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外国人労働者受け入れのメリット・デメリット│受け入れ状況は?

掲載日2022年2月22日

最終更新日2022年6月22日

目次

    日本で働く外国人が増えています。人材不足が顕著な業種をはじめ、今では多くの企業が外国人労働者の受け入れをしています。本記事では、日本国内における外国人労働者の受け入れ状況や、外国人労働者受け入れのメリット・デメリット、受け入れ時の注意点について解説します。

    日本における外国人労働の現状

    厚生労働省の「外国人雇用状況の届出状況まとめ」によると、国内の外国人労働者数は2020年10月末時点で172万4,328人でした。これは、2007年に「外国人雇用状況」の届出が義務化されて以降、過去最多の人数です。熊本県の人口が約174.8万人(2019年10月時点)ですから、大体同じくらいの人数の外国人労働者が日本で働いているということになります。

    ただし、新型コロナウイルスの影響で外国人入国者が減ったため、外国人労働者の増加率は2019年の13.6%に対して、2020年は4%と大幅に減少しています。もしもコロナの影響がなかったら、日本で働く外国人はもっと増えていたでしょう。

    外国人労働者の採用ニーズが高まっている

    外国人労働者の数が増えている大きな要因は、日本が少子高齢化で働く人口が少なくなっているからです。2008年をピークに日本の総人口は減少に転じ、2019年10月時点の高齢化率(65歳以上の人の割合)は28.4%。2050年には高齢化率37.7%になると言われています。

    人口が減り、高齢者の割合が増えると当然労働人口は少なくなります。「でも、高齢化率は9.3%しか上がらないし、2050年なんてまだ30年も先のことでしょう?」と思いませんか? 実は筆者もそう思っていました。しかし、すでに新型コロナ禍以前から人手不足は顕著で、外食やホテル、清掃業界は特にその傾向がありました。

    日本政府は以前まで、単純労働の外国人の受け入れをせず、専門的・技術的分野の外国人労働者のみの受け入れを行う方針でした。しかし、2018年末初めて「特定技能」という在留資格を新設することを決定し、単純労働に従事する外国人の受け入れを行う方向に方針転換しました。

    それだけ多業界にわたり労働力不足で立ち行かなくなる企業が増え、経済に大きな影響を与え始めたのでしょう。筆者のもとにも「人手が足りない。募集しても日本人が集まらない。なので、外国人を採用したい」という企業からの問い合わせが増えています。高齢化率などの変化は、数%であっても企業に大きな影響を与えているのです。

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    国籍別・都道府県別・業種別の外国人労働者数

    厚生労働省の「外国人雇用状況の届出状況まとめ」によると、国籍別の外国人労働者の数は、2020年10月末現在で1位ベトナム(約44.4万人、全体の25.7%)、2位中国(約41.9万人、同24.3%)、3位フィリピン(約18.5万人、同10.7%)となっています。

    都道府県別では、2020年10月末現在、1位は東京都(約49.7万人)で全体の約3割を占めています。2位は愛知県(約17.5万人)で、東京都の3分の1ほどです。3位は大阪府(11.6万)なので、産業集積地や人口が多い県で働く外国人が多いことがわかります。

    産業別では「製造業」が外国人労働者数全体の28%を占め、もっとも多くなっています。次いで「サービス業(宿泊業・飲食サービス業除く)」16.1%、「卸売業、小売業」11.8%と続きます。

    出典:

    「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和2年10月末現在)|厚労省
    人口推計(2019年(令和元年)10月1日現在)結果の概要|総務省統計局

    日本における外国人労働者の受け入れ制度

    外国人は誰もが日本で働けるわけではありません。外国人が日本に入国するには、29ある在留資格のいずれかに当てはまっている必要があります。旅行で来る人は「短期滞在」という在留資格です。皆さんが海外に旅行に行く際に、海外の「短期滞在」VISAで旅行するのと同じです。

    しかし「短期滞在」では、日本で働くことはできません。在留資格の中でも働ける在留資格は決まっており、就労可能な在留資格は大きく2つに分けられます。

    【専門的・技術的分野の在留資格】

    専門的・技術的分野の外国人は在留資格の取得に要件があります。

    例えば「技術・人文知識・国際業務」という在留資格は、英会話学校の教師や技術者が取得できる在留資格です。誰でも「技術・人文知識・国際業務」の在留資格がもらえるわけではなく、大卒の学歴や10年以上の職歴などが要件となっています。

