人材サービス最新情報
2020年9月 8日
新型コロナウイルスの対策としてテレワークが推奨される中、「原則テレワーク」という新たな働き方に移行する企業も増えつつあります。
今後、一時的な対策ではなく、働き方の選択肢としてテレワークが定着していく可能性もありそうです。
そこで、マンパワーグループでは、オフィスワーカーとして働く20代~50代の正社員男女400名を対象に、テレワークでのコミュニケーションについて調査を実施しました。
働く制度・環境を整備するための参考にしてみませんか?
テレワークを行う20代~50代の正社員男女400名に、どのようにコミュニケーションを取っているか聞いたところ、「Eメール」(55.5%)、「テレビ会議・ビデオ会議」(53.0%)が半数を超え上位となりました。
「携帯電話の通話」(45.3%)、「少人数のオンラインミーティング」(42.3%)も4割を超えています。
従来、使用してきたEメールと携帯電話に加え、オンラインでの会議やミーティングでコミュニケーションを取り入れる企業が増えているようです。
テレワークのコミュニケーションにおける良い点については、会議の効率化や、情報共有のやりやすさなどを挙げる声が多くありました。
若手社員にとっては、上司や顧客とのコミュニケーションがスムーズになったと感じるケースもあるようです。
無駄な雑談が減ったり、オンライン会議の時間設定を守る意識によって、新たな効率化の手順が自然に生まれたりしているようです。
また、物理的な面では、全国に事業所や営業所が複数ある場合でも、場所を選ばずコミュニケーションをとれるなどのメリットもあります。
・無駄な雑談なしに要件を進めることができる(男性・22歳/サービス業)
・会議で議論する内容を明らかにしてから始めるようになった。必要が無ければ開催しなくなった(男性・46歳/製造業・メーカー)
・考えをまとめてから、お互いにやりとりをすることで短い時間で問題が解決できる(女性・32歳/サービス業)
・誰もが積極的に発言できるようになった(男性・26歳/製造業・メーカー)
・時間と場所の調整がしやすくなった(男性・26歳/サービス業)
・いろんな地域の人とコミュニケーションがとれる(女性・23歳/サービス業)
テレビ会議のときに、画面共有しながら内容を確認できたり、その後、自分用のメモとしてスクリーンショットを残しておけたりするなど、ツールを使うことによるメリットがあがっています。
また、チャットでの文字のやり取りにより、短時間で正確に伝えることができ、業務効率化につながったという声も。
・他部署ともテレビ会議でコミュニケーションがとりやすくなり、情報共有が早い(女性・30歳/製造業・メーカー)
・テレビ会議では、自分や相手の画面を共有しながら話せる。その画面のスクリーンショットを撮れば簡単に自分用のメモも残せる(女性・32歳/その他)
・チャットで端的に短く正確な文章が送られるようになったため、時間短縮、業務効率化につながった(女性・25歳/サービス業)
・他部署への連携仕事は担当を指定して業務の依頼ができ、責任の所在がはっきりするため、進捗状況を適切に把握できる(男性・29歳/その他)
・その時点で会話可能なメンバーをリアルタイムで把握できる(男性・55歳/サービス業)
上司や顧客と面と向かって話しづらかった若手社員からは、気軽にチャットできるようになったなど、コミュニケーションがスムーズになったと感じるケースもあります。また、不要なコミュニケーションに悩まされることなく、自分の業務に集中できるようになったこともメリットに感じているようです。
・テレワークをするようになってから、上司に気軽にチャットできるようになった(男性・24歳/製造業・メーカー)
・普段は気軽にやりとりしない人と、やりとりしやすくなった(男性・36歳/その他)
・画面越しなので、物怖じせずに提案できる(女性・26歳/サービス業)
・頼まれごとなど無駄なコミュニケーションが減り、自分の業務に集中することができた(男性・28歳/その他)
・苦手な人と必要以上にコミュニケーションを取らなくていい(女性・23歳/その他)
テレワークのコミュニケーションで不便・不安なことについては、やりとり全般における質の低下や、環境面のストレスを挙げる声が多くありました。
テレワークの、とりわけ複数名で実施するオンライン会議の場合、他の人の状況が把握できないため、いつ発言していいかわからないなど、意思疎通の難しさを感じて、必要最小限の情報交換にとどまってしまうことも多いようです。
