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派遣法の3年ルールとは?メリット、デメリット、契約を延長する方法

掲載日2023年3月23日

最終更新日2023年6月 1日

派遣法の3年ルールとは?メリット、デメリット、契約を延長する方法

目次

知っておきたい派遣の基礎知識

派遣サービスを利用する場合、派遣法や同一労働同一賃金などで定められた企業側が対応すべきことを知っておく必要があります。

抑えておきたいポイントをひとつの資料に纏めました。ぜひご覧ください。

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派遣会社が派遣先企業に派遣社員を就業させる場合、法律により派遣できる期間が制限されています。この定めを「派遣3年ルール」といいます。本記事では派遣3年ルールの制限内容と制度が導入された背景、派遣3年ルールを運用するメリットとデメリット、派遣社員の契約期間を延長する方法、派遣3年ルールに違反した場合の罰則や行政処分などのペナルティについて解説します。

派遣3 年ルールとは

労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣社員の保護等に関する法律、以降労働者派遣法と記載)では、派遣社員が同じ事業所の同じ部署で就業できる期間は、派遣就業開始日から原則3年までとしています。これを一般的に「派遣3年ルール」と呼んでいます。

対象となる派遣社員

派遣3年ルールの対象になるのは、派遣会社と有期雇用派遣契約を結んでいる派遣社員です。派遣社員が派遣会社と無期雇用派遣契約を結んでいる場合は、雇用期間の定めがなく3年を超えて働くことが可能なので派遣3年ルールの対象外になります。

派遣3年ルールの例外

有期雇用派遣契約を結んでいる派遣社員でも、次のケースでは例外として派遣3年ルールの対象外になります。

派遣社員の年齢が60歳以上の場合

就業開始日または就業開始日から3年経過時点で、当該派遣社員の年齢が60歳以上の場合は3年ルールの適用外になります。

例えば、派遣就業開始時が58歳、3年経過後は61歳のケースなどが該当します。

期限のあるプロジェクトに従事している場合

終期が決まっているプロジェクト業務などの場合、派遣就業期間が3年を超えた場合でもプロジェクトの終了日まで派遣を継続できます

例えば2020年4月1日から始業、終期日が2025年3月31日の場合、プロジェクトの終期日まで就労が可能です。

日数限定業務を行っている場合

1カ月間の勤務日数が通常の労働者より少なく月10日以下で、なおかつ労働時間が通常の労働者の半分以下である場合が該当します。

産前産後休業、育児休業、介護休業を取得中の従業員の代替え業務を行う場合

上記制度を取得している従業員の業務を担う目的で派遣されている場合などが該当します。

3年間の途中で部署を異動している場合

派遣先企業での就業開始日から3年間経過する途中で部署を異動した場合、異動前の部署での就業期間はリセットされます。

例えば総務課で2年間就業、その後管理課に異動した場合、新たに3年間就業できます。

2つの期間制限 事業所単位と個人単位

派遣の3年ルールには、「事業所単位による期間制限」と「個人単位による期間制限」の2つがあります。ここではそれぞれの内容について解説します。

事業所単位の期間制限

「事業所」とは雇用保険の適用事業所と同じく、下記1から2について、実態に即して判断されます。

  1. 工場や事務所、店舗などの場所がほかの事業所から独立していること
  2. 人事、経理、指導監督、働き方などが経営単位としてある程度独立していること
  3. 工場、事務所、店舗などは、一定期間継続する施設であること

事業所単位の期間制限は、「派遣先の同一事業所に派遣社員を派遣できる期間は最大3年まで」になります。

例えば、初めて派遣社員を受け入れる事業部で、2022年4月1日から派遣社員Aさんが就業開始した場合、派遣契約期間の制限日は2025年3月31日であり、2025年4月1日が抵触日(派遣契約期間の制限が切れた翌日のこと)になります。

仮にAさんが、2024年4月1日に退職し、後任として派遣社員Bさん2024年4月1日が働き始めたとしても、事業所抵触日は変わらず2025年4月1日になります。2027年4月ではありません。

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事業所単位の期間制限を延長することは可能ですが、その場合期間制限日を迎える1か月前までに、派遣先企業の過半数労働組合などに意見聴取をするなどの手続きが必要です。

