調査データ
2024年4月 8日
少子化によって売り手市場が加速していくなか、企業の採用においては「いかに内定者の辞退を防ぐか」が大きな課題となっています。
そこでマンパワーグループでは、企業の人事担当者を務める20代~50代の男女400名を対象に、内定者フォローにおいてどのような施策を行っているのか、実際に効果のある施策とは一体何なのか、内定者フォローの施策について調査しました。
企業で人事担当者を務める20代~50代の男女400名に、「新卒・中途採用者向けに実施している内定者フォロー」について聞いたところ、「特になし」(18.0%)と回答したのは全体の2割弱となり、全体の8割超が何かしらの新卒・中途採用者向けの内定者フォローの施策を行っていることがわかりました。
実施している内定者フォローの施策については、「オフィスや現場、業務関連施設の見学会」(57.5%)が最も割合が高く、次いで「採用担当者との個別面談」(54.5%)、「内定者同士の懇親会」(45.0%)の順で、いずれも5割前後という高い割合を占めています。
従業員規模で見ると、「従業員数501人以上」は9割超、「従業員数101⼈~500⼈以下」は8割超、「従業員数101⼈~500⼈以下」は6割弱が内定者フォローを実施しており、従業員規模の大きい企業ほど内定者フォローを実施している様子がうかがえます。
一方、内定者からの評判がいい施策については、実施している施策の上位と同様の結果となり、「オフィスや現場、業務関連施設の見学会」(35.5%)が最も多く、「内定者同士の懇親会」(28.0%)、「採用担当者との個別面談」(23.8%)が上位を占めています。
人事担当者が抱えている新卒・中途採用者向けの内定者フォローに対する悩みや課題については、「内定者の辞退」について言及する人が多く見られました。
内定先に対する不安や企業への理解が十分に深められないことが課題と感じている人も多く、施策づくりの根本となるはずの要因をつかみきれないことに悩んでいる人もいるようです。
また、若手世代に対するジェネレーションギャップを実感している人も多く、精神面に対する難しさを感じているケースや、当たり前とされてきた社会常識とのズレを感じて悩みを抱えているケース、適切なコミュニケーションがわからずに悩んでいるケースも見られました。
すでに実施している新卒・中途採用者向けの内定者フォローにおいて「効果を感じている施策」については、「オフィスや現場、業務関連施設の見学会」(43.5%)が最も高く、全体の4割超を占めています。
また、「経営陣との交流会やセミナー」(39.8%)、「課題図書や資格取得支援」(38.8%)、「体験入社・内定者アルバイト」(36.8%)、「採用担当者との個別面談」(36.7%)、「仕事に必要な知識やスキルが習得できる研修 (業界内研修など)」(36.2%)についても、軒並み「効果がある」という回答が4割近くにのぼっていました。
すでに実施している新卒・中途採用者向けの内定者フォローに挙げられているそれぞれの施策については、「効果がある」「どちらかといえば効果がある」という回答の合計が8割を超えるものが多く、全体的に効果を実感できていることがわかりました。
いわゆるZ世代は、一般的に「1996年から2012年生まれ」と定義づけられていますが、その大きな特徴としては、多様性の尊重や持続可能性の重視、SNSや動画関連のサービスで情報収集をするなどの傾向が挙げられるでしょう。
また、コスパ(コストパフォーマンス)だけでなく、タイパ(タイムパフォーマンス)という造語が生まれたのもZ世代からであり、また、近年の新卒・若手世代は、コロナ禍によってリモート授業やリモートワークが当たり前となった世代でもあります。価値観が大きく変化した世代である上、少子化による売り手市場の加速や、転職に対する世間の抵抗感が薄れてきている状況などもあります。内定辞退を防ぐためには、これまでとはまた違う施策が求められるようになるといえるかもしれません。
今回の調査でも、「離職率を抑えられない」(男性・40代)、「退職が早い」(女性・40代)などの悩みを抱える人事担当者も多く見られ、内定者フォローによって辞退率を低下させても、入社後に離職するケースが少なくないことがうかがえます。
厚生労働省が発表した最新の「新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者) 」では、 就職後3年以内の離職率は、新規大学卒就職者は32.3%で、前年よりも0.8ポイント上昇しています。早期離職率が3割を超える今、内定者にいかに自社の仕事内容や働き方、社風などを理解させ、入社後のギャップを防ぐかが重要な課題になるといえるでしょう。