調査データ
2021年11月15日
管理職やリーダーなど部下を持つ立場で「部下の指導方法」に悩みを持つ人は多いことでしょう。
実際、「平成30年版 労働経済の分析 -働き方の多様化に応じた人材育成の在り方について-」(厚生労働省) によれば、上場企業を対象とした2017年の調査では「管理職としての悩み」における最も多い回答には、「部下がなかなか育たない(39.9%)」が挙げられていました。
そこで、マンパワーグループでは、20代~50代の部下を持つ男女400名を対象に、「部下の指導方法」について調査を実施し、うまくいった指導方法や失敗したと感じた指導方法などを聞きました。
20代~50代の部下を持つ男女400名に、現在、行っている部下の指導方法について聞いたところ、トップは「部下に役割を与える」(37.5%)が全体の4割近くを占めていました。次いで、「部下の特徴を理解して指導を変える」(28.3%)、さらに「部下に問題意識を持たせる」、「部下の行動を尊重してサポートする」が同率28.0%で続きます。
一方、今後、取り組みたい部下の指導方法については、「部下に問題意識を持たせる」(32.5%)、「部下の特徴を理解して指導を変える」(28.8%)、「答えは出さずにヒントを与える」(26.0%)が上位を占めました。部下が自律的・自主的・意欲的に行動していけるよう、今後の指導において、より「部下自身に考えさせること」に重要性を感じているようです。
現在、部下に指導していることについては、必要なことをのみを伝え、自主的に行動させるよう意識している声が多くありました。その際、コミュニケーションに気を配り、個々に合わせた取り組み方の指導を心がけているようです。
指導している中で成功したことを聞いたところ、「成功体験で自信をつけさせる」「仕事を任せ、考え方を指導し、必要な時のみアドバイスをする」「褒めることでモチベーションを上げる」「叱り方に注意する」などが大きなポイントとなっています。
自主性を尊重したり、成功体験を積み重ねて自信を持たせたりするケースや、ワンランク上の業務を経験させて成長を促したり、本人が課題や問題に気づきやすいように具体例を出したり、寄り添う指導をしているケースも多いようです。
一方、うまくいかなかった指導方法は、コミュニケーションの過不足で失敗したと感じているケースが多いようです。また、我慢できずにメンバーを交代させたり、一から十まで自分でやってしまったり、育成指導に時間や根気が足らなかったことで、失敗したケースもありました。
叱り方、褒め方についての失敗談も多く、人前で怒ってしまったり、「以前も言ったけど」という言いまわしを多用してしまって、相談しづらくさせてしまったりするケースがある一方、仲良くなりすぎて指導しづらくなったという声もありました。
今回の調査によると、今後は、より「部下自身に考えさせる」指導方法が重要だと感じている傾向がありました。部下に考えさせ、それぞれの意識を高めるために、さまざまな指導方法を実践している様子がうかがえます。
しかし、「理解する前に相手が逃げ出してしまった」(男性・51歳/静岡県)や「相性の悪い部下同士を組ませて険悪になった」(男性・51歳/宮城県)など、指導方法や人材の組み合わせに失敗したというケースもありました。
人材の育成・指導には、上司・部下それぞれの感じ方や考え方、相性、そして、世代間のギャップなどもあります。育成・指導にバラつきを出さないためには、現場の管理職やリーダークラスに任せきりにするのではなく、企業としての指導方針や指導方法を明確にし、それぞれの職位に合わせた研修を実施することが重要といえるでしょう。
人材育成は企業経営の要となるものです。自社にマッチし、活躍し続けてくれる人材を採用・確保するためには、しっかりとした育成・指導の制度・環境を作ることも大きなポイントです。