
目次
企業が人材派遣サービスを利用する際、派遣先企業と派遣会社で労働者派遣契約を締結します。
労働者派遣契約には、派遣先企業、派遣会社、派遣社員の三者が関わるため、契約の流れや更新のタイミングを正しく理解できていないと、思わぬトラブルに繋がる可能性があります。
本記事では、派遣契約締結の基本的な流れや、契約更新のポイント、注意すべき点について解説します。
人材派遣サービスを利用する際、派遣先企業と派遣会社間では2つの契約を締結する必要があります。
1つ目は、派遣社員を受け入れる際の基本的な契約条件を取り決めた「基本契約書」、
2つ目は、派遣先企業での業務内容や派遣期間、就業場所などの労働条件を定めた「個別契約書」を締結します。
尚、派遣会社と派遣社員の間では、「雇用契約書」と「就業条件明示書」を締結します。
派遣契約の特徴は、「派遣会社」「派遣先企業」「派遣社員」三者間で成り立っているところです。
派遣先企業と派遣社員は直接の契約関係はありませんが、業務の指揮命令は派遣先企業が行います。
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派遣会社に依頼する段階では、締結する契約はありません。
契約締結前でも派遣料金の見積もりや、希望する要件を持つ人材の紹介が可能かどうかを確認できます。
事前に就業条件や派遣社員に任せたい業務内容を社内で整理しておくと、スムーズに条件に合った人材の提案を受けられます。
関連記事:【人材派遣】依頼の流れと希望条件の伝え方/メール文例あり
派遣社員の受け入れが決まったら、まずは派遣先企業と派遣会社の間で「基本契約書」を締結します。
一般的に「基本契約書」の有効期限は1年となり、契約内容の変更がない限りは自動で延長される場合が多く、基本的には初回のみに契約締結します。
基本契約書は法的には必須ではありませんが、トラブル防止やリスク回避の観点から一般的に締結されています。
その後、派遣社員ごとの業務内容や就業条件などを定めた「労働者派遣契約(個別契約書)」を締結します。
なお、派遣先企業と派遣社員の間では契約を交わしません。派遣社員は派遣会社と雇用契約を結びます。
契約締結後、派遣社員は就業を開始します。業務は、個別契約書に記載された業務内容に基づいて行われるため、契約に定められていない業務を指示することはできません。
派遣契約は、一般的に3か月ごとの更新を希望する派遣先企業や派遣社員が多いため、1年以上の継続勤務が見込まれる場合でも、定期的な契約更新の手続きが必要です。
契約を更新するかどうかは、派遣会社が派遣先企業と派遣社員それぞれの意向を確認の上、決定します。
契約更新は三者が合意した場合に実施され、派遣社員の意思確認は派遣会社が行うため、派遣先企業が直接意思確認をすることはありません。
対象の派遣会社との取引が初めての場合、まず、基本契約書を締結します。その後、派遣社員ごとの業務内容や就業条件などを定めた個別契約書を締結します。
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基本契約書は、派遣会社と派遣先企業の間で締結される、すべての派遣取引に共通するルールを定めた契約書です。
派遣法では締結が義務づけられていませんが、リスク回避やトラブル防止のため、多くの企業で初回取引時に締結されています。
基本契約書には、「いずれかが契約終了を申し出るまで自動更新される」という条項が含まれることが一般的です。
このため、以降は基本契約更新の手続きを踏まなくても、追加の派遣依頼や増員がスムーズに進められます。
<基本契約書に記載される主な事項>
個別契約書とは、基本契約書と同様に派遣会社と派遣先企業の間で締結され、派遣社員の業務内容・就業期間・就業条件などを明記した契約書です。
個別契約書は、派遣法で締結が定められている点が、基本契約書との違いです。
個別契約書は契約更新を行う度に、最新の条件に基づき改めて締結をする必要があります。
<個別契約書に記載される主な事項>
基本契約書 | 個別契約書 | |
目的 | 派遣取引全体の基本ルールを定める | 派遣業務に関する詳細条件を定める |
