【ITエンジニアが語るキャリアの築き方】聞くスキルを身に付けよう

目次

小磯 忠喜

執筆者プロフィール

小磯 忠喜

システム技術2課
課長(掲載当時)

はじめに

私たちの周りは耳を傾けたくなることで溢れていますよね。例えば、TVやラジオのニュースや情報、携帯型デジタル音楽プレイヤーからのお気に入りの曲、友人達との会話、職場では上司や同僚達の意見やアイデアなど・・・。このような環境の中で生活していると、聞くということは当たり前の習慣になっています。これだけ日々、色々な事に耳を傾けていれば、私たちは良い聞き手のはずです。でも実際は、話を中断したり、聞き直したりして、最後まで話し手の話を聞く聞き手は少ないように感じます。友達同士ならまだしも、それがお客様だとしたら・・・?気を悪くしてしまうかもしれないですし、仕事にも支障をきたす事になるかもしれません。
そこで今回はコミュニケーションスキルを養うための一つとして"聞く時"のコツを話します。

よく聞くための5つの要素

注意深く聞き観察すると、話し手の思考や話している内容についての考え方、そして話を聞いている最中の話し手の反応がよく理解出来るようになります。以下に良い聞き手になるための5つの要素を挙げます。今度誰かの話を聞く機会があれば、自分自身をよく観察し以下の事が出来ているかを確認してみてください。

注意を払う。話し手に絶え間なく注意し神経を配り、そしてメッセージへの同意を伝える。
・聞いていることを示す。頷くことで相手に注目していることを伝える。
繰り返す。言い換えたり要約したりすることで、話されたことに対する理解を示す。
・すぐに判断を下さない。話し手に最後まで話をさせる。
・ふさわしい応答をする。応答する時は率直に。

聞く時に避けるべきこと

逆に聞く時に避けるべきことは以下になります。私は、よく思い込みや結論に飛びついてしまうので、会話の流れを結果的に止めてしまい話し手が本当に言いたかったことを理解するのに時間が掛かってしまうことが多々あります。

・部屋の中を見回したり、そわそわする。
・話題を変える。
相手の思いを軽視したり、ないがしろにする。
・相手が伝えようとすることに耳を傾けず、もうわかっていると決め付ける。
・相手が話していることを詳細に説明しだす。(結局、話し手に最後まで話をさせないことになります。)
・話の腰を折ったり、解決策を提供する。説教したり教えたりする。
・自身の思い込みで相手の言いたいことを判断し、相手の話が終わる前に自分の返事を頭の中で繰り返し練習する。
思い込みや結論に飛びつく。

聞く事を怠ると

コミュニケーションでの失敗例を一つ。
私がまだ20代の頃ですが、先輩と一緒にお客様との打ち合わせに行った時の話です。
日が浅くまだシステムをよく理解していなかった事もあり、私はお客様が話している事をただ聞き漏らすまいと聞いていました。反対に、先輩は3年近くシステムを保守していた知識と経験があり、また会議には10名以上が参加していた事もあって、お客様の話の内容に耳を傾けている様には見えませんでした。そんな中会議も終盤に近づいた頃、お客様が突然先輩に質問を投げてきました。当然話の内容を理解していなかった先輩は返答出来ませんでした。また、聞いていないことを見透かされていた為、全員の前で厳しく注意を受けてしまいました。話し手の立場になると、ちゃんと聞いていない人はよく分かるそうです。

実際に会議等で自身が話している状況を想像してみてください。その中で話を聞いていない人やそもそも内容を理解しようとしない人、話題を変えようとする人がいたとしたらどう感じますか?私なら「もっと話を進めたい」「自身の思いを伝えたい」とは思えません。逆に真剣に聞いてくれる人には、最後まで話したいと思いますし、その人への信頼も高まると思います。

おわりに

コミュニケーションは話し手と聞き手があって成り立ちます。コミュニケーションのイメージとして流暢に話すことだけが先行してしまいがちですが、大切なのは「よく聞くこと」だと私は考えています。会話の内容を傾聴しリアクションを忘れない、話し手の表情や仕草などを注意深く観察する。一見簡単に思われるこれらの行動はコミュニケーションを円滑にする上で非常に重要だと思います。話し手自身が話の内容により意識を向けられるようになり、考えを明らかにしようとする事が、話し手を深く理解しようとしたときに得られる価値だと思います。

本コラムの内容がコミュニケーションスキルを上げたいと考えている方の一助になれれば幸いです。

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