調査データ
2025年6月23日
中小企業庁が公開している「2024年版 小規模企業白書 」によれば、コロナ禍を経た後の需要回復を受けて中小企業の売上が回復基調にある一方、人手不足感は徐々に強まっている状況があり、引き続き深刻な課題となっていることが示唆されています。
今後、未経験者の採用の対象を広げる動きが強まっていく可能性があります。ただ、一方で、具体的なメリットやリスクをつかみきれず、判断を保留している企業もあるでしょう。
そこでマンパワーグループでは、企業の人事担当者<20代~50代の男女333名を対象に、未経験者採用のメリット・デメリットについて調査しました。
マンパワーグループでは、全国採用や広域採用などの大規模採用のサポート実績も豊富な採用代行・採用コンサルティングサービスを提供しています。
企業の人事担当者として未経験者採用に携わったことがある20代~50代の男女300名に、未経験者を採用するメリットを聞いたところ、「不足している人員をひとまず確保することができる」(37.8%)が4割弱で最も多い割合でした。
以降、「未経験者の持つ新しい視点で組織が活性化する」(32.1%)、「教育や経験を積むことで成長が期待できる」(30.9%)、「多様性がチームや組織に新しい活力を与える」(29.7%)などが3割前後で続きます。本人の成長のみならず、未経験者がもたらす社内への良い影響もメリットとして挙げる傾向が見られました。
人事担当者のリアルな声として、人員確保やコスト面、入社後の教育や成長性、組織や従業員に与えた好影響など、未経験者を採用して良かったことを紹介します。
一方、未経験者採用のデメリットについては、「独り立ちするまで、現場の負担が大きい」(45.3%)が4割台半ばと、最も多い割合でした。
以降は、「見極めが難しく、ミスマッチが多い」(33.9%)、「教育・研修に時間とコストがかかる」(30.6%)、「業務の質にばらつきが生じる」(28.5%)が3割前後で続きます。
未経験者を採用する際のデメリットは、職場で即戦力となるまでに時間がかかる点にあるようです。
未経験者の採用について、メリット・デメリットのどちらが大きいと思うかを聞いたところ、「ややメリットのほうが大きい」(59.0%)と回答した人が最も多く、全体の約6割を占めました。「メリットのほうが大きい」(24.3%)も含めると、未経験者の採用について、全体の8割以上が「メリットのほうが大きい」と感じていることがわかりました。
未経験者を採用したことのある人事担当者に、今後も未経験者の採用を続けていくと思うか聞いたところ、「続けていくだろう」(42.7%)、「おそらく続けていくだろう」(43.0%)という回答がともに4割超で、合計すると8割以上が今後も未経験者採用を「続けていくだろう」と考えていることがわかりました。
今回の調査では、未経験者を採用したことのある人事担当者の8割以上が、未経験者採用に対し、「デメリットよりもメリットのほうが大きい」と実感していることがわかりました。
未経験者を採用して良かったことについては、人員確保やコスト面のメリットだけでなく、教育のしやすさ、意欲や吸収力、成長性の高さをあげる声が多く見られました。また、異業種・異業界の人材やまっさらな若手人材が入社することで、組織の活性化や既存従業員の意欲向上につながる点や、新しい視点や発想を得られるメリットについて言及する人も少なくありませんでした。
これに対し、未経験者採用のデメリットは、入社後の現場の受け入れ体制や教育・研修体制をいかに構築するかはもちろん、面接時の見極めに頭を悩ませている人事担当者は少なくないようです。
その一方で、人事担当者が未経験者採用の経験を通じて成長・変化していくことによって、新たな視点での制度・体制の見直しができるケースや、若手メンバーの面接スキルの向上などにつながるケースもあるでしょう。人事担当者自身が前向きかつ中長期的な視点を持ち、改善・向上のトライ&エラーを続けていくことも重要と言えるかもしれません。