調査データ
2023年11月30日
新卒社員の早期離職について、頭を悩ませている人事担当者は少なくないでしょう。
厚生労働省が2023年10月に発表した「新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者) 」によれば、就職後3年以内の離職率は、新規高卒就職者が37.0%(前年度と比較して1.1ポイント上昇)、新規大学卒就職者が32.3%(同0.8ポイント上昇)となっています。
つまり、新卒入社した人のうち、全体の3割程度が離職している状況があることがわかります。
そこでマンパワーグループでは、社会人1〜3年目の男女400名を対象に、「新卒に就職後の転職事情」について調査しました。
社会人1〜3年目の男女400名を対象に、新卒で就職した後、現在までに何回転職したかを聞いたところ、「転職していない」(79.5%)が全体の約8割を占めていました。男女別にみると、男性は82.0%、女性は77.0%となっています。
また、転職した人の転職回数については、男女とも「1回」と回答する人が最も多く、男性が12.5%、女性が19.0%であることがわかりました。
転職経験があると回答した人に、新卒で就職した会社から転職した理由を聞いたところ、労働環境や職場環境、給与、仕事内容などが思っていたものと違ったために転職するケースが多くみられました。
具体的には、給与に対する業務内容が見合っていなかったとする声や、パワハラ・セクハラやサービス残業など職場環境や労働環境の悪さによって転職した人、仕事内容に対してギャップを感じた人や、キャリアアップのために転職を選んだという人もいました。
一方、会社の将来性や会社の方針が合わないなど、会社そのものに懸念を抱いて転職した人もいれば、勤務地を理由としていた人もいました。また、実際に働いてみた結果、自分の求めているものと違うことを実感したケースもありました。
転職経験がある人に、転職する前に誰かに相談したか聞いたところ、「特に相談はしなかった」は全体の15.9%にとどまっていました。男女別にみると、男性は13.9%、女性は17.4%となり、誰かに相談した人は男女とも8割以上となっています。
相談した相手については、「家族・恋人に相談した」(54.9%)、「友人に相談した」(50.0%)が、全体の半数以上を占めました。さらに「当時の上司・同僚に相談した」(24.4%)、「転職相談やエージェントに相談した」(20.7%)という回答が2割超で続きます。男女別にみると、これらの上位項目はいずれも女性のほうが高い割合となっています。
転職経験者に「前職を退職後に後悔したこと、惜しいと思ったこと」について聞いた結果、後悔を全くしていない声が多くみられました。
後悔したことについては、給与面のほか、前職のほうが一緒に働く人が良かったなど職場環境の変化をあげる声が多くありました。
今回の調査では、入社1〜3年目までの男女が新卒で就職した後、現在までに転職していない人が全体の約8割を占めていることがわかりました。転職した人の転職回数については、男女とも「1回」と回答する人が最も多い結果となりました。
一方、転職経験があると回答した人は、労働環境や職場環境、給与、仕事内容などが思っていたものと違ったことを理由に転職したケースが多くみられました。また、転職経験者に「退職後に後悔したこと、惜しいと思ったこと」について聞いた結果、給与が下がったことをあげる声が最も多く、全体的には後悔をしていない人が多いこともわかりました。
今回の調査を振り返ると、入社前と入社後のギャップが離職率に大きく影響していることがうかがえます。労働環境、職場環境、給与・福利厚生などの待遇面などについて、いかにギャップを感じさせないかが重要であると言えるでしょう。
それらについて魅力をアピールしにくいという場合でも、研修内容の充実や働く人の良さなど、別の角度から魅力を発信し、入社後にも周知していくことで、離職率を下げることができるかもしれません。
自社のどのような部分をアピールすればいいのかわからない場合は、新たな視点によるアプローチとして採用代行などを活用するのも一つの方法です。