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採用がうまくいかない原因とは?課題別の原因について解説

掲載日2023年7月 4日

最終更新日2024年4月16日

採用がうまくいかない原因とは?課題別の原因について解説

目次

「採用がうまくいかない」第三者視点で課題発見へ

採用がうまくいかない原因の根本的な原因として、「そもそも原因がわからない」という問題が挙げられます。

マンパワーグループでは、人材採用のノウハウを活かし採用代行・コンサルティングサービスを提供しています。

課題は企業により異なるため、丁寧にヒアリングを行い採用のプロの視点からの改善案を提案します。

⇒採用について相談してみる

少子高齢化による生産年齢人口減が止まらず採用難が続いています。しかし、企業の採用がうまくいかない原因は、市況や少子高齢化のせいだけでしょうか。

確かに転職市場の動向は採用活動に大きな影響を与えますが、採用活動に問題があることも原因のひとつです。

複雑化している状況に、対策がなかなか追いつけないこともあると思います。 この記事では、採用がうまくいかない理由とその対策について解説します。

採用がうまくいかない原因は大きく3つ

採用がうまくいかない原因は、大きく3つ挙げられます。

1.採用活動の結果を分析できていない

採用活動は、以下の流れで行われます。

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このフローにおいて、応募数や通過者数など採用活動の数値による可視化および、その分析は実施できていますか。 定量的・定性的な分析はとても重要で、採用活動のどこにボトルネックがあるのか、その原因は何か、どんな対策が必要かを見極めなければなりません。

重要なのは数値が動く要因です。数値の上下動だけを見ていても意味はありません。数字はとっているが深い分析はできていないという場合は、採用活動全体を俯瞰して、原因の候補を洗い出し検証・分析することで、採用活動の質は向上していきます。

2.求職者・市場の情報収集が甘い

少子高齢化による若年層の獲得難やコロナ禍で一気に加速した働き方に対する意識の変化、SNSなどIT技術革新によるコミュニケーション方法の多様化など求職者のニーズや行動特性をつかむのは大変な状況です。

ターゲット層の行動特性の理解は大切で、媒体選びや採用フロー、待遇見直しなどにとても役立ちます。従来どおりのやり方でいいかと画一的に続けていると、いつのまにか「前より人が集まらなくなった」「採用に時間がかかる」「採用コストが増えている」と事態に陥ってしまいやすくなります

優秀な人材の獲得はどの企業も望んでいます。人材争奪で優位に立つには、ターゲット層をよく知ること、そしてターゲット層にあわせた対策を打つことが重要です。

3.採用計画に問題がある

採用計画に問題があるケースもあります。そもそもスケジュールや予算に無理がある場合や、市況の想定不足、経営戦略との整合性が取れていないなど、根幹となる計画に問題がある場合、採用はうまくいきません

中途採用の場合、経営目標や現在の事業の状況を鑑みて採用人数やポジションを決定する必要があります。また、それぞれ求めるスキル等が異なるため、母集団形成や採用フローをポジション毎に検討しなければなりません。

併せて、管理職候補の採用や人材育成、退職者の補充も想定した採用計画を立案することが重要です。その上で、採用までのリードタイムや必要な予算、施策を決定していきます。

採用が滞り、経営層や現場からクレームを受けたという採用担当者も多いのではないでしょうか。売上などの目標達成や新規プロジェクトの成功は人材がカギであり、採用が滞ると、プロジェクトの立ち上げが遅れる、人員不足による目標未達などの問題が起き、業績に大きな影響を及ぼします。

人事担当者は戦略やニーズに応じ、いつまでにどのような人材が何人必要なのか、そのためには母集団形成がどのくらい必要なのかを逆算し、計算することが求められます。また、その精度も問われるため、前述した結果の分析と市況の把握が欠かせないのです。

年間5,000人以上の採用を支援

マンパワーグループでは、55年以上の人材ビジネスを通し培ったノウハウを活かし、採用代行サービスを提供しています。

募集から入社までのフルサポート 媒体管理や応募者とのやり取りなどの事務代行 会社説明会の企画・運営 面接官代行 など お客様の課題に合わせて、最適なプランを組み、採用のサポートを実施ております。

