調査データ
2025年10月14日
近年、転職に対する意識は大きく変化しています。人事担当者にとっては、採用時のマッチングに加え、入社後、いかに「転職する必要がない」と思わせる環境を構築するかが重要な課題になると言えるでしょう。
そこでマンパワーグループでは、20代~40代の転職経験者400名を対象に、「退職理由」について調査しました。転職経験者のリアルな退職理由、仕事のやりがいを見失う要因なども紹介します。
20代~40代の転職経験者400名に、これまでに転職した回数について聞いたところ、「1回」(30.8%)が最も高い割合で約3割でしたが、「2回」(26.8%)、「3回」(21.0%)も2割超と高めの割合です。
全体では約7割が「2回以上」の複数回転職を経験していることがわかりました。なお、複数回転職経験者の割合は、年代が上がるにつれて高くなる傾向が見られました。
退職理由については、「給与などの待遇面に不満があった」(37.8%)が最も多く、全体の4割近くを占めていました。次いで「残業、休日出勤など労働環境が悪かった」(23.8%)、さらに同率で「上司との人間関係が良くなかった」(19.8%)、「スキルアップがしたかった」(19.8%)が続きます。
一方、5%未満と回答率が少なかった退職理由は、「リモート勤務が減った」(2.0%)で、「転勤・異動を命じられた」(3.8%)、「不満はなかったが別の会社から熱心に勧誘された」(4.8%)となりました。
年代別では大きな差異は見られませんが、「正当な評価がもらえていない」に対する回答率は、30代は14.5%、40代は18.6%となっており、20代(6.7%)よりも高めの傾向となっています。
転職経験者に聞いた「勤めていた会社を退職した具体的な理由」としては、すべての年代を通じて、「待遇」「人間関係」「労働環境」などについての声が多く上がっていました。
勤めていた会社の仕事にやりがいを感じなくなった要因については、「労働時間に対する給与が見合わなかった」(33.3%)、「業務内容に対する給与が見合わなかった」(30.3%)、「将来のビジョンが感じられなかった」(29.3%)が3割前後の高い割合でTOP3となりました。給与面、会社の将来性がやりがいを失う要因となっているようです。
年代別では、20代は「成果が評価に反映されなかった」、30代は「会社からの目標やノルマが高過ぎた」、40代は「労働時間に対する給与が見合わなかった」が他の年代よりも高い傾向を示していました。30代、40代になると、課される責任の重さ、業務負荷の高さがやりがいを失う要因になっていることがうかがえます。
今回の調査では、20代~40代の転職経験者400名のうち、「2回以上」の転職経験をしている人が約7割を占め、退職理由としては「給与などの待遇面」や「労働環境の悪さ」「上司との人間関係が良くなかった」「スキルアップがしたかった」が上位となりました。
これらを踏まえると、募集職種の業務内容や身に付くスキルなどをより詳細に伝え、より深いマッチングを図ることがまず必要と言えますが、それだけでは長く働き続けてもらうことは難しい様子がうかがえます。転職経験者の心をつかむためには、「入社後のキャリア面談の体制整備」「責任が増えた際の業務負荷を適正なものにする労務管理」「納得のいく評価体制の構築」がより重要になってくるでしょう。さらに、「上司のハラスメント」に言及する声も多くあったため、今後は管理職に向けたハラスメント教育により注力することも求められそうです。
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