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調査データ

長時間労働に対する取り組みの現状。 企業と従業員のギャップを埋めるための課題とは?

2017年2月28日

マンパワーグループは、20代~50代の正社員の男女400名を対象に、長時間労働改善における「現在、会社が行っている取り組み」「働き手が行ってほしいと思う取り組み」について調査しました。企業発信の取り組みと、現場で働く従業員が実感していることには、一体どんなズレがあるのでしょうか。その実情とギャップを知り、真に取り組むべき課題を見つけるヒントにしてみてはいかがでしょうか。

調査時期
2016年11月
有効回答
400人

目次

4割以上の企業が未対策、一斉取り組みには期待薄

長時間労働を減らすために会社で行っていることと、行ってほしいことについて質問した結果、すでに会社が実施している取り組みのトップは「ノー残業デーやノー残業ウィークの設置」(29.3%)で全体の約3割を占めました。しかし、「すでに実施している取り組み」が「今後、実施してほしい取り組み」を大きく上回ることはなく、全体的に低い数字となっています。

今後実施してほしい取り組みの中では、「年次有給休暇取得の促進」(22.3%)が最も高い割合を占めています。実態としては、「有給の取りやすい職場と取りにくい職場があり、不公平感がある」(47歳・男性/製造業)など、会社や職場による取り組みのバラつきがあるようです。

さらに、「有給休暇の付与は毎年あるが、使いきれている社員はあまりいない(39歳・男性/出版・印刷関連業)「取得申請をすれば通るが、独身や子供のいない世帯では申請しにくい。有給取得促進日を具体的に決め、年間○日以上取得なども明示してもらいたい」(29歳・女性/医療関連業)といった声も。有給休暇の計画的付与制度の導入など、有給取得促進への期待感がうかがわれます。

残業をどのように減らしたら良いかという意見としては「残業時間の超過が日常化している業界なので、それを抑制される仕組みにしてほしい」(33歳・男性/情報サービス関連)、「残業が当たり前になっているので残業なしの日を作るべきであり、間に合わないなら業務自体を見直すべき」(32歳・男性/鉄鋼業)、「サービス残業が当たり前なので、実際の残業時間を公開してほしい」(29歳・女性/サービス業)などの声がありました。

これらを考えると、「企業側から提示される残業抑制制度の効果は限定的なため、期待度が低い」というケースも少なくはないでしょう。

一方、現状では長時間労働改善の取り組みがないとの回答が45%に上りました。
以前マンパワーグループが「1カ月平均の残業時間」を調査したところ、10時間未満が最も多く(34.3%)、対策を必要と感じない企業も多いのかもしれません。
>「残業は当たり前」と感じている人が8割!?世の中のワークライフバランスの実態

業務内容や繁閑状況などに応じて「柔軟な働き方ができる制度」が求められている

今後実施してほしい取り組みへの回答率は軒並み低く、期待は高くないようですが、半数以上の項目で「すでに実施している取り組み」よりも上回る数字となっています。
「フレックスタイム制の導入」(16.5%)、「業務の繁閑に応じた営業時間・営業日・休業日の設定」(12.3%)が上位を占め、効率的な時間の使い方、柔軟な働き方ができる取り組みが望まれているようです。

◆「業務の繁閑に応じた営業時間・営業日・休業日の設定」を選んだ人の声

・繁忙期は休日出勤や残業があるので、これを勤務とみなし、後日に振替休日を設定してほしい。(37歳・女性/学校)
・忙しい時と暇な時期に差があり過ぎる(56歳・男性/製造業)
・部署によって繁忙期は違うので、それに合うような休みを導入してほしい(28歳・女性/卸売・小売業)
・月末に比較的仕事が楽な部署なので、 忙しい月中には土曜出勤し、月末の平日に休めるなどしたい(23歳・女性/製造業)
・個々が時間に縛られず柔軟に業務を行える環境なら、子育てや介護をしている人にも配慮できるから(24歳・男性/IT・インターネット関連)

◆「フレックスタイム制の導入」を選んだ人の声

・子育てと両立させるためなるべく早い時間に帰りたいから(32歳・女性/情報通信業)
・時間を自分で上手く使いまわせるフレックスタイムの導入を望む(58歳・女性/学習塾、教育関連)
・定時前でも、他の人に迷惑がかからなければやるべきことが終了した時点で退社してもいいと思う(25歳・男性/建設業)
・育休から復帰した同僚は、時短勤務なのに残業していることが多いので、もっと柔軟な形態で働けたらいいのにと思った(30歳・女性/医療関連業)
・請けた仕事や時期などによって繁閑の差が大きいので、勤務をフレキシブルにすれば、就業時間も短くなると思う(57歳・男性/建設業)

まとめ

今回の調査では、企業側の取り組みと従業員が求めている取り組みにギャップがあることがわかりました。全社一律で取り組もうとしても、現場の状況によっては名ばかりのものになってしまう可能性も高いようです。そのため、業務内容や繁閑状況などに応じた「柔軟な働き方」を実現する取り組みが求められています。

例えば、「早帰りなどを設定しても最初だけ。決まった時間に消灯して労働にメリハリをつけられるようにしてほしい」(32歳・女性/銀行・金融・保険業)と制度だけが一人歩きしているケースもあれば、残業が恒常化している職場では、「研究分野には裁量労働制を導入し、残業代の代わりに目標達成度に応じた研究手当てを出してほしい」(45歳・男性/製造業)というケースもあります。

全体を一律で動かす制度のみでなく、より良い働き方を実現しやすい制度・環境づくりに取り組むことで、労働生産性の向上や離職率改善、求職者をひきつける魅力に繋がってくると言えるでしょう。

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