採用代行を利用し、採用を成功させた企業の事例集をご用意しています。⇒採用代行の事例集をダウンロードする

【5つの課題別】採用がうまくいかない原因

ここでは、採用担当者がよく感じている採用課題をピックアップし、原因を解説します。

課題①母集団形成がうまくいかない

そもそも母集団形成を十分に形成できない、という課題は多くの企業で見受けられます。 うまくいかない要因の代表的なものは以下の5つです。

採用チャネルの分析ができていない

ターゲットとする層は、どのチャネルであれば応募が来るのかをしっかり見極めることが大切です。

極端な例ですが、派遣やパートアルバイトが多く登録している求人広告媒体に管理職募集をかけても集まりません。採用チャネルは、ポジション毎に精査し選択していくべきですが、「とりあえず大手の求人広告媒体に出しておこう」となっている場合は要注意です。母集団形成ができていないのに、媒体費だけがかさむという事態に陥りやすくなります。

今の採用チャネルのパフォーマンスと費用対効果、それぞれのチャネルの特性などをしっかりと分析しておく必要があります。

母集団を作る施策が足りない

採用担当者の人数や工数が不足している企業に多いのは、母集団形成の施策が圧倒的に足りていないという問題です。

企業の知名度が低い場合、ホームページの採用情報掲載と求人広告だけの母集団形成だけでは、反響が期待できません。専門職種や人気のある人材の採用は特に、このような待ちの姿勢の手法だけでは応募は期待できませんダイレクトリクルーティングやスカウトなど、企業から候補者にアプローチをする攻めの施策も検討するべきです。

母集団形成の種類については、「母集団形成とは?15の方法と質を上げるポイントを解説|事例付」で詳しく解説しています。

求人内容が薄い、伝わっていない

求職者は、募集要項をはじめとした求人内容でしか業務について知ることができません。まず、ここで目にとまらなければ応募はありませんし、内容が薄いと訴求できません。

問題なのは、求職者がそう感じていてもそのことを企業が把握しにくいことにあります。「もっと内容を教えてください」「わかりにくいです」と接触してくる人は稀で、たいていの場合は、無言で求人ページを閉じてしまいます。

採用ページに掲載する写真や文言の内容など、反応率などを確かめながらPDCAを回さなければいけません。このように、求職者目線で施策を考える方法は、採用マーケティングとよばれ注目されています。採用マーケティングについては「採用マーケティングとは 導入手順と事例も含め解説」で詳しく解説しています。

競合の状況を把握していない

競合に比べて雇用条件やキャリアの選択肢などが見劣りする場合、応募者が少なくなるのは当然です。

ここで注意したいのは、「競合」の定義です。 営業や製造部門など、製品や業界に関する知識が重要視される職種であれば、競合にあたるのは同業他社が中心になるでしょう。しかし、経理や人事、IT系など同業種や同業界における経験よりも同職種での経験・スキルが重視される職種の場合、競合にあたるのは同業他社だけとは限りません。どの企業においても通用する職種については、その職種での傾向を知っておく必要があります。

競合情報で把握しておきたいこと

  • 雇用条件や待遇、福利厚生など
  • キャリアに関する事項 ・業務内容
  • 求人広告での訴求ポイント
  • 採用チャネル

ターゲットが就職市場にどのくらいいるか調べていない

ターゲットやペルソナをしっかり設定しても、そもそもどのくらいの転職希望者がいるのかを調べていないケースもあります。経験者が少ない職種の場合、そもそも転職市場にでてこないこともありますし、一般的な職種だとしても条件を付けすぎると見つかりません。

例えば、「20代で経験5年以上、○○資格保有者」と設定した場合、以下のような市況を考慮する必要があります。

  • 20代はそもそも労働人口が少ない
  • 20代で経験豊富な層はどの企業から人気であり、待遇や知名度が大きく関わってくる
  • 希望の資格をもつ転職希望者はどのくらいいるのか

