派遣社員としてお仕事をするには、人材派遣会社への登録が必要です。これまでは、人材派遣会社が開催している登録会に訪問する形式が主流でしたが、現在では人材派遣会社によっては電話・WEBなど来社不要の登録方法も用意されています。
初めて派遣社員としてお仕事をしようと考えている人にとっては、登録にあたってあらかじめ準備しておいたほうがよいものは何か、お仕事が決まるまでに何をすれば良いのかなど、よく分からないことも多いのではないでしょうか。
そこで、今回は人材派遣会社に登録してから就業先が決まるまでの流れを、分かりやすく解説します。
人材派遣の登録方法
登録方法は人材派遣会社によって異なりますが、大きく分けて3つの方法があります。
それぞれの特徴を理解して、自分にあった方法を選びましょう。なお登録は無料で行えます。
来社して登録する
人材派遣会社に訪問して登録を行う方法です。
担当者と対面でじっくり話ができるので、細かい希望条件を相談できます。また、Web登録(文章)や電話登録では伝わりにくい人柄やお仕事への意欲をアピールできるのが「来社登録」の特徴です。所要時間は概ね1時間ほどです。
電話で登録する
電話で登録を行う方法です。
プロフィールや職務経歴(以下、「職歴」といいます)、希望条件などを人材派遣会社のコーディネーターが電話で詳しくヒアリングします。詳細な希望条件などの相談も可能で、時間は概ね30分程度です。
電話登録の多くは、Webでの事前予約を行い、予約した日時に人材派遣会社から電話がかかってきます。
Webで登録する
Web上で登録が完結できる方法です。
Web上で職歴や希望条件などを入力し、送信するだけで登録できます。登録時間も15〜20分程度で済み、好きな時間に登録ができるので、登録会への参加や電話の時間がとれない方にもおすすめです。
人材派遣登録までの流れ
ここからは、具体的な「登録」から「就業先決定」までの流れを説明します。
マイページ作成
登録の申請が完了したら、プロフィール(住所、電話番号、メールアドレス)や職歴、希望条件などを入力して、マイページを作成します。
マイページを作成すると、希望条件にあった最新のお仕事情報を受け取ることができるので、興味のあるお仕事情報を保存し、エントリー(応募)することも可能です。
登録会へ参加
電話やWebで派遣登録を完結することもできますが、初めて人材派遣に登録するという方には登録会への参加をおすすめします。
登録会に参加することで人材派遣の働き方や福利厚生サービスについて詳しく説明してもらったり、コーディネーターによる面談を 1on1で受けられたりするからです。
なお、登録会への参加は、事前予約が必要な場合が多いので、事前に確認しておきましょう。
登録会で行うこと
人材派遣会社により異なりますが、ほとんどの登録会では、次の4つのプログラムを行っています。
- 人材派遣の仕組みや福利厚生・待遇についての説明
「雇用契約の相手」や「各種社会保険の加入」など、人材派遣に関して皆さんからよくご質問をいただくことに関する説明があります。
- プロフィールの登録
氏名、住所、生年月日、連絡先などの個人情報と、これまでの職歴や資格、免許などのスキル情報を記入します。人材派遣会社によっては、登録会前にWebで完了している場合もあります。
- スキルチェック
オフィスワークに必要なExcelやタイピングなどの技術や、一般常識などのスキルチェックを行います。専門性の高い職種については、プログラミングや英語などの特定スキルに関するテストも行われます。
- コーディネーターとの面談
登録会で記入した(あるいは事前にWebで入力した)職歴や希望条件などを詳しくヒアリングします。その際、記載できなかった希望条件や要望なども相談できます。また、キャリアプランなども一緒に考えてもらえます。
登録会参加時の服装
登録会は人材派遣会社のスタッフと初めて顔を合わせる機会ですので、「この人なら、お仕事を紹介しても大丈夫だな」と信頼感を与える服装選びがポイントです。
【 OK 】
ビジネスシーンをイメージした、清潔感のあるオフィスカジュアルやスーツがおすすめです。色選びに迷うようでしたら、白、黒、紺、ベージュ、グレーなど、落ち着いた色を基調にするとよいでしょう。
【 NG 】
