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2018年6月29日に「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」が成立しました。
長時間労働を是正するため、残業時間の上限を「原則として月45時間、年360時間」と定められます(臨時的な特別な事情がある場合でも年720時間、単月100時間未満を限度とする)。
また、2017年2月24日には「プレミアムフライデー」が始まりました。
各社、ノー残業デーやフレックス制度の導入、15時以降の会議設定を行わないなどの取り組みを実施していますが、それらに見合う生産性向上はできているのでしょうか。
日本は欧州諸国と比較し、平均労働時間が長い傾向にあります。
下のグラフは、週あたりの労働時間が49時間を超える長時間労働者の割合をG7各国で比較したグラフですが、日本の長時間労働者の割合が突出しています。
出典:労働政策研究・研修機構「データブック国際労働比較2018」
2012年発表の調査結果ではありますが、株式会社NTTデータ経営研究所「会議の革新とワークスタイル」調査によると、日本では全体業務の約15%を会議に費やしているという結果が出ています。
1日8時間×月20日を労働時間とした場合、そのうちの15%は月24時間・年間288時間が会議に費やされていると試算できます。
さらに、会議のためのスケジュール調整・準備・交渉、移動時間を加えると、働き方改革法案の残業上限360時間に近い膨大な時間を割いていることになります。
長時間労働の要因としては「突発性の業務が多発」「人員不足」「業務の属人化」「業務配分のばらつき」「会議が多い・長い」など様々な要因が挙げられますが、そのなかでも会議に関しての無駄を省くことで長時間労働を減らすことができ、生産性がアップするのではないでしょうか。
会議の時間と頻度を減らすことで、本来業務ができる時間を確保することができます。
業績好調な企業では様々な工夫を凝らし、ガイドラインを設けています。例えば、下記のような工夫が挙げられます。
何を議論したいか?何を決定するか?ということをあらかじめ決めておきましょう。ゴールが明確になっていないと、会議が際限なく続く要因になります。
議事の順序や時間配分、事前資料などの情報をあらかじめ参加者に見てもらい、意見を事前に用意しておいてもらうと、その場で全員が考えるという時間がなくなるため、会議がスムーズに進みやすくなります。
ただし、直前の配布では意味がありませんので、参加者各位に見てもらえるだけの余裕を持っての配布が必要です。
情報共有・進捗確認・定例会など、発言しない人も交えたミーティングを実施している場合は、発言をしない人(だが、情報を共有しておきたい人)に対しては、別途議事録を共有するだけで事足りるケースがほとんどです。
「船頭多くして船山に登る」ということわざがあるように、大人数の会議では議論が散漫になりがちのため、必要最低限の人数で実施することが望ましいでしょう。
アジェンダの項にも記載しましたが、あらかじめ議事の時間配分を決めておくことは重要です。
また、開催時間を16:55~17:35など5分単位で設定する、時間自体を短くするなどの工夫で、参加者の時間に対する意識が自然に高まり、密度の濃い議論を行いやすくなります。
漠然と何回も同じ議題の会議を開催するのではなく、「誰が責任者で」「何を」「いつ」始めるのかということをその都度明確にしましょう。
責任者不在で締め切りが未設定だと、「自分以外の誰かがやるだろう」と他人任せになってしまい、物事が進まなくなってしまいがちです。
たとえば、会議資料は印刷せず各自がノートPCやタブレット等を用いてペーパーレスで閲覧できるようにしておく、遠隔地のメンバーについてはテレビ会議やグループビデオ通話アプリでの参加を認める、議事はクラウド上で保存し情報の即時更新が可能なようにしておくなど、ITツールを活用することで資料の準備や移動にかかる時間を削減することができます。
先に述べたとおり、長時間労働の原因は多様であり、ミーティングマネジメント以外にも、業務自体の棚卸しや社員の意識変革、RPAに代表されるツールの導入等、多角的な見地で検討を行う必要があります。
ですが、ほとんどの社会人が会議に多くの時間を費やしているという日本の状況下において、ミーティングマネジメントは効率化の影響範囲が広く、結果が出しやすい対策といえるでしょう。
まずは、現在ご自身が参加している会議体で上記の工夫が取り入れられないか、再考してみてはいかがでしょうか。
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