該当する人材が転職市場にあまりいないのであれば、いくらよい条件で求人広告を出したとしても、応募は期待できません。

課題②ターゲット層からの応募がない

母集団の量は確保しているが、ターゲット外からの応募が多く、事務工数とリクルーティングコストだけがかかってしまうという問題も多く見受けられます。問題を3つあげます。

採用チャネル選びを間違っている

母集団形成ができない理由と共通しますが、ターゲット層からの応募がないのは採用チャネルの選択を誤っている可能性があります。求人広告で募集条件を明示しているにも関わらず、要件に合わない求職者がトライしてくることはよくあります。ターゲット層がいるチャネルであれば問題ないのですが、そうでない場合、母集団の質が低下しやすくなります。

例えば、人気の職種で1名募集をする場合などは、採用媒体を利用して広く募集をするよりも、人材紹介サービスを利用したほうが効率的に採用できたりします。採用手法の特徴をしっかり踏まえて、チャネル選びを行いましょう。

ターゲットやペルソナの設定に問題がある

ターゲットやペルソナを設定していない、あるいは長期間見直していないなどの問題がある場合、ターゲットに刺さる訴求ができていないのかもしれません。

もしくは、求める人物像と要件がアンバランスな設定になっている可能性もあります。例えば、若年層がほしいのに人材要件に「豊富な経験とスキル」を第一にあげてしまっていると、反響があるのはミドル層中心からになってしまいます。優先順位をクリアにし、募集内容でしっかり伝える必要があります。

⇒関係者との認識違いを防ぐ「人材要件チェックシート」をダウンロードする

エージェントを上手く活用しきれていない

多くの人材紹介会社とやり取りしている場合、同じような内容の質問にそれぞれ個別に回答しなければならないなど、どうしてもコミュニケーションコストがかさみ、情報伝達の不備や連携不足が起きやすくなります

しかし、採用担当者の代理となって候補者を探し出し、募集ポジションや企業の魅力を伝え、動機付けを行うのは、人材紹介会社のコンサルタントたちです。彼らが自社の採用担当者とどこまで目線を合わせられるかは、スクリーニングの質に関わってきます。

詳しくは、「なぜ人材紹介会社は良い人材を紹介してくれないのか?」で解説しています。

⇒煩雑になりやすい人材紹介会社とのやり取りや現場調整をサポート「エージェントコントロールサービス」を見てみる

課題③面接辞退が多い・面接通過者が少ない

選考過程に課題があることも多くあります。

採用フローに問題がある

下記のように、応募から入社までの採用フローが応募者目線で設定されていない場合、選考や内定の辞退につながりやすくなります。

  • リードタイムが、他社に比べて長い
  • 働きながら転職活動する応募者を考慮したスケジュールになっていない
  • 面接や試験が多すぎる
  • 結果連絡が遅い、スケジュール感を伝えていない

優秀な人ほど多くの企業から内定がでます。内定通知の回答期限は決まっていることが多く、リードタイムが長すぎたため他社の内定を優先されてしまうなど、採用フローの長さは優秀な人材の採用に影響することがあります。採用フローの改善には社内調整など労力がかかりますが、きちんと取り組むべき課題と言えます。

求人情報と実態に乖離がある

求人広告や人材紹介会社から聞いている話と、面接での説明に乖離があると面接辞退が起きやすくなります。希望条件と合致しないことによる辞退以外にも、「応募者集めに書いたのかな?」といった不信感を持たれる恐れもあります。

面接官に問題がある

面接官は応募者を評価する立場ではありますが、同時に企業の顔でもある存在です。採用CX(キャンディデイトエクスペリエンス)が注目されているように、応募者体験は辞退率にも関わってきます。

  • 企業イメージとギャップのある態度や印象を与えた
  • 高圧的な態度や失礼な言葉により、企業イメージが大きく下がった
  • 面接官が現場を理解しておらず、応募者に魅力付けが行えない

面接官がこのような言動をとっていると、企業自体の悪印象にもつながります。マンパワーグループの調査では、採用活動中に受けた体験がその企業の製品への購買意欲に影響を与えていることが明らかになっています。

