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【派遣先責任者向け】派遣法の基礎知識 知っておきたい12項目
派遣法は、派遣会社だけでなく派遣先企業にも責任や努力義務などを課しています。
さまざまなことが派遣法で規定されていますが、派遣先責任者が知っておくべき項目を12つピックアップし、わかりやすく解説した資料をご用意しています。
日雇い派遣は、2012年の派遣法の改正によって原則禁止とされました。しかし、特定の業務や該当者を対象とした例外条件があります。
日雇い派遣の活用を検討する企業向けに、派遣法の正しい理解と日雇い派遣活用検討時の注意事項、および、同じ短期間就労での雇用形態である単発バイトとの違いについて解説します。
日雇い派遣とは、派遣期間が31日未満の派遣契約のことを指します。具体的には、次の2つの条件を満たす派遣契約を日雇い派遣と定義します。
派遣法によれば、日雇いは「30日以内の期間で雇用される労働者」と定義されています。しかし、週20時間以上の労働が「社会通念上で妥当」とみなされるため、週20時間を下回る労働時間も日雇い派遣の範囲に含まれます。
ただし、「労働者派遣法施行令第4条で定める業務」「60歳以上の者」「世帯収入が500万円以上であり、世帯で最も収入の多い人以外であること」などの例外もあります。例外については、後述します。
日雇い派遣は、短期やスポットでの雇用・就業形態であるため、派遣会社や派遣先の双方で適切な雇用管理や安全指導が難しく、労働災害のリスクが高まることが指摘されています。
そのため、派遣社員を労働災害から守る観点から、日雇い派遣は禁止されています。さらに、31日未満の雇用期間の場合、労働者が社会保険に加入することができません。
また、労働者によっては就業が安定せず、収入や生活に問題がでてくるため、日雇い派遣は原則として禁止されているのです。
「日雇い派遣」と「単発バイト」の主な違いは、労働契約の締結先、すなわち雇用主にあります。
単発バイトの場合、企業と労働者が直接労働契約を結びます。
これに対して、日雇い派遣の場合、派遣される労働者は派遣会社と雇用契約を結んでいます。
つまり、単発バイトは就業先と雇用主が同じであることに対し、日雇い派遣は就業先と雇用主は異なる企業ということになります。単発バイトと日雇い派遣は、仕事の内容自体は同じであっても、雇用主が異なるため、福利厚生や給与の取り決めなどにも違いがでてきます。
なお、単発バイト、短期間パートなど直接雇用での短期間勤務は、派遣法に抵触しておらず、禁止されていません。
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派遣の仕組みについては、「【図解】人材派遣とは?仕組みと注意点をわかりやすく解説」で詳しく解説しています。
日雇い派遣には特定の「人」や「業務」を対象とした例外が存在します。これらの例外は、法律や規制によって定められており、日雇い派遣を利用する際の重要なポイントとなります。例外にはどのようなものがあるのか、詳しく解説します。
日雇い派遣の場合、労働者本人が単発で働くことを希望しても、条件に適していなければ、日雇い派遣での就業はできません。例外となる「人」について、具体的な要件やポイントを解説します。
満60歳以上の人は、日雇い派遣禁止の例外とされています。これは、実年齢であり、数え年ではありません。(その年に60歳になるとしても、59歳は不可)
この要件は、高齢者の雇用機会の確保や再就職の支援を目的として設けられています。高齢化が進む中、60歳を過ぎても働きたいと考える人が増えていますが、高齢者の就職の機会が限られているため、雇用機会の拡大を目的に例外として認められています。
昼間は学生である人は学業が本業で、生活のために働くわけではないため日雇い派遣で働くことが許可されています。
同じ学生であっても、通信教育を受けている人、大学の夜間学部の課程を受けている人、高等学校の夜間や定時制の課程を受けている人、休学中の人は、昼間学生とは認定されないため昼間学生には該当しません。