記載内容の主な例 | 派遣料金の計算方法、雇用安定措置、機密保持など | 派遣期間、就業場所、業務内容、時間、派遣料金など |
締結のタイミング | 取引前に締結し、1年ごとの自動更新が一般的 | 派遣社員・案件ごとに契約更新を行う度に締結 |
法的効力 | 派遣法において締結・保管の義務はない | 派遣法で締結が義務づけられている |
契約対象 | 派遣会社と派遣先企業の包括的な関係 | 派遣社員1名に対しての特定の案件 |
派遣社員を受け入れるにあたり、派遣先企業では次の3つの役割を設置する必要があります。特に初回の個別契約書を締結する際には、これらの役割を明確にしておくことが重要です。
派遣社員の受け入れ体制を整え、職場環境の改善やトラブル防止に努めるなど、派遣社員が安心して働けるよう全体を管理する役割です。
実際の業務内容について、派遣社員に直接指示を出す上司にあたる役割です。派遣社員は、派遣先企業が指定する「指揮命令者」の指示のもとで業務にあたります。
派遣社員が職場で困ったことや不安を感じた際に、相談や苦情を申し出るための窓口となる担当者です。
また、派遣先企業は派遣社員の管理を適切に行うため、派遣法により「派遣先管理台帳」の作成が義務付けられています。この台帳には、派遣社員の業務内容、勤務時間、賃金などが記録され、派遣社員の適正な労働環境を確保するための重要な役割を果たします。
関連記事:派遣契約とは?企業が派遣会社と結ぶ2種類の契約をわかりやすく解説
個別契約書の初回契約期間は、原則として31日以上に設定されます。労働者派遣法により30日以内の契約は「日雇い派遣」とみなされ、法律上の制限があるため、初回契約は1〜2か月程度で締結されることが一般的です。
契約の更新時期については、契約期間に応じて適切な時期に判断・調整を行うことが望まれます。
契約期間が1か月の場合、契約終了の2週間前までに、契約期間が2か月の場合には、契約終了の1か月前までに、更新の有無を検討・調整するのが適切です。
このように早めに契約更新の意思決定をすることで、初回契約で終了となる場合のトラブルを防ぐことができます。
個別契約書の締結とは別に、いくつかの重要な通知を行う必要があります。
抵触日通知書とは、派遣社員を同一職場・部署で継続して受け入れることができる上限期間(原則3年)に到達する日(「抵触日」または「事業所抵触日」)を、派遣先企業が事前に派遣会社に対して文書で通知するための公式書類です。
労働者派遣法で定められた「3年ルール」(派遣先企業の同一事業所において派遣社員を継続して受け入れられる期間は原則3年まで)に基づき、この抵触日を超えて派遣社員を受け入れることは原則として認められていません。
派遣先企業には以下の義務があります
これらの管理が適切に行われていない場合は法令違反となる可能性があるため、派遣会社・派遣先企業双方での徹底した管理が求められます。
関連記事:派遣の抵触日とは?「事業所抵触日」と「個人抵触日」の違いを解説
派遣先企業は、派遣会社に対して、自社の正社員などの待遇に関する情報を通知する義務があります。
これは、「同一労働・同一賃金」の原則に基づき、派遣社員が正社員と比べて不当に不利な待遇を受けないようにするためのもので、労働者派遣法に基づく重要な義務です。
特に「労使協定方式」ではなく「派遣先均等・均衡方式」を採用する場合、派遣先企業は、正社員の賃金、賞与、手当、福利厚生、教育訓練などの情報を派遣会社に正確に提供しなければなりません。派遣会社はそれを基に、派遣社員の待遇を決定する必要があるため、情報提供の内容と時期は極めて重要です。
この通知は派遣契約の初回締結時だけでなく、契約更新の際にも改めて行う必要があります。その他、制度や待遇に変更がある場合も通知が必要です。
所定労働時間が週20時間以上など、一定の要件を満たす派遣社員は、社会保険への加入が義務付けられています。
派遣先企業は、派遣社員の労働時間や契約内容をもとに加入対象かどうかを確認し、派遣会社と連携して対応状況を把握する責任があります。
派遣会社より被保険者証の写しなどが提示されますので、確認するようにしましょう。未加入の場合は、雇用保険が適用されない理由が適切かを確認してください。