・他の人がどう動いているか把握しにくく、依頼された仕事の緊急度も判断しにくい(男性・27歳/商社・卸売業)
・部署内の他の人が何をしているのか把握できない。他部門はなおさら(男性・27歳/製造業・メーカー)
・テレビ会議で発言しようか迷う。発言するタイミングがかぶったり、一人で話している状況に不安を感じたりすることもある(男性・27歳/製造業・メーカー)
・熱意などが感じにくいため、掘り下げた議論が難しい(女性・34歳/その他)
・複数人でのタイムリーな意見交換が難しい(男性・35歳/その他)
・ちょっとした質問や相談ができなくなった(女性・32歳/医療)
・雑談ができないので細かな情報が入らない(女性・34歳/サービス業)
ネット環境による通信の不具合で、相手の声が聞こえづらかったり、通知の不具合で連絡が遅れてしまったりするストレスや、自宅で働いているために、周囲の生活音に対するストレスを感じている人が多いようです。
・電波が悪いと聞こえづらい。表情が伝わりにくい(女性・22歳/その他)
・通知の不具合で、気がつくのに遅れる(男性・35歳/製造業・メーカー)
・家族も家にいるので、雑音を気にしなくてはいけない(男性・41歳/その他)
・隣室がうるさく、会議中に雑音が入ってしまう(女性・37歳/サービス業)
テレワークにおける上司との関係性については、「チャットによって上司に気軽に質問できるようになった」(男性・24歳/サービス業)、「上司に対して、対面式よりも気軽にコミュニケーションを取れるようになった」(男性27歳・その他)、「業務上に必要なこと以上の関わりを持たなくていいため、気が楽になった」(女性・23歳/製造業・メーカー)など、メリットを感じている人もいました。
しかし、「上司、同僚のニーズの把握が難しくなった」(男性・28歳/製造業・メーカー)、「息抜きなども含め、何気ない会話ができなくなった」(女性・25歳/サービス業)、「出社時以上に監視されているような気がする」(女性・30歳/商社・卸売業)などのデメリットを感じている声も少なくありませんでした。
テレワークにおける部下との関係性についても、「関係性がドライになってしまった」(男性・54歳/サービス業)、「個人の業務の成果が見えにくくなった」(男性・59歳/小売業)など、やはりデメリットを感じているケースが多いようです。
一方、テレワークにおける他部門との関係性については、ほかの拠点で働く人や、日頃やりとりしない人とのコミュニケーションの機会は増えているようで、「普段気軽にやり取りしない人とやり取りしやすくなった」(男性・36歳/その他)、「拠点が異なる担当者とも気軽に連絡が取りやすくなった」(男性28歳/その他)という声が多くありました。
今回の調査では、半数以上が、オンラインでの会議やミーティングを行い、新たなコミュニケーション手法として活用されているようです。
テレワークのコミュニケーションにおける良い点については、会議の効率化や、情報共有のやりやすさを挙げる声が多くありました。
場所や時間を選ばないオンライン会議の利便性や、情報共有の手軽さ、会議時間の設定があることによる意識の変化、画面越しのコミュニケーションによる気軽さなどのメリットがあるようです。
一方、テレワークのコミュニケーションにおける不便・不安については、やりとり全般における質の低下や、環境面のストレスを挙げる声が多くありました。
直接顔を合わせることがないため、状況や相手の反応を把握しにくく、質問や相談、情報共有などもしにくい状態となっているようです。
また、環境面については、不安定な通信環境や、家族などがいるプライベートな環境で仕事することにストレスを感じている人もいました。
テレワークの環境に慣れてしまうことに対し、「人と会うことが少なくなりコミュニケーション能力の低下が心配」(女性・28歳/サービス業)、「社員の連帯感や、帰属意識の低下」(男性・30歳/製造業・メーカー)など、根本的な部分に不安を感じているケースもありました。
さらに、「上司や同僚、他部署などの関係性の変化」についても、デメリットを感じている人がかなり多い状況も見えてきました。
テレワークの課題として挙げられた、働くスペースの問題、通信環境の問題、コミュニケーションツールの問題など、これらの問題がコミュニケーションに与える影響は甚大です。
このままでは、テレワークで働くことにストレスを感じている人々の不満は募るばかりで、うまく適応できている人・組織と差が生じるなど、不協和音を招きかねません。
新しい働き方にあわせたコミュニケーションを構築していくために、早い段階から課題に取り組む姿勢が企業には求められています。