シワや汚れの目立つ服、ビーチサンダルや短パンなどのラフな格好、あるいは華美な装いなど、お仕事に相応しくない服装はひかえましょう。またアニメのような派手な髪色や濃いメイク、目立つアクセサリー類なども避けたほうが無難です。
登録会参加時に持参するもの
必要なものは、主に次のとおりです。人材派遣会社によって、必要な持ち物が異なる場合がありますので、予約時にWebサイトで確認しておくとよいでしょう。
- ・印鑑
(シャチハタは不可の場合があるので事前に要確認)
- ・身分証明書
(免許証やパスポート、マイナンバーカードなど)
- ・預金通帳やキャッシュカード
(給与を振り込むための銀行口座情報の証明となるもの)
- ・文房具
(ボールペン、シャープペンシル、消しゴムなど)
- ・履歴書・職務経歴書
(人材派遣会社によっては不要な場合も)
当日、重要なことをメモできるようにノートを持参すると便利です。
お仕事紹介
条件にあったお仕事が見つかれば、コーディネーターから連絡が入ります。条件があえば、登録会当日に紹介してもらえることもあるでしょう。
希望するお仕事が見つかれば、積極的にエントリー(応募)してみましょう。
ただし、人気の企業・職種は複数の応募者がいるため、人材派遣会社にて選考が行われます。そのため、必ずしも希望の派遣先企業を紹介してもらえるわけではありません。
職場見学・顔合わせ
人材派遣会社の担当者と同行して派遣先企業に行き、以下の内容を確認します。
・業務内容に関すること
(お仕事内容や求められるスキル、1日/1か月のお仕事の流れ、職場環境、残業の有無など)
・フロア見学
・簡単な自己紹介
・質疑応答 など
働きだしてから「こんなはずじゃなかった」というミスマッチを防ぐためにも、職場見学を行うのは非常に重要です。
派遣登録者にとっては、職場の雰囲気がつかめて、不明点や不安も解消できるので、積極的に利用したほうがいいでしょう。
就業先決定
職場見学や担当者からの詳しい話を聞き、人材派遣会社と最終的な合意が取れたら人材派遣会社と雇用契約を結びます。
お仕事の開始前には、ビジネスマナーや就業中の情報管理などに関する研修を行う人材派遣会社もあるので、事前に確認しておきましょう。
原則、出社初日はコーディネーターもしくは営業担当が同行してくれます。
人材派遣会社に登録する際の注意点
人材派遣会社への登録で気を付けるべきポイント、あるいは事前に準備すべきことを紹介します。
登録する前の注意点
登録会では、職歴やお仕事の希望条件などを入力します。次の2点をあらかじめ準備しておくと、登録がスムーズに進められ、希望のお仕事探しもしやすくなります。
希望の条件を明確化する
登録会では、コーディネーターから詳しくヒアリングされますが、事前に希望条件を洗い出しておくことをおすすめします。
また、派遣先企業に直接雇用されることを前提にした「紹介予定派遣」や、人材派遣会社の社員として雇用され、無期限の雇用契約を結べる「無期雇用派遣」の募集を行っていない人材派遣会社もあります。
自分が希望する働き方ができるかどうかを、登録前あるいは登録時に必ず確認するようにしましょう。
これまでの職歴を整理する
Web登録、電話登録、登録会参加のどの登録方法でも、職歴は必要な情報です。
「どんなお仕事をしてきたのか」を時系列で整理しながら、経験した業務や資格などを具体的にまとめておきましょう。また、「会社や周囲の人たちに貢献したこと」「成長を実感したこと」などのお仕事に対する姿勢も伝えるようにします。
登録会に参加するときの注意点
登録会での印象が、その後のお仕事紹介につながるどうかを左右するといっても過言ではありません。会社の面接と同じような心構えで臨むのがよいでしょう。
無断欠席や遅刻は厳禁
連絡もなく欠席したり、時間に遅れたりすると、その時点で信頼を失ってしまうため注意しましょう。万が一、急用や体調不良などにより日時の変更が必要な際は、事前に連絡を入れましょう。
ビジネスマナーに気を付ける
基本的なあいさつはもちろん、きちんとした言葉遣いができていないと、最低限必要なコミュニケーション力に乏しい印象を与えてしまいます。
名刺の渡し方・受け取り方や敬語の使い方などに少しでも不安のある方は、登録会参加前に予習をしておきましょう。電話登録の場合は、お互いの顔が見えません。言葉遣いに注意し、相手に伝わるように説明します。
