調査データ
2024年5月13日
採用難により、採用後の早期離職者が企業に与えるインパクトが大きくなっています。入社前に相互理解を深め、ミスマッチを防ぐことは、人事担当者にとって大きな課題といえるでしょう。
そこでマンパワーグループでは、企業の人事担当者を務める20代~50代の男女400名を対象に、新卒採用におけるミスマッチの状況について調査しました。
企業で人事担当者を務める20代~50代の男女400名に、新卒採用で、うまくいかなかったこと・ミスマッチだったことを聞いたところ、「特にない」(17.5%)は2割弱となり、全体の8割超が、新卒採用を行ったあとにうまくいかなかったこと・ミスマッチだったことがあるようです。
ミスマッチの内容は、「配属先のメンバーや上司との相性が良くなかった」(37.0%)がトップ。次いで「仕事に対する意欲に問題があった」(36.8%)、「本人の期待と実態にギャップが生じた」(36.3%)が3割台後半の僅差で続きます。
また、「必要とされる経験やスキルが足りなかった」(30.3%)、「採用した人の価値観と社風が合わなかった」(27.8%)も3割前後となっています。
「ミスマッチだったことがある」と回答した人事担当者に、ミスマッチの結果、起きてしまったことについて聞いたところ、「特に何も起きなかった」はわずか6.4%だったことから、全体の9割以上に、何らかの問題が起きていることがわかります。
具体的に発生した問題としては、「採用した人が早期退職した」(57.9%)が最も多く、約6割を占めています。次いで、「採用した人を配置転換した」(31.2%)、「配置先の人間関係が悪くなった」(25.2%)、「追加採用を行った」(23.6%)などが続き、採用者の処遇に対応したり、欠員の補充を行ったりするなど、対応業務が増加していることがうかがえます。
また、オンライン中心、夜勤にシフトなど「採用した人の働き方を変更した」(18.8%)、「採用した人に研修を行った」(16.7%)など、働き方を調整したり、予定になかった研修を実施したりするなどのケースも2割弱を占めました。さらに、「業績や成績に影響が出た」(15.2%)、「配属先の社員が退職した」(15.2%)、「配属先の社員を異動させた」(10.6%)など、ミスマッチな新卒採用によって、新たな影響が発生しているケースも1割超となっていました。
人事担当者に、新卒・中途採用のミスマッチ予防で対策していることを聞いたところ、選考過程や内定後のコミュニケーション、入社後の配属先の決定、フォロー体制まで、それぞれのフェーズでさまざまな工夫をしていることがわかりました。
今回の調査では、人事担当者の8割が「新卒採用で、うまくいかなかったこと・ミスマッチだったことがある」と考えていることがわかりました。
ミスマッチを予防するための対策としては、選考前・選考過程の中で自社の情報をできる限り提供したり、面談の回数を増やして対話をしたりすることで相互理解を深めているケースが多くみられました。また、配属現場の担当者や募集人材と年齢の近い若手社員も面談に立ち会わせたり、社内見学や先輩社員との面談機会を増やしたりするなどの方法で、企業文化や社風、職場との相性におけるミスマッチを防ごうとするケースも少なくありませんでした。配属先の決定においても、なるべく長期間、さまざまな職場を経験させ、本人の希望や適性なども踏まえた上で決定するという声が多くあがっていました。
厚生労働省が発表した「令和2年3月に卒業した新規学卒就職者の離職状況 」によれば、就職後3年以内の離職率は、新規大学卒就職者が32.3%となっており、前年よりも0.8ポイント上昇しています。転職に対する抵抗感が薄れている今の時代、いかにミスマッチを防ぐかが重要です。選考過程や内定時だけでなく、入社後の適切な配属先の決定や教育・フォロー体制の構築なども、長く定着してくれる人材を増やすための大きな課題になるといえるでしょう。