人材要件・評価基準に問題がある

各工程における評価基準がバラつく、関係者間で認識のズレがある場合、通過率(合格率)に影響があります。書類審査や人事面接は通過するものの部門面接での通過率が一気に落ちる、などのケースは、部門が本当に必要としている人材要件や評価するものを把握しきれていない可能性があります。

ただ、採用担当者の立場からすると、部門が求めるものと就業規則に即した雇用条件等のバランスが取れず、条件を緩和せざるを得ないということもあるでしょう。どこを妥協するのか、改善できるのかを現場と確認し合うことは重要です。

課題④内定辞退が多い

昨今の採用活動における大きな課題は、内定辞退率の高さではないでしょうか。

魅力・動機付けが不十分

面接は応募者を評価するだけの場ではありません。自社の方向性や業務内容、入社後のキャリアプランなど、この企業にぜひ入社したいと応募者から評価してもらうための努力も必要です。

応募時は第一志望であったとしても、複数社の選考を受ける中で他社の社風や方針に魅力を感じ、第一志望から脱落していることもあります。

また、優秀な人材であればあるほど、待遇の改善や要望を聞き入れるなど現職からの強い引き留めのアプローチもあるでしょう。このような場合、それらを覆す「この企業に入ってみたい」という強い動機付けが醸成されていないと、内定辞退が起きてしまいます。

内定者の不安・疑問を払しょくできていない

採用面接で応募者は、聞きたいこと全てを確認できているわけではありません。また、面接時の面接官の発言に少しの不安や疑問を持つケースもあるでしょう。

特に新卒採用の場合、正社員として働くという実体験がなく、「自分にできるだろうか」といった不安が起きやすくなります。

適切な内定者フォロー施策を実施することで、情報不足や認識の違いによる辞退を防ぐことができます。仮に、内定辞退が発生しそうな状況でも、早期に把握ができるため、追加募集などのバックアップ策をあらかじめ想定しておくことができます。

競合と比べて雇用条件がよくない

雇用条件については、既存社員との兼ね合いもあるため、改善が難しい課題ではありますが、競合他社の雇用条件や待遇を知っておくことは大切です。

給与や福利厚生だけでなく、在宅勤務や産休・育休の取りやすさ、キャリアアップ支援など、競合他社の条件と比較・確認することで、自社の条件で改善できる点はないか、積極的にアピールできる競合にはない自社の魅力などはないかを見直すきっかけになります。

課題⑤早期退職が多い

採用は入社がゴールではありません。入社した人材が期待したパフォーマンスをしっかり発揮し、定着できているかが重要です。

早期退職が多発すると、無駄になるのは採用費用や工数だけではありません。現場でのOJTをはじめとした社員教育に必要なコストなど、影響は広範囲にわたります。また新卒採用時には、平均勤続年数や3年以内の新卒採用者数・離職者数など、ホームページや求人表への記載によって情報提供する必要があるため、企業イメージにも大きな影響を与えます。

面接の話と実態がズレている

面接で聞いていた仕事内容と配属後の仕事内容が違う、社風が印象と全く異なるなどのリアリティショック(イメージと実態とのギャップ)は、早期離職の大きな原因です。

マンパワーグループが2020年に発表した調査によると、約50%の人が入社後に入社前とのギャップを感じています。

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調査データ:入社前の期待と入社後の現実に、5割以上が「ギャップ」を実感。入社前に聞いておけばよかった!と思ったこととは?