派遣契約を継続するには、契約終了前に更新手続きを行う必要があります。更新手続きの基本的な流れと、注意すべき点を確認しておきましょう。
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初回契約終了後、一般的に個別契約は3カ月ごとに更新されます。人材派遣市場では、3~6カ月の範囲での契約更新が標準的な慣行となっています。労働者派遣法において、日雇い派遣を除き、派遣期間に特定の月数制限は設けられていません。
ただし、派遣契約には大きく二つの「期間制限」が存在するため、注意が必要です。派遣法で定められた期間を超えた契約を締結することはできません。
「事業所抵触日」とは、派遣先企業の同一事業所において、同一業務に派遣社員を継続して受け入れられる期間(原則3年)の上限に達する日を指します。この制限は事業所全体に適用されます。
ただし、事業所抵触日は意見聴取を行うことで延長することが可能です。継続して派遣社員を受け入れたい場合、スケジュールに余裕をもって意見聴取を実施しましょう。
「個人抵触日」とは、特定の派遣社員が同一職場・同一業務に就労できる期間(原則3年)の上限に達する日を指します。この制限は個々の派遣社員に適用されます。
個人の抵触日については延長することはできません。そのため、事業所抵触日の延長を行った場合でも、同じ派遣社員を続けて受け入れるためには、部署変更や直接雇用への切り替えなど、個別の対応が必要となります。
契約更新のタイミングは、契約終了日の1か月前に契約更新の可否を決定する必要があるため、およそ契約終了日の2か月程度前から派遣会社より派遣先企業へ契約更新の打診があり、同時に派遣社員にも継続して勤務を希望するかどうかの意思確認を行います。
最終決定は遅くとも契約終了日の30日前までに完了しておくことが法的にも実務的にも重要です。
また、派遣会社は、雇用契約を更新しない場合、契約終了日の30日前までに派遣社員へ通知しなければなりません。
そのため、派遣先企業の組織変更や業績、親会社からの事業変更などにより、契約更新の判断が遅れる場合を想定し、派遣会社は早めに派遣先企業への意思確認を行っています。
更新確認を早めに行った方が良い理由は、次の2つです。
契約終了が決まると、派遣社員が有休消化を行うこともあることも念頭に入れておきましょう。
特に派遣先都合での契約終了の場合、派遣社員が新たな就業先を探すための十分な時間確保が必要です。直前での通知は、派遣社員の生活安定性やモチベーションに大きな影響を与え、トラブルになりかねません。
このように、契約更新に関しては「余裕を持った意思決定」が、すべての関係者にとってメリットが大きく、円滑な連携を図る上でも欠かせない対応といえます。
契約更新に際しては、以下のような手順で進めます。
派遣契約の更新を希望するかどうかについて、派遣会社から派遣先企業に対して確認が入ります。
契約内容や勤務条件を変更したい場合は、早めに派遣会社に相談しましょう。詳しくは、後述する「契約内容を変更したい場合の対応」をご確認ください。
注意点
契約更新に関する通知は、派遣先から派遣社員に直接伝えてはいけません。
(派遣先と派遣社員間には雇用契約がないため)
関連記事:意見聴取とは?派遣先企業が行うべき手続きの流れについて解説
派遣会社は、派遣社員に対して契約更新の意思を確認します。派遣社員が継続を希望しない場合、派遣先企業と調整したうえで新たな派遣社員の手配が行われます。
派遣社員から契約更新を断られた場合の対応については、後述する「派遣社員が契約更新を希望しない場合の対処法」をご参照ください。
派遣先企業・派遣会社・派遣社員の三者の合意が得られた場合、契約更新が正式に決定します。契約内容を再確認したうえで、新たな個別契約書を締結します。契約更新の意思決定は遅くとも契約終了の30日前までに行います。
口頭での合意であっても契約は成立しているため、たとえ契約書の締結がまだであっても、更新の合意をした後に一方的に取り消すことはできません。
契約を更新する際は、手続きに漏れがないよう、以下のポイントを確認しておきましょう。