人材派遣会社に登録する3つのメリット
派遣社員には、どんなメリットがあるのでしょうか。大きく分けて3つ紹介します。
高い時給の案件も見つかる
派遣社員の給与はお仕事内容によって決まります。専門性が高いと、それだけ給与も高くなります。
ほとんどの場合「時給制」ですが、人材派遣会社に社員として雇用される「無期雇用派遣」では「月給制」も多くみられます。
人材派遣会社の福利厚生を受けられる
要件を満たすことにより、社会保険や有給休暇、産休・育休制度、健康診断などの福利厚生を受けることができます。
人材派遣会社によっては、次のような「法定外福利厚生」が充実しているケースもあります。
・資格取得に対する支援
・人材派遣会社が提携する施設やレジャーの割引
・メンタルヘルスカウンセリングなど
福利厚生といっても、人材派遣会社によってさまざまなので、登録時に担当者へ確認してみましょう。
キャリアアップのサポートがある
人材派遣会社では、派遣社員がキャリアアップできるように研修などの支援制度が用意されています。2015年の施行された改正労働者派遣法により、人材派遣会社でのキャリア開発が義務化されたからです。
OA(ExcelやWordなど)・IT技術やビジネス英語などのビジネススキル、問題解決力や発想力、リーダーシップなど、幅広いスキルが学べます。こうしたスキルを身に付けると、専門性の高いお仕事にも就け時給アップも可能です。
ただし、人材派遣会社によって、受講期間が定められているなどの条件があるので、詳しい内容は事前に確認しましょう。
人材派遣登録でのQ&A
履歴書や職務経歴書は必要ですか?
人材派遣会社によって異なります。
履歴書や職務経歴書の持参を必須としている会社もありますので、事前に確認するようにしましょう。
年齢制限で派遣登録できないことはありますか?
派遣社員には年齢制限がありません。
これは、2007年に雇用対策法が改正され、事業主が労働者の募集・採用を行う場合、年齢制限の禁止が義務化されたためです。
紹介されたお仕事を断っても大丈夫ですか?
お仕事を紹介された段階や職場見学をしてみて、合わないと感じたら、断ることもできます。
ただし、どこが自分に合わなかったのか、人材派遣会社の担当者にきちんと説明することが大切です。断る理由を明確に伝えられると、人材派遣会社の担当者も次にどんなお仕事を紹介するとよいのかを知る基準にもなります。
紹介されたお仕事を受諾し、雇用契約が進んだ段階で断る場合は、早めに連絡を入れましょう。派遣先も受け入れの準備を始めていますし、後任を探す必要もでてくるからです。
複数の人材派遣会社に登録できますか?
登録は可能です。ただし、メリット・デメリットを把握した上で複数の人材派遣会社に登録するかを判断しましょう。
メリットは、多くのお仕事情報などを収集できる点です。その分、希望条件にあったお仕事に就くチャンスも増えるでしょう。
デメリットは、登録した複数の人材派遣会社から連絡が入ってくる点です。職場見学や顔合わせなどが同時に進行することも多く、就業先が決定したら他社の案件は、誠実にお断りの対応をしなければなりません。
多くの人材派遣会社に登録しすぎると、その後の管理が煩雑になってくる恐れがあるので、複数社に登録する場合は3社ぐらいに絞るのがよいでしょう。
社会人未経験でも派遣社員になれますか?
可能です。
新卒(第二新卒含む)などの社会人経験のない方向けのお仕事を扱っている人材派遣会社も多くあります。
人材派遣会社では、ビジネスマナーはもちろん、OA・ITスキル、さらにエンジニア向けにはプログラミングスキルを習得できる研修制度などもあるので、イチから基礎知識や技術を学べます。
派遣先企業の現場に入ってからも、先輩社員から実践に即したノウハウや技術を教えてもらえる案件が多いので、安心して取り組めるでしょう。
まとめ
派遣社員として働くためのファーストステップである登録と、その後の就業先決定までの手順や流れを紹介しました。実際に、登録していく上でも分からないことは出てくるかもしれません。そんなときはコーディネーターに相談すると、アドバイスがもらえるので、積極的に活用していきましょう。