    【非専門的・非技術的分野の在留資格】

    非専門的、いわゆる単純労働のための在留資格取得には学歴も経験も不要です。

    例えば「技能実習」という在留資格は、日本でしか学べない技術を学び、本国でその技術を広めることを目的とした在留資格です。そのため、最長5年しか日本にいることはできませんが、職歴や学歴といった要件はありません。

    特定技能とは

    日本で働く外国人は29の在留資格のうち、就労できる在留資格の条件に該当する必要があります。ここでは、2019年から施行された単純労働の在留資格である「特定技能」について解説します。
    ※特定技能は「専門的・技術的分野」に分類していますが、実状は「単純労働」ですので、ここでは「非専門的・非技術的分野」として解説します

    特定技能の外国人の受け入れが可能な業種は、人手不足が顕著な次の14業種に限られています。

    1. 介護
    2. ビルクリーニング
    3. 素形材産業
    4. 産業機械製造業
    5. 電気・電子情報関連産業
    6. 建設
    7. 造船・舶用工業
    8. 自動車整備
    9. 航空
    10. 宿泊
    11. 農業
    12. 漁業
    13. 飲食料品製造業
    14. 外食業

    ※なお、ここでは割愛していますが、在留資格「技能実習」(外国人への研修を目的とした資格)の場合は80業種で受け入れ可能です

    外国人の受け入れにより日本人の雇用を減らすわけにはいかないため、現在は慢性的に人手不足となっている14業種に限られています。

    特定技能は1号と2号に分かれています。最初は1号で5年、1号終了後は2号となり、2号も5年で、合わせて最大10年日本で働くことが可能です。また、2019~2023年度までの5年間で、特定技能の受け入れ上限は、約34万5千人と決められています。

    業種、年数、人数と二重三重に制限がかかっているのも日本の雇用を減らさないため、経済状況に応じて人数などを臨機応変に変えられるようにするためです。さらに、2021年12月現在、2号に該当するのは「6.建設」「7造船・舶用工業」の2分野のみと、さらに制限をかけています。

    特定技能の在留資格を持つための外国人の要件

    特定技能の在留資格を持つには主に2つの要件があります。

    【国籍】

    以下の13の国籍のいずれかであることが必要です。尚、新たな送り出し国との二国間協定が締結されれば、今後も対象国が増える可能性があります。

    フィリピン、カンボジア、ネパール、ミャンマー、モンゴル、スリランカ、インドネシア、ベトナム、バングラデシュ、ウズベキスタン、パキスタン、タイ、インド

    【試験の合格】

    基本的に、技能試験と日本語試験4級に合格していることが条件となっています。

    ただし、技能実習生はこの2つの試験が免除されますし、すでに日本で3~5年働き、仕事のやり方に慣れているので、技能実習生から特定技能へ移行する人が多いです。一方で最初から「特定技能」の在留資格を得た外国人を採用する企業は少ない印象です。

    外国人労働者受け入れのメリット

    外国人労働者受け入れの主なメリットを4つご紹介します。

    人材不足の解消

    先述のとおり労働人口は年々減少していますので、人手不足解消が大きなメリットのひとつと言えます。先述の14業種は募集してもなかなか日本人が集まらないため、外国人労働者の受け入れを行うことを検討してもよいでしょう。

    また、技能実習や特定技能1号の外国人は日本に単身で海を渡ってくるため、意欲の高い人も少なくありません。筆者の経験上、さまざまなことにアンテナを張り、ビジネスチャンスを逃さず、日本と本国の違いを上手に利用して仕事をしている外国人労働者が多い印象です。

    社内のコミュニケーションの活性化

    文化が異なる外国人と一緒に働くことで質問や会話が増え、コミュニケーションが活性化され、社内の雰囲気が良くなったというケースがあります。また、その文化の違いが新しい気づきやアイディアにつながり、事業が発展する場合もあるようです。

    海外進出の足掛かり

    長年真面目に働き、気心も知れるようになった外国人社員がいると、「その社員の母国と貿易をしたい。そこに営業所を新設して、その国の人に現地を任せたい」という話をよく聞くことがあります。

    外国人を雇用した当初は海外進出を考えていなくても、信頼できる外国人がいて、新たな海外拠点を切り拓いてくれるなら、その方の母国に進出しようかと考えても不思議ではありません。多くのチャンスが人と人とのつながりから生まれます。

    少子高齢化のまま日本が変わらないのであれば、日本市場はいずれ縮小の一途をたどります。会社として、縮小する日本市場のみを対象とするのか、海外もビジネスの対象として目を向けるのかを考える良いきっかけとなるかもしれません。