抵触日通知書と待遇情報の通知のタイミングは、初回契約時のみではありません。更新の都度必要なので、忘れずに対応しましょう。
派遣期間や派遣料金など、契約の内容に変更がないか確認しましょう。
派遣先管理台帳は、派遣法で派遣先に作成が義務づけられています。契約を更新する際は、派遣期間等や変更点(業務内容や就業条件など)が反映されるよう、台帳を更新しましょう。
更新時にも派遣社員の社会保険加入状況を確認してください。
契約更新時に業務内容や就業条件を変更したい場合は、派遣会社を通じて派遣社員の同意を得る必要があります。特に以下のような変更がある場合は、早めに調整を進めることが重要です。
派遣社員は契約された業務内容に基づき業務を行います。そのため、業務内容に変更が発生する場合は、契約内容の見直しが必要です。
例えば、これまで一般事務として、電話応対やデータ入力、ファイリング業務を中心に行っていた派遣社員に対し、経費精算や請求書作成などの経理補助業務や、部内のスケジュール管理・資料作成など、より専門性や業務範囲が広がる内容を新たに任せるとなった場合は、契約内容を変更する必要があります。
ただし、業務内容が拡大、変更となる場合、派遣料金が上がる可能性もあります。
以下のような契約項目について、派遣先企業と派遣会社の間で再度取り決め、個別契約書の修正または再締結が必要になります。
このような手続きを経ずに業務を拡大・変更してしまうと、労働者派遣法に違反する可能性があるほか、派遣社員との間でトラブルを招く原因にもなります。
仮に派遣社員が新しい業務に対応できない、あるいは同意が得られないからと、現契約を短縮することはできません。業務内容や体制等を見直すか、今の派遣社員は契約満了とし、別の派遣社員の再提案を受けるか、といった方針を決める必要があります。
勤務時間や就業条件の変更は、派遣社員の生活や収入に直結するため、契約の再締結と事前の十分な説明・同意が必要です。
変更例と影響
勤務時間の変更 | 「9時~17時」→「10時~18時30分」…保育や家庭時間に影響 |
休日体制の変更 | 「土日祝休み」→「シフト制」…家族行事や予定の調整が必要 |
残業の追加 | 「残業なし」→「月20時間程度」…収入増も私生活に負担 |
これらの変更は時給制の派遣社員にとって収入の増減に直結します。就業条件を変更する際は、派遣会社を通じた丁寧な説明と契約の再締結が不可欠です。
指揮命令者が変わる場合、その選任は派遣先の義務です。派遣社員が混乱しないよう、変更内容については事前に明確な説明を行いましょう。
また、派遣先で設置する担当者(派遣先責任者・指揮命令者・苦情申出先担当者など)の変更は、契約更新を待たず、速やかに実施する必要があります。併せて、派遣先管理台帳の記載内容も速やかに更新しましょう。
派遣社員が契約更新を希望しない場合、業務に支障が出ないよう準備を進めます。
派遣社員の契約終了が決まった際は、以下の点を確認し、適切に対応しましょう。
更新を希望しない理由の確認(職場環境に問題がなかったか)
派遣会社を通じて確認し、同様のケースが続く場合は改善を検討します。
最終出社日の確認
有給休暇の消化なども考慮して調整します。
引き継ぎ準備と協力依頼
業務マニュアルや引き継ぎ資料の作成を依頼し、円滑な業務移行に向けて派遣社員に協力を求めます。派遣会社の担当者にも事前に伝えておくとよいでしょう。
派遣会社への再依頼の準備
業務内容・就業条件・必要スキルを整理し、派遣会社へ次の人材の派遣依頼を行います。
貸与物の回収
PCやセキュリティカードなどの返却手続きを進めます。
契約更新は、派遣社員にも選択の権利があります。「更新しない」という意思は、当然ながら尊重されるべき選択肢のひとつです。
無理に契約延長を求めたり、圧力をかけるのは適切な対応ではありません。派遣社員は期間の定めがある雇用形態であることを踏まえ、派遣社員個人の意思を尊重する姿勢が求められます。
また、契約終了が決まった派遣社員に対して、冷たく接したり、疎外するような態度は避けるべきです。職場全体の雰囲気を悪化させるだけでなく、悪い評判が広まり、今後の採用に影響を与えるリスクもあります。
