務地が希望通り」(31.6%)と、それぞれ3割強と高い割合で続きます。勤務時間、勤務地など、働き方に融通が利くために選択している人も多いようです。
以降は、「仕事内容を選べる」(26.9%)、「仕事内容が希望通り」(21.9%)、「給与が良い」20.4%、「派遣会社のサポートがある」(20.0%)が2割台続きます。自分の希望に合った仕事を選択できる点や、給与・サポートなどの仕事以外の面で条件がいいことも、派遣就業を選ぶポイントになっていました。
職種別で見ると、「IT系」は、「スキル・経験を活かせる」が全体に比べて高い傾向があり、「短期間の就業ができる」は非常に低い回答率となっていました。
一方、「販売・接客スタッフ・ホテルフロント業務」は、「短期間の就業ができる」と「仕事内容を選べる」が他の職種よりも高い傾向がありました。また、「検品・梱包・在庫管理」も「短期間の就業ができる」が高く、「給与が良い」も他の職種より高い傾向となっています。

派遣就業の契約終了経験がある人を対象に、派遣就業の契約を終了したタイミングを聞いたところ、全体では、「更新契約の満了時」(64.8%)が最も高く、6割強となりました。
年代別で見ても、「更新契約の満了時」は全ての年代で最も高い割合となっていますが、特に50代の回答率が高く、7割台半ばを占めています。一方、20代は、初回で契約を終了した人の割合が他の年代よりも高く、「初回契約の途中」「初回契約の満了時」を合わせると3割台半ばとなっています。また、30代は、契約満了を待たずに終了した割合が最も高く、「初回契約の途中」「更新契約の途中」を合わせると3割強となりました。

派遣就業の契約終了経験がある人を対象に、派遣就業の契約が終了になったのは、どちらの都合だったか聞いたところ、全体では「自己都合」(48.7%)が最も高く、5割弱を占めています。「会社都合」(31.4%)は3割強、「どちらもある」(19.8%)は約2割となりました。
「自己都合」「どちらもある」を合わせると約7割、「会社都合」「どちらもある」を合わせると約5割となり、トータルでは『自己都合』で契約終了した人が多い結果となりました。
また、年代別に見ると、50代の場合は、「会社都合」(45.3%)、「どちらもある」(23.9%)を合わせた割合が約7割となり、他の年代と比べて『会社都合』で契約終了する人が多い傾向がありました。

派遣就業の契約終了経験がある人を対象に、契約終了になった理由について聞いたところ、契約終了になった理由の1位は、「契約が満了した/やり切った」(27.6%)で2割台後半となっています。2位は「職場環境が合わなかった」(22.6%)で2割強、3位は「仕事内容が合わなかった」(16.3%)で1割台半ばと続きます。やり切った達成感から次の仕事を選ぶ人が最も多い一方、環境や仕事内容が合わないことが理由で就業先を変えようと思う人も少なくはないようです。
以降は「体調不良だった」(10.1%)、「業務量が減少した」(10.1%)が同率で1割程度となっており、さらに「聞いていた内容と違っていた」(9.8%)、「法定上限(3年)に達した」(8.0%)が続きます。
年代別で比較すると、20代は「自身の状況が変化した(転居・結婚・出産・介護など)」「他社で就業したかった(正社員になる・派遣会社の変更)」と回答する割合が他の年代より高めとなっていました。ライフプランの変化やキャリアチェンジなどを理由に派遣契約を終了する傾向があるようです。
一方、30代は「派遣先が求める人材とミスマッチだった」、40代は「派遣先からスキル不足を指摘された」「仕事が難しくてついていけなかった」がほかの年代よりもやや高めとなっています。マネジメント力やより高いスキルを期待される年代であることが影響しているのかもしれません。また、50代は「契約が満了した/やり切った」「プロジェクトが終了した/期間限定だったが早期終了になった」がそれぞれ高めの傾向となっていました。
さらに、「契約終了になった一番の理由」を年代別に比較すると、30代は「職場環境が合わなかった」、40代は「仕事内容が合わなかった」がやや高めの傾向が見られました。

自己都合で契約終了したことがある人を対象に、終了した仕事が、派遣就業以外の雇用形態だったら続けたかったと思うかを聞いてみました。
全体では、「続けたくなかった」(45.9%)が4割台半ばで最も高く、「どちらともいえない」(39.2%)が約4割、「続けたかった」(14.9%)は1割台半ばとなっています。
年代別に比較すると、20代は「続けたかった」の割合が3割超と高い一方、30代、40代、50代はいずれも1割〜1割強程度となっていました。
「続けたかった」と答えた人の声からは、仕事内容や職場の人間関係に手応えを感じていて、「できればこのまま働きたかった」という気持ちがうかがえます。その一方で、派遣社員という形だと将来の見通しや待遇面が気になりやすく、正社員や直接雇用などであれば続ける選択をしていた人も多かったようです。
一方で「続けたくなかった」と答えた人は、雇用形態そのものよりも、働く中で感じた違和感が理由になっているケースが多いようです。たとえば、人間関係や職場の雰囲気が合わない、仕事内容が想像と違う・負担が大きい、頑張りに対して時給が見合わない、などが重なると、「たとえ直接雇用でも、ここでは続けにくい」と感じるのかもしれません。

派遣社員経験者全員を対象に、今後3年間に就業しなおすなら、また派遣社員で働きたいと思うかを聞きました。
全体では、「正社員・契約社員がよい」(29.3%)、「どちらともいえない」(28.9%)がそれぞれ3割弱となりました。一方、「派遣社員がよい」(19.5%)、「どちらかといえば派遣社員がよい」(16.0%)を合わせると、“派遣社員で働くこと”を候補にしている人は3割台半ばに達します。今後も派遣社員としての働き方を選ぶかどうかは、意向が分かれる結果となりました。
今後も派遣社員を候補に考えている人は、「どちらともいえない」を含めると、全体の6割超となっています。年代が上がるにつれてその割合は上がり、50代では約7割を占めます。また、年代間の比較では、20代は「正社員・契約社員がよい」が3割台後半とやや高い傾向が見られました。
今後も派遣社員として働きたいと考える背景には、「自分のペースで働き方を選びたい」という気持ちがあるようです。責任の重さや人間関係のストレスを抑えつつ、生活に合わせて時間や条件を調整できる点は、派遣社員ならではの魅力と言えます。また、派遣会社が間に入ってくれる安心感や、自分の生活やキャリアに合わせて働き方を調整できる手段として、次も派遣社員を選びたい理由につながっているようです。
今回の調査を通じて、派遣社員として働くことを「自分で選ぶ人」が半数を超える一方で、契約の区切りや職場との相性によって働き方が変わりやすい実態も見えてきました。
派遣就業者が「派遣社員」を選択しているのは、勤務時間や勤務地、仕事内容などの希望をかなえられる「柔軟性」と、早く就業先を決められる「スピード感」、さらに、責任が重くなく、派遣会社のサポートを受けられ、転職もしやすいなどの「気楽さ」を重視しているためと言えるでしょう。
一方で、職場環境や仕事内容のミスマッチが契約終了の主な要因となっています。しかし、これについては、派遣社員ならではの柔軟性や気楽さを活かし、自分に合わない仕事や職場だったなら見切りをつけ、次の就労先へと移行する傾向があるようです。
結果としては、派遣就業者の6割超が今後も派遣就業を候補として考えていることから、派遣就業には一定のニーズがあり、その傾向は今後も継続していくと言えるでしょう。