調査データ
2023年6月14日
若年層の早期離職は、どの企業においても悩ましい課題と言えます。新入社員や若手社員が「入社前に描いていた仕事のイメージと、入社後の現実とのギャップ」に対し、ショックを受けたり、悩みを抱えたりするケースは多く、昨今ではこの現象を 「リアリティショック」と呼ぶようになっています。
そこでマンパワーグループでは、企業の人事担当者を務める20代~50代の男女400名を対象に、新入社員・若手社員が感じる「リアリティショック」の現状と対処について調査しました。
人事担当者を務める20代~50代の男女400名を対象に、新入社員や若手社員から「リアリティショック」 を感じたという相談を受けたことがあるか聞いたところ、「そのような相談はない/聞いていない」(71.5%)が7割超でした。
この結果から、約3割の人事担当者が、相談を受けていることがわかりました。また、「自身が相談を受けたことがある」(21.3%)は2割超、「会社の中で人事部門に相談があった」(12.3%)は1割超となっています。
「相談を受けた」と回答した人事担当者に、新入社員や若手社員は、どんなことに「リアリティショック」を感じていたかを聞いたところ、トップは「過労とストレスを感じる」(32.5%)で、3割超となりました。
以降は、「やってみたら自分に合わない業務だと感じた」(29.8%)、「将来の立場や処遇に不安を感じる」(28.9%)、「携わる業務内容が期待していたものと違う」(27.2%)、「上司への信頼や自信が感じられない」(26.3%)が続きます。
項目全体の回答率はそれぞれ2~3割前後となっており、相談内容に偏りはないことがわかりました。新入社員・若手社員が感じがちなリアリティショックの要因は、分散している様子がうかがえます。
人事担当者に聞いた若年層から「リアリティショック」の相談を受けた際の対処法については、人事部署による定期面談を実施し、本人への理解を深めるケースや、現場の上長との連携などを図っているケースが多くみられました。また、メンター制度によるフォローを行ったり、柔軟な配置転換で対処したりするケースもありました。
今回の調査では、人事担当者の約3割が、「新入社員や若手社員からリアリティショックについての相談を受けたことがある」ということがわかりました。
相談内容のトップは「過労とストレスを感じる」が3割超となっていましたが、「やってみたら自分に合わない業務だと感じた」、「将来の立場や処遇に不安を感じる」、「携わる業務内容が期待していたものと違う」、「上司への信頼や自信が感じられない」などの項目への回答も3割近くになっていました。新入社員・若手社員が感じがちなリアリティショックの要因はケースバイケースと言えそうです。
厚生労働省が2022年10月に発表した「新規学卒就職者の離職状況(平成31年3月卒業者)」では、就職後3年以内の離職率は新規高卒就職者35.9%、新規大卒就職者31.5%という数字が公表されており、全体の3割超が早期離職している という厳しい状況がうかがえます。
こうした背景の中、若年層の定着を実現するためには、人事担当者は、新入社員・若手社員が抱える悩みに向き合うことはもちろん、今後、入社する社員がリアリティショックを感じることがないよう、先んじて施策を講じていくことが重要と言えるでしょう。