▼回答内容を一部抜粋

  • 給与や手当が聞いていたものと違う
  • 残業はほとんどないと聞いていたのに、実際には定時で帰れない
  • アットホームだと聞いていたが、そんな雰囲気ではない

リアリティショックは少なからず起こるものではありますが、放置していると離職率の改善が難しいばかりではなく、高くなっていっていまいます。

面接時の話と入社後の実態があまりに違う原因のひとつは、面接官が「現場を理解していない」ことです。ここでいう現場というのは、部門などの大きなくくりではなく、課やチームといった小さな単位です

採用実務を行っている人事担当者や、部門など大きな組織の責任者が面接を行う場合、募集ポジションの担当業務や期待すること、課やチームの雰囲気などを含めたリアルな声を知らず、応募者が知りたい情報と面接官が伝えられる情報に差がうまれるということもあります。

リアリティショックの原因となるギャップは、以下の点について面接官が現場のリアルや応募者の本音を把握できていないことによって生じている可能性が多分にあります。

  • 即戦力かどうか(どの程度の実力が必要か)
  • 仕事の進め方に対する質問への回答(実態とかけ離れていた)
  • 志望度の高さの判断

応募者向けの転職情報には「経営層や人事担当者には企業のことを質問し、部門担当者には仕事内容のことを質問するように」と書かれているものもありますが、どのような立場であれ、面接官は自分の言葉で自社や仕事について説明し、目の前の応募者に対し実際に自社で働く姿をイメージさせることができるかが大切です。

企業のよい面だけを伝えてしまってギャップが起きた

入社してほしいがために自社や業務のいい側面だけを伝えてしまうと、就業後の大きなギャップとなり、離職やモチベーション低下、エンゲージメントの問題を招いてしまいます。

動機付けや魅力付けのために、良い面だけを伝えたい気持ちは理解できます。ただ、自社に都合のよい情報ばかりを伝えると、「胡散臭い」「なにか裏があるのでは」と信頼性が低下するおそれがあります。そもそも、実態とかけ離れてしまっていたり、良い面を覆すようなネガティブ要素があるようでは、元も子もありません。

ネガティブに感じられる情報も、「こういった課題があるからこそ一緒に頑張れる人を求めている」と企業担当者の口から正直に伝えていれば、心の準備ができますし、その点を納得した上で自分は入社したという気持ちが早期離職の抑止につながります。

ただし、ネガティブな情報を提示するばかりでは「改善する気がない」「魅力がない」職場だと受け止められて終わってしまいます。

「現状の課題にはこのような取り組みで解決しようとしている」などの課題に向き合う誠実さや、「この大変さは人によってはネガティブに受け止められてしまうかもしれないが、それに向き合うことで成長・スキルアップしている社員が多数いる」といった情報のバランスに配慮した伝え方も考慮する必要があります。

募集ポジションの役割や、入社後すぐに発揮してもらいたいパフォーマンス、将来的に担ってもらいたいことやキャリアパスについては、特に誤解の生じる余地がないよう正しく伝えなければなりません。

このような考え方は、RJP理論とよばれ注目されています。RJP理論については、「【RJP理論】リアルな情報開示が採用ミスマッチ防止と信頼獲得に効く理由」で詳しく解説しています。

受け入れ・教育体制に問題がある

よい人材を採用できたとしても、受け入れ体制や教育体制に問題があれば早期離職につながります。

多くの転職経験者が経験することですが、同じ業務であっても企業によってルールや手順は案外異なるものです。電話応対ひとつとっても企業のカラーがでます。

経験豊富でひとりで仕事を回していける人材ならともかく、未経験者や経験が浅い人に早くひとり立ちしてもらい、企業や業務になじんでもらうためには、フォローアップなど入社当初の受け入れ体制はしっかりしておきたいところです。

ミスマッチが起きた

配属後の業務とのミスマッチは、早期離職やパフォーマンス低下による業績不振などの問題を引き起こします。想定していたパフォーマンスを発揮できず、リカバリが必要になるなど、既存社員にも影響が及ぶ可能性があります。

新卒採用については、ポテンシャル等で判断するためなかなか難しい問題ではあります。ミスマッチだけが原因ではありませんが、新規学卒者の離職率は約30%ほどです。この数値は、10年前からあまり大きな変化はないため、一定の離職は見込んで採用をする必要があります。

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一方、中途採用の場合は、改善できる余地があります。ミスマッチが起きる主な原因は、以下の3つです。