    外国人労働者受け入れのデメリット

    反対に、外国人労働者受け入れのデメリットとして考えられる主な2点を紹介します。

    言語・文化の違いによるコミュニケーションの難しさ

    日本の常識が通じないということはメリットにもなりますが、デメリットにもなり得ます。

    「そこまで言わなくても良いだろう」と思っても、具体的に伝える、日を改めて、あるいは進捗度合いに応じて何度もわかったか確認するなど、こちらからコミュニケーションを密にとり、外国人労働者がいつでも相談できるような体制を整えることは大切です。

    また、日本の商習慣に馴染めるのか見極めるための試用期間を設ける、退職規定も具体的に記載するなど、誤解を招かない工夫も必要でしょう。

    就労ビザの資格取得に数カ月要することも

    外国人が日本で働き収入を得ようとすると、上述したように在留資格が必要です。在留資格は出入国在留管理庁に申請し、結果が出るまで通常2~3カ月かかるため、採用面接後に即採用というわけにはいきません。さらに、各省庁にも申請が必要な在留資格もありますし、外国人の母国の許可が別途必要な場合もあります。

    例えば、フィリピン人が就労資格で働く場合、フィリピン労働雇用省の許可が必要です。在留資格によっては膨大な書類作成が必要な場合もあり、外国人雇用に慣れていない会社だと難航することもあるでしょう。

    外国人労働者受け入れ前に確認しておきたい注意点

    上で説明したように日本人従業員の雇用とは手続きの方法が異なるため、外国人採用の際は以下のような点に注意してください。

    1. 事前に在留資格の要件にあてはあるか確認する

    日本にいる外国人を採用する場合も、在留資格で定められた範囲内の仕事内容かどうかの確認が必要です。出入国在留管理庁(入管庁)の在留資格一覧表 で、会社で行う活動と、外国人の持つ在留資格でできる活動が合致しているか確認しましょう。もし不安な場合は、入管庁や専門家に問い合わせる、または、「就労資格証明書」を申請することができます。

    就労資格証明書は入管庁が発行するもので、会社で行う活動が外国人の持つ在留資格でできる活動と一致している場合のみ発行されます。

    2. その在留資格の必要書類や申請先について確認する

    各在留資格別必要書類や申請先は、出入国在留管理庁(入管庁)のホームページで確認できます。また、入管庁の外国人在留総合インフォメーションセンター では、在留手続きに関する問い合わせに応じています。

    3. そのほかの法律の遵守事項を確認する

    外国人を雇用したら、原則、外国人労働者の雇用状況をハローワークへ届け出ることが必要です。また、常時10人以上の外国人労働者を雇用する場合は、「外国人労働者雇用管理責任者」の選任が義務となっています。外国人が不法滞在である場合や就労可能な在留資格を持っていない場合、また入国管理局から認められた範囲を超えて働いていた場合、本人だけではなく、雇った企業や雇用をあっせんした者も罰則の対象となります。

    不法就労させた企業やあっせんした者は、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはそれらが同時に課されます。この罰則の怖いところは、知らないことを理由として処罰を免れることはできない点です。在留カードの確認をしていないなどの過失があった場合も、罰則が課せられます。そのため、企業も外国人本人のパスポートと在留カード、在留期限、在留資格は必ず確認する必要があります。偽造されたコピーを提示されるケースもありますので、必ず原本を確認してください。

    また最近では、派遣された外国人を不法就労させて摘発されるケースが増えています。「派遣会社に任せていたから」という言い訳も通用しませんので、コンプライアンスを重視する派遣会社を選択するようにしましょう。

    まとめ

    外国人労働者の受け入れは、会社が対応しなければならないことは多いですが、取り組み方によっては会社としてのメリットも多いでしょう。初めて外国人労働者の受け入れを行う場合、まずは日本にいる(資格外活動許可を受けている)留学生などの採用から始めると、日本語や文化にある程度慣れていますので、最初の一歩として踏み出しやすいでしょう。

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    著者プロフィール

    武田敬子(行政書士)

    武田行政書士事務所所長。外資系会社員を経て、行政書士事務所を開業。入管業務を専門とし、外国人雇用や海外からの会社設立など、外国人や外国人雇用をする日本企業、日本へ進出する海外企業のサポートを行う。比較文化を好み、自身と違う価値観、同じ価値観を見つけ、その文化的背景を探る。モットーは「仕事も遊びも徹底してやる」。趣味はランニング、キャンプ、登山、ワ―ケーション、温泉。共著著書:『外国人と行政書士』(清文社)、『実用各種証明書のとり方』(日本法令)

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