契約更新のタイミングは、派遣社員の勤務態度や業務の進め方などを見直し、評価を伝える良い機会です。契約を更新するかどうかの判断に加え、日頃の業務に対するフィードバックを派遣会社へ伝えることも重要です。
ポジティブな評価の派遣会社への共有は、フィードバックを受け取った派遣社員のモチベーション向上や業務改善につながります。
派遣社員の業務パフォーマンスに対してポジティブな評価がある場合は、派遣先企業はその内容をできるだけ具体的に派遣会社へ伝えましょう。フィードバックは派遣社員に共有され、就業意欲の向上や職場の働きやすさを感じるなど、良い影響を与えます。
<例>
勤務態度に不安がある、期待していたスキルと大きな乖離があるなど、何らかの改善が必要と感じた場合は、派遣会社と連携して対応策を検討しましょう。
<例>
契約期間中の場合、派遣先側の都合だけで、一方的に契約を終了させることはできません。まずは派遣会社に状況を共有し、具体的な事実をもとにフィードバックを行ったうえで、改善を求めることが基本となります。(派遣社員へのフィードバックは派遣会社が行う)
また、派遣社員側も「業務の進め方がわからない」「十分な指示が得られていない」といった不安や困りごとを抱えている場合があります。互いに円滑なコミュニケーションを図りながら、派遣会社と協力して問題解決を図りましょう。
派遣先の都合で派遣契約を終了する場合、事前に適切な手続きを踏むことが重要です。派遣社員は、派遣会社との雇用契約に基づいて就業しているため、契約終了に際しては、派遣会社を通じた正式な手続きを行う必要があります。
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派遣契約を終了したい場合、まずは派遣会社へその旨を伝えましょう。派遣会社は、契約終了の30日前までに派遣社員に対して、契約更新の有無を伝えなければなりません。派遣社員がスムーズに次の職場へ移行できるよう、できるだけ早めの通知が望ましいです(可能なら2か月前までに通知)。
派遣会社は、派遣先から契約終了の連絡を受けた後、派遣社員本人に対して契約終了の旨を正式に伝えます。この際、終了理由や最終出社日、有給休暇の取り扱いなどについても、必要に応じて説明されます。
派遣契約においては、派遣社員とのやり取りはすべて派遣会社が行うルールのため、派遣先から直接派遣社員本人に契約終了を伝えることはできません。
派遣社員への通知後、業務の引き継ぎ準備を進めます。
後任の手配や、マニュアルなどの引き継ぎ資料の作成を行い進めておくことで、業務の滞りを防ぎましょう。
また、派遣社員が有給休暇を消化する可能性があるため、最終出社日を派遣会社と調整しておくのも重要です。
契約満了で更新をしない場合(契約満了)、特に契約上での手続きはありませんが、以下の点に留意しましょう。
派遣先の都合で契約を終了とする場合、その理由を派遣会社に明確に伝えましょう。派遣社員に対する契約終了の告知は派遣会社が行いますが、派遣社員にも理解しやすい説明が必要です。
不適切な理由での契約終了はトラブルの原因になるため、終了理由については事前に派遣会社に具体的に説明しておきましょう。
一方的な契約終了は、派遣社員の権利侵害につながる可能性があり、法的リスクを伴います。たとえば、以下のようなリスクが考えられます。
不当な契約解除による損害賠償請求
正当な理由なく契約期間中に打ち切った場合、派遣社員から損害賠償を求められる可能性があります。
契約終了時には、労働者派遣法と契約内容を再確認し、派遣会社と連携して適切な手続きを踏むことが重要です。
関連記事:社労士が解説!派遣契約の変更・更新・終了に関するルール
派遣先都合による契約終了などは、派遣社員の雇用の安定を図るため、派遣会社と連携して次の就業先への移行を支援することが、労働者派遣法の趣旨に沿った望ましい対応とされています。たとえば、有給休暇の取得に配慮したり、転職活動のための半休取得に協力するなどの対応が考えられます。
人材派遣契約に関するよくある質問についてお答えします。
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人材派遣契約は、契約期間満了までの継続が原則です。しかし、業績悪化や事業縮小、事業部門の閉鎖などやむを得ない事情がある場合、契約の短縮が可能です。