  • 人材要件に問題がある
  • 評価方法、採用基準に問題がある
  • 面接官や関係者の認識に問題がある

離職が頻発する場合、退職者インタビューや採用工程の振り返りを行い、ミスマッチの原因を特定し対策の策定を検討してみてください。

ハラスメントなど社内に問題がある

同じポジションや同一部署で離職が頻発する場合、ハラスメントの可能性も視野にいれて調査を行うべきです。ハラスメントは、必ずしも上司から部下へというわけではなく、同僚間や部下から上司でも発生していることもあります。

ハラスメントを放置した場合、SNSなどで情報が広がり、企業イメージに悪影響を与え、母集団が作れない、辞退率が上がるといった問題に発展しかねません。

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「採用がうまくいかない」ことへの対策4つ

採用がうまくいかない原因は各社により異なり、複合的な要素によってさらに難易度が高まっているケースもありますが、急激な生産年齢人口増は見込めず、簡単に採用が出来るようになる見通しはない今、原因を分析しひとつひとつ丁寧に対策を行っていく価値は大いにあります。

採用活動を可視化する

まず取り組みたいのは、採用活動の可視化です。どのフェーズで目標と乖離がおきているのか、悪化している数値はないか、逆に改善の兆しがあるもの、など数値化することはとても重要です。

歩留まりとは

採用における歩留まりとは、次の工程へ進む人数の割合を指します。応募に対して、どのくらい書類審査を通過し、どのくらいが辞退したかなどを数値化したものです。

<指標の一例>

  • 書類審査通過率
  • 辞退率
  • 面接実施率
  • 面接設定率
  • 面接辞退率
  • 内定率 ・内定辞退率

※上記を採用チャネル別で出すなど、分析の指標とする

<その他指標例>

  • 人材紹介会社のパフォーマンス
  • 求人広告のパフォーマンスと費用対効果
  • 一人あたりのリクルーティング費

これらを数値化しておくと、採用が滞った時にボトルネックとなっている問題点が発見しやすくなります。この数値を可視化できていない場合、通過率や辞退率に気づくのが遅れ、原因の特定が難しくなり、計画していた採用人数の達成が困難になってきます。 採用活動の可視化・数値化は、採用活動の品質向上の第一歩です。

PDCAを回し最適化を

前述したように数値化は大切ですが、数値を取得しているだけで分析はできていないケースが意外とあります。目標との乖離や時系列の変化に対し「上がった・下がった」だけでは分析とは言えません。数値の裏側には「人の動きや心理」があります。 その原因が何かを想定し、常に対策を立てていくことが重要です。

新卒採用での事例

新卒採用で春採用、夏採用と分けて行っていた企業でそれぞれの通過率や内定承諾率を見ていたら、夏採用の方が良かったということがあります。

当初、夏には次のインターンシップや選考に向けての準備もあるので、春採用で終わらせたいという採用側の都合がありました。

しかし、採用コストがあまりかけられず学生への知名度も低く、春採用の段階では第一希望の企業にはなりくいという現実もあったことから、夏採用に注力した結果、短期間の間に適切な採用コストで新卒採用に成功しました。

中途採用での事例

採用率が悪いため、適性検査の選考基準を少し引き下げ、合格率を上げたところ、採用率は上昇。しかし、離職率が高まってしまったという事例があります。

対策として、内定後と入社後にフォロー体制の強化を実施。合格率を維持しながら、離職率の引き下げに成功しました。

上記では、マンパワーグループの採用代行サービスによる改善サポートの実例を紹介しましたが、数値から原因のあたりをつけ、対策を講じ状況をまた分析する、といったPDCAを回していくことで、採用活動の質は上がっていきます。

PDCAは一度で終わるものではなく、最適化するには何度もトライを繰り返す必要はあります。ただ、転職市況や求職者の行動特性は、以前に比べて早いスピードで変化していきます。それは数値に現れていますので、しっかりと分析からのアクションを回していきましょう。

適切な人員配置が重要

施策を立てる際に気を付けたいのは、適切な人員配置です。施策を講じるには、ある程度の時間確保や工数がどうしても必要です。

原因を特定し、施策を立案したとしても、実行する採用担当者が日々の業務で追われていて、そもそも人数が足りないのであれば、施策は絵に描いた餅になりやすく、実行力や品質に影響します。