また、事業所単位の期間制限は、個人単位の期間制限より優先されます

個人単位の期間制限

個人単位の期間制限は、「同一の派遣社員を派遣先の同一部署に派遣できる期間は最大3年まで」になります。

例えば派遣先企業の経理課で2023年4月1日から就業を開始した派遣社員Aさんの場合、派遣契約期間の制限日は2026年3月31日であり、2026年4月1日が抵触日になります。

この場合の「部署」とは「○○部」「○○課」「○○グループ」など、部長や課長などの部署長が部署内の労務管理における指揮監督権を持っている組織をいい、実態に即して判断されます。

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5年ルールとの違い

5年ルールとは、労働契約法により同じ職場で勤続年数を5年超え、労働者が希望した場合「無期雇用」への契約変更を申し込むことができる制度をいい、申し込みを受けた企業はこれを拒むことはできません。

この制度は、派遣社員に限らず有期雇用契約を締結しているすべての労働者が対象です。

無期雇用契約を締結した場合、雇止めという扱いはなくなります。そのため、会社都合で雇用契約を終了する場合は、30日前の解雇予告など正社員と同じ方法を取る必要があります。しかし、給与など必ずしも正社員と同じ待遇で雇用契約を結ぶ義務はありません。

3年ルールが導入された時期・背景

派遣先企業における派遣社員の位置づけは、従業員の退職や休暇制度の取得(育児休業など)による代替要員、または一時的な業務量の増加などに対応できる専門的知識を持った人材としての役割です。したがって長期間継続的に雇用することは想定されていません。

派遣社員は正社員に比べて業務の繁閑・業務量に応じた人員計画の調整がしやすいこと、即戦力として期待できること、労務管理が容易であることなどのメリットがあります。そのため企業によっては、正社員を雇用せず派遣社員を重用することもありました。

1996年に改正・施行された労働者派遣法では、2004年に派遣期間の上限を1年から3年に延長する改正を行い、ソフトウエア開発などの専門26業種は例外として無制限に受け入れを可能にしました。

しかし専門26業種がほかの業種よりも専門性が高いとは限らないこと、受け入れ可能期間の制限がなく継続的に派遣社員の就業が可能になることから、企業側には都合が良くても労働者側からみると問題がありました。

企業が正社員を雇用しないことで求人数が減り、ひいては雇用機会の損失につながります。また派遣社員は正社員への登用機会が減ることで、自身のキャリアやスキルを上げる機会が阻害されることになります。

そこで雇用が不安定になりやすい有期雇用労働者を保護する目的で、2015年に労働者派遣法を改正し、専門26業種の派遣期間特例を撤廃した上で業種に関係なく派遣3年ルールを適用することにしたのです。

派遣法で定められた派遣先が講ずべき10の指針とは?

  1. 労働者派遣契約に関する措置
  2. 適正な派遣就業の確保等のための措置
  3. 派遣先による均衡待遇の確保
  4. 派遣先の事業所単位の派遣期間の制限の適切な運用
  5. 派遣労働者個人単位の期間制限の適切な運用
  6. 派遣労働者の雇用の努力義務
  7. 派遣先での常用労働者(いわゆる「正社員」)化の推進
  8. 離職した労働者についての労働者派遣の役務の提供の受入れの禁止
  9. 派遣先責任者の選任
  10. 派遣先管理台帳の作成、記載、保存及び記載事項の通知

⇒解説資料をダウンロードする

派遣3年ルールによるメリット・デメリット

派遣3年ルールがあることによる派遣先企業へのメリットとデメリットを解説します。

派遣3年ルールのメリット

原則3年まで、となるため業務が属人化しにくくなります。また、派遣可能期間の終了後に派遣社員を直接雇用した場合、派遣を受け入れていた時と同一の業務に就いてもらえば一から教育する必要がなく、且つパフォーマンスやヒューマンスキルがわかっている人材を確保できるため、ミスマッチの不安がないことは大きなメリットです。

派遣3年ルールのデメリット

原則3年以上同じ派遣社員を受け入れることができません。そのため、代替えで別の労働者を配置し、業務内容について教育する必要があることはデメリットといえるでしょう。

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3年を超えて働いてほしい場合の対処法

派遣会社から受け入れている派遣社員との契約を3年超えても継続したい場合、次の方法で継続して働いてもらうことができます。

直接雇用に切り替える

派遣会社に相談の上、派遣社員に対して直接雇用を申し込み、派遣社員が同意すれば、派遣先企業と派遣社員の間で雇用契約を締結します。

同一派遣先の同一部署で3年以上就業する見込みがある派遣社員が派遣期間終了後も引き続き就業を希望している場合は、派遣会社より派遣先企業での直接雇用を依頼される可能性もあります。