しかし、契約短縮の場合でも、派遣料金の支払いは必要となる可能性が高く、まずは派遣会社に相談してください。
派遣社員のパフォーマンスや勤怠に問題があると感じた場合でも、派遣先の判断だけで契約を即時に短縮・解除することはできません。
派遣契約は、派遣会社との契約に基づいて成り立っているため、派遣会社を通じた適切な対応が必要です。
以下の手順を参考に、慎重に対応を進めましょう。
派遣社員のどの点に問題があるのかを整理し、具体的な事実を明確にしておきます。
<例>
主観的な印象ではなく、客観的に確認できる記録(日時・内容など)として整理しておくことが重要です。
問題が確認できたら、派遣会社に状況を伝え、対応を相談します。派遣会社は、派遣社員に対して注意喚起や改善指導を行うことができます。
重要なのは、派遣先が直接派遣社員に契約短縮の意思を伝えたり、圧力をかけたりしないことです。必ず、派遣会社を通じた適切な対応を進めてください。
派遣社員には、改善の機会を一定期間与えることが望ましいとされています。派遣会社からのフィードバックや指導の後、改善が見られるかどうかを確認します。
改善が見られなければ、派遣会社と協議し、契約短縮の可否について判断します。
契約期間中に派遣社員の業務内容を変更するには、派遣会社を通じて派遣社員の同意を得る必要があります。契約外の業務を一方的に指示することはできません。
また、責任範囲の拡大や業務量が増える場合、派遣料金が上がる可能性があることも踏まえておきましょう。
対応の流れ
派遣会社に相談
変更したい業務内容を具体的に伝えます。
派遣会社が派遣社員に確認
内容を説明し、スキルや希望を踏まえて同意を得られるか確認します。
契約内容を変更
同意が得られた場合、個別契約書と派遣先管理台帳を更新します。
派遣料金は、契約の更新時や法改正、労働市場の変動などを背景に、派遣会社から料金改定の打診があることがあります。これは一方的に料金が引き上げられるものではなく、派遣先企業と派遣会社との合意に基づき、交渉のうえで決定されます。
社会全体の賃金上昇や保険料率の改定により、派遣社員にかかる人件費が増加すると、その影響が派遣料金に反映されることがあります。特に、社会保険料・労働保険料など法定費用の上昇は料金見直しの要因となりやすいです。
派遣料金に大きく影響する要素として、労働関連法の改正も挙げられます。特に「同一労働同一賃金」の制度が導入されたことにより、派遣社員の待遇の見直しが必須となっています。多くの派遣会社では「労使協定方式」により、国が公表する職種別の平均賃金に基づき、派遣社員の賃金水準や教育訓練、福利厚生を整備しています。この基準は定期的に更新されるため、その都度派遣料金にも反映される可能性があります。
派遣先企業が求める業務の内容やスキル要件が変更された場合も、派遣料金が見直されることがあります。
契約更新のタイミングでは、派遣会社から派遣料金の改定を提案されることがあります。これは、長期間にわたって派遣契約が継続している場合や、派遣社員のスキル・経験が向上した場合などに、処遇を適正化する目的で行われます。
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派遣の仕組みやフローなど、ご不明な点などございましたら、お気軽にお問い合わせください。
派遣契約の更新には、派遣先企業・派遣会社・派遣社員の三者が関わるため、派遣契約の流れや法的な義務、実務上の対応について正しく理解しておくことが重要です。
特に、抵触日通知や待遇情報の通知といったポイントの見落とし、不当な契約終了や更新の取りやめ、業務内容変更などは、法令違反やトラブルに繋がりかねません。
更新手続きの基本を押さえ、派遣会社との十分な連携と早めの対応を心がけることで、トラブルを防ぎ、安定した派遣活用が可能になります。派遣契約は三者の信頼関係に成り立つものであることを忘れず、丁寧な運用を心がけましょう。
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