例えば、ITエンジニアや経験豊富な営業などを募集する場合、「待ち」の募集方法では、スカウトなどで他社へ人が流れてしまい、ターゲット層からの応募がないといった問題がおこります。その対策として、ダイレクトリクルーティングの導入を決定したとします。

「攻め」の母集団形成方法であるダイレクトリクルーティングは、結果がでるまでの工数と時間が思った以上にかかる手法です。今の人員で対応できるか、できない場合は採用代行などの外注の導入は可能かなど、現状を鑑みたうえでの検討が必要です。

専門家のノウハウを一時的に取り入れる

採用活動の品質向上のために、一時的に採用代行や採用コンサルティングなどの外部サービスを利用する企業も増えています。

市況の変化による採用活動の多様化は、採用担当者の業務量を増大させ、コア業務に十分に時間をかけることができない状況を引き起こしており、その負担を軽減させるためです。

採用担当者の担当する業務は幅広くスピーディーに対応する必要がある業務も多くなりますが、採用担当者は、現在の自社理解を深めるだけではなく未来にも目を向けることが大切です。

ノンコア業務さえ手放すことができれば、採用担当者がじっくり採用活動の改善に取り組みやすくなります。

採用担当者が注力したい採用のコア業務一例

  • 採用計画立案、各選考のスケジュール作成(五月雨式なのかラインごとの採用なのか、いつまでに内定を出すか、入社時期の想定など)
  • 人材要件や評価基準の設定と見直し
  • 選考フロー作成
  • 関係者との意見交換、認識合わせ
  • 内定者フォロー施策の策定と実施
  • 新規採用者が定着するまでの施策と実施、フォローアップ
  • 広報やブランディング活動

また、採用に特化した専門家による外部サービスを導入し、コア業務を含めた採用活動の問題解決を一気に推し進める方法もあります。

外部サービス一例

  • 採用活動の分析と施策立案のコンサルティング
  • 採用戦略、計画の立案サポート
  • 採用のノンコア業務の代行
  • リクルーターを派遣してもらい、ダイレクトリクルーティングを代理で実施
  • 母集団形成の施策立案と実施(ベンダー開拓やパフォーマンス評価など含む)

第三者の視点により、自社では気づけなかった課題などを早期に把握し、これまで実施できなかったような対策が講じられるのが外部サービスを利用する大きなメリットのひとつです。

年間5,000人の採用を支援。マンパワーグループの採用代行サービス

マンパワーグループでは、人材業界における55年以上の実績と経験、ノウハウを活かし、採用代行・コンサルティングサービスを提供しています。
採用で起きている問題の特定、採用活動の可視化や対策立案など、企業それぞれの課題に応じた提案を行います。

RPO

まとめ「採用がうまくいかない」を放置すると採用は成功しない

採用活動は、社会の変化や市況、求職者の動向などさまざまなものに影響されます。当たり前だと思って続けていた手法が、いつの間にか結果を出さないばかりか、コスト増の原因になっていることも珍しくありません。

採用難でも採用を成功させる企業は、採用活動を適宜見直し、PDCAをしっかり回しています。人の持つ能力も企業の資本だと捉える「人的資本」の考え方が注目されているように、業績や企業の未来は人材にかかっているといっても過言ではありません。それだけに、採用は企業の根幹にかかわる業務と言えます。多岐にわたる業務で大変ではありますが、成功した時の影響も大きいため、ぜひ一度採用業務の振り返りと分析を行ってみてください。

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著者プロフィール

マンパワーグループ株式会社

マンパワーグループ株式会社

世界70カ国・地域にオフィスを持ち、ワールドワイドに展開している人材サービスのグローバルカンパニー、ManpowerGroupの100%出資の日本法人。

リクルーティング、評価、研修、人材育成、キャリアマネジメント、アウトソーシング、人材コンサルティングなど、人材に関するあらゆるソリューションを世界的なネットワークで展開する総合人材サービス会社。

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