また、昼間学生であっても、内定を受けた後にその企業で働いている場合は雇用保険の対象となるため、日雇い派遣での就業は許可されないため注意しましょう。雇用保険は、31日以上の雇用が見込まれ、1週間あたりの所定労働時間が20時間以上である場合に、加入が必要とされています。
ここでの副業の定義は、「生業収入が500万円以上で、日雇い派遣を副業とする人」のことを指します。「生業収入」とは、複数の収入源がある場合のメインの収入源を指します。この収入が500万円以上である場合、経済的に安定していると判断されます。
日雇い派遣の禁止は、契約を切られやすい、収入が安定しないなど雇用の不安定さを防止するためでもあります。安定した収入が確保されていると認められれば、日雇い派遣を副業として選択できるのです。
例えばAさんがフリーランスのデザイナーとして年収600万円を得ている場合、このデザイナーとしての仕事がAさんの「生業収入」となります。この収入が500万円を超えているため、Aさんは日雇い派遣を副業として行うことができます。
この要件は、「世帯収入が500万円以上で主たる生計者でない人」のことを指します。「主たる生計者」とは、世帯収入のうち50%以上を担う人を指します。
例えば、夫が年収450万円、妻が年収150万円、子どもの年収が100万円の場合、世帯年収は合計700万円となります。この場合、夫が主たる生計者となるため、妻や子どもは日雇い派遣で働くことが許可されます。
但し、夫の年収は500万円を超えていないため、夫は「生業とする収入が500万円以上」という条件に該当せず、日雇い派遣で働くことはできません。
日雇い派遣は、労働者の安定した雇用を確保するために原則として禁止されていますが、「一部の業務」においては日雇い派遣が認められています。
例外として認められる業務は、特定の専門性や技術が求められるもので、短期間での対応が必要な場合や、急な需要の増加など、日雇いでの派遣が適切と判断されるためです。
以下が例外となる18の特例業務です。下記の業務に該当する場合、派遣期間が31日未満でも派遣を依頼することができます。
派遣先が知っておきたい派遣法とは
日雇い派遣禁止の例外にあたる対象者は限られているため、余裕を持って依頼することが求められます。ここからは、日雇い派遣を検討する際に気をつけるべき3つのポイントについて説明します。
日雇い派遣は原則として禁止です。そのため、利用する場合は前述18の特定の例外業務に該当するかを確認します。
「例外業務」の定義や該当するかの判断は、具体的な業務内容や状況に応じて異なる場合があるので、雇用に関する法律やガイドラインを参照するか、派遣会社に相談するなどして適切な判断を下すことが重要です。
例外業務に該当しない場合、企業は直接雇用や短期のアルバイトとしての採用を検討する必要があるでしょう。
先ほど述べた18の特例業務に該当しない場合、また大人数をすぐに集めないといけないなど自社での雇用が厳しいと判断した場合、「人」の例外で対応できるかを検討します。
この場合、派遣会社に該当する派遣登録者がどのくらいいるのかが大きなポイントになってくるため、事前に派遣会社へ確認しておくことが非常に重要です。
業務が例外事由に該当しない場合、可能であれば派遣社員自身が「例外の人」の要件に該当するかを派遣会社に確認しておくと安心です。
近年、人材業界の変化に伴い、派遣会社の「法令遵守」への取り組みが一層重要となってきています。日雇い派遣を行う際には、その条件が法令に適合しているかの確認が不可欠です。
派遣会社は、日雇い派遣に該当するスタッフを雇用する前に、要件に合致しているかを確認するための書類の取得が必要となります。
後々問題が起きないよう、きちんと法令を遵守している派遣会社を選ぶことが大切です。
日雇い派遣を利用する場合、その仕組みや派遣法のルールを十分に理解しておく必要があります。特に押さえておきたいのは、単発派遣は可能ではあるものの、可能な職種や対応できる人に条件があることを踏まえたうえでの依頼です。また、コンプライアンスを遵守する派遣会社を選択することも大切です。
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