派遣社員の直接雇用については、「【人事担当者向け】派遣社員を直接雇用に切り替える方法」で解説しています。併せて、「【キャリアアップ助成金】派遣社員の直接雇用も対象となる助成金」もご覧ください。

部署異動する

派遣社員が同一事業所の同一部署で就業できるのは最大3年までですが、同一事業所でも別の部署や課で就業する場合は、新たに3年間の上限で派遣社員を受け入れることができます。ただし、この場合事業所が3年を超えて派遣社員を受け入れることになるので、事業所単位の期間制限を延長する手続きが必要です。

派遣先企業は、派遣会社と派遣契約を結ぶときに派遣社員を特定することはできません。そのため、派遣社員を部署異動させた場合、派遣社員を指名したとして労働者派遣法違反になる可能性があります。また業務内容が従前と同一にもかかわらず、契約を延長するために派遣社員を別の部署に異動し就業させた場合も労働者派遣法違反になる場合があるので注意しましょう。

派遣会社と無期雇用化について相談する

派遣会社と無期雇用契約を結んでいる派遣社員を受け入れることで、派遣期間の制限を受けることがなくなり、長期的に就業してもらうことが可能です。

ただし、派遣会社と派遣社員の双方が、契約を有期雇用契約から無期雇用契約へ切り替えることを了承する場合に限られます。また、派遣会社によっては無期雇用契約の扱いがない場合もあります。前もって派遣会社に派遣社員の雇用形態を変更することが可能かどうか確認しておくようにしましょう。

派遣会社と無期雇用契約を締結している社員を無期雇用派遣と呼ぶことがあります。無期雇用派遣については、「無期雇用派遣とは?|企業・求職者別にメリット・デメリットを解説」で詳しく解説しています。

派遣社員の管理法のポイント 不要なトラブル回避へ

人材派遣には派遣法に定められたルールがあります。自社の社員ではなく派遣元に所属する人材を迎え入れることになるため、労務管理や契約など自社社員と異なる対応があります。下記資料では知っておきたいポイントやよくある質問などもご紹介しています。

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派遣3年ルールに違反した場合の罰則

派遣先企業が派遣契約期間制限日の翌日以降、契約延長の手続きをせずに派遣社員を就業させていた場合、労働契約申込みみなし制度の対象になります。

労働契約申込みみなし制度とは、派遣先企業が労働者派遣法違反であることを承知の上で派遣社員を受け入れた場合、派遣社員に対して労働契約を申込んだものとみなされる制度をいいます。この場合、当該派遣社員から派遣先企業に対して直接雇用希望の申出があれば、従業員として雇用する義務を負うことになります。

また、派遣3年ルールに違反した場合、契約している派遣会社が都道府県労働局から助言・指導・指示を受けることになり、行政処分として「業務改善命令」「一般労働者派遣事業の全部もしくは一部停止命令」「業務廃止命令(一般労働者派遣事業許可の取り消し)」の対象になる場合があります。

まとめ

派遣社員の保護を目的とした労働者派遣法は1986年の施行後、派遣社員を取り巻く社会情勢に合わせて改正を重ねてきました。労働環境の変化を背景としてこれからも改正が続くと予測されます。

派遣社員を受け入れる企業の人事労務担当者としては、派遣3年ルールの内容を理解した上で、派遣社員を受け入れることが必要です。法律違反にならないためには派遣会社と連携し、不明な点などはその都度確認するようにしましょう。

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著者プロフィール

マンパワーグループ株式会社

マンパワーグループ株式会社

世界75カ国・地域に2,200のオフィスを持ち、ワールドワイドに展開している人材サービスのグローバルカンパニー、ManpowerGroupの100%出資の日本法人。 リクルーティング、評価、研修、人材育成、キャリアマネジメント、アウトソーシング、人材コンサルティングなど、人材に関するあらゆるソリューションを世界的なネットワークで展開する総合人材サービス会社。

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